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© dip Corporation. 新⽶スクラムマスターが考える 仕事を通じてチームを育む「制約主導」のアプローチ XP祭り 2025 ディップ株式会社  ⽑利 修⼈(Shuto MOHRI)

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© dip Corporation. Agenda 1. ⾃⼰紹介 2. 会社概要 3. チームが機能する条件 4. 制約主導アプローチとスクラム 5. チームの発達段階に応じた制約 6. まとめ

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© dip Corporation. ⾃⼰紹介

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© dip Corporation. ⽑利 修⼈ Mohri Shuto ディップ株式会社 アジャイル推進課 所属 / 第2Ops課 課⻑ バイトルアプリチーム Scrum Master スクラムマスター経験は約1年半(2024年5⽉頃から)。 この期間内でチーム再編成やメンバー⼊れ替えが7回ほど、、 ⾃⼰紹介

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© dip Corporation. 会社概要

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VISION Labor force solution company ⼈材サービスとDXサービスの提供を通して、 労働市場における諸課題を解決し、 誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を⽬指します。 Copyright © dip Corporation, All rights reserved.

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× Human work force solution ユーザーファーストな独⾃機能を搭載した、 求⼈情報‧⼈材紹介サービスの提供を通じて、 ユーザーの就業課題を解決しています。 ⼈材サービス事業 Digital labor force solution バイトコミュニケーションアプリ『バイトル トーク』や、機能を絞ったシンプルなSaaS型の 『コボット』を通じて、職場環境やコミュニ ケーション課題を解決しています。 DX事業

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© dip Corporation. チームが機能する条件

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© dip Corporation. 機能するチームとは? チームの効果性(機能)に影響する重要な因⼦は5つ。 中でも最も影響するのは「⼼理的安全性」である。 Googleの企業向けリサーチ:Project Aristotle 「Google re:Work -「効果的なチームとは何か」を知る」 https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness#introduction

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© dip Corporation. ⼼理的安全性を上げようと「感情」へアプローチを取った 失敗しても ⼤丈夫だよ! どんどんチャレンジ していこう! 雑談推奨! 仕事以外の話もして ⾃⼰開⽰していこうね!

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© dip Corporation. スクラム活動に表出化した課題 デイリースクラムが ただの報告会になる スプリントレビューで フィードバックがない そもそも議論が 活発に⾏われていない イベントの タイムボックスが 守られていない

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© dip Corporation. 機能しない/する状況の⽐較 機能しない状況 機能する状況 何のためにやるのかわかっていない What・Whyが明確 ゴールが共有できていない 目指す方向が定まっている ロードマップや期限がない 見通しが立っている タスクが簡単すぎる ちょうどいい難易度 作るものが曖昧になっている 受け入れ基準が明確 チームが機能しない / すると感じた状況を整理。

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© dip Corporation. 機能しない/する状況の⽐較 機能しない状況 機能する状況(追加された制約) 何のためにやるのかわかっていない What・Whyが明確(目的) ゴールが共有できていない 目指す方向が定まっている (方向性) ロードマップや期限がない 見通しが立っている (時間) タスクが簡単すぎる ちょうどいい難易度(負荷) 作るものが曖昧になっている 受け入れ基準が明確 (タスク) チームが機能しているとき、そこには何らかの「枠」や「制約」が存在する。

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© dip Corporation. ⾃由はいいことだけではない どっち⾏けばいいの? こっちで合ってる?

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© dip Corporation. 集中することでパフォーマンス⾼まる こっちの⽅向で 合ってるね! ⾏くぞー!

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© dip Corporation.. 「制約」こそが、 チームを機能させる鍵となる 🔑 失敗から得た最⼤の学び

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© dip Corporation. ここまでのまとめ(制約の重要性) ● ⼼理的安全性は、チームが機能するために重要な因⼦ ● 感情へのアプローチも⼤事だが、それだけでは不⼗分 ● チームが機能しない状況とは、制約が⽋如している状態 ● 適切な「制約」があることで、パフォーマンス発揮に繋がる

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© dip Corporation. 制約主導アプローチとスクラム

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© dip Corporation. 制約主導アプローチとは 近年のスポーツ科学の分野で注⽬されている学習理論。 制約に適応しながら独⾃の解決策を探求することを促す。 「教える」のではなく「学ばざるを得ない環境をデザインする」。

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© dip Corporation. 例) サッカー:ドリブルで相⼿を抜き去るスキルを向上させたい 従来のアプローチ ● 「ボールタッチは⾜のアウトサイドを使い、膝を柔らかく使って...」 のように、技術的な指⽰を与える ● マーカを並べたコースを、繰り返し正確にドリブルする

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© dip Corporation. 制約主導のアプローチ ● コートサイズを「極端に狭く」して、パスやシュートが難しい状況を与える ● 2⼈以上抜かなければゴールしてはいけないルールを追加する ● 芝や⼟といったグラウンドの素材を変えて、⾜元の安定性を変化させる 例) サッカー:ドリブルで相⼿を抜き去るスキルを向上させたい

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© dip Corporation. もっと詳しく知りたい⽅ エコロジカル‧アプローチ 「教える」と「学ぶ」の価値観が劇的に変わる 新しい運動学習の理論と実践 植⽥⽂也 (著)

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© dip Corporation. スクラムとの親和性 スクラム要素 制約の種類 チームに与える影響 スプリント 期間とスコープ 最も価値あるものに選択と集中する。検査と適応の サイクルを回す。 タイムボックス 時間 最も重要なことに集中する。リズム感を作る。 完了の定義 アウトプット 何をもって完了とするかの共通認識となり、透明性 が生み出される。 スクラムの役割 役割と責任 誰が何に責任を持つかを明確にする。 スクラムの制約は「学習と適応」「⾃⼰組織化」を⽬的としているため、 制約主導アプローチとの親和性が⾼い。

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© dip Corporation. スクラムは抽象度が⾼い スクラムが提供する制約は⾮常に優れているものの抽象度が⾼い。 習熟度の低いチームでは抽象的な制約は機能しない。

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© dip Corporation.. チームの発達段階と環境に応じて、 制約を「操作」すること スクラムマスターの役割

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© dip Corporation. チームの発達段階に応じた制約

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© dip Corporation. チームの発達段階(タックマンモデル) ❶ 形成期 フォーミング ❸ 統⼀期 ノーミング ❹ 機能期 トランスフォーミング ❷ 混乱期 ストーミング _メンバー状態_ 依存‧他責 _メンバー状態_ ⾃律 _メンバー状態_ 共存‧共栄 _メンバー状態_ 統合 グループ 共通の属性(共通点)がある チーム 共通の⽬的‧⽬標がある

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© dip Corporation. 形成期の特徴 ❶ 形成期 フォーミング ● お互いをよく知らない ● リーダーからの指⽰を待とう ● これを⾔ったらまずいかも? ● 誰かがやってくれるだろう ● とりあえず⾃分がよければいいや もっと⾃発的に動いてほしいな

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© dip Corporation. 形成期から混乱期へ ❶ 形成期 フォーミング ❷ 混乱期 ストーミング 知らない⼈とはケンカもできない。 まずはケンカできる距離まで近づくところから👊 コミュニケーションの量

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© dip Corporation. コミュニケーション量を促進する制約 ① お昼休憩の時間を合わせる ● ⼀緒に⾏きやすい‧発⽣しやすい環境を作る ② 1on1をスプリントサイクルに組み込む ● 毎⽇同じ時間に実施されるデイリースクラムと紐づけ ● テーマを決めて、毎⽇5分程度の短い時間で実施 ● デイリーのアイスブレイクとして話した内容を元に他⼰紹介

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© dip Corporation. コミュニケーション量を促進する制約 ③ 同じ部屋で仕事をする ● 仕事以外にも雑談や偶発的な会話のきっかけとなる ● リモートの場合はバーチャルオフィスやもくもくmtgタイムなどを設ける ④ 共有順を変える ● 〇〇順:誕⽣⽇順、⼊社⽇順、困っている⼈順、靴下が派⼿な⼈順など

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© dip Corporation. コミュニケーション量を促進する制約 ⑤ ストレッチなスプリントゴールを設定する ● インクリメントを重視しすぎると、失敗のハードルが上がっていく ● ストレッチな⽬標であることを合意した上でスプリントを開始する ● 普段より⾼いハードルに適応するにはどうするべきか、 普段とは違う観点や議論が⽣まれやすい

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© dip Corporation.. ①トップダウンの指⽰にならないように注意 ② 「チームの発達段階」をメンバーが理解する ③ チーム活動や気づきと紐付ける 「形成期」の制約のポイント

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© dip Corporation. 混乱期の特徴 ● 考えや意⾒の違いから衝突 ● ⾃分ならこうするという意⾒がある ● 影響⼒の⼤きい⼈が現れる ● 序列、役割が表⾯化してくる 意⾒の対⽴や衝突することが増えたな ❷ 混乱期 ストーミング

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© dip Corporation. 混乱期の特徴 ❷ 混乱期 ストーミング ❸ 統⼀期 ノーミング コミュニケーションの質 意⾒の対⽴や衝突を避けるのではなく、 理解を深めるためのコミュニケーションへとシフト🤝

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© dip Corporation. コミュニケーション質を促進する制約 ① モブプログラミング ● 何を⽬的にするか、どこまで進めるかを合意する ● 常に⾔語化と合意形成を強制され、 スキルの個⼈依存を下げる ② スキル項⽬を規定 + 同じスキルを繰り返さない ● スキルによる個⼈依存を下げる ● コミュニケーションメンバーの変化を促す

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© dip Corporation. コミュニケーション質を促進する制約 ③ ⼿動コーディング禁⽌ + ⼝頭レビュー会 ● 制約によってAIコーディングを促進 ● AIによるアウトプットを正しく理解して⼈が⾔語化して伝える ● AIのアウトプットを制御するために設計とプロンプトを磨く

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© dip Corporation.. ① 意⾒の対⽴や衝突を受け⼊れる ② 少しずつ問いかけの⽐重を増やす ③ 特定のメンバーに「依存」する構造を防ぐ 「混乱期」の制約のポイント

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© dip Corporation. 統⼀期‧機能期の特徴 ● ⾃分たちでやることが当たり前 ● ⾃分たちで話し合い意思決定をする ● チームのルールが⾃然と築かれる ● ⾃分たちなりのやり⽅が⽣まれる ❸ 統⼀期 ノーミング ❹ 機能期 トランスフォーミング

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© dip Corporation.. ① 不要な制約の解除を優先する ② スクラムマスターとしての役割を⾒直す 「統⼀期」「機能期」の制約のポイント

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© dip Corporation. まとめ

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© dip Corporation.. チームは仕事を通じて育むもの。 スクラムマスターは制約をデザインし、操作する。

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「挑戦し、変化し、リードする仲間」を募集中! 📎採用情報 📎インタビュー記事 📎テックブログ

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© dip Corporation. ご清聴ありがとうございました