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Agile 組織 ってなんぞ? Agile 組織 ってなんぞ? Keitaro Matsukura 2024/12

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組織について少し調べていた軌跡

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サマリー 海外では、数年前からAgile Transformationとして組織の変化を進めている事例が多い 元々がシステム開発で考えられたチーム作りを組織にも適用し始めたのがきっかけ VUCAと呼ばれる、外部環境の変化が早い時代に対応するため「業務プロセス自体に変化」を組み込む。 いかにして「いつものビジネス」の一環としてイノベーションを実現するかの試み。 ダーウィンの『種の起源』「種の中で最も知的なものが生き残るのではなく、最も強いものが生き残 るのでもなく、変化に最も適応できる種が生き残る」を体現する仕組み作り。これをマネージャー等 特定の人間の能力だけに依存せず組織の仕組み作りで目指している マッキンゼーのグローバル調査によると、アジャイル導入に成功した企業は、効率性、顧客満足度、従業 員エンゲージメント、運用パフォーマンスの30%向上を達成し、イノベーションを加速させました。ま た、これらの企業は競合他社よりも3倍の確率でトップクラスのパフォーマンスを示しています。成功の ためには、リーダーシップの理解、価値の明確化、組織全体の変革、迅速な実行が必要

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Agile Transformationのトレンド ※2024年12月現在

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誰もが外部を意識し、警戒し、そのような知識を口に出し、行動することを許される 製品やサービスは、市場や顧客の要求に応えるため、絶えず革新される あらゆる面でコストを抑え、スタッフの好意を活用し、コスト削減のイニシアチブを実行しつつ、イノベーションを起こす 組織には、役割、責任、構造において柔軟性と適応性を求める 主要スタッフには、継続的に自己成長する能力と意欲があり、柔軟な人材調達とマルチスキル化を求める 組織は、すべての知識労働者の裁量的努力を引き出し、WinWinの関係を築くために、スタッフとの高いエンゲージメントを目指す 組織文化は、順応性が高く、機敏で、有機的である。役職に関係なく、誰もが進んで組織にコミットし、その成功に貢献できるもの Agile組織の具体的イメージ

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従来の組織がより大事にするもの 安定性:確立されたプロセスとルールに基づく運営。 中央集権化:上層部による意思決定と管理。 計画重視:長期的な計画に基づく活動。 部門ごとの最適化:各部門が独自に最適化を追求。 標準化:業務プロセスの標準化と一貫性の維持。 効率性:効率的なリソース配分とコスト削減。 予測可能性:安定した市場と運営環境を前提とした予測と計画。 アジャイル組織がより大事にするもの 迅速な対応:市場や顧客の変化に迅速に対応できる能力。 顧客中心主義:顧客のニーズに基づいた柔軟なサービス提供。 イノベーションの促進 新しいアイデアやソリューションの迅速な試行と実装。 分権化:意思決定を現場に委ね、迅速な行動を可能にする。 チームワークの重視:クロスファンクショナル(特定の専門性チームより 多様性)なチームでの協力。 持続的な改善:継続的なプロセス改善を推進する文化。 レジリエンス(回復力) :変化や困難に対する適応力と回復力の向上。 大事にするもの ※あくまで大事にするであって、どちらでも両立を考えるべきではあります

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従来の組織の戦略や考え方 アジャイル組織の戦略や考え方 Annual process(年間での計画) Ongoing process(継続的な計画) Focused on margins(利幅重視) Focused on customer(顧客重視) Developed at the top(トップダウンで開発) Top-down/bottom-up(トップダウンとボトムアップの両方を活用) Aim to increase productivity through controls(統制による生産性向上を目指 す) Aim to increase productivity collaboratively(協働して生産性向上を目指す) Gap between strategy making and execution(戦略策定と実行の間のギャッ プ) Strategy making and execution are seamless(戦略立案と実行はシームレスに行う) Based on forecasts(予測に基づく) Based on wide-deep scanning and other (collective) intelligence(広範な情報収集と、 集合知に基づく) Pursuit of competitive advantage(競争優位性の追求) Pursuit of multiple transient advantages(複数の一時的な優位性を追求) Commitment to shareholders(主に株主への取り組み) Commitment to stakeholders(利害関係者への取り組み) Short term(短期的なもの) Short and long term(短期と長期) Risk management restrains innovation(リスク管理が革新を抑制) Risk management co-exists with innovation(リスク管理はイノベーションと共存する) Board scrutiny is light touch(取締役会の監視は軽いタッチ) Board scrutiny based on real understanding(理解に基づく取締役会の精査) Ethics occasionally sacrificed to commercial gain(倫理は時として商業的利益 の犠牲になる) Ethics always drive decision making(倫理は常に意思決定の原動力) Innovation in limited ‘pockets’(限られた場所や分野でのイノベーション) A culture of innovation( イノベーションの文化) Individual ingenuity(個人の創意工夫) Individual and group idea development(個人およびグループでのアイデア開発) 考え方の変化①

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従来の組織の戦略や考え方 アジャイル組織の戦略や考え方 Risk averse(リスク回避) Open to risk(リスクに対してオープン) Haphazard implementation(行き当たりばったりの実施) Disciplined implementation(規律ある実施) Reward for organization(組織に対する報酬) Mutual benefits(相互利益) Sensing and reacting(感知と反応) Anticipating, proacting, creating (e.g. new business models)(予測、予防、創造(新し いビジネスモデルなど)) Business as usual(通常通りの業務) Agile business(変化のある業務) Innovation in ‘pockets’(限られた範囲のイノベーション) System-wide innovation and continuousimprovement(システム全体のイノベーションと 継続的な改善) Customer service(顧客サービス) Intense customer focus(強烈な顧客重視) Managing global supply chains(世界規模のサプライチェーン管理) Managing global value creation(グローバルな価値創造の管理) Efficiency(効率性) Efficiency and effectiveness(効率性と効果性) Employees as resources(従業員を資源として扱う) Employees as partners(従業員をパートナーとして扱う) Engage and inspire(人々を引き込んでモチベーションを高めることに焦点) Enable and empower(自立して行動できるようにすることに焦点) Control of the agenda(議題の主導権を握る) Ride paradox and facilitate possibilities(問題に乗じて可能性を広げる) Driving change(変革を推進) Building capability and capacity for change(変革に向けた能力と体制の整備) Either/or(二者択一) Both-and(両方とも選ぶ (二者択一ではなく、両立を選ぶ)) 考え方の変化②

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Agile組織の実践についてのメモ

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Agile Fameworkの統計 17th State of Agile Reportより アジャイルな手法を集めたものである 「Scaled Agile Framework(SAFe)」 を採用するケースは多い。他にも Scrum@Scale、Large-Scale Scrum (LeSS)、Nexus、Disciplined Agile (DA) Delivery、「Spotify」など様々なフレ ームワークがある。2022年の調査で は、SAFeを利用している企業は大きく 減ってきていて、独自フレームワークを 模索していることが多い

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他、実践に向けてのメモ マネジメント手法:マネージャーは主体性を支援するためコーチングや適切なフィード バック、スキルアップ支援などを指向。リーダーやマネージャーはコマンダー(指示 者)ではなくコネクター(会話の促進)の役割も担う。チームの目的と目標を一緒に定 義する。そういった新しいマネジメントに対する教育も必要 ※原文を読んでいて、スクラムにおけるスクラムマスターと似ているとは考えてま す 組織構造の変化:よりフラットな組織構造(マネージャー数の変化)、バーチャルチー ムでのプロジェクト構成など。

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他、実践に向けてのメモ 企業文化作り:文化の変化は上から押し付けられるものではなく、コントロールは難し い。また官僚的構造は特に文化形成がトップダウンになりがちで、上手くできないこと が多い。マネージャーや組織のリーダーができるのは、多くの人と「組織の目的などを 会話する」場を作ること。トップダウンではなく、従業員へ傾聴しながら一緒に作る。 またクレイグ・ラーマンの法則によれば「組織構造」が企業文化を作る、とあるように カルチャーを変えたければ構造を変える必要はあるかと思います。特にマネージャーを 減らすための取り組みは多くのアジャイル組織の中で議論されている。

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他、実践に向けてのメモ 人事制度の変化:カルチャー作りのための人事制度改革は重要視されている。マルチス キル、クロスファンクショナル・ワーキング、タスク・フレキシビリティの推奨、パー トタイム、年俸制、シフト制、時間外労働、自主的な時短勤務、フレックスタイム制、 ゼロ時間勤務、等。 人事評価の変化:年間目標から随時評価?へ変更?試行錯誤中のよう。従業員のランク 付け廃止もされているところもある模様。→Adobeを筆頭に、GE、ジュニパー・システ ムズ、デル、マイクロソフト、アクセンチュア、デロイトなど事例多し。「ゆめみ」な ど面白い、自己申告制を取っており、参照するための技術スタックも可視化されている (ゆめみはティール組織を目指してる)。

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他、実践に向けてのメモ リーダーシップのスタイル:「分散型リーダーシップ」の概念が適切。アジャイルリー ダーシップとは、他者に何をすべきかを指示することよりも、他者に力を与え、成果を 生み出す正しい決断を下せるようにするための条件を整えること。そのためには、コミ ュニケーション、戦略的対話、そして目的を共有することで結ばれた組織横断的ネット ワークの構築を行う。 対話の重要性:変化には対話。そして「早く進めるためにゆっくり進めよ」がキーワー ド。お互いの意見を言い合うことには時間を使って、結論を早めるのではなく対話を重 ねていくことが、メンバーの変化には最も早い、という話はよく語られている。

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最後に 結局、Agile組織の定義なんていうものをあまりしすぎても、答えには辿りつかない 組織ごと、目指したい姿がある 目指したい姿は経営陣・従業員・株主、いろんな人が会話して考えていくもの また姿を体現するための手助けする手法(Agileフレームワークなど)があるだけ そして、手法も常に変化していくことこそ、目指すべき姿

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参考 Amazon | The Agile Organization: How to Build an Engaged, Innovative and Resilient Business | Holbeche, Linda | Organizational Learning アジャイルトランスフォーメーションとは? - ServiceNow Spotifyモデルをちゃんと読んでみた (Scaling Agile @ Spotify)|Sachiko Kijima (note.com) SAFe®とは?|TDCソフト SAFe 6.0 (scaledagileframework.com) 大規模アジャイルフレームワーク SAFe | NTTデータ先端技術株式会社 (intellilink.co.jp) GEとAdobe、人事評価制度やめたってよ。目的のためには手段はどんどん変えていく – アルドーニ株式会社 (aldoni-hr.com) ランク付けの評価からノーレイティングへ アドビシステムズの人事改革|@人事ONLINE (at-jinji.jp) マネジャー職を撤廃! 互いに成長促進する次世代の人事制度「Natura」とは|@人事ONLINE (at-jinji.jp) チームでLeSSを導入してみた #スクラム - Qiita 事業を支える、SmartHRのあたらしい組織体制について|株式会社SmartHR (note.com) なぜPMが25人も必要なのか - SmartHR Tech Blog SmartHR基本機能のQAチームが開発チーム横断で品質保証活動をがんばっている話 - SmartHR Tech Blog 組織のさらなるカイゼンを。SmartHRの「交代制スクラムマスター」制度のお話 - SmartHR Tech Blog 歴代のスクラムマスターがやってきた取り組みを解剖してみる - SmartHR Tech Blog ユーザー価値最大化のためにいかに動けるか、変われるか 〜アジャイル推進室連載企画第1弾〜 - SmartHR Tech Blog 組織全体がアジャイルになっていくには 〜アジャイル推進室連載企画第2弾〜 - SmartHR Tech Blog あれから半年。アジャイルコーチに聞く SmartHR の現在地とこれから - SmartHR Tech Blog SpotifyScaling.pdf (crisp.se) Spotifyのスケーリングアジャイル – 部隊、分隊、支部やギルドと共に歩む(Spotifyモデル) | 『リーン開発の現場』越境せよ! (wordpress.com) Spotify Modelの実像と虚像 | Takahiro Fujii's portfolio Spotifyは 'Spotifyモデル 'を使っていない - アジャイルよろず相談室 - Quora LeSSフレームワークのルール - スクラムマスター (scrummaster.jp) 第 17 回アジャイルの現状レポート |アナリストレポート |Digital.ai 「DAO的な組織づくり」の実態とは? Ubie×ゆめみ×Gaudiyの代表が語る【イベントレポート】|株式会社Gaudiy

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Thank you Thank you