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 スクラムチームと認知負荷 Team Topologies から認知負荷への向き合い方について考える

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 自己紹介 職種と企業を飛び越えたNTT Comとの新規ビジネス共創【NIFTY Tech Day 2023】 https://www.youtube.com/watch?v=qU3DT5C3BsU NIFTY Tech Talk #4 レガシーシステムからの脱却 https://www.youtube.com/watch?v=Ttium-UNEEU 清水 利音 Shimizu Rion 顧客管理システムやシングルサインオンシステムなど 会員基盤系を担当するチームの SM を担当 ニフティ株式会社 基幹システムグループ 過去の登壇

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 1. 組織構造は暗黙的に現行のマネージャーと専門家の役職 や権限が変わらないように最適化されています。 2. 1の影響により、変化を起こす提案は、元の状態が再定 義される、もしくは新しい用語が乱用されることにな り、結果的に元々の状態と変わらない状態になります。 クレイグ・ラーマンの法則 (抜粋) https://www.craiglarman.com/wiki/index.php?title=Larman%27s_Laws_of_Organizational_Behavior 3 https://scrummaster.jp/larmans-laws-jp/

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 ● 1つのプロダクトに1つのスクラムチーム ● プロダクトのビジョンに責任を担う PO ● スクラムチームの環境整備を行う SM ● 機能横断的で自己管理されているチーム 教科書どおりのスクラムを実践できていますか? 4

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 ● 1つのチームが複数のプロダクトを兼任している ○ 複数人の PO、ないしは PO が不在のプロダクト ○ バックログの衝突、渋滞 ● SM がマネージャーやリーダーロールを兼任している ● 絶対的な締め切りや外からの圧力により、 チームの開発に対する権限が失われている よくありそうなケース 5

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 ● もっと上のレイヤー、組織的な問題が多そう? ○ 既存の組織のままスクラムを導入した ○ チームが生み出す価値とはいうが、評価は個人単位 だし・・・ ● とはいえボトムアップで変えるためにはどうすれば ・・・? チーム内の状態がどうこうというより・・・ 6

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 7 Team Topologies からヒントを得たい

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 8 Team Topologies とは? ● Dev/Ops 組織について、組織設計やチームの 相互作用についてのモデルをした 体制構築手法 ● 4つのチーム形態、3つのコラボレーションと コンパクトに整理されている Team Topologies: Organizing Business and Technology Teams for Fast Flow Matthew Skelton, Manuel Pais 2019 チームトポロジー 価値あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計 2021

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 9 Team Topologies とは? アジャイル・リーン・Dev/Ops といったムーブメントは、 ビジネスのフローに沿った小規模のチームに対して大きな 価値があることを実証したが・・・ ● 従来型の組織の多くはその組織モデルゆえにこれらのメリット を十分に享受できていない ● 場当たり的な文化や組織面での変化

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 10 Team Topologies とは? ● チームトポロジーが重点を置いているもの ○ コンウェイの法則 ○ 認知負荷の制限 ○ チームファースト思考 いくつかの中心となるアイデアの中から 今回は「認知負荷の制限」について考えてみたい

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 11 認知負荷 (Cognitive Load) について ● 人間のワーキングメモリのリソースを圧迫する負荷 という意味合いで使われることが多い ● もともとは心理学で用いられていた ● 現在のイメージで使われるようになったのは、1988年 心理学者のジョン・スウェラーによるものとされる ○ 論文の中で3つの認知負荷を定義 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/0364021388900237

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 12 課題内在的負荷 ● 問題に対する教育的なタスクに関連するもの ● プログラミング言語の勉強など 課題外在的負荷 ● タスクを実行する上で本質的ではない、環境に関連 するもの ● 環境構築など 学習関連負荷 ● 学習を進めたりコアな問題を解決するために、特別な注 意が必要なタスクに関連するもの ● ビジネス課題を解決するためのロジックなど ● ここに注力できるようにしたい 3つの認知負荷

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 13 チームが抱えている認知負荷を考える ● リリース済みプロダクトの問い合わせ、運用、バグ、 トラブル対応 ● 緊急の割り込み作業 ● タスクの切り替え ● プロダクト外のミーティングや案件 ● etc…

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 14 チームが抱えている認知負荷を考える ● チームサイズを制限する ● チームが扱うソフトウェアのサイズを制限する ● チームが扱うドメインの種類を制限する チームトポロジーにおける認知負荷へのアプローチ

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 15 チームサイズを制限する ダンバー数 (グループの認知と信頼に関係する進化上の限界数) を考慮すると、5~8人 https://robertoferraro.substack.com/p/dunbars-number-and-team-size-the ● これはスクラムチームのサイズ としても言われている ● コミュニケーションパスは 人数によって増大する ● オーバーしている場合は、 思い切って分割も考慮する

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 16 チームが扱うソフトウェアのサイズを制限する チームが扱うドメインの種類を制限する ● シンプル ○ ほとんどの仕事は明確な作業手順がある ● 煩雑 ○ 変更の分析が必要で、適切な ソリューションの提供には数回の 繰り返しが必要 ● 複雑 ○ ソリューションの提供には 多くの実験、探索が必要 ドメインを基準に制限・分割する

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 17 まずは、チームの認知負荷状態を知る たとえば、スプリント以外の活動時間 スプリント以外の活動時間 スプリントに充てられる時間 Aさん 39h20m 35h30m Bさん 45h 29h50m Cさん 38h 36h50m Dさん 49h 25h50m

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 18 これからやりたい ● ドメインごとに費やされている時間の計測 ● ドメインの切り分け ○ DDD によるサービスの切り分け ○ イベントストーミング ● プロダクトの棚卸し

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 19 まとめ ● スクラムがうまく機能していないのは、組織体制との アンマッチが考えられる ● ボトムアップで変えていくために、認知負荷という 観点からチームを整理する ● まずはチームの認知負荷の状態を知るところから

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