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ビジネスで成果を上げるための 
 データサイエンティストのバランス感覚 
 
 Advanced Innovation Strategy Center
 
 白土 義泰 
 1 2024.07

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● ビジネスの現場では事業的な「成果」が求められる ■ ※成果 = **円分の利益を上げました ● 成果には「短期的な成果」と「長期的な成果」がある ○ 短期:シンプルで先進性は低いことが多い ○ 長期:複雑で先進性が高いことが多い ● 私自身の事例を基に2つを両立させる方法を幾つか紹介します ○ 1. 優先度をつけてアウトプットを分割する ○ 2. ときに精度や先進性よりも説明性やスピードを優先する ○ 3. データ取得の理由を見つける ■ 上記を行うために役立ったスキルセットの紹介 本講義の要旨 


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自分にしかできない先進的で 困難なことを成し遂げたい 最新の技術やノウハウを 使っていたい 本講義の要旨の要旨 
 実際に誰かの役に立っている ものを提供したい 早く成果を出して周囲から 認められたい ● ビジネスの現場でときに相反する上記2つの想いについて、どのようにバランス を取れば良いか?

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● 自己紹介 ● RENOSY INVESTMENT事業について ● 研究・業務紹介 ● 成果を出すための工夫 本講義のアジェンダ 


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自己紹介
 5 2023.07

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● 白土義泰(しらどよしやす) ● 経歴 ○ 大学卒業後、ECサイトを運営するベンチャーでマーケティング全般(2年) ○ 同会社にてシステム開発チームに異動し、WEBアプリ開発(2年弱) ○ GAtechnologiesに入社してWEBアプリの企画・開発・運用(2年弱) ○ マーケティングチームに異動してデータ分析や企画を色々(3年くらい) ○ AISCに異動してDataScientist(今のところ2年くらい) 自己紹介


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● 白土義泰(しらどよしやす) ● 経歴 ○ 東北大学卒業後、ECサイトを運営するベンチャーでマーケティング全般(2年) ○ 同会社にてシステム開発チームに異動し、WEBアプリ開発(2年弱) ○ GAに入社してWEBアプリの企画・開発・運用(2年弱) ○ マーケティングチームに異動してデータ分析や企画を色々(3年くらい) ○ AISCに異動してDataScientist(今のところ2年くらい) 自己紹介
 多職種の経験を生かした データサイエンティスト?

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RENOSY INVESTMENT事業について 
 8 2023.07

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9 RENOSYの目指す未来 


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10 不動産投資とは? 
 オーナー 管理会社 賃貸借契約 
 管理委託
 家賃支払い 
 家賃送金
 お部屋の管理・入退去対応 
 入居者 銀行 ローン支払い 


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11 不動産投資とは? 
 オーナー 管理会社 賃貸借契約 
 管理委託
 家賃支払い 
 家賃送金
 お部屋の管理・入退去対応 
 入居者 銀行 ローン支払い 
 ほとんど手間がかからない 現金をほとんど使う必要がない

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12 不動産投資とは? 
 オーナー 管理会社 賃貸借契約 
 管理委託
 家賃支払い 
 家賃送金
 お部屋の管理・入退去対応 
 入居者 銀行 ローン支払い 
 営業活動においてはまだまだ個人の 「肌感」に頼っているところも少なくない セールス活動を科学して、スケール可能・再現性を 持たせる

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業務・研究紹介 
 13 2023.07

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● セールス活動は『誰に』『何を』『どうやって』販売するかによって成約確率が決定 される。 ● 上記の3要素はそれぞれ「独立で成約しやすいかどうか」と「他の要素との組み 合わせで成約しやすくなるかどうか」の要素を持っている。 仮説


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相性 ・エリア知っている? ・金額感は合っている? 顧客 物件 セールスマン 単体:不動産投資と相性が良い / 悪い ・長期的な投資にニーズがあるか? ・銀行からの融資が可能か?   etc. 単体:平均的に選ばれやすいか? ・知名度の高いエリアか? ・災害のリスクは低いか?   etc. 単体:適切な交渉ができるか? ・丁寧なコミニュケーションか? ・知識や経験があるか?  etc. 相性 ・性格は合う? ・進め方やスピード感は? 相性 ・適切な説明ができる? ・類似物件の経験がある?

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相性 ・知っている? ・金額感は合っている? 顧客 物件 セールスマン 単体:不動産投資と相性が良い / 悪い ・長期的な投資にニーズがあるか? ・銀行からの融資が可能か?   etc. 単体:平均的に選ばれやすいか? ・知名度の高いエリアか? ・災害のリスクは低いか?   etc. 単体:適切な交渉ができるか? ・丁寧なコミニュケーションか? ・知識や経験があるか?  etc. 相性 ・性格は合う? ・進め方やスピード感は? 相性 ・適切な説明ができる? ・類似物件の経験がある? 全てをデータとして扱えるようになれば ・「どの商談が成約となるか?」 ・「何を改善すれば営業体験が最適になるか?」 を明確にすることができる(はず)

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相性 ・知っている? ・金額感は合っている? 顧客 物件 セールスマン 単体:不動産投資と相性が良い / 悪い ・長期的な投資にニーズがあるか? ・銀行からの融資が可能か?   etc. 単体:平均的に選ばれやすいか? ・知名度の高いエリアか? ・災害のリスクは低いか?   etc. 単体:適切な交渉ができるか? ・丁寧なコミニュケーションか? ・知識や経験があるか?  etc. 相性 ・性格は合う? ・進め方やスピード感は? 相性 ・適切な説明ができる? ・類似物件の経験がある? しかし、創業 10年の現在でも データで傾向が掴めている要素は一部 ・データがない or 汚い or 足りない ・どんなデータが必要かわからない 全ての研究が揃うのは 5年後か10年後か?

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相性 ・知っている? ・金額感は合っている? 顧客 物件 セールスマン 単体:不動産投資と相性が良い / 悪い ・長期的な投資にニーズがあるか? ・銀行からの融資が可能か?   etc. 単体:平均的に選ばれやすいか? ・知名度の高いエリアか? ・災害のリスクは低いか?   etc. 単体:適切な交渉ができるか? ・丁寧なコミニュケーションか? ・知識や経験があるか?  etc. 相性 ・性格は合う? ・進め方やスピード感は? 相性 ・適切な説明ができる? ・類似物件の経験がある? では、この研究・分析は何も成果を出せていないのか?

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成果を出すための工夫

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● 全てを完成させなくても、成果を上げることは可能 。 ○ 例)『物件』の「平均的な選ばれやすさ」がわかれば・・・ ■ 物件仕入れの優先度をつける ■ 精度の高い在庫管理を行う ○ 場合によっては「東京の物件の選ばれやすさ」だけでもOK。 1. 優先度をつけてアウトプットを分割する 


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● 優先度はどうやってつけるか? ○ 「効果」が大きくて「工数(時間)」が小さいもの ○ 現場にヒアリング ■ 課題として感じているところはどこか? ■ 成果を上げるためには実際に使用するメンバーとの連携は不可欠 ○ ビジネス構造の分解 ■ 意外と社内で整理されていないことも多いです ■ どこが改善すれば「効果」が大きいか試算する ● 例) ● 売上 = 認知度 × 流入率 × 購入率 × 平均購入金額 ● どこを110%改善するのが最も早そうか? 1. 優先度をつけてアウトプットを分割する 


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● 基本的には積極的に現場投入することを優先する ○ 既に精度が足りていれば・・・ ■ 成果となって次の研究につながる ○ まだ精度が足りなければ・・・ ■ フィードバックをもらうことができる ■ ただし実際に現場で活用されない場合は精度以外の場所で課題を抱 えていることが多い。 ○ 数字をずっと追いかけていると「過剰な精度を求めすぎていた」というケース も起こります。 2. ときに精度や先進性よりも説明性やスピードを優先する 


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● 早期の現場投入の目的の一つが「フィードバックをもらうこと」 ○ (特にダメだった場合に)「何でそうなったのか」「何がダメだったのか」が可 視化された方が良い。 ○ 例)ルールベースモデルと機械学習モデルの同時実装 ■ 利用率とフィードバックに関しては前者の方が多かった。そのフィード バックに基づいて後者の精度改善にも繋がった。 ■ 半年程度の並行運用と精度実証の末に、利用は後者に統一。 ○ まずはルールベースから入るべきケースは多い。(事業のフェーズにもより ますが)マジでめちゃくちゃあります。 ■ ただし、ユーザーと適切なコミュニケーションが取れて、改善をしていく ことが前提。 2. ときに精度や先進性よりも説明性やスピードを優先する 


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● データサイエンティストの課題で最も多いのが、「データがない」だと思います。 ○ おそらくその次に多いのが「データが汚い」です。 ○ 弊社のあるシステムの「物件」テーブルには351のカラムがありましたが、全 然データは足りていません。 3.データ取得の理由を見つける 


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● 例) ● 交渉後に顧客から交渉内容の評価を取得する。 ○ 顧客とセールスマンの相性の測定に使用したかった。 ○ データ取得によってどの程度の成果が出るかは未知数で、そもそも評価指 標として本当に使用できるかもわからない。 ○ 適切に取得するためには、社内の複数のプロダクトと連携が必要。 ● このデータ取得は自分の目的だけでは承認が降りなさそうだった。 ○ しかしセールスマネージャーから顧客からの感想をもとに、その後の交渉方 法を見直したいという要望があった。 ○ またCXチームから、一部の顧客が面談後に担当者変更を希望していること があるという話を聞いた。 3.データ取得の理由を見つける 


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● データを取ることで可能になることはたくさんある。 ○ DX(自動化・効率化) ○ 可視化・分析 ● 「成果」を出す場所を自分の研究だけに閉じなくても良い。 ● (繰り返しになりますが)研究・分析を完璧に完成させなくても「成果」を出すこと はできる。 3.データ取得の理由を見つける 


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27 データ データ 役立つスキルセットの例 
 企画 開発

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28 データ データ 役立つスキルセットの例 
 企画 開発 ロジカルシンキング プロトタイピング ドメイン知識 コミュニケーション

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● ビジネスの現場では以下の理由から事業的な「成果」が求められる ■ ※成果 = **円分の利益を上げました ● 成果には「短期的な成果」と「長期的な成果」がある ○ 短期:シンプルで先進性は低いことが多い ○ 長期:複雑で先進性が高いことが多い ● 私自身の事例を基に2つを両立させる方法を幾つか紹介します ○ 1. 優先度をつけてアウトプットを分割する ○ 2. ときに精度や先進性よりも説明性やスピードを優先する ○ 3. データ取得の理由を見つける ■ 上記を行うために役立ったスキルセットの紹介 本講義の要旨(再掲) 


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ご清聴、ありがとうございました。