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  SaaSにおけるOKRの運用 Yoshitaka Miyata 2021.10.26

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  2 ■職歴 ● 2019年にfreeeに入社し、freeeプロジェクト管理のプロダクトオーナーを担当し、 2021年 1月よりProduct Managementを統括 ● 2021年1月より、日本CPO協会理事 ● 現職に至る以前はBooz and company、およびAccenture Strategyにて、事業戦略、 マーケティング戦略、新規事業立案など幅広い経営コンサルティング業務を経験 ● また、DeNA、SmartNewsにて、toCの多種多様なコンテンツビジネスをデータ分析、プ ロダクトマネージャの両面から従事 ■出版 ● 『ALL for SaaS SaaS立ち上げのすべて』(翔泳社):今年8/6、刊行 ■学歴・資格 ● 京都大学法学部卒業 ● 米国公認会計士 ● Certificate of Product Strategy Kellogg School of Management, Northwestern University ● Certificate of Measuring and Improving Business Performance Johnson School of Management, Cornell university ● Certificate of Business Analytics Specialization Wharton School, the university of Pennsylvania 宮田 善孝 VP of Product Management 日本CPO協会理事 TW:@zenkou_1211 Linkedin:Yoshitaka Miyata

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3 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 07 まとめ Agenda

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4 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 07 まとめ Agenda

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スモールビジネスを、世界の主役に。 MISSION

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  だれもが自由に経営できる 統合型経営プラットフォーム。 VISION だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくるために、「統合型経営プラットフォーム」を開発・提供します。 バックオフィス業務を統合することで、自動化と業務全体の効率化。さらに経営全体を可視化することで、 これまでにないスマートかつ最適なアクションまで実行できるプラットフォームへと進化させていきます。 また外部サービスとも連携したオープンプラットフォームとして、多様なビジネスニーズに対応。 ユーザーネットワークの中における相互取引の活性化も強化していきます。 プラットフォームの提供のみならず、スモールビジネスに携わる人の環境そのものを より良くしていく取り組みを行うことで、世の中の変化を促します。

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3.ユーザーネットワーク 取引の効率化・活性化を実現 1.統合型クラウドERP スマートで適切なアクションを実現 2.オープンプラットフォーム 多様なビジネス・経営ニーズに対応 だれもが自由に経営できる 統合型経営プラットフォーム

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あらゆる業務とデータがつながることで、 自動化・可視化に加えてスマートで適切な経営アクションが可能に 統合型クラウドERP

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  SaaSにおけるOKRの運用

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10 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 07 まとめ Agenda

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11 Biz-side Product-Side 経営・運営 freee プロジェクト管理 プロダクト基盤 ・・・ PM UXD Eng QA NB事業 New Business 経 営 管 理 経 営 企 画 取 締 役 会 ES事業 Emerging Small Business MS 事業 Matured Small アドバイザー事業 アライアンス事業 PMM GS事業 Growing Small freee会計 freee人事労務 freee申告 戦略 開発 個人事業 IPO事業 Initial Public Offering 事業企画 人 事 採 用 サクセス サポート CS※ ※ CS = カスタマーサクセス( Customer Success) Bis-sideと独立してProduct-sideを組織しており、 OKRを活用し、「プロダクト体験価値」にフォーカス 組織におけるPM

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12 チーム構成 PM TEAM A UXD Eng TEAM B TEAM C TEAM D TEAM E TEAM F freee会計 TEAM G TEAM H TEAM I freee人事労務 TEAM J freee 申告 凡例:1名分 プロダクトごとに、PM、UXD、Engなどが クロスファンクションチームを組成し、プロダクト開発を進める 法人21名以上向け 個人事業主・ 20名以下法人向け TEAM L TEAM K プロダクト 基盤 … freee プロジェクト 管理

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13 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 07 まとめ Agenda

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14 各施策の優先順位や 関連性を意識して スケジューリングに 落とし込む 個々の施策の背景、 具体的な内容、効果などを 簡潔にまとめる Briefにまとめられた施策 内容をEngやUXと協働 し、さらなる具体化を行う Q1 Q2 Q3 Q4 
 KPI
 プロダクトビジョンから各プ ロダクト・モジュールの提 供価値を具体化 OKRからPRDまでの流れ Time
 Objectives and Key results PMはOKRの策定に始まり、ロードマップ、 BriefとPRDを具体化していく (検討を進めるにあたり順序が前後することもある) プロダクト OKR ロードマップ Brief PRD 内容 イメージ

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15 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 07 まとめ Agenda

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  16 OKR OKR策定時の4つのポイント 01 Biz-sideとの 連携 02 プロダクトの フェーズ 03 人事評価 04

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17 01.OKR: BtoC vs BtoB Key Results ● PM、UX、Engのみでプロダクト運営ができてし まい、フィードバックを受けて改善できてしまうた め、この定義に時間をかけることが少ない ● KPI treeを作成し売上などの最上位から MECE に細分化していく ● その上で、関連性の強いユーザアクティビティを 紐付け、機能改善により KPIへのインパクトを追 うケースが多い ● プロダクトとユーザに距離があり、 Product-side だけでなく、Biz-sideも含めて一丸になれる Objectiveが必要 ● ARRなどの最終KPIからユーザアクティビティま でに論理的に分解することが難しい ● そのため、ARRと相関があることが自明なコア 機能の利用率などを活用することが多い ○ Objectiveとの連関を特に意識すべき Objectives BtoCではKRに、逆にBtoBにおいてはObjectiveに重きがある BtoC BtoB

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18 02. Biz-sideとの連携: Output vs Outcome 一般的にProduct-sideはOutputを、Biz-sideはOutcomeに責任を持つことが多いが、、、 Product-side Biz-side Output (ユーザニーズを踏まえた上で、 何をいつまでにリリースするのか) Outcome (できたものをどれだけ売れるか) Product-sideはBiz-sideと連携して初めて価値が出るのであって、 あえてBiz-sideと共通の目標を置くのが理想的

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19 03. プロダクトのフェーズ: 既存 vs 新規 Key Results ● 前年や前Qをベースに、必要に応じてリバイズす る ● 関係者が多く、一度設定すると変更するには相 当な労力が必要なため、年度末にしっかり振り 返り、1年通して維持できるものにする必要 ● プロダクトビジョンを確認し、プロダクトを通して何 を実現するか言語化する ○ リリース後1年ぐらいはプロダクト自体が ピボットする可能性があるため見直しが 必要 ● 関係者が少なく、フェーズが刻々と変わるため、 Qごとに目的に応じた設定が必要 ● PMFが分水嶺になる Objectives 担当するプロダクト/モジュールの背景はもちろん、 プロダクトのフェーズにおいても、 OKRの運用や活用の仕方は異なる 既存 新規

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20 04. 人事評価: 一般的な定義 vs freeeでの定義 ● 期限付きのプロダクトビジョン ● 達成確度は30%程度の野心的なゴール設定 ● 期限付きのプロダクトビジョン ○ 期限を意識せず、中長期的なものを置く ことも多い ○ KRとの寒冷性を重視 ● 達成確度は7−80%程度のゴール設定で、必達 の温度感が強い Key Results Objectives ● 全社と部門、個人に設定される ○ さらにプロダクトごとに設定 ● 年間と四半期 ● 全社と部門、プロダクトごとに設定 ○ 個人は別途成長目標を設定 ● 年間と四半期 概要 一般論はObjectiveは期限の意識が薄くミッション性の方が強いが、 freeeでは、KRの達成可能性を担保し、人事評価のインプットとして活用 一般的な定義 freeeでの定義 ● 野心的なゴール設定を担保するため、 OKRの達 成と人事評価は連関しない ● コミットメントを引き出すため、評価する上でのイ ンプットの一部にしている 人事評価

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21 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 07 まとめ Agenda

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22 ロードマップ: 定義 ● OKR達成にむけ、年間通してどのような施策を、ど んなスケジュールで進めていくかをまとめたもの ○ プロダクト単位や、個々のモジュール、場合に よっては長期のPJTなどにも作られることが ある ○ OKRとセットで作成する ○ Qごとに作っても、そんなにクイックに開発で きる案件が少ないので、あまり作られない ● OKRに直接寄与しないが、全社的に見たときに重要 なインパクトがある案件 ● 年初想定できなかず、差し込みで入ってきた案件 ● 開発リソースの配分が再度見直し ● 開発環境への準拠 ● 障害や法制度対応 ロードマップはOKR達成に向けた施策をスケジュールに落としたものだが、 その通り進められる理想的な状況はあまりなく、常にリバイズをしながら進めていく ロードマップとは 加味すべきこと

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23 ● 経営陣も含め、OKRの 方針を議論し、さらに具 体的にKRを決める ● 担当しているチーム以外 にも周知する ● KRの推移などをしっかり 確認する ● 施策のリリース回数など にもよるが、KRが適切 だったかなどを振り返る ○ 場合によって仕切り 直す ● 既存のOKR自体を振り 返ってる ● 期末にOKRの骨組みの 初版を言語化する OKR策定スケジュール 期初に合わせて半年前から OKRの設定を意識し始め、1ヶ月前にはOKRを決める その後は運用に乗せていき、必要に応じて改善を行う Q3 Q4 Q1 Q2 OKR フェーズ ブラッシュアップ期 運用初期 改善期 検討初期 ● OKRに則り、ロードマッ プを作成する ● 翌FYに向け、すぐ着手 すべきものは Brief&PRDを書く ● 優先度の高い施策の開 発を進める ● KRに即して、施策の振 り返りを行い、必要に応 じてロードマップの見直 しを行う ● 翌FYにやるべき施策を 洗い出す ● ざっくりと施策の優先順 位順を並べてみる ロードマップ

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24 OKRとロードマップ: 策定方法 OKR ロードマップ トップダウン OKRと現状のGapを元に施策のイメージを洗い出す ボトムアップ ユーザ課題をベースに施策を洗い出し、それらが具体的に何に どの程度寄与するのかを考える OKRとロードマップは双方向に行き来し、その精度を上げていく必要がある

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25 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 06 まとめ Agenda

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26 Next Challenge 毎年プロダクトビジョンを見直すことから始める

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27 01 freeeと講演テーマ 02 freeeのPM組織 03 起点となるOKR 04 OKR策定時の4つのポイント 05 OKRとロードマップ 06 Next Challenge 07 まとめ Agenda

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28 まとめ 1. SaaSを運営していく上で、OKRは起点になる a. Biz-sideと共有し、同じOKRを追うことも多く、チームが一丸となれる Objectiveの設定が重要 b. プロダクトのフェーズを踏まえた運用が不可欠 c. 人事評価制度へのインプットとするかは大きな論点 2. OKRとロードマップは対であり、相互に行き来しながら具体化していく 3. さらに非線形の成長を目指すには、プロダクトビジョンが鍵かも

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  Thank you! ご清聴ありがとうございました