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フルリモートワークは エンジニアの夢を 叶えたか︖ 2024/7/17 KDDI株式会社 IoT技術本部IoT技術部 ⼤橋 衛

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Xへの投稿の際は、 ハッシュタグ #cm_odyssey でお願いいたします。 2 お願い

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KDDI株式会社 コア技術統括本部IoT技術本部IoT技術部 エキスパート ⼤橋 衛 2016年KDDI⼊社。社内にクラウド活⽤推進 専任組織(CCoE)を⽴上げ、クラウド利活⽤ やセキュリティ制度改訂、カルチャー変⾰を 推進。2022年より2年間の⼦会社出向を経て KDDIに帰任。 現在はエキスパート職として法⼈向けIoT サービスのアーキテクチャ設計⽀援を担当。 KDDI ⼤橋衛 3 /ohashi.mamoru @mamohacy 第009004号 KDDIの事例 として寄稿

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アジェンダ リモートワークとは︖ ワークスタイルの変遷 Style①︓フル出社 Style②︓フルリモートワーク Style③︓ハイブリッドワーク リモートワークはエンジニアの夢を叶えたか︖ 4

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【ICE BREAK】 リモートワーク/テレワーク /在宅勤務の違い 5

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在宅勤務とリモートワークの違い 在宅勤務 ︓ リモートワーク︓

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在宅勤務とリモートワークの違い 在宅勤務 ︓仕事を⾃宅に持ち帰って⾏う リモートワーク︓仕事を職場以外の遠隔地で⾏う (テレワーク) 総務省では表現をこちらに統⼀

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在宅勤務とリモートワークの違い 引⽤元︓https://www.freshvoice.net/knowledge/basic/9277/

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在宅勤務とリモートワークの違い ここだけしか認めない のはリモートワーク とは呼べない 引⽤元︓https://www.freshvoice.net/knowledge/basic/9277/

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私のワークスタイルの変遷 10

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ワークスタイルの変遷 フル出社 フルリモート ハイブリッド 2020年3⽉ ▼ 2024年6⽉ ▼

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ワークスタイルの変遷 フル出社 フルリモート ハイブリッド 2024年5⽉ ▼ 2020年3⽉ ▼

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Style①︓フル出社 ● 週5⽇出社... ○ 技術コミュニティ活動三昧 ○ 毎⽇終電(22:47東京駅発) ● 新幹線通勤 ○ 必ず座れる/電源ある/机ある ○ 勉強/読書/調査/ハンズオンetc、、 ● リモートワークも可 ○ 利⽤には上⻑への申請が必要 ○ ほぼ利⽤されていなかった ⽉ ⽕ ⽔ ⽊ ⾦ 出 社 出 社 出 社 出 社 出 社

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フル出社の"つらみ" ● 家族と会えるのはほぼ週末 ● 慢性的な睡眠不⾜ ● 地元のことは何も分からない

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リモートワークなら全てを救う︖ ● いちエンジニアとして リモートワークはずっと “憧れ"だった ● 家族との時間、睡眠不⾜、 地元との関わり、etc ● きっとすべての問題が 解決する︕

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リモートワークなら全てを救う︖ ● いちエンジニアとして リモートワークはずっと “憧れ"だった ● 家族との時間、睡眠不⾜、 地元との関わり、etc ● きっとすべての問題が 解決する︕ ・・・はずだった

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ワークスタイルの変遷 フル出社 フルリモート ハイブリッド 2024年6⽉ ▼ 2020年3⽉ ▼

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Style②︓フルリモートワーク ● 週0⽇出社︕ ● 勤務場所に⼤きな制限なし︕ ● ワーケーションもOK︕ (しかも補助制度付き) ⽉ ⽕ ⽔ ⽊ ⾦ リ モ % ト リ モ % ト リ モ % ト リ モ % ト リ モ % ト

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仕事⾯では ● 『Slackに出社する』という全く新しい概念 ● すべてオンラインで解決できるが、⾃分だけ が取り残されている感がないよう丁寧にイベ ントを設計 ● ⽇本全国どこにいても⾃宅/会社と同じように 働ける環境と⽂化が全て揃っている

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KDDI Agile Development Center Corporation 21 とある社員の1⽇の流れ(フルリモートワーク導⼊前) 今⽇の予定と タスクを確認 出社していれば チームメンバーと⼀緒に ⻁ノ⾨でランチ︕ 開発は主にペア・モブプログラミン グでコードを書く コードレビューも⾏う 13時 17時 10時 14時 週3回ほどプロジェクトの ミーティング プロジェクト外ミーティング・技術 系イベントもある 進捗共有 困りごと相談 振り返り 18時30分 退勤 特にやることがなければ 好きな⾔語・資格を 勉強 メールチェック 朝会 開発・ミーティング お昼休憩 開発・ミーティング ⼣会 社内業務 ⾃習時間

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KDDI Agile Development Center Corporation 22 とある社員の1⽇の流れ(フルリモートワーク導⼊前) ⼊社2年⽬エンジニアの1⽇の流れ 今⽇の予定と タスクを確認 出社していれば チームメンバーと⼀緒に ⻁ノ⾨でランチ︕ 開発は主にペア・モブプログラミン グでコードを書く コードレビューも⾏う 13時 17時 10時 14時 週3回ほどプロジェクトの ミーティング プロジェクト外ミーティング・技術 系イベントもある 進捗共有 困りごと相談 振り返り 18時30分 退勤 特にやることがなければ 好きな⾔語・資格を 勉強 メールチェック 朝会 開発・ミーティング お昼休憩 開発・ミーティング ⼣会 社内業務 ⾃習時間 ここを全てオフィスに集まって行っていた

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KDDI Agile Development Center Corporation 23 とある社員の1⽇の流れ(フルリモートワーク導⼊後) 今⽇の予定と タスクを確認 出社していれば チームメンバーと⼀緒に ⻁ノ⾨でランチ︕ 開発は主にペア・モブプログラミン グでコードを書く コードレビューも⾏う 13時 17時 10時 14時 週3回ほどプロジェクトの ミーティング プロジェクト外ミーティング・技術 系イベントもある 進捗共有 困りごと相談 振り返り 18時30分 退勤 特にやることがなければ 好きな⾔語・資格を 勉強 メールチェック 朝会 開発・ミーティング お昼休憩 開発・ミーティング ⼣会 社内業務 ⾃習時間

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KDDI Agile Development Center Corporation 24 とある社員の1⽇の流れ(フルリモートワーク導⼊後) 今⽇の予定と タスクを確認 出社していれば チームメンバーと⼀緒に ⻁ノ⾨でランチ︕ 開発は主にペア・モブプログラミン グでコードを書く コードレビューも⾏う 13時 17時 10時 14時 週3回ほどプロジェクトの ミーティング プロジェクト外ミーティング・技術 系イベントもある 進捗共有 困りごと相談 振り返り 18時30分 退勤 特にやることがなければ 好きな⾔語・資格を 勉強 メールチェック 朝会 開発・ミーティング お昼休憩 開発・ミーティング ⼣会 社内業務 ⾃習時間 Slack(テキストチャット)で緩く繋がりっぱなし Web会議 Web会議 Web会議 Web会議 Asana/Notion/Miroな んかも活用

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KDDI Agile Development Center Corporation 25 オンラインチーム開発⾵景 Zoom / Discord / Slack / Miroなどの各種ツールを活⽤したオンラインチーム開発

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KDDI Agile Development Center Corporation 26 とある社員の1⽇の流れ(フルリモートワーク導⼊後) 今⽇の予定と タスクを確認 出社していれば チームメンバーと⼀緒に ⻁ノ⾨でランチ︕ 開発は主にペア・モブプログラミン グでコードを書く コードレビューも⾏う 13時 17時 10時 14時 週3回ほどプロジェクトの ミーティング プロジェクト外ミーティング・技術 系イベントもある 進捗共有 困りごと相談 振り返り 18時30分 退勤 特にやることがなければ 好きな⾔語・資格を 勉強 メールチェック 朝会 開発・ミーティング お昼休憩 開発・ミーティング ⼣会 社内業務 ⾃習時間 超高頻度の 1on1(週1ペース) 週1の交流会 レビュー会の実施 ※オフラインランチ会も 定期開催 業務外に 勉強会も!

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プライベート⾯では ● 毎朝ジョギング→クールダウンの時間を 作れた(⼀時期ジョキングが趣味に) ● 家族とほぼ毎⽇⼣⾷を⼀緒に ⾷べられるようになった ● 家族と⼀緒に旅⾏先に移動し、⽇中は ⾃分だけ仕事、みたいなことも可能に

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プライベートでは フルリモートワークによる”時間/空間的制約からの解放”をフル活⽤した

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リモートワークは “エンジニアにとっての天国” なのでは!? 29

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ところが…

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リモートワークライフを 続けて⾏く中 新たな問題が続々と発⽣ 31

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何が起こったのか︖ いろんなものが『ゼロ』になっていった コンテキストスイッチ の時間がゼロに ⾃分のための 時間がゼロに 技術系コミュニティ 活動がゼロに ジモトとシゴトの 距離がゼロに

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何が起こったのか︖ いろんなものが『ゼロ』になっていった コンテキストスイッチ の時間がゼロに ⾃分のための 時間がゼロに 技術系コミュニティ 活動がゼロに ジモトとシゴトの 距離がゼロに l いつでも0秒で 次のタスクへ l 起きている間は全て 仕事できる時間 l 頭と気持ちの切替が 全く追いつかない

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何が起こったのか︖ いろんなものが『ゼロ』になっていった コンテキストスイッチ の時間がゼロに ⾃分のための 時間がゼロに 技術系コミュニティ 活動がゼロに ジモトとシゴトの 距離がゼロに l 移動時間はほぼ別の 作業時間に変換 l ⾃⼰投資と遊びの 時間が完全消失

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何が起こったのか︖ いろんなものが『ゼロ』になっていった コンテキストスイッチ の時間がゼロに ⾃分のための 時間がゼロに 技術系コミュニティ 活動がゼロに ジモトとシゴトの 距離がゼロに l 東京に出ないことで ⼩規模なオフ会も 基本全て不参加 l オンラインだけでは コミュニティ活動と はいえない

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何が起こったのか︖ いろんなものが『ゼロ』になっていった コンテキストスイッチ の時間がゼロに ⾃分のための 時間がゼロに 技術系コミュニティ 活動がゼロに ジモトとシゴトの 距離がゼロに l 可処分時間の多くを ジモト活動に投資 l 野放図な時間投資の せいででジモトとシ ゴトの境界が どんどん曖昧に

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フルリモートワークの闇 作業場に籠もる 時間の増加 頭の切替が効かない 可処分時間の使い⽅に 物理的防波堤がない

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フルリモートワークの闇 作業場に籠もる 時間の増加 頭の切替が効かない 慢性的な酷い脳疲労 上⼿く眠れない⽇々 可処分時間の使い⽅に 物理的防波堤がない

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フルリモートワークの闇 作業場に籠もる 時間の増加 頭の切替が効かない 慢性的な酷い脳疲労 上⼿く眠れない⽇々 終わるきっかけがない 永遠に作業できてしまう 可処分時間の使い⽅に 物理的防波堤がない

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フルリモートワークの闇 作業場に籠もる 時間の増加 頭の切替が効かない 慢性的な酷い脳疲労 上⼿く眠れない⽇々 終わるきっかけがない 永遠に作業できてしまう ⾃分の場合はジモト活動 家族時間はさらに減少 可処分時間の使い⽅に 物理的防波堤がない

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その結果 41

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このままだと 本当にマズいかも… 44

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2020年3⽉ ▼ ワークスタイルの変遷 フル出社 フルリモート ハイブリッド 2024年6⽉ ▼

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Style③︓ハイブリッドワーク ⽉ ⽕ ⽔ ⽊ ⾦ リ モ % ト 出 社 出 社 出 社 リ モ % ト ● 週2〜3⽇出社 (2⽇必須/所属部⾨ルール) ● 作業場所に⼤きな制限なし ● ワーケーションも可 (ルール未整備)

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ハイブリッドワークで『復活』 終わるきっかけがない 永遠に作業できてしまう 慢性的な酷い脳疲労感 上⼿く眠れない⽇々 ⾃分の場合はジモト活動 家族時間はさらに減少

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ハイブリッドワークで『復活』 終わるきっかけがない 永遠に作業できてしまう 慢性的な酷い脳疲労感 上⼿く眠れない⽇々 ⾃分の場合はジモト活動 家族時間はさらに減少 出社>リモートにより ⽣活リズムが改善

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ハイブリッドワークで『復活』 終わるきっかけがない 永遠に作業できてしまう 慢性的な酷い脳疲労感 上⼿く眠れない⽇々 ⾃分の場合はジモト活動 家族時間はさらに減少 出社>リモートにより ⽣活リズムが改善 終電のお陰で強制終了 技術コミュ参加も復活

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ハイブリッドワークで『復活』 終わるきっかけがない 永遠に作業できてしまう 慢性的な酷い脳疲労感 上⼿く眠れない⽇々 ⾃分の場合はジモト活動 家族時間はさらに減少 出社>リモートにより ⽣活リズムが改善 終電のお陰で強制終了 技術コミュ参加も復活 出社⾏為が防波堤に ⼼の余裕で休⽇が楽しく

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ハイブリッドワークで『復活』 終わるきっかけがない 永遠に作業できてしまう 慢性的な酷い脳疲労感 上⼿く眠れない⽇々 家族との時間が さらに取れなくなった 出社>リモートにより ⽣活リズムが改善 終電のお陰で強制終了 技術コミュ参加も復活 リモート⽇は⼣⾷も ワーケーションも活⽤ (私の場合は) フルリモートからハイブリッドに切り替えたことで ⼈間らしい⽣活と精神状態を取り戻せた

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私が得た教訓 ● 何事も100%に振り切るのは良くない バランス⼤切 ● ⼈が⼈としてまっとうな⽣活を送るためには 「⾃律型制約」と「防波堤」の存在が⾮常に重要 ● サボりグセが直らない⼈は当然のこととして 責任感が強い⼈や好奇⼼が強い⼈も フルリモートワークには向いていない

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フルリモートワークは エンジニアの夢を 叶えたか︖

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Final Answer 答えは YES︕But.. ①フルリモートワークは万⼈に向いていないことを⼼得るべし ②切替のしかけを⾃分で作って”ゆるい制約”をつけよ ③リモートのほうが⾮効率な作業は貴⽅が思うよりずっと多い

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Final Answer 答えは YES︕But.. ①フルリモートワークは万⼈に向いていないことを⼼得るべし ②切替のしかけを⾃分で作って”ゆるい制約”をつけよ ③リモートのほうが⾮効率な作業は貴⽅が思うよりずっと多い l 仕事の種類よりも個⼈の性格に強く依存 l リモートワークは⼿段=ワークスタイルの1つ l ⾃分にあう働き⽅を⾃分で選べばいい

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Final Answer 答えは YES︕But.. ①フルリモートワークは万⼈に向いていないことを⼼得るべし ②切替のしかけを⾃分で作って”ゆるい制約”をつけよ ③リモートのほうが⾮効率な作業は貴⽅が思うよりずっと多い l ⾃律的型制約≒⽣活リズム/活動を不定期にさせない l 防波堤=物理的な移動や出社などで「壁」を創る l 個⼈の根性や意識に依存しない仕組みを創っておく

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Final Answer 答えは YES︕But.. ①フルリモートワークは万⼈に向いていないことを⼼得るべし ②切替のしかけを⾃分で作って”ゆるい制約”をつけよ ③リモートのほうが⾮効率な作業は貴⽅が思うよりずっと多い l 「対⾯で議論する」ことだけがオフラインの価値ではない l 価値感/⽅向性の共通認識が出来るまでは宿泊してもいい

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リモートワークは ⽤法・⽤量を守って 正しく使いましょう

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