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An artificial intelligence-enabled ECG algorithm for the identification of patients with atrial fibrillation during sinus rhythm AI対応心電図は洞調律から心房細動を 検出できるか

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著者 Author Zachi I Attia, Peter A Noseworthy, Francisco Lopez-Jimenez, Samuel J Asirvatham,Abhishek J Deshmukh, Bernard J Gersh, Rickey E Carter, Xiaoxi Yao, Alejandro A Rabinstein, Brad J Erickson, Suraj Kapa, Paul A Friedman

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Introduction ⼼房細動はコモンな疾患であり脳卒中のリスクと関連がある。 しかし、⼼房細動を従来の⼼電図で判読することは困難な場合が多い。 従来の⼼電図の難点→瞬間的な不整脈の診断率が低い, ⻑時間のモニタリングが必要になる(侵襲性⾼い) 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を⽤いることで、 ⼈間の⽬には追えない微妙な変化を発⾒することができるのでは?

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⼼房細動とは?

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⼼房細動を伴う脳卒中や⼀過性虚⾎発作は全体の原因の30%を占める。 ESUSの多くは⼼房細動が起因していることが多いが、 ⻑期的なモニタリングをしないと⼼房細動を発⾒しにくく費⽤もかかり侵襲的である。 そのため、経験的治療として抗凝固薬を投与することがある。 しかし、 抗凝固薬の副作⽤として脳出⾎を引き起こす恐れがある。 ESUS(embolic stroke of undetermined source) 脳卒中の1/3は原因不明 ⼼房細動になりそうな患者をAIによって特定できれば、集中的なモニタリングが必要なESUSの患者を 素早く判断でき、抗凝固薬の恩恵を受けられる患者を特定できる!?

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⼼房細動を発症した患者は、⼀⾒正常な⼼臓であっても⼼房不整脈の 素因となる⼼房の構造的変化があるという証拠が増えてきている。 (⼼筋細胞の肥⼤、線維化、⼼室肥⼤など) 仮説 ⼼房細動の既往歴のある患者(=⼼房の構造学的変化がある患者)の ⼀⾒正常に⾒える⼼電図もAIに学習させれば微妙な所⾒を識別できる ようになるはず ⼼房細動を起こした患者の⼼房は構造が変化している??

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研究⽅法 Methods P:1993年12⽉31⽇から2017年7⽉21⽇までの期間に、Mayo Clinicで仰臥位で1回以上、 10秒間の12誘導⼼電図検査を受けて、正常洞調律と判断されていた18歳以上の⼼電図を⽤いた。 正解ラベルは医師の監督の元、訓練された技術者によりオーバーリードを⾏った E: 『⼼房細動陽性の患者で⼼電図データの中に⼀つでも⼼房細動の記載がある患者』と C: 『⼼房細動陰性の患者で⼼房細動に関する記録が⼀切ない患者』に分類した。 O:⼼房細動の有無 以下の患者(⼼電図)は除外 洞調律を記録していない⼼電図 未検証の⼼房細動とされた⼼電図 データが⽋損している⼼電図 解析対象期間外の⼼電図 Study design and Participants 後ろ向きコホート研究

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training(訓練), internal validation(検証), testing(試験)の3つのデータセットに 7:1:2でランダムに割付しC N Nを搭載したAIに読み込ませる。 Randomization 454789件/126526⼈ 64340件/18116⼈ 130802件/36280⼈ ⼼電図の件数と⼈数 訓練データ 検証データ テストデータ 合計 649931件/180922⼈

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CNNの仕組み

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AIによる⼼電図解析の対象とした期間

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結果 Results 主要アウトカム:AI搭載⼼電図での⼼房細動同定能⼒ ROC曲線のAUC、感度、特異度、精度、F1スコアで評価 ⼆次解析 ⼼房細動が初めて記録される前の1カ⽉間に得られた 複数回の⼼電図をすべて分析対象 ⼼房細動の⼼電図が記録された後の洞調律を含めた ⼆次解析も⾏った。(今回の論⽂にはデータなし)

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79.0%(77.5-80.4) 79.5%(79.0-79.9) 39.2%(38.1-40.3) 79.4%(79.0-79.9) 82.3%(80.9-83.6) 83.4%(83.0-83.8) 45.4%(44.2-46.5) 83.3%(83.0-83.7) 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 感度 特異度 F1スコア 精度 ⼆次解析 ⼀次解析 *()は95%CIを表す。

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ROC曲線

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考察 Discussion AUC=0.9は ・⼼不全の診断マーカーに⽤いられるBNP(AUC=0.60〜0.70)、 ・⼦宮頸癌に対する Papanicolaou染⾊(AUC=0.7)、 ・脳卒中リスクに対するCHADS2 score(AUC=0.57〜0.72) などと⽐較しても良好 1,AUCの評価

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カットオフ値を変更することで ・感度⾼くすると、脳卒中後の⼼房細動のモニタリング必要としない患者の除外 ・特異度⾼くすると、検査前に⼼房細動の確率が低い健康な⼈の診断ができる バイオマーカーとしての役割 ⼼房細動検出とHbA1cとの⽐較 隠れた⼼房細動が⾒つかっても症状が出るかは分からない=HbA1c⾼くても症状出るかは分からない しかし、 HbA1cの上昇が、孤⽴した正常な空腹時グルコースの値を持つ患者の糖尿病を検出できるように、 AI を⽤いた⼼電図は、正常な洞調律中の患者の隠れた⼼房細動を検出することができるようになる。 2,今後の展望

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(例) ・⼼房細動患者の3分の1近くが、⼼電図上では明らかな洞調律にもかかわらず、左⼼房の⾮洞収縮を認めている。 ・経⾷道⼼エコー検査を受けた患者の 4 分の 1 近くに、⼼電図上では明らかな洞調律にもかかわらず、 左⼼房細動が認められた。 このことから、 ⼼電図上の⼩波レット(f波)が観察可能な P 波よりも⼩さいことが、 これらの患者の局所的な⾮洞性電気活動を反映している。 3,AI⼼電図の必要性 従来の⼼電図上の写す正常な洞調律は⼼房機能全体を反映していない可能性がある。 CNN技術を搭載したAI⼼電図を⽤いれば、そのような特徴を識別するのに⼗分な⼒を持っている可能性がある。

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AIアルゴリズムを低コストで広く利⽤可能な技術に変換することができる 例:スマホで⼼電図測定

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既存のCNNの重要な制限は “説明可能性”の有無 Limitation 何かを学んでいるはずだが、何を学んでいるかはよくわからない状態が現状

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今回の研究で⼼房細動が確認されていない場合、⼼房細動陰性とみなした。 しかし、その中には⼼房細動が未発⾒の患者がいて、その結果、誤ったラベル付けをされた可能性がある (AIで診たら、⼼房細動と検出された可能性がある患者) Limitation

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より広範な、表向きは健康な集団のスクリーニングへの適⽤が正当化される(外的妥当性を得る) ためには前向き研究を⾏い、予測と実際のデータの差を埋める必要がある。 今回⽤いられたAI⼼電図は⼀般集団における患者の⼼房細動を予測することよりも、 臨床的に指定された⼼電図における後ろ向きコホート研究患者の⼼房細動を導出する (内的妥当性を得る)ために訓練されていた。 Conclusion 有病率が⼀般集団より⾼い可能性がある

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Conclusion ・AI を⽤いて正常な洞調律中に⼼電図を取得することで、⼼房細動の可能性が ⾼い患者をポイント・オブ・ケアで識別することができる。 ・この結果は、⼼房細動のスクリーニングや原因不明の脳卒中患者の管理に 重要な意味を持つ可能性がある。

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研究法に関する考察

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問題点:選択バイアス ⼼房細動患者の⼼電図と、24年間の研究期間中に⼼房細動を発症していない ⽐較的若い対照群の⼼電図を⽐較した。 ⼀過性脳虚⾎発作や脳卒中の患者のほとんどは70歳以上の⾼齢者であり、 ある程度の⼼臓病を有していることが多く、 数年後に因果関係のない⼼房細動を発症するリスクが⾼い その結果、これらの患者の⼼電図は⼼房細動に関連していると考えられる。

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問題点:測定バイアス ⼼房細動を発症していないが、少なくとも1回の⼼電図を有する者と、 少なくとも2回の⼼電図を有する者(1回は⼼房細動を有する者、もう1回は31⽇以内に⼼電図を有する者) をモデルに使⽤した。 さらに、24年間に⼼房細動を発症しなかった⼈のグループの分析では、最初の⼼電図のみを含めた。 このような⻑い間隔の間に、⼼電図装置のモデルや設定の変更により、微妙な信号特性が変化した可能性がある。 したがって、今回のモデルは⼼房細動を検出するのではなくむしろ、 複数回の⼼電図や最近の⼼電図を撮影した個⼈を検出している可能性がある。 ⼆つ⽬ 著者らは⼼房細動が陽性または陰性の患者について、⼼拍数、Q波、左室肥⼤、左房肥⼤、PR間隔、 P波振幅、P波持続時間、P波の軸などの⼀般的な⼼電図異常と年齢、性別、⼈種などの基本的な⼈⼝統計学的特徴 を報告していない。

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参考⽂献・引⽤ ⼼房細動と付き合うには http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph99.html Attia ZI Kapa S Lopez-Jimenez F et al. Screening for cardiac contractile dysfunction using an artificial intelligence-enabled electrocardiogram. Nature Med. 2019; 25: 70-74 Schnabel RB Yin X Gona P et al. 50 year trends in atrial fibrillation prevalence, incidence, risk factors, and mortality in the Framingham Heart Study: a cohort study. Lancet. 2015; 386: 154-162 Norberg J Backstrom S Jansson JH Johansson L Estimating the prevalence of atrial fibrillation in a general population using validated electronic health data. Clin Epidemiol. 2013; 5: 475-481 Kottkamp H Human atrial fibrillation substrate: towards a specific fibrotic atrial cardiomyopathy. Eur Heart J. 2013; 34: 2731-2738