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デジタルアーカイブ学会 第9回研究大会 サテライト企画セッション③ デジタルアーカイブにおける ユーザーとインターフェース概念を再考する ―人間が果たしているインターフェース的機能から考えるー

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発表①(谷島貫太) デジタルアーカイブにとって 「インターフェース」とはどのような問いか?

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そもそも「インターフェース」という言葉で なにを指し示そうとしているのか?

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「ここでは、インターフェースは関係の一形態として扱われる。つまり、インターフェー スの記述に最も重要なのは、実体の性質や、デバイスやテクノロジーの系譜ではなく、 実体間の関係の性質である。」 “the interface is treated here as a form of relation. This is to say that what is most essential to a description of the interface lies not in the qualities of an entity or in lineages of devices or technologies, but rather in the qualities of relation between entities.” Hookway, B. (2014). Interface. MIT Press. 「関係の一つの形態 a form of relation」 としてのインターフェース デジタルアーカイブとその利用者との 「関係の形態」としてのインターフェースという領域

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人間が情報と出会うプロセスの構図を インターフェース概念を使って整理してみる

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人 インターフェース 資料/情報 DAにおける一般的なインターフェースイメージ

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人 インターフェース 資料/情報 画面 (物理的接点) メタデータ (オントロジー) 検索システム 人間がインターフェースに合わせる (画面を通して、キーボードを使い、メタデータの オントロジーを理解して適切な検索ワードを駆使する) DAにおける一般的なインターフェースモデル(さらに分解) 構造化

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1) 物理(画面とキーボード) 2) 検索システム(機能とUI) 3) オントロジー(メタデータ) インターフェースのこの三重のバリアを 超えられるユーザーが暗黙裡に想定されている DAインターフェースの三重のバリア たとえば小さな子どもに使ってもらうには サポート役の人間インターフェースが必要になる

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SUKILAM連携の事例(大井さん発表) そこでのインターフェース(関係の形態)は どうなっているか? システムに適応できない子どもを利用者として成立させるには どのようなインターフェースが必要か?

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資料/情報 図書館におけるインターフェースモデル② 子ども ハードル 超 え ら れ な い 壁

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資料/情報 図書館におけるインターフェースモデル② 子ども 超 え ら れ な い 壁 大きく二つのステップ? 1)コミュニケーションを通して子ども自身の興味(問い)を引き出す 2)子どもの興味(問い)を、検索のキーワードへを落とし込む

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システム×人間の組み合わせで成立する ハイブリッドで柔らかなインターフェース 硬いインターフェース: インターフェースにユーザーが合わせる必要がある 柔らかなインターフェース: インターフェースがユーザーに合わせてくれる

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図書館のリファレンスサービスの事例(木村さん発表) 図書館のインターフェースというものを考えるとリファレンスサービスは その「柔らかい部分」だと言えるのでは?

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二重のインターフェース 資料/情報 図書館におけるインターフェースモデル① 書棚 画面 × 検索システム (かつては蔵書カード) メタデータ(オントロジー) 人 構造化

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資料/情報 図書館におけるインターフェースモデル② 人 図書館という空間的装置 司書/ レファレンス 三重/四重のインターフェース

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池谷のぞみ「レファレンス・ライブラリアンが用いる知識と判断の枠組み」. (1990). Library and Information Science, 28. ・利用者に関する知識: 質問応答プロセスを通して理解される ・所蔵資料に関する知識: 方法論化された(一部属人的な)資料探索の手順 レファレンス・ライブラリアンの二つの知識 「柔らかい」

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資料/情報 ハイブリッドで柔らかいインターフェース 人 図書館という空間的装置 司書/ レファレンス 三重/四重のインターフェース

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「柔らかい」デジタルアーカイブは可能か?

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デジタルアーカイブは「硬い」 基本的に「柔らかい」のは人間であり、デジタルアーカイブの インターフェースには人間が介在しないため (それが強みでもある)

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デジタルアーカイブを 「柔らかく」する二つの方向性

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子どもとデジタルアーカイブをつなぐSUKILAM システム的な硬いインターフェースを、包括的な柔らかな インターフェースの構成要素として最適化させる、という発 想もありうるのではないか? ①「柔らかい」人間と組み合わせる

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②システム自体が「柔らかく」なる: 生成AIと対話型インターフェース 技術インターフェース自体が利用者にアプローチする (会話の中からヒントを拾って資料をレコメンド等) 生成AIを活用した対話型インタフェースが 既存のハイブリッドインターフェースを代替? さらには会話を「記憶」してパーソナライズ ビッグデータとしてレコメンデーションに活用

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どの方向性に向かうにせよ、人間と資料をつなぐインター フェースの「柔らかい部分」にしっかり目を向ける必要が あるのではないか? これは課題は同時に、既存のシステムが排除してしまっている かもしれないユーザーの多様性に目を向けることでもある

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最終的には、ユーザーをデジタルアーカイブの外部に位置 する所与とするのではなく、ユーザーという主体を生み出す 全体的なプロセスのなかにデジタルアーカイブを位置付け る必要があるのではないか?