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ソフトウェア開発における 『パーフェクトな意思決定』 弥生株式会社 志田 拓也

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自己紹介 志田 拓也 ■2021年12月 弥生にJoin ■弥生会計オンライン・やよいの青色申告オンライン 開発チーム プロジェクトマネージャー ■基本的に優柔不断で、近所のスーパーでも 買い物に30分以上かけることはザラ ■そんな私が「意思決定」を語ります

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今回の本の紹介 ◼ 「パーフェクトな意思決定」

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なぜこの本を選んだか? ◼ 意思決定に対するニガテ意識があったため ⚫ PMとして、意思決定は避けられない ⚫ 自身の決定が満場一致で歓迎されることは、まずない ⚫ 何か物事を決める際には、板挟みで考える事が多く、決断が難しい ⚫ 決めた後にも、反論や変化に向き合わなければいけない ⚫ ・・・など、ネガティブ要素は上げればキリがない 総じて「決断」という行為自体が非常にストレス (現在進行系)

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この本はどんな人にオススメ? ⚫ ある程度「決定責任」がある人 ⚫ 「検討します」が口癖になっている人 ⚫ 決定には全員の納得が必要だと思っている人 ⚫ 一度決めたことをコロコロ変えないことが「意思決定」の 肝だと考えている人 ⚫ 逆に、意思決定の判断を仰ぐ立場の人 ・・・など ビジネスパーソンである以上、 意思決定には何らかの形で関わるはず →なので、すべての方にオススメ!

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この本の構成 ◼ なぜ決めることは怖いのか ◼ 「正しい意思決定」という勘違い ◼ 「よく考える」の正体 ◼ 自分が決めない「聖域」 ◼ 「勇気」としか言いようがないもの

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この本の構成 ◼ なぜ決めることは怖いのか ◼ 「正しい意思決定」という勘違い ◼ 「よく考える」の正体 ◼ 自分が決めない「聖域」 ◼ 「勇気」としか言いようがないもの ここで語られている 「3つの箱」という話にフォーカス

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意思決定の3つの箱 即決 情報不足 期限を設定する

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1つ目の箱「即決」 ◼ 何よりもスピード重視 ⚫ 選択肢が明確な場合は、意思決定者は明確に決める ⚫ 判断を引き延ばすことはビジネススピードの停滞を招く ◼ 無理に全員の理解を得る必要はない ⚫ 十分な情報と権限があるならば、全員の賛同を待たず、意思決定を行う ⚫ 決まった内容とそれを実効するためのレクチャーを行う

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2つ目の箱「情報不足」 ◼ 意思決定に必要な情報が足りない ⚫ 意思決定の難易度が高い、決定により生じるインパクトが大きい場合など ⚫ 決定に必要な情報を集める必要がある ◼ 必要な情報を集める際のコツ ⚫ 意思決定者だけが動くのではなく、全員で情報を収集する ⚫ そうすることで、最終的に意思決定が早まり、 全員が決まったゴールに向かって進むことが早期に可能となる

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3つ目の箱「期限を設定する」 ◼ 長いスパンで判断したい場合 ⚫ 即断即決が向かないケースも存在する ⚫ ある程度観測を行ったうえで意思決定を行う ◼ 期限は必ず設定する ⚫ 観測を決めた場合でも期限は必ず設ける ⚫ 観測の中で「期限を伸ばす」と判断するのはありだが、 その判断自体の期限を必ず設ける

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ソフトウェア開発で考えてみる

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1つ目の箱「即決」 ◼ 作業担当者をアサインする場合  Q:機能Aの仕様について確認したいのですが、誰に聞けばいいですか?  A:XXさんに聞いて下さい ⚫ ある程度チームの進捗状況が把握できていれば、都度伺いを立てる必要はない ⚫ 余分な確認を挟むことで、スピードの低下につながる恐れがある ⚫ 問題がある場合は本人からアラートを上げてもらう、ということを事前に取り決 めておけるとベター 必要な情報が揃っている場合は、無駄に引き伸ばさない

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2つ目の箱「情報不足」 ◼ 作業方針に対して反論が上がった場合  Q:新規作成するB機能ですが、A機能からの模範で作るのではなく、 ゼロベースで検討し直したほうが本質的ではないでしょうか?  A:意思決定に必要な情報(期間、リソース等)を収集する必要があります ⚫ 判断が難しい場合は「どうすればシンプルな判断ができるのか」を考える ⚫ そのために必要な情報を集める必要がある ⚫ 今回のケースだと、ゼロベースで検討する際の情報以外にも、 「そもそもゼロベースで検討し直せる予算やスケジュールがあるか」という 前提の確認も重要な要素となる 意思決定を行うためには何が必要か?を考える

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3つ目の箱「期限を設定する」 ◼ 機能の削除を検討する場合  Q:C機能はユーザーがあまり使っていないようです。一方で保守は大変です。 そのため、機能自体を削除すべきではないでしょうか?  A:今期の利用状況を収集したうえで、X月までに判断します ⚫ 判断に時間軸が必要な場合は期限を設ける ⚫ このケースでは「一定期間内の利用状況」を分析する必要があるため、 情報を集めるために期間が必要 ⚫ 期限は必ず設ける あらかじめ決めた期限が来たら、しっかり決める 「放っておかないこと」が大事

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アンチパターン「検討します」

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「検討します」は全裸より恥ずかしい ◼ 本当に検討することは稀 ⚫ そもそも「検討します」は言い逃れやその場しのぎの思いが大きい ⚫ 相手が勝手に諦めるのを待つ場合に使いがち ◼ 決定しないことは責任の放棄 ⚫ 保留にされた側はずっとモヤモヤが残る ⚫ 「やらない」という決定をしたほうが、判断を仰ぐ側にとっても建設的 ◼ 現状維持はリスク ⚫ 判断を保留にすることで、停滞や未来の機会損失につながる ⚫ 失敗からは学べるが、保留からは学びはない 必ずどれかの箱に入れることを検討すべき 決めることも責任のうち

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まとめ ◼ 意思決定は辛くて当たり前! ⚫ 全員が100%納得できる決定はありえない ⚫ 意思決定者には、不安や反論と向き合う義務が生じる ◼ それでも、決定しないと次に進めない ⚫ ビジネスを前に進めるためには、意思決定は必要 ⚫ 必要な情報を揃え、勇気を持って意思決定していく ◼ 意思決定は「石のように」ではなく「水のように」 ⚫ 毎回、正しい決定をし続けるのは至難の業 ⚫ 間違いを認め、軌道修正をし、決定をし続けていく必要がある スピードが重視される世の中 「パーフェクトな意思決定」を意識してみませんか?

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ご清聴ありがとうございました