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CircleCI の有料プランを 導入するためにやったこと 岡部恭平 / CO-OP Sapporo 2021.11.24 / 【オンライン】【自動化何でも LT大会編】CircleCI コミュニティミートアップ

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自己紹介 生活協同組合コープさっぽろ デジタル推進本部 システム部 エンジニア 岡部恭平 @okabeeeat Webアプリケーションエンジニア

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最近 Advent Calendar、実施します!!! https://adventar.org/calendars/6263

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本日話すこと ● CircleCIの有料プランをどのようにチーム・部内で提案し、導入したのかをお話ししま す ● 本発表の主な対象者 ○ CI/CDサービスに興味がある方 ○ 有料のサービス・ツールを導入しようにも何をすれば良いのかわからない方 ● 話さないこと ○ CircleCI の具体的な機能やTipsについて

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つまりこういう人が対象 自分 そろそろ CircleCI を 有料プランにしたいなぁ ... まぁ偉い人が良い感じに やってくれるだろう...

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つまりこういう人が対象 自分 え!? 私が導入するんですか !? 何すれば良いかわからない ...

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目次 ● 背景 ● 導入までにやったこと ● 所感・今後 ● まとめ

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背景 ● CI/CDとして CircleCI を利用している ● プランは Free (2021年4月当時) ○ 週に 2,500 分のビルドが可能 ○ iOSのビルドは不可 CI/CDとは? ※継続的インテグレーションと継続的デリバリーまたは継続的デプロイ のいずれかを組み合わせたプラクティスを指す。 CI / CDは、アプリケーションの構築、テスト、および展開の自動化を実施することにより、開発および 運用アクティビティとチームの間のギャップを埋める。 ※引用: CI/CD(Wikipedia)

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沢山テスト・ビルド・リリースやってます リリース テスト 実行 リリース リリース リリース

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ある日... Free プランの使用量を越える ...

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つまり...

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No content

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つまり...

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みたいなものを作る...!?

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そして1件のメールが... CircleCI Japan です。 有料プランいかがですか?

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色々あって私が導入を進めることに... こういうのやったこと無いけど ...まぁ...何 とかなるしょ!!

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導入までにやったこと 1. 実現したいことの整理 2. チーム内で合意を得る a. CI/CDサービスの調査 b. CircleCI Japan とのMTG c. GitHub リポジトリの調査 d. その他調査したこと e. チームへ提案する 3. 部内で合意を得る(稟議に相当するもの) a. 上長に軽く相談 b. 部内向けの提案資料を作成 c. 部内で提案・申請する 4. 有料プランを申し込む ※実際の部内のルール(進め方)・資料の内容は本ミートアップ用に一部変更しております

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実現したいことの整理

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実現したいことの整理 テキストや GitHub の issue などで整理する

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チーム内での合意を得る

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CI/CDサービスの調査 ● 候補となるCI/CDサービスを調査 ○ CircleCI と GitHub Actions Team(プラン) を比較

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CircleCI Japan とのMTG MTGで以下の内容を確認・質問をした ● Freeプランと有料プランの違い ○ ビルド時間 ○ ビルドできるOSの種類 ○ 利用できるコンピュートエンジンの違い ● 有料プランの種類 ○ Performanceプラン(従量課金) ○ Performanceプラン(年間プラン) ■ 年間1千万クレジット(使用量)が利用できる ■ $6,000/年 ● 他に質問した内容 ○ 「クレジット」・「アクティブユーザー」の定義の確認 ○ 直接の契約と代理店経由での契約の違い ○ 1アクティブユーザあたりの消費クレジット数の確認

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従量課金か年間プランか ウチはどっちが良いでしょうか ...? CircleCI Japan なんとも言えないですね ... 他社さんではCTOの方が良い感じに 決めているとよく聞きます ...

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とりあえず1ヶ月試す方向で検討することに... (え...そうなの!?)判断につい ての知見などはヒアリングさ れていますでしょうか? わからないですね... あ!1ヶ月トライアルで動かしてみて決 めるのはいかがでしょう? ただし、1ヶ月のトライアルは有料プラ ンの契約が前提となります CircleCI Japan わかりました

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● CircleCIでの想定される消費クレジット数などを見積もるために GtiHub オーガニゼーションで主 に以下を確認 ○ リポジトリ数や直近のコントリビューター数 ○ CircleCI を設定しているリポジトリ数 ○ GitHub API(octokit.rb を利用)利用し、リポジトリ数や利用している言語や設定ファイルの 利用状況を確認 ● わかったことはスプレッドシートにメモし、グラフを作成 (以下は例) 利用プログラミング言語・ファイルの割合 GitHub リポジトリの調査 ・ ・ ・ グラフ化

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GitHub リポジトリの調査 ・ ・ ・ グラフ化 グラフ化 月毎のリポジトリ作成数 CircleCI の設定リポジトリ数

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その他調査したこと ● 利用するチームメンバー数の確認 ○ 直近3〜6ヶ月で新しく入るメンバーも含める ● チームメンバーのCI/CD利用経験・スキルなどの確認

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CI/CDサービスを選定 調査したことに加え、下記の観点でCI/CDサービスは CircleCI に決定 ● 主に(現時点での)開発で利用する言語・ファイルのビルドの時間 ○ Node.js, yml, Python ● ダッシュボード機能がある ○ 各リポジトリのデプロイ・リリース状況を把握できる ● CircleCI の経験者の割合が多い ● 社内のデプロイツールを有効活用できる

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チームへ提案する ● 今までに調査したことをドキュメントにまとめる ○ ADR(Architecture Decision Records)のフォーマットを 参考にした ● ある程度まとまったらチームへ提案し、合意を得る ○ フィードバックがあれば修正する

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大事なのはここから...

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部内で合意を得る

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• 部内で提案・申請前に上長(キーマンになりそうな人)にここまでやったことの共有と 相談を軽くしておく • 1on1や雑談(通りかかった際)などを上手く利用する 上長に軽く相談 CircleCI というCI/CDサービス の有料プランを導入したいと 思っておりまして... 本部長

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上長に軽く相談 そうなんだ!全然良いんだけど提案する時は ちゃんと「数字」を使ってね!! 「ROI」とかがキーワードになるかな 本部長

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上長に軽く相談 数字!?...すうじ? 「ROI」はちょっと聞いたことある ... 本部長

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ROI(投資利益率) 企業の収益性を測る指標のひとつで、投下資本に対する利益の割合のこと。 英語表記「Return on Investment」の略でROIともいいます。 投資に見合った利益を生んでいるかを判断します。 ※引用: わかりやすい用語集 解説:投資利益率(とうしりえきりつ) | 三井住友DSアセットマネジメント

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つまりこのままだと... 提案しま〜す 本部長 部内メンバー

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おそらくこうなる そんな〜 違う、そうじゃない 本部長 部内メンバー 違う、そうじゃない なんかすごくて便利そうな のはわかるけど ...

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ここらへんで挫折しかける... どうしよう... 別にCI/CDサービスを導入しても 儲かるわけじゃないからな ...

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ググってもあまりわからず...

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たまたま弊協の note を眺めていると... 引用: https://dx.sapporo.coop/n/n45cbc47c059e

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これだ!

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「作業時間」に着目する ROIの「利益」の部分を「作業時間」に置き換えて考えてみる アプリケーションのデプロイ作業の時間を計算してみる 1. 手動でのデプロイ作業の人数・手順・時間を算出 2. CircleCI を導入後のデプロイ作業の人数・手順・時間を算出 3. どれだけ時間短縮ができたかを計算 4. 1ヶ月にデプロイ作業が何回発生するかを数える 5. 12ヶ月で計算し、年間の作業時間を計算

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絵でまとめてみる

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さらに リポジトリ(35個) 期待できる年間でのリリース作業の削減時間 35リポジトリ × 220 分 × 12ヶ月 = 92400分 / 60分 =年間1540時間の削減 ※リポジトリ数は5(CircleCI を設定済みのリポジトリ数 ) + 6(「今後設定予定」及び「設定の検討予定」のリポジトリ数の合計 ) + 24 リポジトリ(1 年間で増えると想定したリポジトリ数 ) で計算。

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結構すごい!?

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部内向けの提案資料を作成 ● 「背景」「目的」「効果」「料金プラン」「導入までのスケジュール」などをまとめたドキュ メントを書く ○ 今までに調査したことや作成したドキュメント上手く利用する ○ 従量課金プランか年間プランのどちらにするのかは 1ヶ月のトライアル期間で決める旨も記 入 ● あくまで「ROI」を意識した資料を作る ○ CircleCI の機能等の技術的な話はなるべく削る

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作成した提案資料をもとに、再度相談した結果... 部内向けの提案資料を作成 ありがとうございます! (やったぜ!!) 内容わかりました 申請上げていいよー 本部長

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部内での提案・申請も無事OKを貰った 部内向けの提案資料を作成 ありがとうございます! (やったぜ!!) OKです! 部内メンバー

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1ヶ月のトライアルを実施 ● 積極的にテスト・ビルド・リリースをするようチームメンバーへ連絡 ● やりたいことを自由に検証する ○ iOS のビルドの検証 ○ 利用できるリソースクラスをMAXにし、実行時間が短縮されるかの確認 ■ 実行時間はあまり短縮されなかった ...

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トライアルの結果を基にプランを決定 なるほど! CircleCI Japan この結果だと... 年間プランの方が合ってそう ですね!!

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そして... 🎉無事、有料プランになりました🎉

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所感・今後 所感 ● サービスやツールを導入するのは大変! ○ 部内向け資料は「何をすれば良いのかがわからない」からのスタートだった ● 「数字」にすると色々なことがわかってくる ○ 収益、作業時間、リードタイム、工数など様々 ○ 自分なりの考え方で良いので「数字」に落とし込んでみる ○ 「辛い」・「楽」などの主観的な情報ではなく客観的な情報になる ○ 新たな提案手法が身に付いた ● エンジニアに関わらず「数字」に落とし込む力をもっと上げていきたい ○ どのように皆さんが数字にする力訓練・学習しているか知りたくなった 今後 ● CircleCI の利用リポジトリの拡大

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まとめ ● CircleCI のFreeプランの利用枠を越えた ● 有料のCI/CDサービスについて調査をした ● CircleCI の有料プラン導入をチームと部へ提案した ○ 提案資料は「数字」を意識した ● CircleCI の有料プラン(年間プラン)を導入した

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参考 • octokit.rb • https://github.com/octokit/octokit.rb • Architectural Decision Records • https://adr.github.io/

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ご清聴ありがとうございました