Slide 2
Slide 2 text
Data Science Report
01 | © Sansan, Inc.
営業と頻繁に名刺交換をしている人は誰か
1 概要
企業の営業活動において新規顧客を開拓していくために、どのように関係を構築していくかは難しい課題である。対企業へ
の営業の場合、企業の代表電話に問い合わせをする、知人や関連する企業の知り合いから紹介をしてもらうなど、さまざまな
アプローチがあり得る。
営業をする上でキーパーソンとなり得る人物と早く関係を構築したいと多くの人は望むだろう。その一方で、企業にとって
他社の製品やサービスを活用するニーズがある場合、その製品やサービスを扱う企業にアプローチをし、営業を受けることが
ある。もちろん営業担当者との名刺交換の背景はいろいろと考えられるが、営業担当者と名刺交換を頻繁にしている人ほど、
何らかの課題を解決するために企業と取引をしたいというニーズを持っている可能性が高いであろうし、取引につながるよう
に決裁者と営業担当者を会わせることもするだろう。新規の取引先を効率的に見つけることは、営業活動を活発化させること
につながり、それが日本経済の活性化にもつながる。その意味で営業活動に注目することは大いに意義があると考えている。
本稿では、
このような問題意識を踏まえて、
個人向け名刺アプリ
「Eight」
のデータを基に営業担当者と頻繁に名刺交換をしている
人の特徴を考察する。
営業担当者と名刺交換を行う可能性として、
その企業の製品やサービスを購入したいために商談で会うだ
けでなく、
取引する意思はそれほど強くないが情報収集のために会う、
展示会やセミナーなど懇親の場で会うなど、
いくつかの
理由が考えられる。
筆者の見聞きした範囲では、
営業担当者同士が名刺交換をするケースとして、
特に展示会が多いため、
本稿で
は営業以外の部門・職種である人が営業担当者とどれほど名刺交換をしているかといった点に注目する。
①名刺交換枚数のう
ち営業担当者との交換の占める割合が高い人はどのような業種なのか、
②どのような業種からの営業を受けているのか、
③業種
によってその割合の高い人の部署や職種が異なるのか。
こうした問いを考察していくが、
結論から言えば業種によって特徴が大
きく異なっており、
営業戦略としては、
業界ごとにアプローチを変えることが求められる。
2 分析対象、検証方法
分析に当たっては、Eightのデータについて個人を匿名化し、2017年10月から2018年9月の期間にユーザーが登録した名
刺の情報をEightの利用規約で許諾を得ている範囲で使用した。Eightの利用時にはユーザー本人も名刺を登録するため、分
析においては、名刺交換の相手だけでなくユーザー本人の業種、部署・職種も判断することができる。冒頭でも述べたが、営
業担当者同士が頻繁に名刺交換をしている可能性があるため、分析対象は本人が営業以外の部署・職種にあるユーザーに限定
している。また、企業規模の違いにより営業担当者と名刺交換をしている人の特徴が異なることが想定される。筆者の周りで
ヒアリングをした限りではあるが、規模の小さい企業では、決定権を持つ人物が代表者などに限られており、かつ決裁権を持
つ人物が営業担当者との打ち合わせを頻繁に持つことも知られている。そのため、本稿では比較的規模の大きい企業に焦点を
合わせるために、
対象を東証一部の上場企業に所属し、
かつ部署
・
職種が営業以外のユーザーに限定して分析を行った※1。なお、
名刺交換をしている相手については、企業規模の限定をしていない。ただし、後述の図3では交換相手の業種を判別するため、
交換相手の企業が東証一部上場である場合に限定をしている。名刺交換をしている相手の部署・職種を営業か、それ以外かに
分け※2、分析対象期間における全ての名刺交換枚数に対して、営業担当者との名刺交換枚数の割合を算出した。なお、営業担
当者との名刺交換枚数の割合を全ての名刺交換枚数ごとに検討したところ、分析対象とする1年間において、全ての名刺交換
枚数が50枚未満のユーザーについては、名刺交換枚数が少なく、その割合が大きく変動するため、分析対象外とした。
図1は、対象とする企業数と営業以外のユーザー数を見た業種別の構成比である。東証一部に上場しており、分析対象とな
る企業で社数の多い業種は、小売、サービス、情報通信となっている。一方で、分析対象となる営業以外のユーザー数が多い
業種は、情報通信、電気機器、サービスとなっている。
※1:2018年10月10日現在での東証一部の上場企業を、日本取引所グループの東証上場会社情報サービス
(http://www2.tse.or.jp/tseHpFront/JJK010010Action.do)から情報を収集し、
同サイ
トに掲載されている業種分類を用いて分析を行った。なお、
「銀行」
「証券・先物」
「保険」
「その他金融」を金融として一つの業種区分としている。
※2:名刺情報から営業を判断するに当たり、部署名
(一部役職名)の文字列の中に
「営業」
「セールス」が含まれている場合を営業とした。ただし
「営業企画」
「営業戦略」については、ここ
での営業とは別にしている。