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⽣成AIの現在地点と これからの可能性 新規事業統括部 ⽣成AIインテグレーション部 筧 剛彰(Takaaki Kakei)

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⾃⼰紹介 2 ● 2019年 AWS事業本部 ○ 内製開発 ● 2023年 ⽣成AI案件担当 ○ ⽣成AIプロダクト開発(AI-Starter) ○ ⽣成AIコンサル ● 2025年 新規事業統括部 ○ 現在 ● 部署 ○ ⽣成AIインテグレーション部 ● 役割 ○ ソフトウェアエンジニア ● 名前 ○ 筧 剛彰(Takaaki Kakei) ● 勤務地 ○ ⽇⽐⾕オフィス ‧AWS Top Engineers 2021-2023 ‧AWS All Certifications Engineers 2022-2023 ‧書籍「ビジネスのためのChatGPT活⽤ガイド」第4章担当

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セミナー全体のアジェンダ 1. ⽣成AIの現在地点とこれからの可能性 2. 創業120年のコクヨが拓く⽣成AI活⽤と社内推進のヒント 3. ⽣成AIで実現する業務改⾰とは?活⽤事例とデモでご紹介! 4. AWSにおける100以上の国内事例に学ぶ⽣成AI活⽤の現状と未来 ~16:10 3 セッション中もお気軽にご質問ください!

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本セッションのアジェンダ 1. なぜ今「⽣成AI」なのか 2. ⽣成AI活⽤の現在地点 3. ⽣成AIのこれから 4

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1. なぜ今「⽣成AI」なのか 5

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⽣成AIをめぐる国内外の動向 6 2022年11⽉にChatGPTが登場して以降、⽣成AIの技術⾰新が急速に進み、企業や個⼈の間で業 務効率化やクリエイティブなコンテンツ制作のために活⽤されている ChatGPTが登場 Amazon Bedrock等が登場し、⽣成AIの⼟台が整備 ⽣成AI技術の応⽤本格化 AIエージェントの台頭 2022年 2023年 2024年 2025年

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● 蒸気機関、電気 ● コンピューター、インターネット ● 携帯電話、スマートフォン ● クラウド、IoT、ビッグデータ ● ⽣成AI、ロボティクス、宇宙 どのくらい注⽬されているか? 7 ⽣成AIは、電気、インターネット、スマートフォンといった歴史的に社会基盤を形成してきた技 術と⽐較されることが多い。

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なぜここまで注⽬されているか 8 ⽣成AIの応⽤範囲が広いことが挙げられる。⼀般業務 / 教育 / エンターテインメントなど多くの 分野でその応⽤が広がっている。 井尻善久さま | https://speakerdeck.com/line_developers/toward-practical-applications-of-generative-ai?slide=58

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● グローバルの⽣成AI市場規模は急成⻑の⾒込み [1] ○ 2022年 $290億 ○ 2024年 $448億 ○ 2025年 $627億(推定) ○ 2030年 $3,561億(推定) ● ⽣成AIがもたらす経済効果も絶⼤ [2] ○ 年間最⼤ 7.9 兆ドルもたらす可能性 (マッキンゼー) ○ 1977 年の世界全体のGDPは7.33 兆ドル(世界銀⾏) ⽣成AI市場規模と経済効果 9 市場や経済効果の観点でも、今後もさらなる普及と発展が⾒込まれる [1] Statista | https://www.statista.com/outlook/tmo/artificial-intelligence/generative-ai/worldwide#market-size [2] Exploding Ropics | https://explodingtopics.com/blog/generative-ai-stats

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2. ⽣成AI活⽤の現在地点 10 ● ⽣成種類 ● 提供形態 ● 企業利⽤

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11 ⽣成種類からの観点 (⽂章 / 画像 / 動画)

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● GPT-3を⽪切りに、⽂章を読み書きするAIは、この数年で格段 に賢くなった ● メールの下書き作成からプログラミングの⽀援、知識検索や 創作のアイデア出しまで、様々な⽤途で⼈々を⼿助け ● 主な課題は、ハルシネーションか ⽂章⽣成AI 12

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⽀援事例 13 ⽂章⽣成AIと独⾃データを組み合わせて業務改善した事例(オプテージ) Classmethod | https://classmethod.jp/cases/optage/ ● 既存チャットボットのメンテナン スコストに課題 ● 社内データを活⽤した⽣成AIを構 築し、社内向けのITヘルプデスク の業務効率化を実現 ● 社内のセキュリティ基準を満たす 環境

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● 専⾨的な美術スキルがなくても⽂章で画像を作れるように なった ● デザイナーがアイデアスケッチを素早く作成したり、ゲーム開 発で背景画像を⾃動⽣成するといった応⽤も進む ● 主な課題は商⽤利⽤と著作権問題 画像⽣成AI 14

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● 短時間で⼤量の多様なアイデアを 創出 ● デザイン開発の初期から具体的な デザインを確認できることで、デ ザインの開発期間を⼤幅削減 ● 最終的にデザイナーが作成しなお し完成させたパッケージを採⽤ 事例 15 画像⽣成AIを⾃社製品パッケージのデザイン案出しに活⽤した事例(伊藤園) 伊藤園 | https://www.itoen.co.jp/news/article/64855/

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● 画像⽣成AIほどの成熟度には⾄っていないものの、動画⽣成AI の研究や実⽤化が進む ● 静⽌画以上に情報量や表現⼒が⼤きいので、幅広い応⽤が期 待される。たとえば、商品PR動画やSNS広告の⾃動⽣成など ● 主な課題は⻑尺⽣成やリアルタイム⽣成など 動画⽣成AI 16

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● ビデオ広告は⾼いエンゲージメン トを⽣むが、制作コストが⾼いと いう課題がある ● Amazon Nova Reelを活⽤して、 背景を動画に置き換え ● 「効果8倍、費⽤7割減」を報告 事例 17 動画⽣成AIの技術的な制約がある中で、ビジネスに繋げた事例(電通デジタル) 電通デジタル | https://www.dentsudigital.co.jp/knowledge-charge/articles/2025/2025-0124-aws

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参考) ⽣成AIモデルの⽐較サイト 18 Artificial Analysis | https://artificialanalysis.ai/ Chatbot Arena | https://lmarena.ai/?leaderboard

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19 提供形態からの観点 (プロバイダー / SaaS / ⾃社開発)

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1. プロバイダー 20 提供企業
 プラットフォーム
 LLM
 アプリ
 API
 Amazon Web Services
 Amazon Bedrock
 Amazon Novaシ リーズ
 Anthropic Claude シリーズ
 等
 Amazon Q
 ◯
 Google Cloud
 Vertex AI
 Geminiシリーズ
 等
 Gemini
 ◯
 OpenAI
 -
 GPTシリーズ
 oシリーズ
 ChatGPT
 ◯
 Microsoft Azure
 Azure OpenAI Service
 GPT
 oシリーズ
 等
 Copilot
 ◯


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2. SaaS 21 業界や業務に特化した⽣成AIソリューションとして提供されるケース ● 使いやすさを重視したUI/UX ● 定期的アップデートとサポート ● 業界固有の知⾒が組み込み

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3. ⾃社開発 22 ⼤企業や技術に積極的な企業が⾃社内で⽣成AI技術を開発‧運⽤するケース ● ⾃社最適化が可能 ● セキュリティの徹底 ● OSSを活⽤で技術的なコストを 削減可能 AWS | https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/genu-use-cases-builder/

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どれを選択すればよいか? 23 いずれの選択肢も⼀⻑⼀短がある。導⼊⽬的、セキュリティ要件、予算、⾃社技術⼒などを総合 的に勘案して、⾃社に最適な選択肢を採⽤する。 1. プロバイダー ○ 最新性、汎⽤性 2. SaaS ○ 特定業務効率化 3. ⾃社開発 ○ ⾃社最適化

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参考)主要プロバイダーの公式情報ソースまとめ 24 DevelopersIO | https://dev.classmethod.jp/articles/ai-news-sources/

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25 企業導⼊の観点

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企業での⽣成AI導⼊状況は? 26 2024年3⽉時点では、企業での⽣成AI導⼊率は19% MM総研 | https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=618

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企業での⽣成AI導⼊課題は? 27 導⼊課題の上位は⾼度な⼈材‧ノウハウの確保、セキュリティやプライバシー対策。 「外部パートナーと伴⾛」や「利⽤サービスへの組み込み待ち」の選択肢が挙げられる。 MM総研 | https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=618

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導⼊時に多い問い合わせは? 28 RAGの問い合わせが多い傾向。RAGとは、外部リソースから情報を検索し、その知識を活⽤して テキストを⽣成する⼿法。

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具体的な課題 29 現在は「過度な期待」のピーク期。回答精度やアクセス制御に課題。各社に合わせてデータの取 り込みやデータの前処理など、地道に改善してく必要がある。 Gartner | https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20240910-genai-hc

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参考) RAGの実⽤に向けた課題と知⾒ 30 DevelopesIO | https://dev.classmethod.jp/articles/classmethod-odyssey-rag- challenges-and-insights-for-practical-use/

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3. ⽣成AIのこれから 31 ● 今後のトレンド予測 ● 明⽇からのAI活⽤ヒント

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● LLMのさらなる発展 ● AIエージェント ● マルチモーダルAI ※私⾒を⼤いに含みます 今後のトレンド予測 32

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LLMのさらなる発展 33 レベル
 名称
 説明
 技術位置
 1
 Chatbots
 自然対話できるレベル 
 達成済
 2
 Reasoners
 高度な論理推論や問題解決 
 取り組み中
 3
 Agents
 自律的なタスク遂行 
 2025年~2027年?
 4
 Innovators
 新しいアイデア発明 
 2030年前後?
 5
 Organizations
 企業や組織全体の業務を統 括・遂行
 〜2035年?
 OpenAIが提唱する「AI進展の5段階スケール」

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AIエージェント 34 Gartner | https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20250114-ai-agent 環境から情報を収集しながら⾃律的に判断‧⾏動を⾏うAI。「補助ツール」から「⾃⽴タスクを 遂⾏」へ。

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● 2025年はエージェント技術の元年とされ、多種多 様な関連サービスが登場する⾒込み。しかし、こ れらが⼤規模に普及するのは2026年以降になるか もしれない。 ● 画期的な最新技術は、実際に試してみると、実運 ⽤への導⼊が難しい場合が多い。⾼コストや機能 の制約といった要因が主な理由である。 ● 将来の普及に備えて最新動向を追い続けたい。 AIエージェントのフェーズ 35 いまは情報収集や技術検証の段階か。最新の動向を追いつつ、将来の普及に備える。 https://x.com/OfficialLoganK/status/1874587656946163736

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マルチモーダルAI 事前学習 モデル テキス ト 画像 映像 ⾳声 テキス ト 画像 映像 ⾳声 テキスト‧画像‧⾳声など複数のデータを組み合わせて分析‧処理できるAI 36

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マルチモーダルAIへの向き合い⽅ 37 ● ⼊⼒のマルチモーダル化によって、ユー ザーの状況をより深く理解できる ● 出⼒のマルチモーダル化で、よりリッチ なユーザー体験をできる ● 教育や医療、カスタマーサポートなど 様々な業界業種で応⽤しやすくなる 2025年の⼤本命か。⼊出⼒が更にマルチモーダル化されることで、応⽤範囲がさらに拡⼤へ。 DevelopersIO | https://dev.classmethod.jp/articles/awsreinvent24 -report-aim389/#%25E6%258A%2580%25E8%25A1 %2593%25E4%25BB%2595%25E6%25A7%2598

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38 企業でのAI活⽤ヒント

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取り組みたい活動 39 全社展開 技術検証 事業活⽤ 全従業員が⽣成AIの基 本的な知識を持ち、業 務に活⽤できる状態を ⽬指す 1 2 3 主導部隊が中⼼にな り、技術の進歩や市場 ニーズに追従 明確な⽬標を設定し、 AIをそのための⼿段と して利⽤する

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1. 全社展開 40 ● 社員全員が気軽にAIを触れ られる環境整備 ● 利⽤ガイドライン‧AIリテ ラシー研修 ● AI活⽤研修(ハンズオン形 式が好ましい) ⽬標は、全従業員が⽣成AIの基本的な知識を持ち、業務に活⽤できる⼟壌をつくること。こちら は、⻑期的な取り組みとして推進する必要がある。 Gartner | https://www.gartner.co.jp/ja/ne wsroom/press-releases/pr-20241 002-digital-talent

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2. 技術検証 41 技術の進歩に対応し続けるために、主導部隊が中⼼となって定期的に技術検証を⾏い、組織全体 の競争⼒を維持‧向上させる ● IT部⾨を中⼼に、主導部隊の編成 ● 最新情報調査 ● PoC(概念実証)の実施 ● 社内コミュニティ

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参考)⽣成AIを効果的に全社に展開するステップ 42 リーダーの選出 周りの社員に対して 積極的に情報を共有 したり、⽣ 成AIの利 ⽤ をサポートしたり するユーザー担当者 を選任します。 事務局の設置 GAI 知 識 の 集 約 、 トレーニング提 供、 技術⽀援、アセット 提 供の活 動を⾏う 体制をつくります。 情報共有チャネルの 作成 社内で⽣成AIの効果 的な活⽤⽅法を共有 するための専 ⽤のコ ミュニケーション ⼿ 段を設けます。 社内ライブラリの 構築 GAIが、どの 部 署 で どのように 使 われて いるか、どのような 成果が出ているかを 記録する仕組みを⽤ 意します。 トレーナーの育成 ⽣成AIの活⽤に精通 し、他の社員にその スキルを教える役割 をもつ担当者を決め ます。 トレーニング プログラムの実施 組織全体に対して、 ⽣成AIの知識やスキ ルを 学 ぶためのコー スやセッションを 提 供します。 フィードバックの 収集 ユーザーの反応や意 ⾒を集め、それに基 づいて導 ⼊プロセス やサポート体制を調 整します。 ユースケースの 評価 ユーザーが試した多 様 なユースケースに ついて、その効 果や 問 題 点を評 価しま す。

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3. 事業活⽤ 43 「AIで何ができるか」ではなく「ユーザーの課題を解決するためにAIをどう使えるか」の観点が 重要 ● AIはゴールではなく⼿段 ● AI利⽤⾃体が⽬的にならないよう注意が必要 ● 解決すべき課題を明確に定義する ● 価値創造している既存サービスの課題に、AIを活⽤する 姿勢が良いかもしれない。 ● そのため事業部⾨での主導が好ましい。

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● ⾷べログでは、依頼ベースで飲⾷店ペー ジを作成する⽀援作業を⾏っている。 ● その作業が⼿作業でかなりの時間がか かっていた ● AI + OCRを活⽤して、⽂字起こし作業を ⾃動化し、作業⼯数を6割削減すること に成功 事例 44 ⽣成AIだけでなく、幅広く解決案を模索して成功した事例 ⾷べログ | https://tech-blog.tabelog.com/entry/ai-menu-ocr

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● クラスメソッドが運営する会員数12万⼈の技 術ブログプラットフォーム「Zenn」では、 ⽣成AIを活⽤したスパム⾃動検出の仕組みを 実装し、2024年7⽉初旬から運⽤を開始 ● 検出されたコンテンツやアカウントへの対策 を⾏った結果、9⽉にはスパムを前⽉同期⽐ で約90%削減 ● ユーザーからの指摘件数も⼤きく減少 ⾃社事例 45 AIを課題解決の⼿段として利⽤した事例 クラスメソッド | https://classmethod.jp/news/20240919-zenn-llm/

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まとめ 46

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1. 今後もAIトレンドは変わらず 2. 最新技術のフェーズを⾒極める 3. AIを課題解決の⼿段として利⽤する まとめ 47

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⽣成AIもクラスメソッドにお任せください 48

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