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AI との良い付き合い方を 僕らは誰も知らない Asei Sugiyama

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自己紹介 杉山 阿聖 (@K_Ryuichirou) Software Engineer @ Citadel AI Google Developer Expert @ Cloud AI MLSE GenAIOps WG 機械学習図鑑 共著 事例でわかる MLOps 共著 決闘者 @ マスターデュエル

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目次 1. AI 活用の現在地と期待 <- 2. 直面する「生産性のパラドックス」 3. 「良い付き合い方」を見つけるために 4. まとめ

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1. AI 活用の現在地と期待 個人単位での利用は進んでいる 個人単位での利用は進んでいる 日本でも大企業を中心に活用が進んでいる 期待も高い

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個人単位での利用は進んでいる 20代は直近3ヶ月で33%から42% へ急増し、若年層の伸びが著しい 男性30代や女性20代・50代でも 12%前後の大幅な上昇が見られる 世代間の差はあるものの、全世代 で活用が進行している NRC レポート https://www.nrc.co.jp/report/250707.html

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日本でも大企業を中心に活用が進 んでいる 企業規模による格差: 1,001人以上 は96.1%が取組、100人以下は 46.8% 生成AI導入の加速: 大企業の75%以 上が導入・試験利用、本導入へ移 行中 国際的なリード: 大企業の導入済割 合は日米独の比較で日本が最高 DX動向2025 https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/dx-trend-2025.html

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AI に対する期待は高い 巨大な経済インパクト: 2035年ま での累積GDPを約140兆円押し上 げる予測 人手不足の解消: 労働時間を約17% 削減し、850万人規模の労働不足 をカバー 生産性改善の加速: 効率化と高付加 価値化により、年平均1.3%の生産 性向上 みずほリサーチ&テクノロジーズ https://www.mizuho- rt.co.jp/publication/2025/pdf/report250129.pdf

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目次 1. AI 活用の現在地と期待 2. 直面する「生産性のパラドックス」 <- 3. 「良い付き合い方」を見つけるために 4. まとめ

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2. 直面する「生産性のパラドックス」 活用が進む企業と進んでいない企業が分かれる よく訓練された人間はAIで遅くなる ファインディの調査結果 DORA の調査結果 原因として考えられるもの コードレビューという高い壁 個人の生産性は伸びているが、集団としての生産性は伸びていない

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活用が進む企業と進んでいない企 業が分かれる 88%がAIを利用しているものの、 全社的なスケーリング段階にある のは約3割に留まる 実質的な収益効果を得ている「ハ イパフォーマー」は全体の6% ハイパフォーマーはAIによるビジ ネスの抜本的変革を他社の3.6倍強 く志向している The state of AI in early 2024 - McKinsey https://www.mckinsey.com/capabilities/quantumblack/our-insights/the-state-of-ai

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よく訓練された人間はAIで遅く なる 200万行規模のOSSプロジェ クトで、コードを熟知したエ ンジニアがAIコーディングを 使った場合とそうでない場合 を比較 エンジニアは使ったほうが早 くなると予測 実際は遅くなっていた Early 2025 AI Experienced OS Dev Study https://metr.org/blog/2025-07-10-early- 2025-ai-experienced-os-dev-study/

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ファインディの調査結果 約8割のエンジニアが個人の作 業効率化を実感 チーム全体の向上を実感して いる割合は約4割と半減 マージされたプルリクエスト 数などの客観的指標には、AI 導入前後で顕著な変化が見ら れない 生成AIで上がらなかった開発組織の生産性?! - AI駆動開発の実現に向けて取り組 むべきこと|山田裕一朗(CEO at Findy Inc.) https://note.com/yuichiro826/n/n285026b11564

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DORA の調査結果 AI の導入が 25% 増加すると 個人としては早くなり、 組織としては遅くなる コードレビューの速度は 3.1% 増加 承認の速度は 1.3% 増加 リリース速度は 1.5% 低下 安定性は 7.2% 低下 DORA | Impact of Generative AI in Software Development https://dora.dev/research/ai/gen-ai-report/ (fig.2, fig.3)

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原因として考えられるもの 真空仮説 AIが「価値ある仕事」を効率化して早く終わらせるため、時間に余 白(真空)が生まれる現象 相対的にAIで自動化できない「定型業務(会議や事務作業などの Toil) 」が残ってしまう ソフトウェア・エンジニアリングのプラクティスの無視 AIで大量のコードを一度に生成できるため、レビュー負荷や不安定 性が増大 テストや設計といった重要な工程がおろそかになる

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AI コーディングに関する新卒一年目へのインタビュー 必要な技術は調べられる 設計書やコードは書ける コードレビューという高い壁に直面する 複数の選択肢から良い設計を選択できない レビュー時に「なぜこう書いたのか(意図) 」を答えられない AI コーディングに頼らない自身の技術力を追い求めて、AI コーディ ングを封印して技術力の研鑽を行う

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目次 1. AI 活用の現在地と期待 2. 直面する「生産性のパラドックス」 3. 「良い付き合い方」を見つけるために <- 4. まとめ

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3. 「良い付き合い方」を見つけるために 正解はまだ誰も知らない 有用な知識を身につける手法そのものを身につける、3つのアプロ ーチ 1. 過去のソフトウェア・エンジニアリングの学習 2. 新たな技術の継続的なキャッチアップ 3. 同じ志を持つ仲間との議論

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1. 過去のソフトウェア・エンジ ニアリングの学習 現状でも有用なテクニックは 多く、普遍的である AI への指示(プロンプト)の 精度を高めるためにも不可欠 ソフトウェア・エンジニアリ ングの必要性から学びたい場 合は、たとえば右の書籍 Software Engineering at Google https://abseil.io/resources/swe-book

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2. 新たな技術の継続的なキャッ チアップ この分野は日進月歩で変化し 続けている 自身をアップデートし続ける ことが重要 達人プログラマー 熟達に向け たあなたの旅 第2版 の「知識 ポートフォリオ」が参考にな る 達人プログラマー 熟達に向けたあなたの旅 第2版 https://www.ohmsha.co.jp/book/9784274226298/

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3. 同じ志を持つ仲間との議論 優れたソフトウェアエンジニ アを定義する具体的な特性に 関する調査 見出された特性に「助けを求 める」 「自分の知識を共有す る」がある コミュニティを活用して情報 交換し、より良い方法を模索 する (今日のMeetupの意義) What Makes a Great Software Engineer? (IEEE) https://ieeexplore.ieee.org/document/7194618

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What Makes a Great Software Engineer? (補足) ソフトウェア開発を単なる技術的な作業ではなく、人間同士の相互 作用を伴う「社会技術的な取り組み」であると定義 「仕事以外の場でも付き合いたいと思わせるような、良好な人間関 係を築く能力」も必要 そんな事を言われたら泣いてしまう (by 新卒の頃の僕) 誰しもが会話や対人関係が得意ではないと思う 僕はここにいる人の話を聞きたくてここに来ていることだけは信じ てほしい

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まとめ AI活用の普及と期待: 全世代でAI活用が進み、140兆円という試算が 示すように社会からの期待も極めて大きい 二極化とパラドックス: 成果を出せる企業とそうでない企業の格差 が広がり、個人の効率化が組織の成果に直結しない現状がある 未知へのアプローチ: 誰も正解を持たない今、普遍的なエンジニア リングの学習とコミュニティでの対話を通じて、最適解を探求し続 ける姿勢こそが必要である