Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

Causal Inference: What If, Chapter9

Causal Inference: What If, Chapter9

Dbc92a65229202d2bf585d008cc2afc4?s=128

鈴木徳太

July 27, 2022
Tweet

More Decks by 鈴木徳太

Other Decks in Science

Transcript

  1. Chapter9, Measurement bias Causal Inference: What If 横浜市⽴⼤学データサイエンス学部 鈴⽊ 徳太

    Miguel A. Hernan and James M. Robins
  2. ⽬次 1 • Measurement error • The structure of measurement

    error • Mismeasured confounders • Intention-to-treat effect: the effect of misclassified treatment • Per-protocol effect
  3. 2 はじめに • 無作為化⽐較試験の結果、空を⾒上げることと他者の⾏動の間には弱い相関 – 無作為化により交絡は期待されない – 全ての被験者のデータが収集されているため選択バイアスも期待されない – 実験で得られた結果(関連)は因果を⽰していると結論付けていいか︖

    • ここで問題となるのがアウトカムの測定に関して誤分類が存在したこと – 空を⾒上げた⼈を⾒上げなかったと誤って分類(逆も同様) – 強い因果関係があっても関係を希薄化させる(nullへ近づける) • データ測定のプロセスにより治療とアウトカムの関連が変化するとき measurement bias(測定バイアス)が存在するという – 観察研究だけでなく、無作為化が⾏われる実験研究でも発⽣する可能性
  4. Measurement error 3

  5. 4 Measurement error • これまでは全ての変数が完全に測定されていると仮定(⾮現実的) • しかし現実には治療に関する情報は様々な理由で不正確となることがある – カルテからの転記ミス –

    カルテへの記載忘れ – 服薬遵守 • A︓コレステロール抑制剤の真の使⽤量 – construct • A∗︓コレステロール抑制剤の測定された使⽤量 – measure, indicator • U" ︓A以外のA∗を決定する全ての要因 – measurement error for A • Y︓肝臓病の発⽣ ※離散変数のmeasurement errorはmisclassification(誤分類)ともいう
  6. 5 Measurement bias / Information bias • 治療だけでなくアウトカムも測定に誤差が含まれる場合がある • Y∗︓測定されるアウトカム

    • U# ︓Y以外のY∗を決定する全ての要因 – measurement error for Y • Figure9.2 では交絡も選択バイアスもない – association is causation – 関連を⽰す指標は因果を⽰していると解釈可能 • 測定に誤差がある場合には、A∗とY∗の関係はAとYの関係が⼀致することは保証されず、 ⼀般にこれらの関係は異なる – measurement bias(測定バイアス)もしくは information bias(情報バイアス)が存在する
  7. 6 Technical Point 9.1 Independence and nondifferentiality • f %

    ︓確率密度関数(PDF; probability density function) • Independence(独⽴性) – 同時確率密度関数(joint PDF)が周辺確率密度関数(marginal PDF)の積となるとき Ex) f U! , U" = f U! f U" • Nondifferentiality(⾮差異性) – 条件付き確率密度関数が周辺確率密度関数となるとき Ex) f U! |A = f U! Ex) f U" |Y = f U"
  8. The structure of measurement error 7

  9. 8 Measurement errorの分類 • Measurement biasはmeasurement errorの存在により⽣じる • その構造は交絡(confounding)や選択バイアス(selection bias)と異なり単⼀ではない

    – 本節では、independenceとnondifferentialityという2つの観点で分類を⾏う Independent and nondifferential Dependent and nondifferential
  10. 9 Measurement errorの分類 Independent and differential Dependent and differential

  11. 10 Measurement errorへの対応 • Measurement errorの構造は下表の4つのパターンに分類することができる • 誤差の構造ごとに対応⽅法は異なる – independent

    and nondifferential measurement errorに関する⽂献は特に多い – ⼀般に、修正⽅法はバリデーションデータとモデリングの仮定に依存(本書の範囲外) – 今回は、“変数の測定”という⾏為がバイアスを⽣じさせる可能性について注⽬ • Measurement errorによるバイアスを軽減する最も良い⽅法は、測定の精度を上げること Nondifferential Differential Independent Figure 9.2 Figure 9.4 & 9.5 Dependent Figure 9.3 Figure 9.4 & 9.5
  12. 11 Fine Point 9.1 The strength and direction of measurement

    bias • Measurement errorが存在する場合、⼀般にはmeasurement biasが⽣じる – その⼤きさと⽅向が関⼼の対象 • バイアスの⽅向 – Independent and nondifferential measurement error(Aが⼆値)→ Nullへ近づく – それ以外 → 予測不可能 – Wacholder, and Lubin (1990) and Weinberg, Umbach, and Greenland (1994) , VanderWeele and Hernán (2009) • バイアスの⼤きさ – Measurement errorの程度に依存(U" → A∗, U! → Y∗) – DAGsによる定量的な表現は不可
  13. Mismeasured confounders 12

  14. 13 Mismeasured confounders • AとYのmeasurement errorついてのみ考えてきたが、共変量の測定に関しても同様に measurement errorは発⽣しうる – AとYが完全に測定されていてもバイアスが⽣じる

    • A︓コレステロール抑制剤の使⽤量 • Y︓肝臓病の発⽣ • L︓肝炎の発症歴(カルテ) • L∗︓質問票の回答 • 以前に肝炎の発症があった⼈は処⽅を受けにくく、肝臓病を発症しやすい – Lを調整する必要 – 様々な理由からLとL∗が⼀致しないケース – L∗で条件付けても、A ← L → Y のバックドアパスはブロックされない(バイアスの発⽣)
  15. 14 Mismeasured confounders • Mismeasured confoundersによるバイアスは、measurement biasというよりもunmeasured confounding(未測定交絡)として考えられる – 治療効果を求める上では、Figure

    9.8はFigure7.6と同じ – Lを未測定の変数、 L∗をsurrogate confounderとして考える – どの⽤語を使⽤するかは、研究⽬的と関係ない
  16. 15 Mismeasured confounders • Mismeasured confoundersは⾒かけ上の効果修飾を⽣じさせる場合もある • 仮定 ① L∗

    = 1の全数、L∗ = 0の半数が、事前検査により以前の発症あり(L = 1)と判定 ② Sharp null hypothesisが成⽴(A→Yが存在しない) • 観測される結果 – L∗ = 1︓関連なし(真には交絡なし) – L∗ = 0︓関連あり(真には交絡あり) • Mismeasured confoundersを認識していない場合、各層でのexchangeabilityが成⽴している と捉えてしまう(association is causation) – 真にはLの効果修飾がなくても、 L∗は効果修飾因⼦であると考えてしまう – ⾒かけ上の効果修飾
  17. Inten3on-to-treat effect: the effect of misclassified treatment 16

  18. 17 割り当てと治療の違い • ⼼臓移植と5年死亡率に関する無作為化⽐較試験 – ここまでの議論では治療の割り当てが完全に遵守されるものとしていた – 現実には「割り当て」と「治療」を区別する必要がある • Z︓治療の割り当て

    • A︓⼼臓移植 – Z=1, A=0(⼼臓移植の拒否)や、Z=0, A=1となるケース(研究外での⼿術)もある – “the assigned treatment Z is a misclassified version of the treatment A “ • 無作為化⽐較試験におけるZと、measurement errorを伴ったA∗には重⼤な違い – アウトカムYへの因果効果 – A∗は因果効果を持たない(Figures 9.1〜9.7) – Zは因果効果を持つ可能性(直接効果, 間接効果)
  19. 18 間接効果 / 直接効果 • 実際の治療Aの因果効果と、割り当てZの因果効果は異なる – 間接効果( Z→A→Y) •

    実際の治療による因果効果 – 直接効果( Z→Y ) • Ex) 被験者の⾏動の変容, 医師の対応の変化 • 想定される間接効果以外の因果効果は、直接効果としてまとめられる • ⼀般には Z→Yを排除する(de-contaminate)するよう努⼒ – Exclusion restriction(除外制約)が成⽴する状況(理由は後述) – ⼆重盲検プラセボ対象無作為化⽐較試験 double-blind placebo-controlled randomized experiment • Zによる効果は「治療の効果」ではなく、「割り当ての効果」or「治療意図の効果」 – Intention-to-treat effect ※試験によっては盲検化やプラセボを対照とできない場合も存在
  20. 19 Technical Point 9.2 The exclusion restriction • 除外制約(exclusion restriction)が満たされる場合、

    ZからYへの直接効果は存在しない – Y$, &︓無作為割り当てZ=z, 治療A=aを受ける場合の潜在アウトカム – 全ての個⼈、全ての治療aに対し、 Y', & = Y(, & が成⽴するとき • 操作変数法(Ch.16)では因果効果を推定するための条件の1つ
  21. Per-protocol effect 20

  22. 21 Per-protocol effect • Per-protocol effect – 無作為化試験において、すべての被験者が指定されたプロトコルに従った場合に観測される因果効果 – ZとAがすべての被験者で⼀致することから、ZもしくはAの平均因果効果と同義

    • アドヒアランスが完全なとき – 治療群(A=0)と対象群(A=1)は交換可能(exchangeable) – Association is causation Ex) association risk ratio is causal risk ratio (causal per-protocol risk ratio ) *+[-./|1./] *+[-./|1.3] = *+[-!"#] *+[-!"$]
  23. 22 アドヒアランスが不完全な場合 • アドヒアランスが不完全なとき – 治療群(A=0)と対象群(A=1)の交換可能性( 𝐀 ⊥ 𝐘𝐚)は保たれない •

    Z︓治療の割り当て • A︓⼼臓移植 • Y︓5年以内の死亡 • U︓重症度 – 重症である被験者は仮に対照群(Z=0)となっても 研究外で⼼臓移植(A=1)を受ける傾向がある – 介⼊群(A=1)の重症患者の割合が増加
  24. 23 アドヒアランスが不完全な場合 • Aの因果効果 – バックドアパス A←U→Y が存在するためUで調整する必要 • 例のように予後因⼦(アウトカムYに対して因果効果を持つ)がAの決定要因となることも

    – 未測定の場合には推定結果にバイアスが含まれる – Association is not causation – 無作為化試験であっても交絡に対処する必要(Fine Point 9.2参照) • Zの因果効果 – ランダム割り当てにより Z ⊥ Y* – バックドアパスは存在しない(no confounding) – Association is causation – Ex) association risk ratio is causal intention-to-treat risk ratio *+[-./|4./] *+[-./|4.3] = *+[-%"#] *+[-%"$]
  25. 24 intention-to-treat effectが頻⽤される理由 • 交絡が存在しない(no confounding) – Aの治療効果(per-protocol effect)を必ずしも意味しない –

    しかし、それらを正しく推定するよりも簡単 – 本来の興味の対象から外れていても、推定が容易である場合にはしばしば代⽤される • Null preservation – 治療効果(A→Y)がないときに、効果がないと判断することが可能 – Sharp null hypothesisとexclusion restrictionが成⽴する場合に以下が成⽴(multiplicative scale) 78[:;<|=;<] 78[:;<|=;?] = 78[:!"#] 78[:!"$] = 1 • Per-protocol effectよりもnullに近い値をとる – 効果がない場合の値とper-protocol effectの間の値をとる(per-protocol effectの下限) – 保守的な推定量であると解釈可能(不完全なアドヒアランスは治療効果を過⼩に評価) – この性質が成⽴しない、妥当ではなくなる3つのケース
  26. 25 保守的な性質が成⽴しない場合 ① 効果の単調性(monotonicity)が成り⽴たない場合 – 全ての個⼈で因果効果の⽅向が⼀致しない場合 Ex) 治療群に割り当てられた被験者(Z=1)の50%が治療を拒否し、遵守した⼈と遵守しなかった⼈で 因果効果が逆 –

    本書中にはないですが、より具体的には以下のような場合かと思います Z=0 Z=1 A=0 A=0 A=1 100% 50% 50% ︓症状改善 ︓症状改善 ︓症状悪化 Per-protocol effect < ITT effect
  27. 26 保守的な性質が成⽴しない、妥当でない場合 ② 有効な治療が両群に割り当てられる場合(head-to-head試験) Ex) 慢性痛を持つ被験者を対象とするhead-to-head試験 • Z︓治療の割り当て(0:イブプロフェン, 1: ⾼価な薬品)※

    • Y︓介⼊開始から1年後の痛みの軽減 – イブプロフェンを処⽅された集団の服薬率は、⾼価な薬品を処⽅された群よりも低い(軽度な副作⽤の為) – Intention-to-treat risk ratio > 1 ※ 両薬品の治療効果は等しい ③ 安全性を評価する場合 – 効果を過⼩評価することは、アウトカムが有害であった場合の議論においては望ましくない – 治療が安全なものであるという結論につながってしまう Ex)有害事象の発現以前に、治療群に割り当てられた被験者(Z=1)が治療を中⽌する場合など
  28. 27 Fine Point 9.2 Per-protocol analyses • 無作為化試験においてper-protocol effectを推定する⼀般的な取り組みは次の2つ 1.

    As-treated analysis – 割り当てZに関係なく、実際に治療を受けた⼈(A=1)と受けなかった⼈(A=0)の⽐較を⾏う – AとYの間に存在するバックドアパスをブロックする必要 2. Per-protocol analysis(on-treatment analysis) – プロトコルを遵守した⼈(A=Z)のみで構成されるper-protocol集団において、治療群に割り当て られた⼈(Z=1)とそうでなかった⼈(Z=0)の⽐較を⾏う – 遵守した集団に限定したintention-to-treat analysis – ⼀般には選択バイアスの可能性
  29. 28 Fine Point 9.3 Pseudo-intention-to-treat analysis • 追跡不能等の打ち切りが起こらない場合にのみ、Intention-to-treat analysisは実施可能 –

    試験から外れた被験者のアウトカム情報を得ることはできない • 試験からの脱落が発⽣しうる場合 – 解析は試験終了まで追跡された被験者(C=0)に限定 – Pseudo-intention-to-treat analysis – Ex) Pr[𝑌 = 1|𝑍 = 1, 𝐶 = 0] Pr[𝑌 = 1|𝑍 = 0, 𝐶 = 0] • 打ち切りは選択バイアスの原因となる可能性(Ch.8参照) – 適切に対応する必要
  30. 29 Fine Point 9.4 Effectiveness versus efficacy • Per-protocol effectを治療の”efficacy”、intention-to-treat

    effectを治療の”effectiveness”と 呼ぶ場合がある – Efficacy • 理想的な無作為化試験における因果効果と関係 – Effectiveness • アドヒアランスが不完全な無作為化試験におけるZの因果効果 • “アドヒアランスが不完全(違反が存在する)“という事実を組み込んだ評価 • Intention-to-treat effectの⽅がその点で現実に則しており、より興味がある値であるため、頻⽤される • 上記の主張(⾚字)の問題点 1. 臨床試験におけるアドヒアランスの程度と、実社会におけるアドヒアランスの程度は異なる 2. 現実的な効果を考えたいのであれば、そもそも⼆重盲検化は⾏うべきではない 3. 治療割り当てを遵守する被験者は、per-protocol effectの⽅が知りたい場合がある