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ニセAirpodsこと 「华强北4代」イヤホン分解・分析 67元(1300円)のTWSイヤホン (ホンモノは27,800円) 高須正和 スイッチサイエンス国際事業開発 ニコ技深圳コミュニティ共同発起人 开源社(中国オープンソースアライアンス) 早稲田ビジネススクール 大公坊創客基地(iMakerBase) ガレージスミダ研究所

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今回の資料作成には秋田先生ほか #分解のススメ みなさまのお世話になりました

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Airpods3: 片側21個のチップによる高機能イヤホン テカナリエレポート544号によると、片側だけで21の半導体(マ イクだけで3つ)を1チップにしたH1 System In Package Apple設計 -ジャイロ/加速度(別々に) -接触 たくさんのチップを一つにまとめたH1チップ Apple Watchや AirPods Proなど多くの製品で同じチップを使い回す

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ニセAirpodsこと「华强北4代」イヤホンとは 67元(1300円)程度 (ホンモノは27,800円) Airpodsの発売以後何度もバージョ ンアップしてこれで4代目 淘宝や华强北の電気屋などで販 売中 「イヤホン」などの製品名で Aliexpressやamazonなども

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こいつ 動くぞ

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ホンモノそっくりの外観や外箱 DesIgned by in California の文字(ホンモノはDesigned by Apple in California)

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分解してみる:チップはわずか4つ(Airpodsは21個) スピーカー 接触センサのかわり 銅板で静電気を感知 マイコンを使わない イヤホンをケースに接続 させるマグネット イヤホンをケースに接続 させるマグネット バッテリ 充電接点 タッチ制御IC クロックジェネレータ タッチ検出ボタン MEMSマイク 裏面:メインSoC

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基板だけに剥いた状態でもMacにホンモノと認識されてSiriが動く

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Engineering的な工夫 イヤホンのなかみは 左右でまったく同じPCB, まったく同じBOM(部品) 唯一、2つセットの 充電端子部分を 入れ替えることで 左右の違いを出している。 (ファームウェアも別) 部品調達や製造をラクに する工夫 ちゃんとDFMできている 2つセットの部品を、AB/BAで入れ替える

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マーキングの消されたメインチップ 山崎さんがサイズとピンのみで いきなりチップ候補特定 AD6973D

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中国の方案公司がAD6973Dチップデータシート公開中 Comfidencialと書いてあるけど公開URLにおいてあるからこの会社が Jieliから許可されたんだろうそうだろう ・ワンチップでBT5.1、マイク接続、AACデコードなどができる ・バッテリ制御、ボタン制御機能もある ・GPIOによる接触センサなどもワンチップで可能、部品点数 を減らせる ・製品にBT5.3とあったのはウソ? > BT5.1だけど、Macや iPhoneが5.1しか対応してないから関係ない ・空間オーディオないぞ > イコライザを適当に変えてそ れっぽく見せてる ブランドでごまかせる!

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マーキング消されたチップを開封しよう タオバオにはチップ開封、FIP(チップ内断線の 修理)、ファームウェア抜き出しなどをやる専門 の解析屋が何軒もいる (住所聞くと深圳华强北とか龙岗とか) チャット機能で見積もりとって発注 300元(6000円)、失敗したらカネ は返す

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300元を払って中3日、チップ写真が届く ボンディングのパッド やトランジスタが少な すぎる SiP(System in Package) の小さいほうのチッ プ? 「もうちょい調べてくれ、 これはメモリっぽいが、 MCUのはずだ」と依頼

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←パーフェクトな研磨でSoCの中身を分析 届いた写真 SoCの上にフラッシュメモリ ワイヤーボンディングも 想像できる

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テカナリエレポート517号 JIELI PB08576とMCUは完全に一致 (フラッシュメモリは違う)これはドンキで2000円で売ってる

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テカナリエレポート517では多くの100円ショップTWSイヤホン (2000円程度)が分解され、今回はドンキのFUGU TWEに搭載され ているJIELI BP08576と同じマイコンだが、フラッシュメモリは違うの で、SoCとしては別物

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推測:なぜマーキングが消されているのか? 1.検査でハネられた2級品が流通? (ただしその場合マーク消す意味がな さそう) 2.案件ベースで仕入れられたチップ が、案件がなくなって宙に浮いた? (ハードウェアだと、卸売するよりも、 組み込み案件で直接交渉してチップ を買うほうが安く仕入れられるが、仕 入れた後で宙に浮くことはある。その 場合、足がつかないように捌く必要が ある)

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結論: 1.ニセAirpodsはホンモノからなにか流用されたわけでなく、 新しくゼロから設計されたものであり、いくつも工夫がある 2.1500-2000円ぐらいのTWSイヤホン用SoCが使われているが、 そのどれとも違うチップであり、この分野の中華開発SoCが いかに幅広いかがうかがえる 3.こうしたニセモノ産業が、余ったチップの流し先として 機能している可能性がある 4. 「AirPodsがホンモノか偽物か」を判定するAppleの機能は 結構しょぼい

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One more thing…

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価格の違うさまざまなニセAirpods、 中身は同じなのか? いくつか買ってみたらだいぶ違う 38元のものは箱も安っぽい

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もちろん動く

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イヤーチップ密閉テストOK

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中のボードはまったく違う -SoCは別メーカーBluetrum -タッチスイッチの実現方法、マイクなど設計がぜんぜん違う 67RMB(これまで分解してたもの) 38RMB

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中国の分解コミュニティ数码之家では18元Airpodsの分解レポート があり、またチップもボードも違う

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深圳のハードウェアの沼はどこまで続くのか…