Slide 1

Slide 1 text

InnerSource Commons Japan Meetup #3 InnerSource: インナーソース あたらしい協働モデルの可能性、そして障壁 グロービス経営⼤学院 教授 Motofumi Yoshida

Slide 2

Slide 2 text

InnerSource あたらしい協働モデルの可能性 そして障壁 吉⽥素⽂

Slide 3

Slide 3 text

吉⽥ 素⽂ (Motofumi Yoshida) § グロービス経営⼤学院教授 § ⽴教⼤学⼤学院⽂学研究科教育学専攻修⼠課程修了 § ロンドン・ビジネススクール SEP (Senior Executive Program) 修了 構造化・協働・学習 思考とコミュニケーション、学習⽅法・プロセ ス等に関する深い知識と経験 著書 : ファシリテーションの教科書(東洋経済新報社) 問題解決・改善 ⽇本を代表する製造業における問題解決思考の 組織浸透・⾰新への深い関与。1500件を超える あらゆる分野の戦略・組織の問題解決の⽀援実績 デジタル 第四次産業⾰命時代の戦略・組織の研究。多数の 企業でのデジタルトランスフォーメーション⽀援 共訳書 : ⼀流ビジネススクールで教える デジタル・シフト戦略 (ダイ ヤモンド社) ゼネラル・マネジメント 経営・マネジメント全般に関する知⾒ ⽇本・中国企業等における経営課題・組織課題 への取り組み

Slide 4

Slide 4 text

No content

Slide 5

Slide 5 text

「⼈々が協働する」とは? 分業と調整(活動統制・資源配分) Coordination 意欲 Motivation 創発 Emergence 能⼒ Capability ⽅向づけ Vision / Strategic Direction 価値創造活動 (正味の仕事) 協働 Collaboration 創造性 Creativity 適応性 Adaptability 効率性 Efficiency 正確性 Accuracy 俊敏性 Agility 学習 Learning いかに⽅向づけと調整を 適切・効率的にできるか? いかに個⼈・チームの ⾃律性と⽣産性を ⾼められるか? いかに⼈々の繋がりを 豊かなものにするか?

Slide 6

Slide 6 text

統合組織によるアプローチと⽣じる問題 機能分業・階層的組織による 調整・統合 • 共通費の配賦 • 専⾨化・習熟による効果効率向上 • 機能内のコミュニケーション・調整 の容易化 • 明確な役割・責任による管理容易化 • 帰属意識・信頼形成・意欲向上 • 機能間調整コスト増⼤と意思決定・ 実⾏スピードの低下 • 過度の細分化による⽬的意識喪失・ 意欲の低下 • 狭い経験・知識の幅による成⻑阻害 • 部分最適化と、構造的⼤変化に対す る対応不全 利点 ⽋点

Slide 7

Slide 7 text

「ウチ」の凝集性を⾼める組織運営 ⾼い同質性が可能にする効率的協働 ⾼密度すり合わせによる⾼品質⾼機能 の実現と継続的改善・暗黙知創造 • 曖昧な⽅針の中、ミドル中⼼に「察して」 動く・和を重視・根回し • 暗黙知中⼼・経験重視・ハイコンテキスト • 曖昧な責任範囲(チーム>個⼈) • ⻑期雇⽤・年功的タテ関係秩序 • 同質性⾼い⼈材育成・強い同調性圧⼒ いかに⽅向づけと調整を 適切・効率的にできるか? いかに個⼈・チームの⾃律性と ⽣産性を⾼められるか? いかに⼈々の繋がりを 豊かなものにするか? かつて世界を席巻した⽇本的経営のモデル 組織固有の知識能⼒蓄積を重視する クローズな組織モデル(⾃前主義) 先進国からのアイデア・技術導⼊→機能品質洗練・低コスト →成⻑する内需と先進国中⼼マーケットでの拡⼤

Slide 8

Slide 8 text

起こった環境変化と不適応・劣化 スピード・予測不能性 複雑性 多様性 グローバル化 ⽇本の⼈⼝減 経済停滞・成熟 デジタル化 モジュール化 オープン化 失敗回避傾向と 隠蔽 成⻑よりも 効率向上に注⼒ 社会的責任の 増⼤と管理強化 Silo化と部分最適化が進⾏ 俊敏な軌道修正が必要になり、 階層的意思決定・根回しでは 間に合わない 戦略・組織運営の複雑性が 増し、⼈のすり合わせで処理 しきれない 市場・組織の多様性が増し、 同質性・⻫⼀性を前提とした 仕組みでは対応できない 変化 不適応 劣化 挑戦機会の減少 意欲・主体性・⾃律性・学習の減衰 多様な価値観・働き⽅への対応遅れ

Slide 9

Slide 9 text

No content

Slide 10

Slide 10 text

No content

Slide 11

Slide 11 text

第四次産業⾰命 予測が難しく 幾何級数的な 環境変化 社会・経済の あり⽅の 根本的変化 産業構造 競争のあり⽅ 経済性原理の 根本的変化 「統合組織」優位の時代の終焉 情報技術の急速な進化 情報が価値創造の中⼼へ Every company should be a software company

Slide 12

Slide 12 text

・慎重に計画、失敗を回避し、 正確・確実・安定に実⾏ ・組織上位者による 判断・調整・指令・統制 Data-driven Decision Making Small Autonomous Team Test & Learn Short cycle 仮説の実地での実験・検証を 繰り返し、早く⼩さく失敗し、 ⾼速で学習・軌道修正・進化 し続ける 変化が遅く 予測可能性⾼い環境 変化が早く 不確実性が⾼い環境 第四次産業⾰命時代に求められるのは、 ⾼いAgility(俊敏性)を有する組織モデル Agility

Slide 13

Slide 13 text

領域横断の⾃律的チーム主体の並列的組織 構造は流動的、柔軟・⾼透過性の境界 共通⽬的・基準と情報の透明性による調整 個⼈>組織・集団 コミュニティ・ネットワーク モノ・⼈中⼼の時代 情報中⼼の時代 機能分業・階層構造主体組織 構造は固定的、境界は明確 上下階層を主体の統制と調整 組織・集団>個⼈ 第四次産業⾰命時代に求められるのは、 解放性が⾼く柔軟なコミュニティとしての組織モデル Open flexible Community

Slide 14

Slide 14 text

Open Source Agile コンピュータ領域から⽣まれた2つの協働モデル 何をつくるか、どう進めるかに対する ⾼い⾃律性による⾃⼰効⽤感 ⾼頻度の開発実践による能⼒向上 内発的動機に基づく貢献 所属組織に閉じない多様な機会とコミュニ ティでの学習・成⻑・社会的評価 • 顧客(後⼯程)に価値を提供するうえで 必要なメンバー(機能)を結集 • ⾼速で開発・投⼊・FB・修正サイクルを 廻、顧客が本当に求めるものを⽣み出し、 品質を⾼め続ける • 多様な個⼈が組織の枠を離れて、情報 基盤を活⽤し疎結合状態で協働 • 早期に価値を投⼊し、多くの⽬による チェック・修正で品質・機能を⾼める 顧客が求める価値だけを、早く、無駄なく、 ⽣み出す 社会に存する開発能⼒を無駄にしない (既存コード再利⽤・⾞輪の再発明回避・ 余剰の開発能⼒の最⼤活⽤) ⽣みだす 価値 参加者の メリット

Slide 15

Slide 15 text

The Zero Marginal Cost Society : The Internet of Things, the Collaborative Commons, and the Eclipse of Capitalism Jeremy Rifkin (邦訳)限界費⽤ゼロ社会 〈モノのインターネッ ト〉と共有型経済の台頭 Machine, Platform, Crowd : Harnessing Our Digital Future Andrew McAfee、 Erik Brynjolfsson (邦訳)プラットフォームの経済学 機械は ⼈と企業の未来をどう変える? Scrum The Art of Doing Twice the Work in Half the Time 2014/9/30 Jeff Sutherland, J.J.Sutherland (邦訳)スクラム 仕事が4倍速くなる “世界標準”のチーム 戦術 早川書房 The Cathedral & the Bazaar :Musings on Linux and Open Source by an Accidental Revolutionary Eric S. Raymond (邦訳)伽藍とバザール ―オープンソース・ソフ トLinuxマニフェスト The Wealth of Networks: How Social Production Transforms Markets and Freedom Yochai Benkler

Slide 16

Slide 16 text

新しい組織が機能するための必須要素 魅⼒的なビジョン Vision Diversity 多様性 Autonomy ⾃律性 明確な規範 Guidance System Visualization 視える化 Openness 開放性 Transparency 透明性 Phycological Safety ⼼理的安全性 Loose-coupling / Modular/API 仕事のモジュール化/API化 Autonomation ⾃働化・セルフ化 ファシリテーション型リーダーシップ Pull Communication Open channel

Slide 17

Slide 17 text

No content

Slide 18

Slide 18 text

Lean management ⽇本が⽣み出した、20世紀最⼤のマネジメントの⾰新 現地現物 (事実・データに基づ く管理・改善) ⼈間性尊重 (⾃ら考える⼒の最⼤化) お客様第⼀での価値提供 継続的改善 チームワーク 仕事を通じた⼈材育成 組織的問題解決 無駄の排除 (価値を⽣む活動に努⼒を集中) 視える化・ 標準化 ⽅針管理 (新幹線経営) 組織学習

Slide 19

Slide 19 text

Lean Managementは、⽣産性が⾼い価値創造を実現し、 それを進化させ続ける組織の仕組み 市場・顧客が求める適切な価値を、適切 な品質で、適時、適量、適正価格で提供 無駄 ※ の排除により、⾼い効率・ 低いコストで価値⽣産活動を⾏う Input 投⼊資源 エネルギー削減 Output 価値増⼤ = 変化対応 進化成⻑ 継続的に Output/ Inputを ⾼め 続ける ※⼿待ち/不良・⼿直し/在庫/運搬/動作/加⼯そのもの/造りすぎ Delivery リードタイム短縮 • ⾒込⽣産減→予測精度向上 • 在庫・作りすぎのムダの最⼩化 • 変化・多様性への対応⼒ • 回転率を上げる • モノと情報を停滞させない Cost 原価低減 • 徹底的にムダ・ムラ・ムリを削減 • 投⼊資源の最⼤活⽤ Quality 継続的改善 • 価値を⽣まない、⼈の改善⼒が 要らない仕事を⼈にさせない • 安⼼・安全・無理なく仕事に 集中できる環境をつくる • 品質は⼯程でつくる • 異常を顕在化させ改善 ⾼い⽣産性 実現による 競争⼒

Slide 20

Slide 20 text

「問題解決」「標準化」「継続的改善」で競争⼒を⾼め続ける 「標準無くして改善無し」 あるべき姿 =標準 ある時点でのあるべき姿を 「標準」として具体化 標準化 発射台を⾼める 誰もがムダ・ムラ・ムリ なくできるよう仕組み化・ 標準化 あるべき姿と現状のGAPを 問題をして問題解決を⾏う 初期に設定した あるべき姿が、 今度は現状に あるべき姿 現状 GAP 問題 解決 あるべき姿・標準を⾼め 問題を⽣み出し解決・改善 現状 GAP 問題 解決 継続的改善(問題解決 の無限ループを廻す)

Slide 21

Slide 21 text

⾃ら考え、成⻑する⼈材とそれを⽀える仕組みで 価値創造&改善のサイクルを廻し続ける ⾼い⽣産性(価値増⼤/無駄の排除) ⾃律的⼈材 ⾃ら考え改善する⽂化 余裕があり 物理的にも ⼼理的にも 安全な現場 ⼈材育成・成⻑⽀援 標準化 仕組み づくり 市場・顧客 起点の 価値創造 継続的改善 の 無限ループ 現場 権限委譲と ⾼い仕事の ⾃由度 問題解決能⼒・ 意欲の向上 情報の視える化 共有

Slide 22

Slide 22 text

https://hbr.org/2016/04/the- secret-history-of-agile-innovation https://www.mckinsey.com/~/media/mc kinsey/business%20functions/operations/ our%20insights/next%20frontiers%20for %20lean/next%20frontiers%20for%20lea n.pdf?shouldIndex=false

Slide 23

Slide 23 text

情報技術の進化はLean Managementを更なる⾼みへ ⼤量・多様・即時の情報 (顧客・環境・プロセス)が 利⽤可能(Iot, Connected) 分析・⾒える化の⾼度化・ 容易化 (Dashboard/BI) 広範囲の、⾼いレベルの⾃働化 (AI/ML) 価値における 情報・ソフト ウェアの⽐重 増⼤ 仮説検証型問題解決 Hypothesis-DCAサイクルを ⾼速で実践可能に ⾼度な技術が広範囲に利⽤可能 &共創容易 個別製品・ サービスから 顧客体験価値 全体の最適化 ・個別化競争 へ ⾼速・⾼頻度・安全な価値の 市場導⼊・テストが可能 ソフトウェア開発・実装の 容易化(Low,No-Code, OSS, InnerSource etc.) 顧客・状況をより深く理解した 価値提供が可能に 組織の枠を超えての共創・成⻑ 機会が効率的に実現可能 情報処理能⼒/コストの向上と ⾼いスケーラビリティ

Slide 24

Slide 24 text

デジタル時代の強い職場・あるべき協働の姿 Autonomation ⾼度広範囲の業務⾃働化 &⾃動的学習(AL/ML) Augmentation 情報・情報技術で強くサポート された業務実⾏・価値提供 Test & Learn 仮説構築・試⾏とデータに基づく 検証サイクル Open, Flexible & Engage 社員・顧客・関係者との繋がりを 広め、強め、巻き込む Open source / InnerSource Agile Value Creation & Continuous Improvement 価値創造&継続的改善のサイクルを廻す Data Driven 仮説検証型 問題解決 リアルタイム 視える化 Dashboard ⾼速開発⾼頻度実装 Agile / DevOps 標準モジュール の活⽤ Data 顧客 後⼯程

Slide 25

Slide 25 text

No content

Slide 26

Slide 26 text

InnerSource 組織内にコミュニティを創造・コードをRepositoryに共有 ⾃らが必要とする他部⾨のCodeを修正したい/できる⼈が、 ⾃らPull RequestしてContributionする ⾼効率・⾼品質の開発成果 貴重な⼈的能⼒の有効活⽤ 「⾞輪の再発明」の防⽌ 組織の壁を越えた協働の促進 ⾃らが必要なCodeの修正・改善を、 依頼・待機なく実⾏・実現可能 所属部⾨の枠を超えた経験・学習機会獲得 開発者の満⾜度向上 成功したオープンソース・エコシステムのコンセプトと学びを 企業が社内でソフトウェアを開発する⽅法に適⽤する 組織が抱える様々な問題※ への有効な処⽅箋になる可能性(ソフトウェア開発に留まらず) ※調整コストの増⼤とスピート低下、サイロ化、エンゲージメント低下・意欲低下、イノベー ション⽋如、成⻑機会の不⾜、有望な⼈材の確保等 開発者のメリット 組織的メリット

Slide 27

Slide 27 text

組織横断の知識 共有と全体視点 組織Siloとボト ルネック解消 Modular化された アーキテクチャ Open&Transparency 公開性・透明性 コード再利⽤ (無駄をなくす) 品質の向上 イノベー ション促進 Autonomy ⾃律性 Meritocracy 貢献度主義 共有・協働を必要とする 業務と関係者 Community プロセス標準化と ⼈材の流動性向上 明確でシンプルな組織横断 協働プロセス モダンな品質管理⼿法 (⾼頻度実装・テスト⾃動化等) 適切なコード共有、Version Controlツール・インフラ Openで検索可能な コミュニケーションツール リーダーシップ エグゼクティブのサポート 意欲的な参加者 作法・基準の明⽰・⽂書化と 検索可能化 適切なサポート・コーチング 役割権限の明確化と適正評価 Trusted Committer Product Owner Contributor InnerSourceキーコンセプト ⽬的 ⼿法 施策 条件 原則 理念 Enlightened Self-interest 啓発された利⼰⼼ Intrinsic motivation 内発的動機 "Understanding the InnerSource Checklist", "Getting Started with InnerSource", "Adopting InnerSource"等を参考に吉⽥作成 Learn from failure 失敗許容・共有・学習

Slide 28

Slide 28 text

https://hbr.org/2022/10/tech- companies-innovate-at-the-edge- legacy-companies-can-too https://www.mckinsey.com/capabilities/peop le-and-organizational-performance/our- insights/organizing-for-the-future-nine-keys- to-becoming-a-future-ready-company https://www.mckinsey.com/capabilities/peo ple-and-organizational-performance/our- insights/organizing-for-speed-agile-as-a- means-to-transformation-in-japan

Slide 29

Slide 29 text

ü 情報技術の進化により、企業・組織のイノベーションモデルが変化しよう としている ü その中核は、できるだけ顧客や市場に近いところにいる社員がイノベー ションを起こせる環境を整えることだ。その背景には、多くの価値が情報 システムによって⽣み出され、また様々な⾼度な情報技術がシチズン・ ディベロッパーによって利⽤可能になっていることがある Ø ⼩さなチームが、⾃律的に活動できるようにすること Ø そうしたチームがうまく動けるように、仕組み、資源、道具を与える こと。特に共通して利⽤可能な機能については標準化し、誰もが簡単 に利⽤可能にする、Agileな開発と素早い実装、急速な規模拡⼤等を 可能にする仕組み、ツール、インフラを整え利⽤可能にすること Ø 優れたイノベーションを発⾒・特定し、資源を集中できるようにする こと。そして優れた取り組みを組織内に広く知らしめ、浸透させるこ と ü IT部⾨はそうした標準化をリードし、サポート・コーチする役割に変化す べき 2022.1020 HBR Tech companies innovate at the edge, legacy companies can too

Slide 30

Slide 30 text

No content

Slide 31

Slide 31 text

Market 市場メカニズム Organization 統合組織 Community ⼈類が⽣み出してきた 価値創造(⽣産)活動の協働(分業・調整・統合)の⽅法 それぞれ基本的な運営原理が異なる

Slide 32

Slide 32 text

Organization 統合組織 Community InnerSource 責任と権限 単純・固定的 (このチームがこの仕事の担当で、 責任と権限を有す) 複雑・流動的 (様々な⼈がある仕事に係わり、 誰が何の責任と権限を持つか複雑) 仕事の起点 組織⽬標をチーム・個⼈に分解 個⼈の必要性・内発的動機 (⾃分が使いたいので直す) 管理の基本 タスクを割当、実⾏を命じ、⽀援 個⼈が貢献できる/したくなる環境 を整え、⾏動を促し⽀援 ⼈間関係・相互理解 固定的・互いに相⼿と状況を よく知る 流動的・互いに相⼿と状況が 良くわからない コミュニケーション 頻度⾼く・直接的・⼝頭中⼼ 頻度低い・間接的・⽂書中⼼ 異なる運営基本原理 いかに⽅向づけと調整を 適切・効率的にできるか? いかに個⼈・チームの⾃律性 と⽣産性を⾼められるか? いかに⼈々の繋がりを 豊かなものにするか?

Slide 33

Slide 33 text

InnerSourceは、既存の統合組織の中に、運営原理が相当に 異なるCommunityを共存させ、繋げる試み Organization 統合組織 Community • 多くのマネジメント側からすると、純粋に「理解しがたい」ものとして警戒 し「リスク>便益」で反応する可能性あり • 既存組織で権限を持つ⼈、現状に満⾜している⼈は、怖れ、不安、疑い (Fear, Uncertainty, doubt)から、新たな取り組みを、信頼できない、⾃ら の権限等を脅かすものとして捉える可能性あり • 既存の組織運営を前提に作られた様々な仕組み・ルールとの不整合・衝突 • メンバーや関係者が、これまでの物事の進め⽅・仕事の仕⽅との違いとその 狙い、価値を理解・納得し、やり⽅を変えるのに⼀定の時間と労⼒がかかる • 不⼗分な理解とまずい実践により⽣じる問題が当初の関⼼・熱意・信頼を損 なう危険性 予 想 さ れ る 障 壁 残念ながら、⽇本の多くの経営・マネジメント 側の⼈々は、Open SourceやAgileについて、 ほとんど知らない、関⼼がない

Slide 34

Slide 34 text

• 既存統合組織の規範・ルールにそのまま従うべきでもないし、また無駄に 戦うべきでもない • 接点となるところ(成果の活⽤と評価管理・資源調整や貢献評価等)につ いて、懸念や問題を⽣じないような⽅法を設計実装する • まずは⼩さなコミュニティで始め、開発者の⽣産性・効率性を⾼めて成果 を出し、参加者の満⾜を⾼める • ⽣じるであろう様々な課題・懸念を早期に体験、理解し、解決策を実⾏ • 最初はできるだけ⽬⽴たないように。徐々に成果を組織内に伝えながら、 コミュニティを拡⼤し、関係者の関⼼・理解を⾼める • 取り組みの拡⼤・公式化について、具体的成果を⽰しながら、組織上位 の認証・⽀援を取り付ける • 直接的な成果に留まらず、組織変⾰上の効果や可能性もアピールし拡⼤ を加速する 導⼊・浸透・拡⼤のために 【基本姿勢】 オーバーラップさせ、 接点を賢く設計 ⼤きく育てる 静かに⼩さく始め

Slide 35

Slide 35 text

組織側から⾒た、特に重要な「繋ぎ」の論点 • マネージャは、⾃然に⾃部⾨の業務執⾏と、そのための部下の活動の把握、管理、指 ⽰できることを当然としているため、⾃⾝の管理が直接及ばない活動をどのように取 り扱うかの納得・合意の獲得が必要 • InnerSourceの活動に対する資源配分、⾃部⾨業務との優先順位付け等の管理・調整法 の納得・合意 • InnerSourceでのContributorの貢献評価を適切かつ簡便に⾏う⽅法の決定運⽤ 成果物 Contributor Trusted Committer等 • Trusted Committer等の選任・権限・責任等の明確化と意思決定⽅法 • 活動の評価⽅法の決定と合意(誰がどのように評価するか) • Trusted Committerとしての活動と他の活動の優先順位付け、管理調整の⽅法の納得・ 合意 • Trusted Committerの発掘、育成、組織内外での⾼い評価評判の形成 • 計画上の扱い⽅の決定合意(何を、いつまでに成果として達成するかをどのように判 断・決定し、どのように⾒込むか) • 成果物の管理主体はどこか?成果物に何らかの疑問や問題が⽣じた際に、誰が対応、 説明の責務を負うのか等の明確化・周知 組織としての 基本⽅針 • 組織全体として、InnerSourceを導⼊・推進する⽅針の決定・周知。特に、意思決定・ 管理⽅法等に関する⼀定の理解・納得を獲得

Slide 36

Slide 36 text

No content

Slide 37

Slide 37 text

作成:吉⽥素⽂