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核医学領域でのファントム実験

 核医学領域でのファントム実験

第47回日本放射線技術学会秋季学術大会

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ICHIKAWA H.

May 08, 2022
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  1. 核医学領域でのファントム実験 豊橋市⺠病院 放射線技術室 ⾦沢⼤学⼤学院 医薬保健学総合研究科 保健学専攻 市川 肇 第47回⽇本放射線技術学会秋季学術⼤会

  2. 性能評価 校正線源 ⼈体模擬 摂取率測定 相互校正 装置間差補正 核医学領域のファントム 必須 基礎 臨床

    技術 最適化・研究
  3. 核医学検査とファントム • 装置の感度補正・品質保証 • 摂取率測定・キュリーメータとの相互校正 • CADでの補正データ取得 • 検査毎に求められる画像特性が異なる •

    核種毎に感度・解像特性が異なる • 業界全体(学会・企業)として推奨・サポート
  4. 核医学検査とファントム 核医学検査を適切に⾏ううえで⽋かせないツール • 装置の感度補正・品質保証 • 摂取率測定・キュリーメータとの相互校正 • CADでの補正データ取得 • 検査毎に求められる画像特性が異なる

    • 核種毎に感度・解像特性が異なる • 業界全体(学会・企業)として推奨・サポート
  5. 中隔︓10mmφ完璧性⼼筋虚⾎モデル 側壁︓40×40mm内膜側(厚さ5mm)虚⾎モデル 左室⼼筋厚︓10mm ⼼臓肝臓ファントムHL型 ガンマカメライメージング ⼼筋ファントム

  6. ガンマカメライメージング ⼼筋ファントム

  7. 臨床条件 特殊な撮像 (臨床では不可能) 現実的ではない条件 ガンマカメライメージング ⼼筋ファントム

  8. ガンマカメライメージング 131I ペネトレーション 99mTcO4- 185 MBq 123I 7.4 MBq 131I

    370 MBq 甲状腺イメージング
  9. ガンマカメライメージング 131I ペネトレーション 99mTcO4- 185 MBq 123I 7.4 MBq 131I

    370 MBq 投与量は画質を良くする1つの要素に過ぎない 甲状腺イメージング
  10. ファントムを⽤いた研究 • 撮像技術の最適化 • 最適コリメータ • 撮像時間の短縮 • 画像再構成・補正パラメータの最適化 •

    新しいファントムの開発・評価⽅法の確⽴ • 新しい撮像技術の検証 • 新しい装置や技術の性能評価・画質評価 • 検査指標・画質の標準化
  11. 123I-MIBG⼼筋交感神経シンチにおける コリメータの最適化 既存の⼼筋ファント ムにペットボトルを 利⽤して腕の影響を 模擬 LE LME 回帰式によって過去の データを換算

    LEHR LMEGP MELP コントラスト ↑ S/N ↑ LME(H/M) = 2.1 x LE(H/M) – 1.3 コリメータの最適化 ⾦沢医科⼤学病院 林亮⼦先⽣ご提供 123I-MIBG⼼筋シンチグラフィにおける 低中エネルギー⽤コリメータの有⽤性 .⽇放技学誌 2007; 63(2): 241-6 ① H/M:⼼縦隔⽐
  12. 123I-MIBG⼼筋交感神経シンチにおける コリメータの最適化 既存の⼼筋ファント ムにペットボトルを 利⽤して腕の影響を 模擬 LE LME 回帰式によって過去の データを換算

    LEHR LMEGP MELP コントラスト ↑ S/N ↑ LME(H/M) = 2.1 x LE(H/R) – 1.3 コリメータの最適化 ⼼筋⾎流シンチ⽤ファントムを利⽤ ↓ 肺・縦隔への分布が臨床データと異なる ① ⾦沢医科⼤学病院 林亮⼦先⽣ご提供 123I-MIBG⼼筋シンチグラフィにおける 低中エネルギー⽤コリメータの有⽤性 .⽇放技学誌 2007; 63(2): 241-6 H/M:⼼縦隔⽐
  13. ⾻SPECT評価⽤ファントムによる画質評価         

     4DPSF 4QIFSFEJBNFUFS NN "DRVJTJUJPOUJNFNJO "1 3"0 '#1 04&. 04&. "$4$ 17mmの病変に対してプラナ 像では検出できないがSPECT では検出できることを検証 市川肇,他.⾻等価溶液を⽤いた⾻SPECT評価⽤ボディファントムの開発.⽇放技学誌 2015; 71(12): 1235-40. 市川肇,他.新しい⾻シンチグラフィ評価⽤胸部 ファントムを⽤いた検出能の評価.核医学技術 2017; 37(3):229-38. ⾻SPECT評価⽤ ボディファントム ② NEMA IEC ボディファントム
  14. ⾻SPECT評価⽤ファントムによる画質評価         

     4DPSF 4QIFSFEJBNFUFS NN "DRVJTJUJPOUJNFNJO "1 3"0 '#1 04&. 04&. "$4$ 17mmの病変に対してプラナ 像では検出できないがSPECT では検出できることを検証 市川肇,他.⾻等価溶液を⽤いた⾻SPECT評価⽤ボディファントムの開発.⽇放技学誌 2015; 71(12): 1235-40. 市川肇,他.新しい⾻シンチグラフィ評価⽤胸部 ファントムを⽤いた検出能の評価.核医学技術 2017; 37(3):229-38. ⾻SPECT評価⽤ ボディファントム ② NEMA IEC ボディファントム 臨床データを⽤いたSPECTの有⽤性に関する研究のみ ↓ ファントム実験によってSPECTが有⽤な病変の⼤きさを⽰した ⾻SPECT撮像ガイドラインの正当性を検証した
  15. ⾻SPECT評価⽤ファントムによる画質評価 ② Sim2 BONEファントム 椎体の数が不⾜ ⽇本⼈の体型には合わない より複雑な減弱補正分布 プラナー像の評価も考慮 放射性溶液の封⼊が煩雑 10mmのHSはSPECTには不要

    ⾻SPECT評価⽤ ボディファントム ⾻SPECT評価⽤ 胸部ファントム
  16. 冠動脈CT-⼼筋⾎流SPECT評価⽤ ハイブリッド型⼼臓ファントム HB-cardiac ファントム 北海道科学⼤学 菊池明泰先⽣ご提供 SPECT/CT装置 ③

  17. 冠動脈CT-⼼筋⾎流SPECT評価⽤ ハイブリッド型⼼臓ファントム HB-cardiac ファントム 北海道科学⼤学 菊池明泰先⽣ご提供 SPECT/CT装置 新しい撮像技術の精度検証ツールを開発した事例 ③

  18. ⼼筋SPECT評価ファントムおよび 解析ソフトウェアの開発 N slice³  ĐĐIJÍı MAXŅŃŦŕ 0§ tem Ķ

    o countı…VĽŚťœŕġĥñ´Íıĝ ÿzŪR2ū k&Coű±100× ​…L−… V/…LŬ…V  H)Ľ?ľĦROIĬģļĤļk&CoĽÅ%ġŭ oıĐaCĬç EMITファントム 展開画像 プロファイルの底辺の傾きによって⾃動評価 ⾦沢⼤学⼤学院 ⼩野⼝昌久先⽣ご提供 ④
  19. ⼼筋SPECT評価ファントムおよび 解析ソフトウェアの開発 • 1回の撮像で⼤きさ・深さの異なる8種類の虚⾎モデルを 評価可能 • ⾃動解析プログラムによって客観的かつ定量的に評価可能 • 対象画像と基準画像との⽐較によって正当に判定可能 ④

  20. Liver Lung Heart Mediastinum Thyroid MIBGファントムによる診断指標の 標準化 123I-MIBGプラナーイメージング専⽤ファントム 各部位のRI濃度は平板の厚みで調整 濃度調整が不要

    → 実験再現性が⾼い ⾦沢医科⼤学 奥⽥光⼀先⽣ご提供 既存のファントムでは再現できなかった 甲状腺・肺などのRI分布を模擬 ⑤
  21. MIBGファントムによる診断指標の 標準化 ʣ /BLBKJNB, FUBM+/VDM$BSEJPM5BCMF (& ʢʣ 4JFNFOT ʢʣ 5PTIJCB

    ʢʣ  4IJNBE[V ʢʣ 1IJMJQT)JUBDIJ ʢʣ 4JFNFOT ʢʣ 5PTIJCB ʢʣ )JUBDIJ ʢʣ (& ʢʣ 4JFNFOT ʢʣ 5PTIJCB ʢʣ  4IJNBE[V ʢʣ 1IJMJQT)JUBDIJ ʢʣ 4JFNFOT ʢʣ 5PTIJCB ʢʣ (& ʢʣ 4JFNFOT ʢʣ 4IJNBE[V ʢʣ  1IJMJQT)JUBDIJ ʢʣ "%"$ ʢʣ (& ʢʣ ϝʔΧʔ໊ͱϑΝϯτϜ࣮ݧσʔλ਺ (& ʢʣ 1IJMJQT)JUBDIJ ʢʣ -& -& -& -& -& .& .& .& -&PS .&         /         4% -&)3 $)3 -&(1"1 &-&(1 ʢPMEʣ &-&(1 ʢOFXʣ -.&(1 .&(1("1 .&-1)&(1         ม׵܎਺,ͷฏۉ஋ ίϦϝʔλ .*#().ൺඪ४Խ͔Β౷ҰԽ΁ ɹࠃ಺  ࢪઃ  ৚݅ͷ.*#(ϑΝϯτϜ࣮ݧσʔλΛղੳ͢Δ͜ͱͰಛੑΛ໌Β͔ʹ͠ɺ ௿ΤωϧΪʔ ʢ-&ʣ ίϦϝʔλΛ छྨɺ தΤωϧΪʔ ʢ.&ʣ ίϦϝʔλΛ छྨʹ෼ྨͨ͠ɻ֤ ίϦϝʔλͷม׵܎਺,ͷฏۉ஋Λදʹࣔͨ͠ɻ ɹࠃ಺  ࢪઃ  ৚݅ͷ.*#(ϑΝϯτϜ࣮ݧσʔλΛղੳ͢Δ͜ͱͰಛੑΛ໌Β͔ʹ͠ɺ ֤ίϦϝʔλͷม׵܎਺, ʣ /BLBKJNB, FUBM+/VDM$BSEJPM5BCMF Nakajima K, Okuda K, et al. Multicenter cross-calibration of I-123 metaiodobenzylguanidine heart-to- mediastinum ratios to overcome camera-collimator variations. J Nucl Cardiol. 2014; 21: 970-978. Table1 国内84施設225条件のMIBGファントムデータを解析し, • 低エネルギーコリメータを5種類 • 中エネルギーコリメータを3種類 に分類した ⑤
  22. MIBGファントムによる診断指標の 標準化 ʣ /BLBKJNB, FUBM+/VDM$BSEJPM'JHVSFվม .*#( ϑΝϯτϜ࣮ݧ ม׵܎਺ɿ,J Step1 ม׵܎਺ɿ,TUE

    Step2 ඪ४৚݅ ). ൺ ϧʔνϯ৚݅ ). ൺ ). ൺ ཧ࿦஋         ਺ֶతཧ࿦ʹجͮ͘).ൺ ϧ ồ ν ϯ ৚ ݅ )  . ൺ y ,J xʴC         ਺ֶతཧ࿦ʹجͮ͘).ൺ ඪ ४ ৚ ݅ )  . ൺ y ,TUE xʴC Step1 ֤ࢪઃϧʔνϯ৚݅ͷ).ൺ͔Βɺ ).ൺཧ࿦஋ˎ΁ͷิਖ਼ ʢม׵܎਺ɿ,Jʣ Step2 ).ൺཧ࿦஋͔Βɺ ඪ४৚݅).ൺ΁ͷิਖ਼ ʢม׵܎਺ɿ,TUEʣ ม׵܎਺,Λ༻͍ͨิਖ਼๏ ϑΝϯτϜ࣮ݧΑΓಘΒΕͨม׵܎਺,JΛ༻͍ͯิਖ਼Λߦͳ͏ɻ ˎ).ൺཧ࿦஋ɿϑΝϯτϜͷߏ଄͔Β਺ֶతʹࢉग़͞ΕΔ).ൺ Nakajima K, Okuda K, et al. Multicenter cross-calibration of I-123 metaiodobenzylguanidine heart-to- mediastinum ratios to overcome camera-collimator variations. J Nucl Cardiol. 2014; 21: 970-978. Fig.1改変 ⑤
  23. Nakajima K, Okuda K, et al. Multicenter cross-calibration of I-123

    metaiodobenzylguanidine heart-to- mediastinum ratios to overcome camera-collimator variations. J Nucl Cardiol. 2014; 21: 970-978. Fig.4 MIBGファントムによる診断指標の 標準化 ʣ /BLBKJNB, FUBM+/VDM$BSEJPM'JHVSF     .&ίϦϝʔλ).ൺ ͔Β ඪ४.&).ൺ΁ͷิਖ਼஋ ̡ ̚ ί Ϧ ϝ ồ λ )  . ൺ ͔ Β ඪ ४ . ̚ )  . ൺ ΁ ͷ ิ ਖ਼ ஋     yʴx S Qʻ O ɿิਖ਼Λ͠ͳ͍৔߹ɺ -&ίϦϝʔλͷ).ൺ͸.&ίϦϝʔλͷ).ൺΑΓ΋௿஋ͱͳΔɻ ɿඪ४.&).ൺʹ֤ʑΛิਖ਼͢Δͱɺ ิਖ਼͠ͳ͍৔߹ʹൺ΂܏͖͕͔Βʹ্ঢ͠ɺ ิਖ਼ޮՌ͕ೝΊΒ ΕΔɻ ).ൺ͕ΑΓ΋ߴ஋ͷ৔߹͸ˋఔ౓ͷဃ཭͕ೝΊΒΕΔɻ " #     .&ίϦϝʔλͰଌఆͨ͠ ).ൺ ̡ ̚ ί Ϧ ϝ ồ λ Ͱ ଌ ఆ ͠ ͨ )  . ൺ yʴx S Qʻ O         " ิਖ਼લ # ิਖ਼ޙ ࢪઃ" ʢ˔ʣ ɿ 1SJTN ʗ -&)3 ʢ1JDLFSʣ &$".4JHOBUVSF ʗ -.&(1 ʢ4JFNFOTʣ ࢪઃ# ʢ˙ʣ ɿ ($"" ʗ -&)3 ʢ5PTIJCBʣ -.&(1 ʢ4JFNFOTʣ ࢪઃ$ ʢ˛ʣ ɿ &$".4ZTUFNT ʗ -&)3 -.&(1 ʢ5PTIJCBʣ ΧϝϥʗίϦϝʔλ৚݅ ϑΝ ϯτϜิਖ਼๏ͷଥ౰ੑ  ࢪઃͰ ճͷ.*#( ݕࠪΛࢪߦ͠ɺ -&ίϦϝʔλͱ.&ίϦϝʔλͰಉҰඃݧऀΛࡱ૾ͯ͠ɺ ). ൺΛൺֱݕ౼ͨ͠ɻ ⑤
  24. 同名のコリメータにおいてもメーカ毎に特性の異なる コリメータに対して変換係数を⽤いて補正し,H/M⽐を 統⼀化した ü⾮常に簡便な構造のファントムを開発して使⽤した ü単⼀濃度の放射性溶液を使⽤できる (濃度調整が不要なため再現性が良い) üデータの解析を1施設でまとめて⾏った MIBGファントムによる診断指標の 標準化 ⑤

    H/M⽐による診断のカットオフ値を 対象疾患毎に統⼀化することができた
  25. デジタルファントム 物理フ ァ ン ト ム ▶ ▶ デジタルファントム •

    SIMIND • PHITS • GEANT/GATE • XCAT ▶ ▶ 作成ツール ⾦沢医科⼤学 奥⽥光⼀先⽣ご提供 ⑥
  26. デジタルファントムができること 呼吸性体動 5秒/サイクル (⼼拍動 1秒/サイクル) • SPECT/PET イメージング • 呼吸性体動の再現

    (呼吸同期CTデータの使⽤) • ⼼臓︓⼼筋⾎流分布,⼼機能(駆出率/容積) • 腫瘍 • ⾻ ⑥
  27. デジタルファントム作成⽅法の例 設定ファイル プログラムの起動 ボクセル値の取得 ▼ ヘッダなしの⽣データ ImageJ,Amide等で インポートが必要 ▼ 数値,記号の⼊⼒

    コマンドラインの⼊⼒ ・臓器サイズ・移動量 ・体内のRI分布 ・線減弱係数 C:¥WINDOWS ¥System32 ¥mspaint ⾦沢医科⼤学 奥⽥光⼀先⽣ご提供 ⑥
  28. 出⼒データ ⼼拍動 SPECT投影データ ⾦沢医科⼤学 奥⽥光⼀先⽣ご提供 ⑥

  29. デジタルファントムの特徴 • ⼀般的なPCがあれば実験可能 ガンマカメラ・RIが不要 • RIの減衰がない • 実験者の被ばくがない • RIの分布を極めて正確に再現可能

    • CTや画像データから⾃由にファントムを作成可能 • 結果が既知のデータ
  30. まとめ -ファントム実験のポイント- • 既存のファントムを⽤いる場合は先⾏研究の評価⽅法に準ずる ü 適切な実験計画(書) ü 放射能濃度・評価指標・ROIの設定 ü コールドラン

    ü 汚染防⽌対策 • 新しい評価⽅法やファントムの開発も必要 ü 評価⽅法も併せて ü 再現性よく⾏うためには簡略化 • デジタルファントムを⽤いる際は⼗分なデータの検証が必要
  31. • 使⽤するたびに放射能濃度の調整が必要 üここでの精度が結果を左右する ü放射性溶液の均質性 →撹拌・壁への付着 ü線源の減衰 • ファントムの種類が不⼗分 • 評価⽅法が確⽴されていない

    üファントム調整の⽅法 ü視覚的・物理的評価⽅法 • 新しい装置・機能への対応 ü⾦属パーツの使⽤ üファントムの⼤きさ ü⾼分解能化 まとめ -ファントム利⽤の問題点-
  32. 新しい技術の構築 検証・最適化 標準化 よりよい医療 患者へのフィードバック さいごに