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LT資料_非技術系の推薦図書読書会

B583d0943fe698dd7fc75d30d02f099f?s=47 Masa
October 01, 2019

 LT資料_非技術系の推薦図書読書会

数学やコーディングのお勉強に疲れた時に、息抜きとして何か読みたい。
そんなニーズに応えるための推薦図書読書会の発表資料
備忘としてupload
※ 元は、公務員時代の自主勉強会の時の資料

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Masa

October 01, 2019
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  1. 非技術書・非理論書 ~データ分析屋さんの息抜き読書~ 2019/9/31 LT資料 Masa Twitter @asas_mimi 1

  2. 公務員時代の自主勉強会資料を、 少し修正しました。 所属組織とはまったく関係ない、 “自主”勉強会のLT資料です 2 注意

  3. 非技術書・非理論書 息抜きのための推薦図書読書会 3 本日のテーマ

  4. Background: 4 そもそも、学部時代は 哲学/理論社会学あたりを勉強してました (N. LuhmannとかJ.DerridaとかOG論争とか) Yes! 文系 とにかくいっぱい買う。 積読消化不良、、、

  5. 私からのお薦め図書 5 1. 新技術と社会の夢 2. 言語論的転回とその帰結的論争 3. 科学及び認識に関する知的潔癖症とその帰結 4. 客観性論文と規範理論

    5. AIは哲学できない/或いは、既に常に哲学的 テーマ
  6. 私からのお薦め図書 6 1. 新技術と社会の夢 2. 言語論的転回とその帰結的論争 3. 科学及び認識に関する知的潔癖症とその帰結 4. 客観性論文と規範理論

    5. AIは哲学できない/或いは、既に常に哲学的 テーマ ① ヴァルター・ベンヤミン 『複製技術時代の芸術』 ② キャロリン・マーヴィン 『古いメディアが新しかった時』 ③ 佐藤俊樹 『ノイマンの夢・近代の欲望』 ④ 蓮實 重彦 『凡庸な芸術家の肖像』
  7. 7 強風は天使を、かれが背中を向けている未来のほうへ、不可抗的に運ん でゆく。その一方ではかれの眼前の廃墟の山が、天に届くばかりに高く なる。ぼくらが進歩と呼ぶものは、<この>強風なのだ。 ヴァルター・ベンヤミン「歴史の概念について」

  8. 新しい技術と社会の夢、その凡庸さ 8 新しいテクノロジー/メディアの黎明期において、社会(人々)はそれをどのように受 け入れ、またどのような”夢“を見てきたのか。 今でこそ素朴な技術還元主義的な“夢”は相対化されやすくなってきたものの、 “人工知能”、“データサイエンス”等のバズワードに関連して不思議な言説はまだまだ 散見される今日この頃。 昨今のこの不思議な言説から距離をとるためにも、歴史を眺めてみるのも良いかもし れません。

  9. 9 複製技術の普及以前と 以後において、芸術に関 するある種の忘却を分析。 新技術によるアウラ(一 回性)なるものの喪失 (という再発見)を論じ た古典。 電灯、電信、電話、ラジ オなどの今では当たり前

    の“新しい”メディア。 これらが普及した当時の 社会における変化とその 夢を丁寧に記述した80 年代を代表するメディア 論の古典。 素朴な技術還元主義か ら距離をとること。 昨今のAIブームの一つ 前、“情報化社会ブー ム”を対象に、社会意識 を記述した社会学のエッ セイ。 “凡庸さ”を少し別の観 点(文学)から俯瞰する ための名著。 マクシム・デュ・カンの“凡 庸な”生涯を読むことを 通して、我々の中の “デュ・カン”を再発見する。
  10. 私からのお薦め図書 10 1. 新技術と社会の夢 2. 言語論的転回とその帰結的論争 3. 科学及び認識に関する知的潔癖症とその帰結 4. 客観性論文と規範理論

    5. AIは哲学できない/或いは、既に常に哲学的 テーマ ① 野矢 茂樹 『 『論理哲学論考』を読む』 ② 廣松 渉 『世界の共同主観的存在構造』 ③ 佐藤・友枝 『言説分析の可能性』 ④ 東浩 紀 『存在論的、郵便的』
  11. 11 象徴は思考を引き起こす ポール・リクール「悪の象徴系」

  12. 言語論的転回とその帰結 12 人文科学(一部、社会科学)の一つのブームメントとして、”言語論的転回“という ものがありました。 社会(世界)を記述する学問として、認識論に関心が向くのはごく自然のこと。 データ分析屋さんからしたら“めんどくさい議論してるなー”という印象を受けるかと思い ますが、一度、そのめんどくさい隘路に落ちてみるのも良いかなと思い紹介します。

  13. 13 ヴィトゲンシュタイン論考 のコメンタール。 実は前期のこの作品を、 この文脈で紹介するのは 適切ではないかもしれな い。ただ、原著のクオリ ティを越えている作品な ので、是非読んでほしい。 この文脈で廣松本を紹

    介するのは本流ではない かもしれませんが、(廣 松語という読みにくさを除 けば)よくまとまった良質 な古典とも思えます。 マルクスの純粋理論書と して。 社会科学への応用として よくまとまった教科書。 「言説分析の可能性」と いう題名ですが、よく読む と「不可能性」(限界) を実は説明している良心 的な教科書。 東浩紀の博士論文。 この種の思想の否定神 学的側面を批判的に記 述。 否定神学的隘路からどう にか抜けようとする哲学 的挑戦をまとめた良書
  14. 私からのお薦め図書 14 1. 新技術と社会の夢 2. 言語論的転回とその帰結的論争 3. 科学及び認識に関する知的潔癖症とその帰結 4. 客観性論文と規範理論

    5. AIは哲学できない/或いは、既に常に哲学的 テーマ ① ジャック ブーヴレス 『アナロジーの罠』 ② ジェームズ・ロバート・ブラウン 『科学はなぜすれ違うか』 ③ 戸田山 和久 『科学哲学の冒険』 ④ ニクラス・ルーマン 『社会の科学』
  15. 15 数学や自然科学において、人間の理性は、制限は認めるが、限界は認めない。 つまり、理性がけっして到達できないものが理性の外にあることは認めるが、 理性そのものが内的な進展過程においてどこかで完成されることは認めない。 イマヌエル・カント「純粋理性批判」

  16. ソーカル事件を嗤うことは可能か 16 ポスモダ思想における自然科学の不適切なアナロジーの乱用を暴露したソーカル事件(= 「知の欺瞞」事件、ソーシャルテキスト事件) この事件後のとても大切な科学論争が盛り上がりました。このセンセーショナルな事件と、そ の後の論争は、科学哲学への入門に最適かと思い紹介します。 ※ 一部の科学哲学者の「科学における客観性への(潔癖症的)疑念」は、説得的な議論というよりは、非生産的な滑り坂 論法に陥っているように私は考えています。 ポスモダ思想を嗤う前に、

    “人工知能”、“データサイエンス”なる不思議な単語が溢れる昨今。もう一度、「科学 なんだっけ?」と考える時間があってもいいかもしれません。
  17. 17 告発本『知の欺瞞』の後 に、フランス哲学者側から でたフランス哲学への (自己)批判。 左記の図書と同様に、 ソーカル事件の総括。 社会構成主義等の論点 を抑えつつ、科学哲学の 良い入門書になっている。

    科学哲学の入門書 この分野の優れた入門書 は多々ありますが、この 図書は中でも非常に読み やすく、薄いので最初の 1冊に最適。 科学的実在論を擁護し ています。 ラディカル構築主義とし ながらも、よく読むと素朴 な相対主義から距離を とってるルーマン。彼はど のように「科学」を整理し ているのか。 現代版カント的純粋理 性批判かと。
  18. 私からのお薦め図書 18 1. 新技術と社会の夢 2. 言語論的転回とその帰結的論争 3. 科学及び認識に関する知的潔癖症とその帰結 4. 客観性論文と規範理論

    5. AIは哲学できない/或いは、既に常に哲学的 テーマ ① マックス・ヴェーバー 『社会科学と社会政策にかかわる 認識の「客観性」』 ② D.C.ロウ 『犯罪の生物学』 ③ 冨田 恭彦 『哲学の最前線』 ④ 山口 厚, 佐伯 仁志, 井田 良 『理論刑法学の最前線』
  19. 19 計算不可能な正義は計算するように命ずる。……計算せねばならない、すなわち、計 算可能なものと計算不可能なものとの関係をめぐって交渉せねばならない。それも規 則に依らずに、すなわち、私たちが「投げ出されて」いるところで、私たちがいるそ のようなところで再-発明せずに済むような、そうした規則に依らずに、交渉しなけ ればならないのである。 ジャック・デリダ「法の力」

  20. 客観性と規範理論 (1/3) 20 非常にベタですが、価値自由 Wertfreiheit を紹介しようかと。 多くの教科書では、「<価値判断 (Sollen ~すべき)>と<事実判断(Sein~であ る)>の峻別」と記載しています。

    実際にヴェーバーの客観性論文を読んでみると、(人文系の教養的には?当たり前 ですが)「価値判断」と「事実判断」の分離困難性についての論考も丁寧に言及さ れており認識論的な面白さも発見できるかもしれません(新カント派的解釈)。
  21. 客観性と規範理論 (2/3) 21 しかし本日は、ナイーブな(教科書的な)解釈に回帰して、それを継承することの意義 を考えていきたいと思います。 21世紀の社会科学では、エコノメや統計的因果推論、NLP等の世界の記述・説 明する理論/ツールが発達・応用すことが可能になってきました(これは純粋に”進 歩”と私は考えています。)。個人的には、”事実判断”は(伝統的な”解釈=理解 科学”から)この近代的なツール群に代替可能、むしろどんどん応用していくべき、と 考えています。そうであるなら、人文科学的教養の社会的意義は何が残るのか。

    私は、やはり、価値判断に関する議論の蓄積=規範理論の継承にあると考えます。
  22. 客観性と規範理論 (3/3) 22 社会における“善”(或いは“悪”)とはな何か、或いはそれを基礎付けることは可能 か。この問いへの議論の蓄積と帰結(の歴史)を継承することこそ、人文科学の社 会的意義であり、どんなにデータ分析関連の技術が発達しても代替されることのない 価値だと、私は考えます。 少なくとも、(自然科学的な)事実判断から価値判断をダイレクトに導出すること は、(任意の価値判断を密輸入しなければ)ほとんど不可能なのです(所謂、自 然主義的誤謬※)。

    ※ 例えば、架空の遺伝研究において、特定の遺伝子が犯罪を誘発する傾向が判明したとして(事実命題)、その帰結とし て「特定の遺伝子を持つ人間を拘束すべし」となる必然性はないはずです、少なくとも近代国家では。
  23. 23 ヴェーバーは、私にとって は、社会学の発展を遅ら せた象徴のような存在で した(「昔の偉い人はこう いってた系学問」のせいで すね)。 ただ、この価値論文だけ は読まれるべき古典かと。 犯罪の”生物学“は良識

    ある大人であれば、違和 感を抱くはず。犯罪者は 社会的に構成されたもの のはず、、、。ただし、それ は検証すべき事実のはず。 価値自由の練習台として。 小説風新書で非常に読 みやすいローティ入門書。 基礎付け主義の隘路を 丁寧に分かりやすく解説 しているにもかかわらず、 中古本でしか手に入らな い、、、。 法学は暗記科目と勝手 に考えていませんか? 社会において悪を定義す る非常に高度な哲学的 な実践の場であったこと に気づいたのは、公務員 になってからでした。
  24. 私からのお薦め図書 24 1. 新技術と社会の夢 2. 言語論的転回とその帰結的論争 3. 科学及び認識に関する知的潔癖症とその帰結 4. 客観性論文と規範理論

    5. AIは哲学できない/或いは、既に常に哲学的 テーマ ① テオドール・アドルノ 『否定弁証法』 ② G.C.スピヴァク 『デリダ論』 ③ チャード ローティ 『哲学と自然の鏡』 ④ イマヌエル・カント 『純粋理性批判』
  25. 25 私たちは、自然の諸法則に反する何ものかを感じ、思考の諸原則に反す る何ものかを思考する。 ジル・ドュルーズ「差異と反復」

  26. AIは哲学できない、或いは・・・ 26 常識(自明性)のなかに内在して、かつそれを疑おうとする営みが哲学であるなら、 人間の認識枠組み・常識的振る舞いを取得することが目的であるAIはそのベクトル とは真逆であることがわかります。 “子どもには哲学できない“と同様”AIも(もちろん)哲学できない”と言って良いと思 います。 ※ まあ、そもそも(本来の意味での)AIなんて、まだまだ先の話ですが。

  27. 27 CNN(画像認識)の勉 強した時、「やろうとしてる ことアドルノと真逆だな」と 一人で感心してました。 現象学的試みのモチベー ションが、そもそもCNNの それと真逆なので、当然 ですが。 スピヴァクによるデリダの

    入門書。簡潔にかつデリ ダの要点がまとまっていま す。一時期流行した現代 思想のボス的な思想に触 れてみるのもよいかと思い ます。 ローティの主著。 「認識論的行動主義とは …むしろ、哲学は知識や 真理に関して常識が教え る以上のことを何も教え てくれない、という主張な のだ。」 認識論的隘路にハマった ら、一度カントに戻ってみ るのも良いかもしれません。
  28. 28 日本の人文教育は、センター試験の「倫理」(や公務員試験の教養試験)のように、 「昔の偉い人はこう言ってた」的な、或いは「うまいこと言ったもん勝ち」的な名言集の暗記科目 として取り扱われてきたように思います。 高校で人文科学を卒業した方にとって、おそらくこの印象しかないかと。 もちろん、高校教育の延長線上に、本来の人文科学はありません。 (これは社会科学も同様で、「政経」の延長線上に、経済学や政治学、法学はありません) 息抜き程度でも、古典を読んでみてください。 “文系学問”に興味をもって頂ければ幸いです。