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5分で分かった気になるDebezium joker1007

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自己紹介 joker1007 Repro inc. チーフアーキテクト 日本酒とクラフトビールが好き Asakusa.rb メンバー

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今、CDCが熱い!

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CDCって何? Change Data Captureの略称。 データの変更という事象を記録し、それを別の場所に転送する機能を指す。 CDCはRDBをデータソースとすると決まっている訳ではないが、今回はRDBへの変更 におけるCDCを中心に話をする。

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Debeziumとは CDCを実現するためのミドルウェア。 メインターゲットはRDBだが、Cassandra, MongoDB, Spannerにも対応している。 CDCの実現方法はデータベースごとに異なる。 MySQLはレプリケーションと同様の仕組みでbinlogを読むことで行う。 PostgreSQLはlogical decodingという機能に基いている。 単体でも動作できるが、Kafka Connectプラグインとして動作させるのが一般的。

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DebeziumのCDCイベント例 ペイロードサンプルが大きいのでスライドからは割愛。 https://debezium.io/documentation/reference/2.1/connectors/mysql.html#mysql- create-events

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何故CDCが必要なのか

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ユースケース1 複数のデータストアでデータを同期する

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複数のデータストアにデータを書くケースは良くある。 RDBとKafkaとCassandraとElasticSearchに一緒に書きたいとか、Redisの各ノードに 伝播させたいとか。 複雑なアプリケーションには必須と言っていい。

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つまりこういう状態

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何が問題か アプリケーション側で複数のデータストアを扱うとエラーハンドリングが非常に 複雑になる。 RDBに書いた後に通信エラーでCassandraへの書き込みが失敗したら、どこ からリトライするか。 RDBのコミットをどのタイミングで確定させるか。 順序性の問題の考慮もかなり難しい。 複数のノードに渡ってRDBに書いたのと同じ順序でCassandraに書いたと保 証できるか

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Debeziumでこうなる

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嬉しい点 CDCを介することで、アプリケーション処理と各種データストアへの書き込み処 理を分離できる。アプリケーションはRDBに書くだけ。 パーティショニングキーの選択が正しければ順序もRDBのトランザクションの通 りに確実に処理できる。 Kafkaのレコードを受け取って書き込む簡単なアプリを書くだけ。エラーが起きた ら1プロセス内の単純なリトライで済む。Kafka Connectで完結できるなら自分で 何かを書く必要すら無い場合もある。 複雑な制御をアプリケーションで頑張るのではなく構造とミドルウェアでカバーす る。

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その他の応用 BigQueryなどのDWHの場合はRDBと同時に即時書き込みをするのが合わないケース もある。 そういった場合に書き込みペースを容易にコントロールすることもできる。 Kafkaに貯めておいて、必要な時にまとめてloadすれば良い。

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ユースケース2 マイクロサービスのトリガイベント

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CDCのイベントでサービスを起動する CDCのイベントはイベント駆動マイクロサービスのトリガとして利用できる。 例えば受注ステータスの変更をRDBで更新するだけで、そのイベントを発送サービス が受け取るといったことができる。 DebeziumならKafkaに入るので、そのイベントは保存期間中は複数サービスで何度も 再取得できる。

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何が嬉しいのか イベント駆動のマイクロサービスの利点は、疎結合に作り易いこと、そして複数の サービスをトリガしやすいこと。 Debeziumを介することで、アプリケーション側はRDBに書くという普通のWebアプリ ケーションと同じことをやるだけで、複数のサービスを協調して動かす基盤が出来 る。

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設計上の注意 こういうアーキテクチャを採用する際は、Fire and Forgetの原則とCQRSを意識できる 様になると良い。 データの流れを大きなサイクルとして捉え、一方向にデータが流れる様に工夫するこ と。 書き込みの責任を負うのは原則一箇所のみ。 私見だが、読み書きの責任範囲が明確に分かっていれば、データストアを共有しても それなりにマイクロサービスの制御は効くと思っている。

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CDCとイベントベースアーキテクチャの利点 データの変更履歴を維持しやすいため、監査性が高いシステムが構築できる (保持 し続けるのには一定のコストがかかるものの) RDBのトランザクションログがイベントソースになるため、Kafkaと組み合わせる ことでパフォーマンスと順序の整合性を両立できる。 分散トランザクションの問題を回避しつつ、スケーラブルな分散システムを構築 する基盤になる ストリーム処理へのデータ投入を意識しなくて良くなり、リードタイムの短い集 計基盤を作るための導入として最適

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Railsとの相性の良さ RailsはRDBの扱いに非常に優れている。 RDBを触るだけなら正しく作れば非常にシンプルなコードになる。 アプリケーションが複雑化する要因として、ロジックとは直接関係がないデータ同期 や非同期処理のトリガ・エラーハンドリングなどの要素が少なくない。 Debeziumと組み合わせることでRailsは得意なRDBの処理に集中でき、コードがシンプ ルになる。 アプリケーションエンジニアはActiveRecordを触っているだけで、分散ストリーム基 盤へのデータ投入が可能になる。

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CDCとそれを実現するDebeziumの良さを 完全に理解しましたね

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CDCやKafkaを使ったデータ指向なアプリケーション を開発したくなりましたが? Reproという会社がエンジニアを募集しているらしい ですよ!