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企業内コミュニティの価値 NECソリューションイノベータ 為安圭介 コミュニティ勉強#1 2024年5月4日

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NECソリューションイノベータにて、ITサービスによる価値創造を軸に事業と組織のマネジメ ントを担う。 入社後は東京で官公庁向けのセキュリティシステムの構築を行い、その後札幌へ。大企業向けの システム開発のプロジェクトマネジメントをメインとし、+αでXR、AI等のデジタル技術を活用 したサービス開発に携わるなど、両利きの経営を意識した活動を実施し、事業を拡大してきた。 現在は組織長として経営に携わる。活動拠点は北海道。 2018年より、G検定の取得をきっかけに、参加者5万人を超えるAIコミュニティ「CDLE」の運 営を開始。コミュニティの初期設計やイベント企画を手掛け、CDLE DAYやAI EXPO等に登壇。 コミュニティ規模拡大に伴い、運営強化のためのCDLE2.0プロジェクトを立ち上げ。コミュニ ティファウンダーの1人として活動を続ける。また、社内では組織力強化と事業成長を目指すコ ミュニティ「SHiFT」を仲間と共に発足。経営力向上に取り組んでいる。 最近は自宅を改装し、ゲストを招いてコーヒーとお喋りを楽しむだけのクローズドコミュニティ 「ALLEGUBATO CAFE」を開設。仲間が集い、共に成長し、楽しめる環境づくりが好き。 た め や す け い す け 為安 圭介 趣味・好きなもの いま取り組んでいること 参加コミュニティ ・良さげなカフェ巡り ・良さげな環境づくり ・十二国記 ・なかねかな ・Vtuber ・自組織での理念の実現 -楽/技/価/益 ・両利きの経営 -深化と探索 ・スキルアップの文化づくり https://note.com/allegrubato/ https://www.linkedin.com/in/kei suke-tameyasu-4b0a62145/ https://twitter.com/miitame

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はじめに ⚫ このスライドは、主に企業内で「コミュマネ」または「コミュマネぽいことをしている」向けです ⚫ 特に、企業内で「コミュニティ?なにそれおいしいの?」と言われて悩んでいる方のヒントになるか もしれない内容をまとめました

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よくある質問 ⚫ コミュニティってそもそも何?うちの会社のためになるの? ⚫ 投資対効果は? ⚫ やるのは良いけど、いつ頃に事業価値を生むの? Point ⚫ 企業に属するビジネスパーソンとして当たり前の問いかけ。経営者であれば尚更 ⚫ 質問者に悪気はなく、純粋に理解してくれようと思っている段階で出てくる質問 ⚫ コミュニティの価値を理解してもらえれば、強力な協力者になってくれる可能性あり

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企業内コミュニティの現状 ⚫ 企業内コミュニティの代表的な活動内容 ⚫スキルの底上げを目的とした特定分野の勉強会 ⚫部門同士の交流やベストプラクティスの横展開 ⚫ しばしば発生していること ⚫参加メンバはスキルの獲得に意欲的な人が多い ⚫しかし、オフィシャルにコミュニティマネージャーを役割定義している日本企業は 少ないため、一部リーダにより自発的に組成される ⚫そのため、自助活動の面が強く、継続のためのモチベーション維持や予算、活動時 間の捻出に課題を持つコミュニティが多い ⚫コミュニティマネジメントがなされていない

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コミュニティってそもそも何? ⚫ コミュニティの特徴 ⚫ 参加者に何らかの「共有された価値」がある ⚫ 参加、離脱の条件が(他の組織形態に比べて)緩やか ⚫ メンバが自主的、自律的に動くことが期待される ⚫ 多様な役割での関わり方ができる(参加しないことも許される) ⚫ 相互に互いの福利に関心を寄せた個人の集団 ⚫ コミュニティのタイプ 企業内コミュニティについては、この説明をしても、「で、投資対効果は?やるのは良いけど、いつ頃に事業価値 を生むの?」という質問を繰り返されそう

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企業内コミュニティは、こう定義すると理解しやすい ⚫ 企業内コミュニティは以下の特徴をもつ。 ⚫ 同じ領域、同じ地域に生活や仕事の基盤がある ⚫ 利害や興味関心に共通点がある ⚫ 所属組織のビジネスにも共通する点がある ⚫ 相互に関連することで個人および組織も高めたい志向がある 企業内コミュニティとは、デジタル・ITサービスに関わる共通の目的意識をもとに、情報交換や繋が りを通じて、個人のスキルアップや組織の利益向上のための場や集団である。 企業内コミュニティを分類すると「ビジネスコミュニティ」と呼ぶのが妥当。

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企業内コミュニティは短期視点での事業貢献度を測れない ⚫ コミュニティの中長期視点での価値 ⚫ 企業が興すイノベーションとは、国や会社や部門や役割を超え、越境の過程を経て生み出されてきたもの ⚫ 他者、あるいは他社とボーダレスに連携し、自らの殻を破って新しい価値を創出しなければ生き残れない ⚫ 日々の業務でもコミュニティ活動を行っている ⚫ 例えば、営業担当が担当先役員と懇親して友好関係を築いている活動は「他者の好意を集め、自らの仕事を促進している」活 動。これはコミュニティ活動の行動原理。 ⚫ 多様性、物理的境界がなくなっている時代において、どれだけ柔軟性を備えた好意のネットワークを構築でき るのかがビジネス成功の重要な要素 ⚫ それでも短期の定量効果が必要な場合、コミュニティの価値を示すKPIの例 ⚫ 技術者の育成 ⚫ 資格取得者数/資格取得のためのコスト ⚫ マーケティング ⚫ メディア発信数/メディア発信コスト(広告記事出典コストに換算) ⚫ 採用人数増

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組織にとっての企業内コミュニティ価値 ⚫ 目的面 ⚫ 個人の成長だけでなく、組織の成長も目的である ⚫ 成果面 ⚫ 越境によるイノベーション ⚫ 人的資本の向上やブランディング ⚫ ※ただし、直接的な因果関係を説明することは不可能 ⚫ 費用対効果面 ⚫ コミュニティ内の情報共有、情報発信コストは小さい(通常 ゼロ) ⚫ 通常、関係性が存在しない中で、誰かの時間や労働、行動を お願いするにはコストがかかる(説明コスト、金銭のやり取 りなど)。一方、コミュニティ内には善意と好意のフィールド が出来上がっているためコストが極小化される。 ⚫ コミュニティ内ではコストとしてのお金の行き来がほぼ存在 しないため、直接的な収益も発生しないことが多い。 ⚫ むしろ、好意と善意の輪を大きくすることで、コストを柔軟 に捉えながら、企業価値や人材価値を上げていくことが、企 業がコミュニティに期待すること 短期視点 長期視点 組 織 視 点 問題解決 ・問題解決のための場 ・質問への回答 ・時間と費用の節約 ・低コストでの課題対応 越境によるイノベーション ・自然発生的な組織間連携 ・越境による新しい価値の創出 ・多様性の拡大 ・柔軟性を備えた好意のネットワーク形成 人的資本の向上 ・スキルの底上げ ブランディング ・マーケティング ・人材確保 ・企業価値の向上 個 人 視 点 仕事の改善 ・難問解決の支援 ・専門知識へのアクセス ・チームへのより良い提案 ・同僚といる楽しみ ・資格取得 継続的なスキルアップ ・技術や専門知識を拡張する場 ・ネットワーク形成 ・エンゲージの向上 ・メンタルへの好影響

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(参考)コミュニティと他の組織の違い ⚫ 当然の前提として「コミュニティは数ある組織形態の1つに過ぎない」 ⚫ 目標が明確な場合は、組織形態として「チーム」が有効 ⚫ コミュニティが有効に機能する場面 1. 目指すアウトプットが不確実で、偶然性に依拠する 2. 参画するメンバーが流動的であり、自主的に動くことが期待される 3. 多様な役割での関わりができる(参加しないことも許される) 4. ネットワーク効果でスケーラビリティを生む

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まとめ ⚫ 企業内コミュニティとは共通の目的意識をもとに、情報交換や繋がりを通じて、個人のスキル アップや組織の利益向上のための場や集団。ビジネスコミュニティに分類される。 ⚫ コミュニティは数ある組織形態のうちの一つにすぎない。特徴は共有する価値と流動的なメンバ、 そして自律的な活動。 ⚫ コミュニティという組織形態が有効に働くのは、アウトプットが不確実で、参画するメンバが流動 的なケース。今の時代はこれに当てはまるケースも多い ⚫ コミュニティの価値を短期的かつ事業観点で説明することは不可能。しかし、越境によるイノベー ションの可能性や個人の成長、ネットワークによるスケーラビリティという効果に対して、善意と 好意の輪による柔軟なコストを考慮すると、費用対効果は計り知れない。 企業内コミュニティに関わる方は、自信を持ってコミュニティ活動を進めましょう 企業の経営者はコミュニティの持つ可能性を理解し、サポートをお願いします

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参考文献 ⚫ BUFF(コミュニティマネージャーの学校)の講義 ⚫ 成功するコミュニティの作り方 - 企業の成長・変革のための実践ガイド(リックテレコム) ⚫ コミュニティ・オブ・プラクティス: ナレッジ社会の新たな知識形態の実践(翔泳社)

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おわり SPECIAL THANKS A.K, M.F, T.S Y.Y