Slide 1

Slide 1 text

ロリポップ! for Gamersの 立ち上げ 久米拓馬 / GMO PEPABO inc. 2024.5.24 Road to SRE Next @ Fukuoka

Slide 2

Slide 2 text

2 自己紹介 ホスティング事業部 エンジニアリングリード 久米拓馬 @takumakume ● 福岡在住 ● ルアーフィッシング・珈琲焙煎 ● ウイスキーパトロール ● 今年の4月までSREをやっていた ● Kubernetes / Cloudnative

Slide 3

Slide 3 text

No content

Slide 4

Slide 4 text

ロリポップ! for Gamers 4 https://news.yahoo.co.jp/articles/444e847fc6ad2a9d98c8951e325c674d8a995668

Slide 5

Slide 5 text

ロリポップ! for Gamers • パルワールドなどのマルチプレイ⽤ゲーム サーバを提供 • サーバに関する専⾨知識が少なくても、数 クリックで簡単にゲームを始められる

Slide 6

Slide 6 text

ロリポップ! for Gamers • ゲームの設定を簡単に変更できる機能の提供

Slide 7

Slide 7 text

タイムライン 2024/2/9 2/29 4/15 6/x イマこ こ プロジェクト発足 無料モニター提供開始 正式版リリース 有料提供開始 13 営業日 • 無料モニター提供開始:最短で市場参⼊するためにコントロールパネルからサーバを作るのでは なく予めセットアップしたサーバを払い出すようにして最⼩⼯数でサービスを開始 • 正式版:コントロールパネルの機能の拡充や、サーバの増強を実施。課⾦機能を除いてリリース • 現在、有料化に向けて進⾏中

Slide 8

Slide 8 text

本⽇お話すること • アーキテクチャ全体像 • SRE観点での技術選定 • 今後やっていきたいこと

Slide 9

Slide 9 text

アーキテクチャ全体像

Slide 10

Slide 10 text

• Webアプリケーションをすぐに実行可能な、Kubernetes クラスタを持っている。 • オンプレミスのデータセンターにゲームサーバが複数実行できる余剰サーバを 持っている。 • 実質13日で、ゲームサーバ市場に参入する。 10 アーキテクチャ 前提

Slide 11

Slide 11 text

11 アーキテクチャ 全体像 MySQL Frontend (Type script) Backend (Go) アプリケーション DB (Amazon RDS) コントロールパネル Kubernetes Cluster (オンプレミス ) オンプレミスデータセンター Baremetal #1 (Ubuntu/LXD) Baremetal #n (Ubuntu/LXD) LXD Cluster Ceph Cluster VM #1 VM #2 VM #n Webアプリケーション ゲームサーバインフラ

Slide 12

Slide 12 text

技術選定

Slide 13

Slide 13 text

• monorepoを採用 • Frontend、Backend、Kubernetes manifests などサービスに関わるコードは単一 のリポジトリで管理する • ソースコード全体の視認性向上 • SREとして、サービス内の各コンポーネントがどこで管理されているかを知るの は重要なポイントである • 1箇所で完結していると調査しやすい • Pull Request毎に動作確認環境を生成できる仕組みを作っており、サービスに関わ る全てのコンポーネントやインフラを一気通貫で結合テストができる 13 技術選定 リポジトリ

Slide 14

Slide 14 text

14 技術選定

Slide 15

Slide 15 text

15 技術選定 • Protocol Buffers を採用 • スキーマ駆動開発を行いたい • SREとしては、API仕様がコード化されていると調査が捗る • フロントエンド・バックエンドを効率よく開発したい • サービスの性質上一般的なリソースの CRUDに加えて、RPC的な要素が多く、無理に RESTfulなAPIに落とし込まないでよい • OpenAPIではなくProtocol Buffersである理由 Webアプリケーション

Slide 16

Slide 16 text

• Connectを採用 • 1つのコードでgRPC, gRPC-Web, Connectプロトコルに対応できる • Frontendからクライアントに配信されたJavaScriptからBackendのAPIを実行する必 要がある • gRPCはブラウザから直接実行することはできない • ブラウザのjsではgRPCが利用するHTTP/2を完全に制御できない • gRPC-Webが必要となる • EnvoyのようなプロキシなしでgRPCのAPIをgRPC-Webで利用できる • SREとしては、構成はシンプルになり調査が楽 16 技術選定 Webアプリケーション

Slide 17

Slide 17 text

• オンプレミスデータセンターでのベアメタルサーバ を採用 • 競合他社に劣らない価格設定をすると、パブリッククラウドでは赤字 • 今後、ゲームサーバビジネス以外にも柔軟に対応できるインフラ基盤としても活用し たい 17 技術選定 ゲームサーバインフラ

Slide 18

Slide 18 text

18 技術選定 • canonical/lxd を採用 • コンテナとVMのオーケストレーター • ゲームサーバの効率的な運用のためにオーケストレーションツールは必須 • なぜ LXD ? • VMとシステムコンテナの両方を標準でサポートしている • コントロールプレーンの導入が比較的楽である ゲームサーバインフラ

Slide 19

Slide 19 text

19 技術選定 • ストレージとして Ceph を採用 • 分散ストレージシステム • ユーザのデータを特定のサーバに依存しない構成とし、耐障害性やメンテナンス性を 高めるのは今後の運用を見据えて必須である • SREとしては、単一母艦サーバの障害だけで夜間対応を強いられるのは厳しい • スモールスタートかつ短納期の条件下では、コストや時間の関係でエンタープライズ なストレージを調達することはできない ゲームサーバインフラ

Slide 20

Slide 20 text

20 リリース後に起きた障害を一つ紹介します

Slide 21

Slide 21 text

• 問題 • 突然一部のIPアドレスと疎通できなくなる • 気づきにくい、問い合わせで発覚 • 1日に数台のサーバで発生 • 正式版リリース以降に調達した新しいのハードウェアで発生していた • 原因 • Bondingで束ねたIntel NICをUbuntuのKernelで利用するとバグを踏む • 解決策 • Kernelのアップデートで解決した 21 障害 ネットワーク障害 Switch Switch Server bonding ハードウェアの違いで問題が起こるリスクも忘れてはいけない

Slide 22

Slide 22 text

今後のやっていきたいこと

Slide 23

Slide 23 text

• プロジェクト発足当初は「VPSベースのゲームサーバサービス」だった • 国内の競合はVPSをベースとして、ゲームサーバのテンプレートを提供するパターン • VPSはサーバ全体をユーザが自由に触ることができる • カーネルまで触ることができる、VMを提供するのが一般的 • そのため、ゲームサーバとしてVMを採用した 23 今後のやっていきたいこと ゲームインスタンスのコンテナ化

Slide 24

Slide 24 text

• 開発を進める中でプロダクトの価値は「ゲームを快適にプレイできるサービス」であると考え るようになった • ゲームをプレイしたり、ユーザがカスタマイズをできる余地があれば、VPSにこだわる必要が ない • コンテナも選択肢となる 24 今後のやっていきたいこと ゲームインスタンスのコンテナ化

Slide 25

Slide 25 text

25 コンテナ化のメリット • リソースのオーバーヘッドが少ない • 原価を抑えてよりよいサービスを提供するために重要な要素 • 起動が早い • LXDで管理しやすい • コンパネからゲームの設定を変更する機能は、LXDのAPI経由でインスタンスのコマンドを 実行している • VMの場合はゲストOS上のlxd-agentを経由してコマンドが実行されるため、不安定な場 合がある • コンテナの場合はlxdが直接コンテナに実行するため、比較的安定する ゲームインスタンスのコンテナ化 今後のやっていきたいこと

Slide 26

Slide 26 text

26 ゲームインスタンスのコンテナ化 今後のやっていきたいこと https://ubuntu.com/blog/lxd-vs-docker • LXDで使われているLXCではシステムコンテナが扱える • (語弊はあるが)VMのように扱えるコンテナ

Slide 27

Slide 27 text

27 • LXCはコンテナ実行時にinitを実行することを前提としている。つまり、複数プロセスを上げ ることができる。 • ゲームサーバ、SSH、etc… などを同時に実行できる。 • Dockerはコンテナ実行時にinitを実行しない。アプリケーションプロセスを実行することを前 提として作られている。つまり、1コンテナ1プロセス。 • 本質としては同じなのでDockerでinitプロセスを上げることで、1コンテナ1プロセスの制約 がなくなる。しかしながら、Dockerは実行プロセスがダウンしたらコンテナがダウンしたり、 ログにstdout/errを用いる点から、複数プロセスを前提としていない仕組みであると言え る。 ゲームインスタンスのコンテナ化 今後のやっていきたいこと

Slide 28

Slide 28 text

28 • システムコンテナによって、コストを抑えつつ、ゲームサーバのカスタマイズに必要なユーザ 体験を維持することができると考えている。 ゲームインスタンスのコンテナ化 今後のやっていきたいこと

Slide 29

Slide 29 text

まとめ

Slide 30

Slide 30 text

まとめ • ロリポップ!for Gamersというゲームサーバを提供するサービ スをリリースしました! • SREの視点での技術選定 • 今後やっていきたいこと「システムコンテナ」

Slide 31

Slide 31 text

31 Thank You! Thank You! GMOペパボのSREに興味がある方は @takumakume までご連絡ください! カジュアル面談でもお待ちしております。