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スポーツメトリクス設計に 対比較法を使いまくる 名城大学情報工学部 小中英嗣 (論文の宣伝に来ました!) @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28

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自己紹介 • 小中英嗣(こなか・えいじ) • 名城大学情報工学部情報工学科 准教授 • 専門:システム制御,スポーツ統計 • システム制御=物理現象の数理モデル化,数理最適化 • これをスポーツの分析に活用 @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28

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自己紹介 • 小中英嗣(こなか・えいじ) • 名城大学情報工学部情報工学科 准教授 • 専門:システム制御,スポーツ統計 • システム制御=物理現象の数理モデル化,数理最適化 • これをスポーツの分析に活用 • …ということにしています • 趣味のスポーツ観戦に仕事の道具を使ってしまいました… • 「スポーツ観戦体験による自己紹介」(note) @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28

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過去のLTs@spoana • Spoana#2(201905):リオ五輪球技5種目の予測 • Spoana#4(201908):ラグビーワールドカップ2019展望 • Spoana#8(202007):サッカー・無観客試合とホームアドバン テージ • 「スポーツの研究してます」「どの競技ですか?」「何でも やってます!」 @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28

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スポーツデータ関連の論文が 出版された(る)ので宣伝に来ました. • 2023年度にスポーツデータの論文が3本出版(予定含む) • 種目:ソフトテニス,野球,バスケットボール • すべて「電気学会論文誌C」 • https://www.jstage.jst.go.jp/browse/ieejeiss/-char/ja/ • 「何でもやってます!」 • キーワード:対比較法 • (「一対比較法」のほうがメジャーな呼び方かも) @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28

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キーワード:対比較法 • 概略:一組の比較結果に対して条件式を立てる方法 @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28 チーム𝑖の実力 − チーム𝑗の実力 = 𝑖対𝑗の試合結果 + (誤差)

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キーワード:対比較法 • 概略:一組の比較結果に対して条件式を立てる方法 @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28 𝑟𝑖 − 𝑟 𝑗 = 𝑠𝑖,𝑗 + ϵ

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キーワード:対比較法 • 概略:一組の比較結果に対して条件式を立てる方法 • 簡潔な線形代数の問題になる • 適用例 • Elo, Massey, Colleyなどのレーティング手法 • 語学などの検定試験(「項目応答理論」) • 感性・官能評価 @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28 𝑟𝑖 − 𝑟 𝑗 = 𝑠𝑖,𝑗 + ϵ

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ソフトテニスの レーティング・ランキングの提案 ソフトテニス • 日本発祥.学生に普及 • ランキング制度が未整備 • 対比:プロテニス • 提案:ランキング制度 • ✓ゲーム数を活用 • ✓対戦相手を考慮した対比較 法 • ✓少ない試合数に対応 @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28

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ソフトテニスの レーティング・ランキングの提案 ソフトテニス • 日本発祥.学生に普及 • ランキング制度が未整備 • 対比:プロテニス • 提案:ランキング制度 • ✓ゲーム数を活用 • ✓対戦相手を考慮した対比較 法 • ✓少ない試合数に対応 結果 • 予測対象:日本リーグ • 予測性能 • (提案手法)>(獲得ゲーム数 など) @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28

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パークファクター(野球)の 新推定方法の提案(1/2) パークファクターとその課題 • 球場の特性評価 • 打者・投手のどちらに有利? • 素朴な定義の欠点 • 試合単位の評価:事象は打席ごとに 起こる • 年度間の変化が大きい:工事してな いのに?? • 四球のパークファクター:だれの責 任? 提案手法 • 打席ごとに対比較法を適用

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パークファクター(野球)の 新推定方法の提案(2/2) • 打席ごとに対比較法を適用 打者𝑖の実力 − 球場𝑗の特性 − (投手𝑘の実力) = 打席の結果 + (誤差) 対 +

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パークファクター(野球)の 新推定方法の提案(2/2) • 打席ごとに対比較法を適用 • 結果(既存手法との比較で) • 年度間の違い→小さくなった✓ • 四球のパークファクター→1に近くなった(球場の影響は小さい)✓ @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28 𝑝𝑖,𝑗,𝑘 = 1 1 + exp − 𝑏𝑖 − 𝑟 𝑗 − 𝑑𝑘 + 𝜖

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バスケットボールの 新インパクトメトリクスの提案(1/3) • インパクトメトリクス:選手の貢献を示す単一量 • 提案新インパクトメトリクス:「その選手がコート上にいる1秒あたりの予 測勝率変化量の平均値」 • ラインナップ(コート上の5人)ごとの対比較法 @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28 対 →(予測勝率の変化量) 1 2 3 4 5 11 12 13 14 15 対 →(予測勝率の変化量) 1 2 3 6 5 11 17 13 14 15 ⋮

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バスケットボールの 新インパクトメトリクスの提案(2/3) • ラインナップ(コート上の5人)ごとの評価値→個人評価(VC, Value of Contribution) @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28 1 2 3 4 5 1 2 3 5 6 2 3 5 6 8 ⋮ ラインナップ 評価 時間 𝑟1 𝑟2 𝑟3 𝑡1 𝑡2 𝑡3 𝑉𝐶1 = 𝑟1 𝑡1 + 𝑟2 𝑡2 𝑡1 + 𝑡2 個人評価は出ている ラインナップ評価の 時間重み付き平均

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バスケットボールの 新インパクトメトリクスの提案(3/3) Play-by-playの活用 • ✓コート上全選手を考慮した評 価 • プレイを攻守に分離 • ✓攻守それぞれの貢献の定量 化 • 「出ていない」時間帯がわか る • ✓On-Offメトリクスへの拡張 提案メトリクスでわかること • ✓守備の貢献の定量化 • Boxscoreに現れにくい • 攻守どちらが得意か • ✓交代でチーム力が向上/低下 するか • (Webで可視化したもの)

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まとめとそれ以外の最近の活動 まとめ • 対比較法はスポーツ分析の強力な ツールである • 競技を問わない手法 • なので,みなさんつかってほしい 最近の活動 • 各種大会予測 • バレーボール,ラグビー,… • X(a.k.a. Twitter) @konakalab • 公開予測コンペを主催します! • IHFハンドボール女子世界選手権 2023予測コンペ • 大学院授業の課題ですが,一般参加 を歓迎します! • (スポーツデータの本も書いていま す…) @Sports Analyst Meetup #14 2023/10/28