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2025/08/21 クラスメソッド 組織開発室 ⽥部井 勝彦 HRmethod 『ふりかえる⼒』を育み、 メンバーの⾃⾛⼒を⾼める1on1

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⾃⼰紹介 ● 2021年11⽉ ⼊社 エンジニアリング統括室 ● 2023年01⽉ エンジニアリング統括室 室⻑就任 ● 2023年07⽉ 組織開発室 室⻑ ● 2025年08⽉ 現在 2 ● 部署 ○ 組織開発室 ● 名前(ニックネーム) ○ てぃーびー ● 出⾝‧住まい ○ 東京 ● e-Book(ZennBook) ○ ITエンジニア採⽤⼊⾨ ○ 個⼈のふりかえり⼊⾨

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● 41歳 未経験、マネジメント経験も無しで⼈事へ ● 41歳 即 エンジニア採⽤ 主担当者 ● 42歳 ⼈事評価制度の責任者 ● 44歳 従業員体験向上の担当者 ● 45歳 初のマネージャー就任 ● 45歳 組織開発の責任者 ● 47歳 ⼈事領域でのAI活⽤ ウェブエンジニア→⼈事 ● 2001年04⽉ 新卒 ウェブエンジニア ● 2019年06⽉ ウェブエンジニア卒業 ● 2019年07⽉ スタディスト⼊社 ⼈事へ ○ エンジニア採⽤ ○ ⼈事評価制度 担当 ● 2021年11⽉ クラスメソッド⼊社 ○ エンジニアリング統括室 配属 ○ 開発関係者の従業員体験の向上を担当 ● 2023年01⽉ エンジニアリング統括室 室⻑ ○ マネジメント / 組織開発担当 ● 2023年07⽉ ⼈事グループ 組織開発室 室⻑ ○ マネジメント / 組織開発担当 ● 2025年08⽉ 現在 ○ ⼈事領域でのAI活⽤ 3

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ふりかえり経歴 4

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ふりかえり経歴 5 ⽇次 ‧⽇報の記録 ‧感情の記録 ‧意思決定の記録 ‧原因と結果の記録 ‧観察の記録 ‧失敗の記録 週次 ‧週次のふりかえり ⽉次 ‧⽉次 冒険記ブログ 年次 ‧年次 ふりかえりブログ 2017年〜 2017年〜 2017年〜 2014年〜 約 2,700⽇ 約 390週 約 100ヶ⽉ 約 11年

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成⻑の質を⾼める 個⼈のふりかえり⼊⾨ ZennBook

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⽬次 7 ● 1on1による経験学習‧課題解決の⽀援 ● 1on1の実施内容 ● ⾃⾛⼒を⾼めるための⽀援 ● ふりかえる⼒を⾼める⽀援

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1on1による経験学習‧課題解決の⽀援

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1on1の⽬的 9 パフォーマンス向上 アラート検知 課題解決 成⻑⽀援 関係構築

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1on1の⽬的 10 パフォーマンス向上 アラート検知 課題解決 成⻑⽀援 関係構築

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1on1 / 経験学習の⽀援 11 具体的な経験をふりかえる 業務を通した具体的な経験 経験をノウハウにする ノウハウを実践する ‧成⻑ ‧成果 ‧成功

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具体的な業務に取り組む 例 ● 要件を整理する ● 機能Aのテストをする ● 機能Bの設計をする ● 機能Bの実装をする ● ⽣成AI活⽤の技術検証をする 1on1 / 経験学習の⽀援 / 具体的経験 12

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経験をふりかえる ● やったことを整理する ● 成⻑/成果/成功を確認する 例 ● 成⻑ : Claude Codeの基本習得 ● 成果 : ⽣成AIで開発効率の向上 ● 成功 : ニーズを先回りした提案 1on1 / 経験学習の⽀援 / 内省的省察 13

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成功をノウハウに変える ● ノウハウを作る ● ノウハウを⽂書化する 例 ● 顧客のウォンツを元にニーズに ⽴ち返り、ニーズの実現⽅法を 検討する 1on1 / 経験学習の⽀援 / 抽象的概念化 14

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ノウハウを実験する ● ノウハウを実験する場⾯を探す ● ノウハウを実験する 例 ● 次の機能要望への対応時にウォ ンツを元にニーズに⽴ち返り、 ニーズの実現⽅法を検討する 1on1 / 経験学習の⽀援 / 能動的実験 15

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1on1 / 課題解決の⽀援 16 具体的な経験をふりかえる 業務を通した具体的な経験 解決策を⽴案する 解決策を実施する ‧失敗 ‧課題

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具体的な業務に取り組む 例 ● 要件を整理する ● 機能Aのテストをする ● 機能Bの設計をする ● 機能Bの実装をする ● ⽣成AI活⽤の技術検証をする 1on1 / 課題解決の⽀援 / 具体的経験 17

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経験をふりかえる ● 失敗を確認する ● 課題を確認する 例 ● 失敗 : 要件の誤認識で⼿戻りが 発⽣した ● 課題 : 正しい要件を引き出す 1on1 / 課題解決の⽀援 / 内省的省察 18

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解決策を⽴案する ● 解決策を1〜N個検討する ● 解決策を選ぶ 例 ● 曖昧な要求がある場合、5W1H による事実質問で、具体的な背 景‧制約‧要求を引き出す 1on1 / 課題解決の⽀援 / 解決策⽴案 19

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解決策を実施する 例 ● 曖昧な要求が発⽣した際に、事 実質問による明確化を実験する 1on1 / 課題解決の⽀援 / 解決策実施 20

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1on1の実施内容

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1on1の実施内容 22 ● [不定期 🟡]キャリアの確認 ● [定 期 🟢]成⻑の確認 ● [不定期 🟡]成果の確認 ● [不定期 🟡]強みの確認 ● [定 期 🟢]ふりかえり

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1on1の実施内容 / 🟡 キャリアの確認 23 メンバーのキャリアの成功を⽀援するために、以下のような要素の整理を⼿ 伝います。最初に時間をかけて整理し、それ以降は変化があるときだけ確認 をします。 ● 現時点でのキャリア志向 ● 現状のキャリア ● 次のステップ

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1on1の実施内容 / 🟡 キャリアの確認例 24 ● 現時点でのキャリア志向 ○ 最終的に顧客への価値提供と⾼い技術⼒の両⽴をできるアプリケーションエンジニア を⽬指す ● 現状のキャリア ○ ⽀援がない状態で⼀般的な開発業務を⼀通り担当できる状態 ● 次のステップ ○ 尖った専⾨家を⽬指す ■ 技術⼒を⾼めること ■ 技術⼒の適⽤範囲を広げること ■ より顧客価値に近い位置で貢献すること

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1on1の実施内容 / 🟢 成⻑の確認 25 メンバーの成⻑の⾃覚を促し、場合によっては停滞を把握し、成⻑の要素を 意図的に組み込むことを検討するためにも以下のような要素を確認していま す。 ● はじめて担当した業務 ● 経験済みの業務だが、新たな発⾒や⼯夫を⾒つけた業務 ● 経験済みの業務で、新たな要素はないが習熟度が上がった業務 ● 直接の業務以外に、業務のために新たにインプットした情報

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1on1の実施内容 / 🟢 成⻑の確認例 26 ● はじめて担当した業務 ○ プリセールス ● 経験済みの業務だが、新たな発⾒や⼯夫を⾒つけた業務 ○ 既存の業務において⽣成AIで効率化できた ● 経験済みの業務で、新たな要素はないが習熟度が上がった業務 ○ 開発における⽣成AI活⽤に慣れてきた ● 直接の業務以外に、業務のために新たにインプットした情報 ○ ⽣成AIの活⽤のために Gemini CLI の基本的な機能について⼀通りの公式⽂書を読んだ

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1on1の実施内容 / 🟡 成果の確認 メンバーの貢献への⾃覚を促すことや、担当業務と事業成果とのつながりへ の理解を深めるために成果を確認しています。この情報は評価期間の最後に 成果を報告するための材料になります。 ⾃分が主担当として起案し、活動を推進し、価値を⽣み出すところまでやり きった場合に記録してもらっています。⼤⼩は問いません。 毎週あるとは限らないので、あったときだけ記載します。 27

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1on1の実施内容 / 🟡 成果の確認例 28 ● チーム全体の設計書の作成をAIで効率化した ● 単発の不具合対応をきっかけに、不具合を検知する仕組みを実現した ● 案件Aにおけるパフォーマンスのボトルネックを解消し、パフォーマン スが30%向上した

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記載内容の特性上、ある程度シニアな社員は記載内容が多くなりやすく、 ジュニア〜⼀般的な担当者の場合は記載内容があまりでなくなりやすい。 成果は顧客に向けた直接的なものだけではなく、内部的な業務改善など間 接的なものも対象です。 1on1の実施内容 / 🟡 成果の確認時の注意点 29

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1on1の実施内容 / 🟡 強みの確認 30 仕事をするうえで強みがあったほうが、貢献をしやすくなります。そこで、 メンバーの強みの発⾒、強みの活⽤の確認、強みの強化を促しています。 最初に時間をかけて整理し、それ以降は変化があるときや、改めて本⼈が強 みの整理や強化に向き合いたいときだけ確認をします。

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1on1の実施内容 / 🟡 強みの確認例(てぃーびーの場合) 31 ● クリフトンストレングスの診断結果 ○ 学習欲, 達成欲, 着想, 戦略性, 最上志向 ● ⾃⼰⽬線の強み ○ 多様な⽬線を持つ(開発者⽬線, ⼈事⽬線, 元ゲーマー⽬線) ■ ウェブエンジニアから⼈事‧組織畑に転⾝した特徴を活かす ■ ゲームで培った攻略気質を仕事に活かす ○ 圧倒的な情報発信量 ● ⾔語化の強み ○ アファンタジアの特性上、おそらくテキストに強い ● 他⼰⽬線の強み ○ 中⽴的な視点で物事を整理できる ○ 習慣化⼒

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1on1の実施内容 / 🟢 ふりかえり 32 Good / Bad / Next をベースにしたふりかえりを実施しています。1歩でも 着実に進めるためにあえて項⽬数は絞り、以下のような項⽬に対してふりか えりを促しています。 ● 成功の確認(最⼤で3件) ● 課題の確認(最⼤で3件) ● 取り組むこと(最低1件)

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1on1の実施内容 / 🟢 ふりかえり例 33 ● 成功の確認 ○ チーム全体に⾒える必要がある情報の共有の仕組みを整えた ● 課題の確認 ○ 他の業務の影響でブログの発信をできなかった ● 取り組むこと ○ 成功の横展開 ■ チーム全体に⾒える必要があるが、未共有の情報があれば仕組み化する ○ 課題の解決 ■ ブログの発信どの部分がボトルネックになっているか特定し、必要な対策を実施す る

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⾃⾛⼒を⾼めるための⽀援

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⾃⾛⼒を⾼めるための⽀援 35 ⽀ 援 付 き 課題解決 経験学習 ⽀援者からの促しに よって、経験学習によ る成⻑が促される ⽀援者からの促しに よって、課題の発⾒‧ 解決が促される ⼀般的な1on1

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⾃⾛⼒を⾼めるための⽀援 36

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⾃⾛⼒を⾼めるための⽀援 37 ⽀ 援 付 き 課題解決 経験学習 ⾃ ⾛ ⽀援者からの促しに よって、経験学習によ る成⻑が促される ⽀援者からの促しに よって、課題の発⾒‧ 解決が⻑が促される ⾃分⾃⾝で経験学習に よる成⻑をできる ⾃分⾃⾝で課題の発⾒ ‧解決ができる

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⾃⾛⼒を⾼めるための⽀援 38

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 40 ● ⽂書の提供 ● 1on1を通した⽀援 ● ふりかえりの⽀援する Gem の提供

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経験学習に関わる⽂書提供 内容は『成⻑の質を⾼める 個⼈のふりかえ り⼊⾨』のZennBookと類似したものです が、インプット‧アウトプット‧コミュニ ティなどクラスメソッド特有の前提を加味 しています。 ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / ⽂書の提供 41

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1on1のフォーマット⾃体が学習の流れを踏まえてあります。 ● 内省的省察における成⻑の確認 ● 内省的省察における成果の確認 ● 抽象的概念化の実施 ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / 1on1を通した⽀援 / フォーマット 42

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1on1のフォーマット⾃体が課題解決の流れを踏まえてあります。 ● 課題の確認 ● 解決策の検討 ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / 1on1を通した⽀援 / フォーマット 43

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1on1中、俯瞰した視点から今ふりかえっている内容と個⼈の成⻑について ⾔及し、ふりかえりに必要な考え⽅を伝えます。 ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / 1on1を通した⽀援 / 俯瞰 44

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / 1on1を通した⽀援 / 価値の実感 45

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / Gem の提供 46 Good / Bad / Next でふりかえる部分を Gemini の Gem を使って個⼈で実施で きるようにしました。 (Gem の実装に関するノウハウは Appendix を参照ください)

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / Gem の動作例 47 取り組んだことの確認

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / Gem の動作例 48 成⻑の確認

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / Gem の動作例 49 成功の確認

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / Gem の動作例 50 課題の確認

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / Gem の動作例 51 取り組むこと

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ふりかえる⼒を⾼める⽀援 / Gem の動作例 52 Canvas へ出⼒します。Canvas の内容は Google ドキュメントにエクスポート可能です

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まとめ

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まとめ 54 『内省の⿂』を与えるのではなく、『内省の釣り⽅』を教えることで、 本⼈が成⻑に向けて⾃⾛するための『ふりかえり⼒』を強化しましょう

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ふりかえりの⿂の釣り⽅ 55 経験学習の理解 ‧経験学習の⽂書 ‧俯瞰した⽬線の提供 ふりかえりの実践 ‧継続的な1on1 ‧フォーマットの提供 価値の実感 ‧継続的な1on1 ⾃⽴サポート ‧AI製ツール 提供

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Appendix 57 ● 成⻑の質を⾼める 個⼈のふりかえり⼊⾨ ZennBook ○ https://zenn.dev/tbpgr/books/12381c801cb1e1 ● Gemini の Gem のカスタム指⽰内で条件分岐を実現してみた ○ https://dev.classmethod.jp/articles/conditional-branching-within-geminis-custom- instructions/ ● Gemini の Gem で1⼿順ずつ受け答えを促す ○ https://dev.classmethod.jp/articles/step-by-step-prompt-for-gemini/

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Appendix 58 ● Gemini の Gem で質疑応答の結果を所定のフォーマットで Canvas に更 新し、 Google Docs に出⼒する ○ https://dev.classmethod.jp/articles/export-docs-from-gemini-canvas/ ● Gemini の Gem で質疑応答の結果を所定のフォーマットで Canvas に更 新し、 Google Docs に出⼒する ○ https://dev.classmethod.jp/articles/export-docs-from-gemini-canvas/ ● 個⼈のふりかえりを促す Gemini の 🐸ふりカエル🐸 Gem を作ってみた よ ○ https://tbpgr.hatenablog.com/entry/2025/08/03/032806