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世界に誇れる プラットフォームチームを作る

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KAZUTO KUSAMA @jacopen 2 Senior Solutions Architect @VMware Tanzu VMware Tanzu(旧Pivotal)のSolutions Architectっていう仕事をしています。 SAって会社によって指す仕事が結構違うんですが、VMwareの場合はTanzu製品を導 入済みのお客さんに支援を行う、いわゆるプロフェッショナルサービスという役割を 担っています。 その前は、通信事業者でPaaS (Platform as a Service)の開発と運用をしていまし た。こういう経緯もあり、かれこれ8年くらいプラットフォームに関わっています。

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なぜこの話をするのか? 仕事柄、さまざまなプラットフォームと、それを作るチームを見てき ました。 うまくいくチームもあれば、うまくいかないチームもありました。そ の違いはなんだろう?と考えてみたのです。 実際にうまくいっているチームにもヒアリングした結果、『共通項』 と言えるものが見えてきました。 なので、今回は成功するプラットフォームの秘訣を 探っていきます。

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前提 この発表にあたっては、VMware Pivotal Labsのメンバー、 そしてCyberagentの青山さん、LINEの西脇さんにもご協力いた だきました。ありがとうございました。

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とあるプラットフォームチームの物語 日本でも有数のエンタープライズ企業 A社 A社に勤めるプラットフォームエンジニアである((あなた)) は 勤続10年の中堅社員。 新入社員の頃はオンプレのデータセンターで動くシステムの運用を担当。 近年はパブリッククラウドを利用することも多い。 実感が沸きやすいように、主人公のことを ((あなた)) って呼んでます。

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A社では、DXの流れで『自社のソフトウェアやサービスを強化しビジネ スを変革しなければならない』との声が上がっていた。 そんな中、((あなた))はこのような話を耳にする。 『○○さん(偉い人)が、アプリ開発チームの生産性に不満を持っている』 『生産性を上げるため、コンテナを活用しろと言っている』

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技術に対する興味関心が強い((あなた))は、これまでも自主的にミー トアップやカンファレンスに参加していた Kubernetesは世界的にも利用が広がっており、コミュニティも活発な こと、周囲を取り巻くエコシステムもどんどん発展していることを知っ ていた

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これまで学んで来たことを仕事で生かすチャンスだと考えた((あなた)) は、この新しい基盤作りに名乗り出る。 こうして発足した『次世代基盤構築プロジェクト』のリードエンジニアを 任された((あなた))。 早速以下のような構成を考えた。

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Kubernetes (Managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging

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Kubernetes (Managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging だいぶコンサバな構成だね。 せっかく予算もついているんだし、もっと挑戦してみ てもいいんじゃない? すると、上司からこういうツッコミが。

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Kubernetes (Managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management 確かにそうかもと思ったので、こういう構成を付け加 えてみました。

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Kubernetes (Managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management SLAが99.5%!? 年間44時間ものダウンを許容するのか。 既存のインフラは稼働率 100%を目標にやっているんだ。こ のような品質は受け入れられない すると、偉い人からこういうツッコミをうけました。 k8sは マネージドを使う予定でしたが、その SLAは99.5%とさ れていたのです。

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Kubernetes (self-managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management 悩んだ結果、k8sは自前で運用することとしました。それに よって、自分たちの目標は99.99%と主張することができ ました。

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Kubernetes (self-managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management 全てにおいてセキュリティが第一。最低限 WAFと脆弱性ス キャナと(以下社内標準のチェックリスト ) を満たさないと、インフラとして認められません。 これでなんとかなる、と思った瞬間、社内のセキュ リティ担当からツッコミが。

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Kubernetes (self-managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management Security こうして、社内のだれもを説き伏せられる構成が完 成しました。

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Platform team ((あなた)) Bさん Cさん(兼務) Dさん(兼務) Eさん(派遣) Fさん(派遣) プラットフォームチームは、こういう構成になりました。

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役割分担 Kubernetes (self-managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management Security メンバーそれぞれが1つないしは2つの分野を受け持つ構 成を組みました。

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問題発生 Kubernetes (self-managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management Security コンテナ全く分かりません。触ったこと もないです 技術力不足 さて始めよう、となった瞬間、メンバーの 1人がこう打ち明けまし た。 しかたなく、((あなた))はその人の分野もカバーします。

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問題発生 Kubernetes (self-managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management Security 他の業務が忙しくて、こちらに手を付 けられません 兼務問題 どうも兼務の人の進捗が悪いなと思って聞いてみたら、他の業 務が忙しすぎると・・・。 しかたなく、((あなた))はその人の分野もカバーします。

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問題発生 Kubernetes (self-managed) Image Registry CI/CD Monitoring Logging Distributed Tracing Service Mesh Secret Management Security 道半ばで大変申し訳ないのですが・・・ 今月末で退職します。 メンバーの離 脱 信頼を置いていたBさんが、申し訳なさそうにこう打ち明けてき ました。引き留めたかったのですが、既に次が決まっているよう で・・・。

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問題発生 - プロジェクトの大幅な遅延 - 深刻な人員不足

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得られたサポート 追加人員を 連れてきたよ。 追加人員? 兼 務 で す 兼 務 で す 兼 務 で す セキュリティの 専門家、Zさん インフラの 専門家、Yさん ネットワークの 専門家、Xさん 進捗が芳しくないプロジェクトに、追加人員が。全員兼務 だけど、50%+50%+50%で1.5人分。辞めたBさん分以上 になると上司は言います。本当かな・・・

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10ヶ月後、なんとかリリース

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しかし・・・ - 誰も使ってくれない

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驚くべき実態 - Kubernetesの話は突然上から降ってきた。現場としては必要性を感じていなかった - 開発の8割は外注であり、社内では仕様の策定と納品物の検収が主 - 内製部分はCIしていない。そもそもテストコードが殆ど無い - 手順書通りにコマンドを叩いてコンテナイメージを作成出来ることは分かったが、こ れまでやってきた作業がコンテナに置き換わるだけで、特にメリットを感じなかった - Kubernetesの概念が複雑で、覚えるのが苦痛だった。既存の業務で手一杯なの で、これ以上時間を割くのは困難 あまりに使ってくれないので、開発の人たちに状況を聞き に行きました。すると、驚くべき実態が明らかになったので す。

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爆発する運用 - 運用においてもトラブルが多発 - 十分な引き継ぎが出来ていなかったため、ブラックボックス化している部分が多数。 - 基本的な使い方を説明するだけで1日持って行かれる

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結局・・・ - アップデートも出来ず、Upstreamから1年以上遅れた『レガシー』なKubernetesに - 利用が広がらず、当然アプリ開発チームの生産性は変わらなかった - 結局『次世代基盤』はほとんど使われないままに、忘れ去られていく - 社員の中には『Kubernetesは使えない』という認識だけが残った

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この物語はフィクションです たぶん

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どこを間違ったのか? Managedを使わず自前でいったせい? 偉い人の思い込みのせい? 事前の調査不足のせい? 人員の配置の下手さのせい? こうなってしまった理由、いろいろ考えられると思います。 上に挙げた指摘はいずれも正しい。

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プロダクト マインドセットがなかった ただ、問題の根底にあるものを一言でいうと、 自分ならこう言います。

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なぜ突然プロダクトの話に? 突然『プロダクト マインドセット』と言われて 面食らったかもしれません。 プロダクトって製品とかサービスでしょ? 今はそれを動かすためのプラットフォームの話をしているんでしょ? そう思われるのも当然なのですが、今回お話ししたいのは、まさにそこ。 『プラットフォーム構築・運用においても、     プロダクトのマインドセットを持つべき』

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再掲 これまで学んで来たことを仕事で生かすチャンスだと考えた((あな た))は、この新しい基盤作りに名乗り出る。 こうして発足した『次世代基盤構築プロジェクト』のリードエンジニアを 任された((あなた))。 早速以下のような構成を考えた。 さっきの物語では『次世代基盤構築 プロジェクト』をやってい ましたね。 プロジェクトとプロダクトって何が違うんでしょう?

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プロジェクトとは? - 期限があるもの 終わりがあるもの - 目的や目標が明確なもの マネジメントする対象 - スコープ、資源、タイム、コスト、リスク、品質、 調達、コミュニケーション、ステークホルダー、統合 (ISO21500より) プロジェクトマネジメント = How, When を考える

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プロダクトとは? プロダクト 顧客 価値を提供

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プロダクトとは? プロダクト 顧客 価値を提供 必ず顧客がいる プロダクトがある限 り終わらない プロダクトマネジメント = WhatとWhyを突き詰め、 プロダクトの価値を最大化する プロダクトには、必ず顧客がいます。 プロダクトには、明確な終わりがありません。 続けていくのが前提です。

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プラットフォームをプロダクトとして考える プラットフォーム (プロダクト) 開発者 (顧客) 価値を提供 必ず顧客がいる プロダクトがある限 り終わらない プロダクトマインドセットを持つ。 つまり、プラットフォームはプロダクトで あると考えるんです。 プラットフォームには必ず使う人がいま すよね?つまり顧客です。 プラットフォームは、使う人が居る限り 維持しますよね?

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プラットフォームをプロダクトとして考える プラットフォーム (プロダクト) 開発者 (顧客) 必ず顧客がいる プロダクトがある限 り終わらない プラットフォームを発展させる、 安定 したチーム プラットフォームを安定して維持してい くためには、安定したチームが必要で す。

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プラットフォームをプロダクトとして考える プラットフォーム (プロダクト) 開発者 (顧客) 必ず顧客がいる プロダクトがある限 り終わらない プラットフォームを発展させる、 安定 したチーム 進化の著しい技術に追従し 顧客に新たな価値を提供する 顧客のニーズに応える プロダクトは成長し続けることで顧客に 新たな価値を提供していきます プラットフォームも進化が著しいですよ ね。新しい技術に追従していくことで、 プラットフォームを成長させなければい けません。 そのためにも、やっぱり安定したチー ムが大事です。

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プラットフォームをプロダクトとして考える プラットフォーム (プロダクト) 開発者 (顧客) 必ず顧客がいる プロダクトがある限 り終わらない プラットフォームを発展させる、 安定 したチーム 進化の著しい技術に追従し 顧客に新たな価値を提供する 顧客のニーズに応える 顧客にプラットフォームのことを知ってもらう 新たな価値を理解してもらう 顧客の課題に寄り添う 良いものを作っても、知られなければ 使ってもらうことはできません。 顧客の課題を解決できなくては、使っ てもらうことはできません。 顧客とコミュニケーションを取っていくこ とも大事なのです。

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何故今まではプロダクトマインドセットが 不要だったのか? 物理サーバーの 時代 クラウドの時代 クラウド ネイティブの 時代

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何故今まではプロダクトマインドセットが 不要だったのか? 物理サーバーの 時代 クラウドの時代 クラウド ネイティブの 時代 ● 物理から仮想に変わった ● インフラの概念はあまり変わらない ● アプリケーションの作り方も変わらない ● 一度作ってしまえば、その後の運用は障害対応やセ キュリティパッチの適用などが中心 『○○構築プロジェクト』のような進め方が可能だった

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何故今まではプロダクトマインドセットが 不要だったのか? 物理サーバーの 時代 クラウドの時代 クラウド ネイティブの 時代 ● より軽量なコンテナへ ● タイムスケールが日・時間から秒単位に ● APIが充実し、自動化前提に ● アプリケーションの作り方を変えていく必要性 ● プラットフォーム自体も常に進化していく 『構築して終わり』ではない時代になった

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成功しているプラットフォームは、 意識的・無意識的にプロダクトとして 扱われている 今回このセッションを行うにあたって、実際に成功しているプラット フォームに携わっている、LINEの西脇さん、Cyberagentの青山 さんにインタビューをしました。 その結果、こう思ったのです。

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はじめよう、Platform as a Product プラットフォームをプロダクトとして扱うことを、我々VMwareのメン バーはPlatform as a Productと呼んでいます。

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価値のある プロダクト プロダクトをマネジメントしていくということは、 価値のあるプロダクトを創っていくということです。

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価値のある プロダクト 仮説 検証 実装 Platform Team ただ、いきなり完璧なものは作れません。チームとして仮 説・実装・検証のサイクルを繰り返して、良いものに育てて いくんです。

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価値のある プロダクト 仮説 検証 実装 User Centered Design Platform Team Balanced Team Site Reliability Engineering Extreme Programming Lean Product Management 世の中にはプロダクトマネジメントの知見があります。プ ラットフォームにおいても、既にある考え方を取り入れてい きたいと思います。

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価値のある プロダクト 仮説 検証 実装 User Centered Design Platform Team Balanced Team Site Reliability Engineering Extreme Programming Lean Product Management まずは僕らがBalanced teamと 呼んでいる考え方から。

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Platform Teamをつくる Viability 経済性 Desirability ユーザー体験 Feasibility 実現可能性 Product 専任のPM(PdM) Platform Champion + 専任のEngineer PM Engineer チームには、専任のProduct Manager と専任のエンジニアを置くことを推奨してい ます。 エンジニアがFeasibility, PMが Desirability, Viabilityを担います。 ※ 一般のプロダクト開発においてはUXを 専任のDesignerに任せることが多いです が、プラットフォームでは一旦PMに担わせ ます

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Product Manager 『どうやるか』ではなく『何をすべきか』を定義する人。 フルタイムのメンバーであり、戦略の策定、機能バックログの管理、データを元にした意思決定などで、プ ロダクトの方向性を決める - “Dreamer” - 古い考えやプロセスに囚われず、『何故?』を 突き詰められる人 - “Alchemist” - たくさんの要件をシンプルなビジョンに落とし込める人 - “Influencer” - ビジネスパートナー、開発者、ITと 強いつながりを 持っている人 - “Minimalist” - 素早くプロダクトをリリースする価値を理解している人

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いかなる時であっても兼任はNG Platform TeamのエンジニアとPMは必ず専任であること。 - プロダクトを維持し、成長させるにはチームメンバーの献身が必須 - 片手間で力を貸すやり方では機能しない - 人の稼働は算数できません これは繰り返し言いたいことなのですが、 人の稼働は算数じゃないです。50%稼働の人を3 人連れてきても1.5人分の仕事が出来るなんてこと はありません。

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Platform Champion Platform as a Productを進める際に、Platform teamを育て、 守っていくための意思と権限を持っている人。 Platform Teamとはパートタイムで関わる。 - CxOレベルの人、もしくは近い人 - 社内起業や組織変革の実績がある人 - 会話を 『○○が問題だ』 から 『どうすれば良くなるのか』 に 変えられる人 - プラットフォームの価値を理解し、明確にし、社内に伝えられる人

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Q. 社内にPMが居ないんだけど・・・ PM不足はどの組織にも共通する課題。現実問題、プロダクトマネジメントを 行ってこなかった組織がいきなりベテランPMを用意するのは困難。 必要なのは肩書きとしてのPMではなく、PMの適性を持ったチームメンバー。 エンジニアの中からPMのような振る舞いをするメンバーを選定するのも手。 技術とドメイン知識を持ったPMはとても貴重なので、それはそれで良いPMに なり得るのです。

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Q. 専任メンバーを用意できないんだけど・・・ そのためにPlatform Championがいる。 Platform Championがチームを守り、育てるための人のアサインと意思 決定を行っていく。 権限をもつ人が居ない場合、Platform as a Productの実践は困難。

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価値のある プロダクト 仮説 検証 実装 User Centered Design Platform Team Balanced Team Site Reliability Engineering Extreme Programming Lean Product Management

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Platformのビジョンを定める Vision アプリケーションの変更回数が多くなっても、ワークロードが短期間に変化しても、 一貫したスピードと品質を提供できるプラットフォーム Goal / Anti-Goal Goal ● 開発者がセルフサービスでアプリをデプロイできる ● 開発者のテストとデプロイに関するワークフローを自動化 ● プラットフォームチームに依存することなく、自由にリソースを変更できる Non-Goal ● 抽象化の無いIaaS領域の自動化 目標と成果指標の計測のため、 OKR (Objectives and Key Results) の導入もあり やらないことを決めるの 超重要 達成度合いの計測 超重要

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ユーザーインタビューをする 価値のあるプロダクトとなるには、顧客の課題を解決できるプロダクトでなけ ればいけない。 ユーザーに直接インタビューを行い、何が必要とされているのか分析していく べし。 インタビューの際には、何が欲しいか を聞くのではなく、 何に困っているか(ペ インポイント) を中心に聞くと良い

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ユーザーストーリーで考える What (何をやるのか) 開発者がPull Requestをマージすると、自動でステージングにリリースされるようにする Why (何故やるのか) 開発者として GitHubでPull Requestがマージされると、自動でコンテナイメージをビルドし、ステージ ング環境にデプロイされるようにしたい。 なぜなら、デリバリーに関する全ての作業を開発者が意識することなく行いたいから だ (顧客価値) チケット管理システムを導入している人 は多いと思いますが、やることをそのま まチケットにしていませんか? そうではなく『誰にとって』『どういう価値 があるか』を書いていくのです。

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ペルソナを作る 先ほどの例だと『開発者』と書いたが、ここはペルソナを作るべき。 ペルソナを作ることで、ターゲットのブレを抑えることができる ● バックエンドエンジニア歴 3年 ● 入社後1年間はフロントエンジニアをやっていたので、 jQueryに 関する知識もあり ● インフラはあまり詳しくない ● 毎朝9時半に出社。出来るだけ定時に帰るのが目標 ● キーボードにはこだわりがあり、自作キーボードを持ち込んで いる ● 愛車はホンダ ● いつかはインディーズゲームで一山当てたい 佐藤琢巳 バックエンド エンジニア ユーザーストーリーをより良くするには、ペル ソナを作っていきましょう。

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ペルソナを作る What (何をやるのか) 佐藤さんがPull Requestをマージすると、自動でステージングにリリースされるようにする Why (何故やるのか) 佐藤さんとして GitHubでPull Requestがマージされると、自動でコンテナイメージをビルドし、ステージ ング環境にデプロイされるようにしたい。 なぜなら、デリバリーに関する全ての作業を 佐藤さんが意識することなく行いたいから だ (顧客価値) さっきの例に当てはめるとこうなりますね

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価値のある プロダクト 仮説 検証 実装 User Centered Design Platform Team Balanced Team Site Reliability Engineering Extreme Programming Lean Product Management

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VSMを実施する Value Stream Mapping プロダクトが顧客に届くまでに必要なプロセスと時間を可視化 一カ所だけ改善しても、他にボトルネックがあ れば出力は上がりません。 こういった可視化の分析も考えましょう

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優先順位を決める どのストーリーがプロダクトにとって優先なのか、PMが中心となって決めてい く。 アジャイル開発の要素を取り入れ、相対見積もりをやっていくのも良い。 (ただ、 ソフトウェア開発より見積もり精度を出しづらい・・・)

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MVPを作る MVP(Minimum Viable Product) 顧客に価値があり、実行可能なシンプルなプロダクトを作っていく。 Cloud Nativeなプラットフォームは次々と面白い仕組みが出てくるが、欲張っ てあれこれ入れるのはNG 色々詰め込んでもプラットフォームの価値は上がりま せん。本当に必要とされているものから、 小さく作っていきましょう。

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Q. やること多くて大変そう・・・人も少ないし、時間が割けない・・・ 必要ないもの作り込む方がよっぽど時間の無駄ですよ? このループを早く回していくことが、結果として一番の時間の節約に繋がる 計画して 小さく作って 検証して

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価値のある プロダクト 仮説 検証 実装 User Centered Design Platform Team Balanced Team Site Reliability Engineering Extreme Programming Lean Product Management

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サステナブルなチーム作りのためのXP Extreme Programming アジャイル開発の一手法。チームを作る手法としても優れている。 5つの価値 Simplicity / Communication / Feedback / Respect / Courage プラクティス - イテレーション - ペアプログラミング - みんなで所有 - 継続的インテグレーション など ここではXPの例を挙げていますが、Scrumの考え方 取り入れて実践されている場合、それはそのまま続け ていいと思います。 どちらのケースも、ただ漫然とやるのではなく、『その プラクティスにどういう意味があるか』を考えながら実 践して欲しいですけどね。

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価値のある プロダクト 仮説 検証 実装 User Centered Design Platform Team Balanced Team Site Reliability Engineering Extreme Programming Lean Product Management 顧客 Branding Marketing Customer success

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Platformの名前を決める もしあなたが一般向けにプロダクトをリリースするとき、 こういう名前を付けますか? LINEみたいなサービス作って『次世代メッセージングシステム』って名 前にしますか?しないですよね。

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Platformの名前を決める プラットフォーム (プロダクト) 開発者 (顧客) 必ず顧客がいる 顧客にプラットフォームのことを知ってもらう 新たな価値を理解してもらう 顧客の課題に寄り添う プラットフォームに名前を付けるのは遊びではない。 マーケティング・ブランディングとして 絶対に必要 たとえ社内向けであっても、必ず顧客が居るわけで す。ならば、知ってもらうためにはプラットフォームの 名前、重要です。 チームメンバーとしても、名前のあるなしで身の入り 方が結構変わります。

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GKE 互換のオンプレコンテナ基盤 AKE (Adtech Container Engine) 誕生秘話とアーキテクチャ完全公開! https://developers.cyberagent.co.jp/blog/archives/12058/ 【Team & Project】OpenStackとKubernetesを用いたVerda Platformを開発しているチームを紹介します https://engineering.linecorp.com/ja/blog/verda-platform-team/ Cyberagentの青山さんのところではAKE、LINE西脇さん のところではVerdaという名前がついています。

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Q. プラットフォームに名前を付けるの、気が引けるんだけど・・・ 気が引ける理由を考えてみよう - 偉い人にどう説明すればいいのか分からない - 余計な議論になってしまいそうで怖い - 社内にそういう文化が無くて浮きそう ⇒ 気にする先が内部に向きすぎかも。常に顧客のことを考えよう。 また、こういう意思決定のためにPlatform Championは重要。

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Enablementの支援をしていく プラットフォームが出来上がっても、それを活用できなければ意味が無 い。 - ドキュメント - ワークショップ - ヘルプデスク などを整備していき、顧客がスムーズにプラットフォームを使える仕組 みを整えていく。

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チームを分けていく おそらくEnablementに注力し始めるころから、1チームではカバーしきれな くなってくる。 しかしチームサイズを大きくするのは NG。”Two-pizza rule” 2枚のピザを 分け合えるくらいの人数)にするのが最適。 つまり、徐々にチームを責任ごとに分けていく必要性が出てくる

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Team Topologies https://teamtopologies.com/ Platform team Complicated Subsystem Team Enabling Team Stream-aligned Team Team Topologiesっていう考え方があります。今回のセッ ションでは詳しく説明出来ませんでしたが、分け方の指標にな るかなと。

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Team Topologies Platform team Stream-aligned team Stream-aligned team Stream-aligned team Stream-aligned team 支援する 一緒にやる サービスとして 提供する Enabling team Complicated subsystem team チーム間のコラボレーションも、いくつかのパターンがありま す。

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まとめ ● たとえ社内向けであっても、プラットフォームはプロダクトとして 扱っていくべき ● 良いプロダクトとは、顧客の課題を解決できるもの ● 良いプロダクトにしていくために、プロダクトマネジメントの考え方 を実践していこう

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『世界に誇れるプラットフォームチーム』って何だろう? めっちゃ高度で大規模なプラットフォームを運営しているチー ム? どれだけ最先端でも、どれだけ大規模でも、自分の顧客に価値 を提供できていなければ、良いプラットフォームとは言えない。今 回、それを学びましたね。 自分の顧客に、一番価値を提供できるプラットフォームを作れる チーム。それが、誇れるチームなんだと思います。

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併せて読みたい 独りよがりのプラットフォーム / For Whom that Platform Runs https://speakerdeck.com/toricls/for-whom-that-platform-runs Team Topologiesにみるモダンな組織編成の理論と実際 https://speakerdeck.com/toricls/for-whom-that-platform-runs 効果を出すためのクラウドネイティブ DevOpsの道のり https://www.slideshare.net/mosuke5/devops-238358794