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GBSP Tutorial (Japanese)

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November 11, 2017

GBSP Tutorial (Japanese)

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November 11, 2017
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  1. GBSPチュートリアル 2017年11⽉11⽇ver ⿃取⼤学⼯学研究科 三浦政司

  2. GBSP︓ Game-Based Situation Prototyping ゲームデザインの⼿法を応⽤することで,様々な 社会現象や社会状況を素早く可視化して共有する⼿法 元来は⾮専⾨家と協働でエージェント・ベース・ モデリングを⾏うための⼿法として開発されました トークン,カード,ホワイトボードシートなどの ペーパープロトタイピング材料を⽤いて,着⽬する

    状況を机上にゲームのプロトタイプとして展開します
  3. プロトタイピングツール ポーン(⼈型)トークン キューブトークン 円形トークン ダイス 板型トークン

  4. プロトタイピングツール ホワイトボードシート マネーチップ ブランクカード ひも

  5. ① ② ③④ ①② 簡易材料をつかって状況を可視化 ③④ ゲームルールを構築してテストプレイ GBSPの流れ(ざっくり版) ※実際のGBSPは試⾏錯誤的,反復的な流 れを持ちます.①→④の順に進んで終わり

    というわけではなく,戻ったり進んだりす ることを繰り返します
  6. GBSPの流れ(概要版) ① 着⽬する現象の舞台となる環境と,登場するエージェントを 紙,スチレンボード,ポーントークン,チップトークンなど をつかって机上に配置 ② エージェントや環境が持つパラメータを,チップトークンや ブロックトークンなどを使って配置し,相互作⽤やパラメー タ変化移動についてカード等を⽤いて記述 ③

    ボードゲームを想定して,⾏動や処理の順序,意思決定が必 要な箇所とタイミングなどを確認し,ルール化・⼿順化 ④ 組み⽴てたルールと⼿順に従って簡易的なゲームプレイを⾏ い,細部を確認・修正 ① ② ③④
  7. GBSPの⽬的 様々な現象や状況について議論するとき, 議論に参加するメンバー各⾃の理解や, 持っている情報は部分的に(場合によって はほとんどが)⼀致していないことが⼀般 的です.そこで,GBSPを使って可視化し ながら議論することで,各⾃の理解や情報 をスムーズに共有し,理解の⼀致や合意を 得ることができるようになります. 「ゲーム」はプレイヤ同⼠またはプレイヤ-

    ゲーム間の相互作⽤や各種パラメータの変 化から成り⽴っています.それは,社会現 象や多くの問題状況と構造がよく似ていて, 可視化するフレームとして良く機能します.
  8. ⽬的が「理解の⼀致」なので ⾯⽩いゲームや優れたゲームをつくること を⽬指す必要はありません. いきなりスムーズに理解の⼀致や合意に辿 りつくことはありません.GBSPの過程で 構築するゲームプロトタイプは,議論や意 ⾒に応じてどんどん変化していくはずです. ペーパープロトタイプはつくりなおしが素 早くできます.議論や意⾒に応じて試⾏錯 誤的にメンバーの頭の中にあるモデルや情

    報をプロトタイプに反映していきます.
  9. なぜテストプレイまで︖ テストプレイのプロセスを経ることで,そこ までの議論と共有の結果を確認することがで きます. プロトタイプに反映しきれていないこと(漏 れていること)を発⾒しやすくなります. テストプレイをして終わりではなく,テスト プレイの結果から得られた意⾒の違いや漏れ を修正して,さらによいプロトタイプをつ くって下さい.

    ゲームとして⾯⽩い必要は全くありません. ⼿続きとしてルールを決めて試しにやってみ ることで,確認や漏れ発⾒につながります.
  10. GBSPの流れ

  11. 注意点 GBSPは試⾏錯誤的なプロセスなので,必ず しも次ページ以降に⽰す流れに沿って進めて いくわけではありません.必要に応じて戻っ たり進んだりしながら理解の⼀致を⽬指して 下さい. 次ページ以降に⽰す表現⽅法だけに限る必要 はありません.プロトタイピングツールを⽤ いて多様な⼯夫をすることで,様々な現象・ 状況をゲームとして可視化することができる

    はずです. あくまでも「基本の流れ」と「基本的なテク ニック」を⽰します.
  12. GBSPの基本的な流れ① 「場」を設定する ⼤きなホワイトボードシートの上を,現象や状況 が起きる場の全体とします ⼩さなホワイトボードシートをつかったり,⼤き なホワイトボードシートの上に領域を描いたりす ることで,場を可視化しましょう

  13. GBSPの基本的な流れ② エージェント(アクター)を配置する 現象に登場する⼈,組織,環境などをポーントー クン,円形トークン,板型トークン,カードなど をつかって表現し,場の中に配置します. 最初のうちは数は適当で構いません.議論が進ん で数の⼤⼩がわかってきたら,適宜トークンを追 加して下さい.

  14. GBSPの基本的な流れ③ パラメータの設定 キューブトークンや円形トークン,マネーチップ などを⽤いて様々な「量」を可視化しましょう. 「⼈や組織が持っているお⾦や資材,得た利益」 や「環境中の森林の密度」「⽔の汚れ具合」など のように⼀般的に変化が分からないパラメータだ けでなく「嫌な気持ち」などの内部パラメータな ども必要に応じて設定しましょう.

  15. GBSPの基本的な流れ④ ルールを設定する 「この操作をするとこのパラメータが2増えて, 対象のコマは除外される」や「コマを動かすと隣 接するコマのこのパラメータが1減る」などのよ うに,エージェントの⾏動やパラメータの変化を ルールとして決めます. 議論が進んできたら,テストプレイに向けて, 「プレイヤの選択肢」や「操作の順番」なども ルールの中に組み込みます.

  16. GBSPの基本的な流れ⑤ テストプレイ ある程度ルールが決まってきたら,テストプレイを してみましょう. 全てのルールが決まってはいなくても,部分的なテ ストプレイもするべきです. これまで議論したことを「確認する」「おさらいす る」を意識して,ルール通りに操作や選択をしてみ て下さい. 最初は「プレイやの⽬的(例えば,スコアをたくさ

    んとるなど)」が明確でなくてもかまいません.そ の場合はゲームというより「⼿続き」となります. ⾯⽩いゲームをつくることが⽬的ではないので,も のすごくつまらないゲームになっても構いません.
  17. GBSPの基本的な流れ⑥ プロトタイプの修正 テストプレイの結果,「思っていたのと違った(理解 の不⼀致)」とか「ここではこれも影響を及ぼすので はないか(要素・因⼦の漏れ)」とか「こうなった場 合はどうするか考えていなかった(場合分けの漏 れ)」などの修正すべき意⾒が出てきます. テストプレイと修正反映を反復的に⾏いながら,意 ⾒の⼀致や合意を⽬指します.

  18. GBSPテクニック集

  19. GBSPテクニック トークンの意味をメモする 使⽤するトークンが多くなってくると,どのトー クンが何を表すのかを把握しずらくなってきます. そこで,ゲーム全体の「場(⼤きいホワイトボー ド)」の外側にカードでトークンに割り振られた 意味をメモしておくとよいでしょう.

  20. GBSPテクニック 「場」は物理空間に限らない 場は空間・地理的な表現に限りません.例えば以下の ような,抽象的な空間も定義することができます. • 嗜好が似ている⼈は近くに配置されるような嗜好空間 • お互いに気の合う⼈が近くに配置されるような友情空間 • 右端に辿りつくと問題が解決したことになる,問題解決空間

    • 問題解決空間で,右に⾏くのを邪魔してくる「雑⽤エージェ ント」 「近いほど仲が良い」を表す空間 右端に辿り着けば「問題解決」
  21. GBSPテクニック ⾊の違いで属性を表現する ⼦どもは⻘ポーン,⼤⼈は⾚ポーンなどのように ⾊別で属性を表現する

  22. GBSPテクニック ヒモでつながりを表す 離れた場所にある要素同⼠が相互作⽤を持つとき に,ヒモなどでつながりを表現するとわかりやす いです.

  23. GBSPテクニック ダイスをつかう ランダムさの表現はダイスをつかいます. ダイスの個数を変えることで,影響の⼤きさ,パ ラメータ移動の⼤きさを表現することができます.

  24. GBSPテクニック パラメータの量が,他のパラメータ の変化に影響する 例えばあるパラメータAが1ターンに⼀度変更を受 けるというルールのとき,その変更の度合いをパラ メータBが決めるというような場⾯がよくあります. 例えばBが1〜10のときはAの変化を決めるサイコロ を1コ,Bが11〜20のときはAの変化を決めるサイ コロを2コにするというようなルールとすれば, 「Bが増えればAの定期変化が⼤きくなる」を表現す

    ることができます.
  25. GBSPテクニック 制限的ルール 「このエリアにはポーンが4つまでしか⼊らな い」などのような制限をルールとして課すことで, 様々な状況をゲームとして表現することができま す

  26. GBSPテクニック 時間変化で蓄積する ターンごとに変化するパラメータを設定すること で「⽊の成⻑」や「疲労の回復」など,様々な状 況を表現することができます. 1ターン後

  27. GBSPテクニック プロトタイプのブランチング 議論の⽅向性が⼤きく変わるときなどは,それま でに可視化したプロトタイプをとっておき,あら たなプロトタイプをつくりましょう.ペーパープ ロトは素早く複製することができます. または,写真を撮っておくのもよいです.

  28. GBSPをやってみよう① 林業と環境

  29. 林業と環境(チュートリアル) 状況設定(⼀部)  林業従事者は植林して⽊を育て,伐採して⽊材を売ること で利益を得る.  植林の量は多すぎても少なすぎてもよくない.⼟砂滑りな どの災害が起きやすくなる.  下流域の住⺠に対する影響(災害,景観,⽔質など)に配

    慮しながら林業を⾏わなければならない.  下流域の住⺠は環境税を払っており,そこからの⽀出が補 助⾦として林業従事者に⼊る.  ⽊材を売るときの市場価格は変動する.  ⽊を植えるのにも管理するのにも伐採するのにもコストが かかる.林業は儲からないかもしれない.  伐採した⽊は乾燥してから売らなければならないし,あま りにも⻑期間保存しておくこともできない ※あくまでも今回のチュートリアルのための設定であり, 事実と異なる部分が多々あります.
  30. 林業と環境(チュートリアル) 注意点 通常,前ページに書き出したような形で 状況が整理されているわけではありません. 参加者が経験や考えを出し合い,前ページ に整理したような全体像を明らかにしてい く過程のツールとしてGBSPが使えると考 えています. まず整理された状況を共有するというのは, GBSPの本来の使い⽅とは逆の順序となっ

    てしまいますが,ここでは練習のためにそ のようになっていると思って下さい.
  31. 林業と環境(チュートリアル) 「場」を設定  林業が⾏われる⼭(上流域)を緑⾊のシート,下流域の街を ⻩⾊いシートで表します 林業が⾏われる場 下流域の街

  32. 林業と環境(チュートリアル) アクターを配置する  ポーントークンをつかって,林業従事者と下流域住⺠を配置 します  数は適当でかまいません.必ずしもポーン1つが個⼈を表す のではなく,ポーン1つ=1万⼈のように考えてもよいです 林業従事者 下流域住⺠

  33. 林業と環境(チュートリアル) パラメータ(ストレスや資⾦)を配置  パッと思いつくパラメータ(林業従事者の資⾦など)を各種 トークンをつかって表現しておきます.  下流域住⺠への影響は今回は「ストレス」というパラメータ に集約して,とりあえず「ストレスが多くなるとゲームオー バー」と考えておきます.

  34. 林業と環境(チュートリアル) ⽊について考える  緑のキューブトークンが⽊を表すとしましょう.  ⽊は植えてから伐採に適した⼤きさになるまで時間がかかる ので,1ターンに1つづつキューブを重ねていくことで成⻑ を表し,3つのキューブが貯まったら伐採することができる としましょう.

  35. 林業と環境(チュートリアル) 伐採することを表現  林業従事者は成⻑した⽊を伐採して⽊材にすることができま す.  ここでは成⻑した⽊を伐採すると,⼤きい⻩⾊キューブトー クン(⽊材を表す)に変換されることで伐採を表現しておく ことにしましょう.

  36. 林業と環境(チュートリアル) ⽊材保管庫  伐採した⽊材は乾燥のためにすぐ売れることはできないこと と,あまりに⻑くは保管できないことを表すために,⽊材保 管庫を考えましょう.  ここでは,伐採された⽊材を保管庫の右端に置き,ターンを 経るごとに左のマスへ移動していくことで時間経過を表すこ とにします

    売れなくなる 売れる期間
  37. 林業と環境(チュートリアル) 価格変動  ⽊材の市場価格の変動はダイスで表すことにしましょう.  各ターンに価格ダイスを振って,出た⽬の価格で保管してい る⽊材を売るかどうかをプレイヤーが決めることにします

  38. 林業と環境(チュートリアル) ⽊が多過ぎても少な過ぎてもダメ を表現する  写真の上の段から3つづつ⽊を植えることができるとして, 真ん中の段まである状態(4〜6のとき)をちょうどいい本数 とします.  3以下や7以上のときは⽊の数が適切ではないとします. 

    ⽊の数が少なすぎるときは1ターンごとにストレス+1 ちょうどよい本数 ⽊が少なすぎる
  39. 林業と環境(チュートリアル) ⽊の数が適切でないと 災害が起こりやすい  ターンの終わりに災害ダイスを振って,たまに災害が起こる  ⽊の数が適切でない場合は,災害が起こりやすいように 設定する  災害が起こると,下流域住⺠ストレスを+3する

    災害が 起こりやすい
  40. 林業と環境(チュートリアル) 管理コスト  ⽊の数が多いと,それを管理するコスト(⼈件費など)が ⼤きくなります.  ここでは,⽊の段数に応じて毎ターンに⽀払うコストが⼤ きくなるとしましょう. 管理コスト︓3 管理コスト︓2

  41. 林業と環境(チュートリアル) 収⼊と⽀出 収⼊ 環境税からの補助⾦により 毎ターン資産+1 ⽊材を売ると資産が増える ⽀出 ⽊を植える︓コスト1 ⽊を伐採する︓コスト1 ⼭を管理する︓⽊の数依存

  42. 林業と環境(チュートリアル) テストプレイしてみましょう

  43. 林業と環境(チュートリアル) 試⾏錯誤的に改善していく ゲームとして可視化→テストプレイ→修正を 共通認識に⾄るまで繰り返しましょう. 例︓テストプレイの結果,「税⾦からの収⼊は住⺠の ⼈⼝によって変わるのでは︖」と気づいて修正

  44. 注意点(念押し) 可視化,共有,理解の⼀致が⽬的で あって,良いゲームをつくることが ⽬的ではありません. ゲームとして可視化すること, 変化や相互作⽤をルールとして表現す ることが⼤事です.細かい数字やゲー ムバランスにはこだわらないで下さい. 議論しながら,可視化しながら試⾏錯 誤することでだんだんと共通理解に近

    づいていきます.いきなり完成品を⽬ 指す必要はありません.