Slide 1

Slide 1 text

大学生に『書くこと』の授業をしたときに 引き合いに出した本 Scrum Fest Osaka 2021 札幌トラック「旅するAgile本箱LT」 2021/06/26 @kondoyuko

Slide 2

Slide 2 text

自己紹介 近藤佑子 aka @kondoyuko / ゆうこりん • 所属:株式会社翔泳社 – CodeZine編集部 編集長 – Developers Summit オーガナイザー • 開発者と一緒に踊る、キャッチコピーは「踊る編集者」 • 昨年はハッカーライフラボで スクラムフェス大阪に参加しました kondoyuko516 kondoyuko

Slide 3

Slide 3 text

今日のお話 • 大学生に「書くこと」の授業をしたときに 引き合いに出した本を紹介します • 言葉と本と自分の体験に関するお話です

Slide 4

Slide 4 text

「旅するAgile本箱LT」でなぜこの話をするのか • 「話してみたら?」とお誘いいただいたものの 最初は及び腰だった – アジャイル実践者が話すべきなのでは – 本好きな人が聞いても物足りないのでは • 「旅するAgile本箱」とは何かを見つめてみたら そこにはかなりの多様性があった • 自分と本にまつわる印象的な体験を話してみたい https://hacker-life-lab.connpass.com/event/178185/ https://librize.com/places/2362

Slide 5

Slide 5 text

「書くこと」について大学生向けに授業をした • 岩切さんのお引き合いで、 芝浦工業大学 デザイン工学部 3年生の 「論文作成法」の授業において、 ゲスト講義をすることに • 書くことを仕事にしている人の立場で 「書く仕事の醍醐味」を伝えてほしい というオーダー • 大学と接点を持ちたかった私にとって たいへんチャレンジングな機会 https://speakerdeck.com/kondoyuko/why-should-we-improve-our-writing-skills

Slide 6

Slide 6 text

自分がそういう話をする資格があるのか不安もあった

Slide 7

Slide 7 text

60分超の授業をどう作ったか? 以下のような大まかな構成はイメージしていた • 今の仕事を選んだ背景 • 私が仕事で使っている書くスキル • みなさんにとっての書くスキルの使いどころ 「そもそも書くことをどう教えれば……」と立ち返り、 スライド作成と並行して「文章術」の本を読むことにした 自分のなかの経験知・暗黙知を、説得力があり再現可能な形式知に していくためのプロセスとして本を活用

Slide 8

Slide 8 text

大学生に特に伝えたかったこと • 社会人は自ら「習慣化する」「締め切りを得る」ことによって アウトプットする機会を無理やり得ようとしている • 大学時代は、授業のレポートや論文といった形で、 アウトプットが上達する環境が整っているかけがえのない時期であること – 指導してくれる先生がいて、同時期に論文を書く仲間がいて、 締切があり、人生がかかっているような状況 • とにかく「何か書くことに対してアクションしてみよう」と 思ってもらえるような話がしたかった

Slide 9

Slide 9 text

授業の中で引き合いに出した本

Slide 10

Slide 10 text

おすすめとして挙げた本 その1 『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめ てみた。』(藤𠮷豊・小川真理子著、日経BP) • 最近刊行され、評価の高い文章術の本ということで手に とった • たくさんの名著のエッセンスが詰まったお得な本 • より多くの本で重要だと言われている順に述べてあり、 取り入れやすい • 前半は基本的で重要なポイント、後半になるにつれ、 私も迷っていた文章の判断基準のヒントも登場

Slide 11

Slide 11 text

おすすめとして挙げた本 その2 『書くのがしんどい』(竹村俊助著、PHP研究所) • 竹村さんのnoteを読んでいたので手にとった • 書くのが苦手な人に徹底的に寄り添った本 • 具体的で効果的な手法がたくさん書かれていて、 読むとnoteやSNSで発信したくなる • 文章は「ちゃんと書かなきゃいけない」ものから 「SNSを使いながら楽しく書くもの」と伝えたくなった

Slide 12

Slide 12 text

おすすめとして挙げた本 その3 『小さな習慣』(スティーヴン・ガイズ著・田口未和訳、ダ イヤモンド社) • 習慣化にハマり、メカニズムが知りたくて読んだ • 2019年に最も影響を受けた本のひとつ • 習慣化には「小さ過ぎて失敗しようがない」ことを継続 するのがいいことを説いた本

Slide 13

Slide 13 text

その他言及した本 『企画は、ひと言。』(石田章洋著、日本能率協会 マネジメントセンター) • 新人のとき、自分が実際に企画およびキャッチ コピーを考える際に読んだ本 『言語化力』(三浦崇宏著、SBクリエイティブ) • 編集者やライターではなく、クリエイティブの 分野の方が「言葉」にどんな可能性を持つのか 知りたくて手にとった本

Slide 14

Slide 14 text

メッセージ①「書くことは学習・仕事・人生に役に立つ」 • 書くことは、仕事のさまざまな場面で役に立つ – 自分が書く – フィードバックする – 企画を作る – 人に話す(プレゼンする) – プロジェクトを導く • これは仕事以外にも、学習や人生においても大きな力となる

Slide 15

Slide 15 text

「書く」技術の使いどころ:企画を作る • 最終的なアウトプットが記事とは限らない企画も、全て言葉で作られる – 「ウケる企画はみんな『ひと言』」「センスはいらない、むしろベタ がいい」(石田章洋著『企画は、ひと言。』) • 例:プリウス「地球に優しいエコカー」 • 私がエンジニア向けイベントの全体テーマを作る際も、 世相を反映しつつ、短くて覚えやすいものを考えるようにしている

Slide 16

Slide 16 text

「企画を作る」の具体例:イベントのテーマ https://event.shoeisha.jp/devsumi/20210218

Slide 17

Slide 17 text

「書く」技術の使いどころ:プロジェクトを導く • 言葉によって、プロジェクトのありたい姿を示すことができる – プロジェクトメンバーに示して価値観を共有したり – 社外に示して、共感・応援してもらったり • 「ビジネスをドライブするのは数字ではなく、言葉」(三浦崇宏著『言語化力』)

Slide 18

Slide 18 text

「プロジェクトを導く」の具体例:ミッションの設定 コンテンツで人と社会の可能性を拡げる デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア デベロッパーをスターにし、世の中をアップデートを加速する

Slide 19

Slide 19 text

メッセージ②「今は書くことに向き合う絶好のチャンス」 機会に恵まれている • 学生のうちは書く機会がたくさんある • 深く考え、書く機会(=論文)がこれから待っている モチベーションも高めやすい • コロナ禍で書く技術の重要性が増している • 書く技術を発揮できるチャネルが多様化している

Slide 20

Slide 20 text

深く考え、書く機会(=論文)がこれから待っている • 人生において、これだけ一つのテーマを突き詰める機会はそうそうない – 指導してくれる先生がいて、同時期に論文を書く仲間がいて、 締切があり、人生がかかっているような状況 • 「考えが整理されているから書くのではなく、書くことで考えが整理され る」(藤𠮷豊・小川真理子著『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』 ) • 「Connecting the dots」(スティーブ・ジョブズの言葉) – 論文は今の自分の集大成 – 今後の人生で、論文で扱ったテーマや考えのアプローチが生きてくる

Slide 21

Slide 21 text

書く技術を発揮できるチャネルが多様化している • 書く技術は仕事のさまざまな場面で生きる • SNS、ブログ、noteはもちろん、YouTube、Podcastなどの 動画・音声コンテンツを作る際にも役に立つ – 反響が得られやすいので楽しく続けられる – 始め方についてもたくさんの情報がある

Slide 22

Slide 22 text

学生からの嬉しい感想 • 感想のほか「具体的にやってみたいこと」「いつどのようにやるか」を 書いてもらったところ、具体的なコメントをたくさんもらった – 自分の実体験や課題意識と結びついた感想をたくさんもらった – 日記帳を買いに行くといった具体的な行動をさっそく起こしてくれた – SNSでフォローしてくださった方も!(とても嬉しい) • 自分の(迷走していた)キャリア、編集者としての目線、 アウトプットへのモチベーション、SNSを活用した楽しい習慣化…… 話した内容がそれぞれ刺さっているようでほっと一安心 どうやら「何か書くことに対してアクションしてみよう」と思ってもらえた

Slide 23

Slide 23 text

読書感想文が書けなかった自分へ • 読書感想文は難しいにしても「読書体験記」は書けたんじゃないか? – 「暴力と恐怖の本質を考察 宮城の賀井さん、読書体験記で最高賞に」 (2021年6月16日 河北新報)が話題に • 読書と行動はセット – 読書から生まれる行動もあるし、行動を意味づける読書もある • コンプレックスがある立場ならではの発信がある – そのほうが刺さる場合も多い