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GAE を利用した ゲーム内通貨管理サービスの運用 可用性を損なわないための工夫 酒とゲームとインフラと GCP 第10回

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自己紹介 @sachaos (サカオスと読みま す)Twitter, GitHub やってます 所属: 株式会社アカツキ 技術基盤開発チーム 仕事: GCP, Go キーボードレンタル業 最近あったつらいこと : Cloud Next 19 に参加して パスポートを紛失しました

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ゲーム内通貨管理サービスの概要

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ゲーム内通貨管理サービスの概要 ● ゲーム内通貨(いわゆる石)を管理する ● ストア(Apple App Store, Google Play Store)で発行されたレシートの検証 無償・有償を含むゲーム内通貨の残高の管理 ● 複数のゲームにまたがって利用される

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サービスの概観図 Cloud Datastore App Engine BigQuery ゲームプロジェクトA ゲームプロジェクトB ゲーム内通貨管理サービス 石の消費・付与・購入 ログの送信 プレイヤーの石の残高 使用済みレシートなどを管理 石の残高の問い合わせ レシートの検証 石を増減させる

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サービスの特に重要な要件 ● 石の購入、付与、消費トランザクションのログの完全性 ○ 売上の計算、資金決済法の供託金の計算のため ○ ログが欠損しては正しく計算ができない ● 高可用性、高スケール性能 ○ 複数のゲームから利用されるものとなるため、高い可用性が求められる ○ ゲームのピーキーなトラフィックに耐えられるスケール性能が求められる

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サービスの特に重要な要件 ● 石の購入、付与、消費トランザクションのログの完全性 ○ 売上の計算、資金決済法の供託金の計算のため ○ ログが欠損しては正しく計算ができない ● 高可用性、高スケール性能 ○ 複数のゲームから利用されるものとなるため、高い可用性が求められる ○ ゲームのピーキーなトラフィックに耐えられるスケール性能が求められる GAE + Datastore を採用

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GAE + Datastore ● GAE: GCP が提供している PaaS の Google App Engine Datastore: GCP が提供している サーバーレスのデータベース ● GAE 99.95%, Datastore 99.9% の可用性 ● 高いスケール性能 ● Service, Version, Traffic Splitting, タスクキューなどの 運用が考えられている設計・機能

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GAE の運用における工夫 ● 多段カナリアデプロイ ● タスクキュー処理サービスのオンラインでの分離

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多段カナリアデプロイ

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カナリアデプロイ ● GAE の機能である Traffic Splitting を使用することにより バージョンごとにトラフィックを任意の割合で振り分ける事が可能 ● ゲーム通貨管理サービスでは 新しいバージョンを 1% のトラフィックをカナリアに流すようにしていた 100% 0% 99% 1% 0% 100%

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カナリアデプロイの不安要素 ● 複合的な条件で起こるバグは検知しにくい。 ● トラフィック増加によって発生する問題も検知できない。

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多段カナリアデプロイ ● 1% => 10% => 50% => 100% でカナリアデプロイを行う。 ● 1% ではAPIが正しく機能しているかを調べる ● 10% では複合的要因で発生する論理的な問題を発見する ● 50% では大規模なトラフィックで発生する問題を調べる

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動的に min_instances を設定する ● トラフィックの割合を上げる際に 適切な数のインスタンスが立ち上がっている必要がある ○ 立ち上がっていないと loading request となりレイテンシが高くなる ● トラフィックの割合を上げる前に現在立ち上がっている インスタンス数に応じた min_instances を設定することにより、 予めインスタンスを作成した上で割合をあげる ● min_instances は API を通して動的に変更可能 ○ https://github.com/gcpug/nouhau/issues/56

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タスクキュー処理サービスの オンラインでの分離

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ログの送信方法 ● push タスクキューを使用してログを非同期に BigQuery へ転送 ● push キューはそれぞれが 300/sec の頻度で捌くものを 80 個作成し 合計で 24,000/sec のログの転送を可能にしている ● Transactional Task Enqueuing を使用 ○ Datastore のトランザクションに Task のエンキュー操作を含めることができる ○ いままで 2700万レコード超をこの機構で送信したが欠損は 0 %! ○ BigQuery へ Streaming Insert する際にエラーが起こるが push キューであれば自動でリトライしてくれるので、最終的には書き込みが成功する

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ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する

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ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す 

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ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す  3. タスクキューが再度リクエスト

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ログの送信方法 概観図 1. ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す  3. タスクキューが再度リクエスト 4. タスクの処理で BigQuery への書き込みをする

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タスクキューを処理する サービスが同じことによる問題 ● BigQuery への送信という待ちが大きくなるリクエストが ゲームからのリクエストと同じリクエストキューを使用する。 ○ 不必要にゲームからのリクエストのレイテンシに影響する可能性 ● 可観測性の問題 ○ GAE のダッシュボードで確認できる指標 (レイテンシ etc)に ログ送信のタスク処理も含まれてしまう

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このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する

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このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す 

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このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す  3. タスクキューが Task Handler サービスへ リクエストする

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このようにしたい 1. default サービスが ログ吐き出しを伴う リクエストを処理する 2. ログ吐き出し処理を タスクキューへ流し レスポンスを返す  3. タスクキューが Task Handler サービスへ リクエストする 4. Task Handler サービスが BigQuery への書き込みをする

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サービスを分割する際の要求 ● オンラインで、かつログを欠損させることなくサービスの分割をしたい ● カナリアを適用して一定の割合のリクエストは 分割されたサービスを使用するようにしたい。

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オンラインでサービスを分割する戦略 1. Task の作成時にタスクを処理するHostを指定する 2. 処理する先をキューに指定する

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Task の作成時に タスクを処理するHostを指定する ● Task が処理先の Host を持つことになるので、 万が一 Host を間違えた場合 Task は永遠に滞留する ● 復旧する際には滞留した Task から手作業で BigQuery に格納するということが必要になる

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Task の作成時に タスクを処理するHostを指定する ● Task が処理先の Host を持つことになるので、 万が一 Host を間違えた場合 Task は永遠に滞留する ● 復旧する際には滞留した Task から手作業で BigQuery に格納するということが必要になる 万が一の場合の復旧に工数がかかるためボツ

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処理する先をキューに指定する ● 滞留した場合でもキューを変更することで処理先を変更することができる ○ queue.yaml の target はオンラインで変更することが可能 ○ Task が滞留した状態で向き先を変更しても破棄されることはない ● queue.yaml の分割された 80 個のうちの一つのキューを変えて カナリアデプロイをすることができる 1つだけ新しいサービスに向ける 全て新しいサービスを使用する

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まとめ ● GAE などの GCP のサーバレスサービスを効果的に使用することによって スケーラブルで高可用性のあるアプリケーションが作成可能です ● さらに高可用性を保ったままサービスを提供するために 以下のことを行いました ○ 多段カナリアデプロイ ○ オンラインでのサービス分割

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ご清聴ありがとうございました