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日々の活動の中でマインドフルネス (雑念を脇に置く、イマココ)を意識して ムダを省き、本質に集中する 2023.07.01 Scrum Fest Osaka 2023 沖縄トラック

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このセッションについて 2

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河野圭一郎(かわのけいいちろう)@kawanotron Scrum Alliance®認定スクラムマスター 2011年頃よりアジャイルを学び始める ベンチャー企業での自社サービス開発 中小企業での受託開発 大企業での自社サービス開発を経て 2021年秋から宿泊業でスクラムマスター 話す人 3

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・マインドフルネスとは ・チームでマインドフルネスをする ・意図的に意識して俯瞰する ・意図的に意識してありのままを観る ・意図的に意識して雑念を脇に置く 話すこと 4

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・個人で行うマインドフルネスのコツ ※雑念を脇(Evernote)に置いて今ここに集中した結果  プロポーザルの内容を一部変更してお届けします ※個人でマインドフルネスを取り入れてうまくいった話@えわさん 話さないこと 5

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マインドフルネスとは 6

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こういうことありませんか? ・あれもやりたいこれもやりたい ・優先順位が決められない ・ステークホルダーの要望に振り回される ・不具合など割込みにイライラする ・もっと良い設計があるのではないか? ・間に合うのか不安… 日々、雑念にとらわれがち 7

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日々いろんな悩みや欲に振り回されゴールを見失う いつの間にか雑念にとらわれ、気がついたら遠回りしている 悩みや不安に振り回されたくない! 本来のやりたいことに集中したい! そうだ!マインドフルネスだ! 雑念にとらわれるとゴールから遠のく 8

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日本マインドフルネス学会 「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、  評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」 マインドフルネスの定義 9 書籍『マインドフルネスの教科書』/著者の心のトリセツ研究所 「今、ここの現実にリアルタイムかつ客観的に  気づいていること」 「あるがままの現実をあるがままに感じること」 「今、ここで何をして何を感じているのか  気づいていること」

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10 マインドフルネスにより ありのままを観ることで雑念に気づける そして、気づいているからこそ手放せる すると、本来のやりたいこと 今、ここに集中できるようになる

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チームでマインドフルネスをする 11

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自分がやっていることに意図的に意識を向ける 意識するかどうかで変わってくる 例えば、ラジオ体操をなんとなくやるのと 意識してやるのとでは結果が変わってくる ※スクラムフェス新潟2023 Morning Yoga @いわむーさん マインドフルネスをどのように実践するのか? 12

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自分を客観視する(俯瞰、メタ認知) 一歩引いて、あるいは上から、自分を観る そうすることで普段気づけていないことに気づく マインドフルネスとは気づきを得ること 気づくことで対処することができるようになる …とはいえマインドフルネスを維持するのは難しい 今やっていることに熱中すると近視眼的になる 1人で難しいならみんなで一緒にやればいい! 気づけていないことに気づく 13

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マインドフルネス 「雑念を手放し、今、ここに集中する」 スクラムガイド2020「ムダを省き、本質に集中する」 似てる スクラムの三本柱とマインドフルネス 透明性 : ありのままを観る 検査  : 気づく 適応  : 今、ここに戻る 似てる マインドフルネスとスクラム 14 観る 気づく 今ここ に戻る 透明性 検査 適応

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15 意図的に意識してスクラムをすると マインドフルネスになるのでは?

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意図的に意識して俯瞰する 16

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スクラムマスターはチームを俯瞰して観るもう一人の自分 良いスクラムマスターとは?という文脈で 「観察」や「俯瞰」「一歩引く」という言葉がよく出てくる マインドフルネスで自分自身を観察するかのように チームをスクラムマスターが一歩引いて俯瞰し観察する ※スクラムマスターの観察について @ama-chさん スクラムマスターが常に俯瞰する 17

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マインドフルネスの逆はマインドレスネス 作業に熱中し近視眼的になって気づきが得られない状態 マインドフルネスになるには作業を中断し みんなで立ち止まってみんなで俯瞰する スクラムには、立ち止まって自分たちを 客観的に観ることができるタイミングがある デイリースクラム スプリントプランニング スプリントレビュー スプリントレトロスペクティブ みんなで立ち止まって俯瞰する 18

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19 書き出して俯瞰する 書く瞑想(ジャーナリング)というのがある 頭に思い浮かんだことをありのままに書き出だす これをチームでやる、ありのままを書き出す 文字でも図でもグラフでもなんでも書き出す 見える化することでモノゴトを俯瞰し客観視できる カンバン ユーザーストーリーマッピング ロードマップ ベロシティ ふりかえりボード 受入基準や完成の定義…

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意図的に意識してありのままを観る 20

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そもそもありのままを観ることが難しい 人には瞬時に判断するためのシステム1の思考がある 経験や感情、思い込みで判断するため、時に認知が歪む 認知の歪み=バイアスを認知してはじめて対処ができる 確証バイアス(自分が思ったとおりなはず) 楽観バイアス(うまくいくはず) ネガティビティバイアス(また失敗するはず) バイナリーバイアス(0か1かのどちらかなはず) 類似性バイアス(自分と似てるからイケてるはず) アンカリング効果(最初に受けた印象がすべてなはず) ハロー効果(こういう特徴があるから他も同じはず) : いろんなバイアスがあることを知る 21

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人には先を推測(推察)してしまう特性もある 困ったことに、推測(推察)で話していることに気づかない お互いに「だと思う」で空中戦になりがち 「だと思う」という言葉遣いに気づいたら その推測(推察)を確認する 「お互いに推測で話してませんか?」 「わかる人に聞いてみませんか?」 「データはありますか?」 推測(推察)を確認する 22

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書き出すことで思い込みや勘違いに気づける お互いの意見を一歩引いて観ることで感情/評価を手放せる 特に会議でお互いの意見を見える化すると空中戦がなくなる みんなで俯瞰することで個人vs個人から問題vs私たちにできる ※ファシリテーショングラフィックというテクニック 書き出すことでありのままを観る 23 あいつが 悪い 私が ぜったい 正しい そういう 対立構造が あるのか これはどういう ことだろう? 感情/評価を手放す

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ありのままを観ると気づきたくなかったことに気づかされる 中にはネガティブなこともあるけど受け入れる 認知することで対処できるようになる、さらに前に進める 「あれもやりたいこれもやりたい」 「自分のこだわりを押しつけたい」 「コントロールできないことをコントロールしたい」 「意見が対立するのがめんどくさい」 「あれもこれも不安」 観えてきた雑念を受け入れる 24

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自分の気づきをみんなの気づきにするために口にする 言いにくい気づきもあるかもだけど 自分が言葉にすることでチームで認知できる 自分しか気づいていないことがあるかれない 『勇気』をもって『公開』する、これも『透明性』 スクラムの価値基準:確約、集中、公開、尊敬、勇気 「今 How の話してませんか?」 「そのタスク見える化されてなくないですか?」 「一人でやらないといけないと思ってませんか?」 「誰々さんがボトルネックになってませんか?」 「同じところグルグルしてませんか?」 気づきをチームで共有する 25

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意図的に意識して雑念を脇に置く 26

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人には先を読んで期待してしまう特性もある 「こうであるはず」「こうでなくてはならない」と考える 期待もまた推測、ありのまま観ることを阻害する 期待を手放し、不確実性を受け入れる ※相手を期待しなくなった話@Mitsuyuki Shiibaさん 期待を手放す 27

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「足るを知る」を「今の自分に満足する」と解釈すると 成長は不要ということになる?成長しなくていい? いいえ、「『ほどよい』を知る」と解釈すれば(個人の見解です) 「『ほどよい』範囲での成長を目指す」ということになる 今できる範囲でベストを尽くす、ベストエフォート 逆に言うと『ほどよくない』ことは手放す、頑張り過ぎない 足るを知る 28

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マインドフルネスでは「手放す」という表現がよくされる しかし、雑念(その想い)があること自体は悪いことではない 雑念(その想い)があることそのものを受け入れる 否定するのではなく、気づき受け止め対処する 今、集中することを決め、それ以外は脇に置いておく 脇に置いておくことで安心して集中することができる 「優先順位はどうなりますか?」 「それは後で時間とって話しましょうか」 「一旦バックログに入れておいおい検討しましょう」 「パーキングロットしておきますね」 やらないことを決める(脇に置く) 29

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雑念にとらわれないマインドフルネスな状態であれば 本来やりたかったことからのズレに気づき冷静に対処できる つまり、本質に集中できるようになる 一歩引いて俯瞰しているからこそ理想を語ることができる 「本来叶えたかったことってこれこれですよね?」 「これとこれを後回しにしたら間に合いませんか?」 「これができるようになったらチームが成長しませんか?」 「われわれの北極星とは?北極星に向かってますか?」 自分たちの理想を問いかける 30

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まとめ 31

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まとめ 32 ・人は熱中すると近視眼的になり気づけなくなる ・マインドフルネスとは「気づき」がある状態 ・人は推測してしまう特性上ありのままを観るのが難しい ・バイアスがあることを知り、推測(推察)は確認する ・スクラムとマインドフルネスは似てる ・スクラムマスターはチームを俯瞰して観るもう一人の自分 ・立ち止まり見える化することでチームで俯瞰できる ・自分たちの活動に意図的に意識を向けることで  様々なことに気づき、対処できるようになる ・雑念を脇に置くことでムダを省き、今ここ本質に集中できる

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ご清聴ありがとうございました 33