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アジャイルなチームをつくる 『アジャイルリーダーシップ』 2022年12月7日 Forkwell Library #13 株式会社ユーザベース 野口光太郎(@enk_enk)

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自己紹介 ● 野口光太郎(@enk_enk) ● 株式会社ユーザベース ● ソフトウェアエンジニア ● 『アジャイルリーダーシップ』は会社の同僚4 名で翻訳しました

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この講演の目的 ● 『アジャイルリーダーシップ』のエッセ ンスを紹介すること ● 明日からチームをよりアジャイルにする ためにできることを見つけていただくこ と

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Q 2つの質問

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Q 「アジャイル」 ってなんですか?

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A 「適応性」

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“一言で言うと、 アジャイルとは「適応性」です” 第2章「リーダーシップは心のありよう」(11ページ) この本のスタンス: アジャイルとは「適応性」

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“VUCAの世界とは、変動性、不確実性、複雑性、 曖昧性が高い世界です。すなわち予測不可能な世 界のことです。今こそ、変わるときです。アジャ イルになれば、現代の複雑な問題に対する答えが 得られるようになり、変化への適応力と対応力も 高まります。” 第2章「リーダーシップは心のありよう」(16ページ) この本のスタンス: アジャイルとは「適応性」

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“アジャイルは目標ではありません。 目標を実現するための、 最良の手段であるというだけです” (Mike Cohn) 第1章「すべての始まり」(7ページ) この本のスタンス: アジャイルとは「適応性」

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Q 「リーダーシップ」 ってなんですか?

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A 「権力ではなく、 影響力を活用できること」

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● 原書のサブタイトルにもなっている ○ 「Leveraging the Power of Influence」(影響力を活用する) この本のスタンス: リーダーシップとは 「権力ではなく、影響力を活用できること」

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● 原書のサブタイトルにもなっている ○ 「Leveraging the Power of Influence」(影響力を活用する) この本のスタンス: リーダーシップとは 「権力ではなく、影響力を活用できること」

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“アジャイルリーダーであるというこ と。それは役職による権力ではなく、 影響力を活用できるということで す。” 第1部「アジャイルリーダー—隠れたリーダーシップを解き放とう」(1ページ) この本のスタンス: リーダーシップとは 「権力ではなく、影響力を活用できること」

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“リーダーシップとは、 役職ではなく心のありようです” 第2章「リーダーシップは心のありよう」(21ページ) この本のスタンス: リーダーシップとは 「権力ではなく、影響力を活用できること」

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“私はすでにスクラムマスターやアジャイルコーチとしては そういった経験を積んでいましたが、120人の部下を持つ管 理職として同じことをするのはわけが違います。自分の習慣 との戦いだけでなく、自分が持っている魅力的な役職による 権力との戦いでもあります。権力を使えば、一時的にすべて をより効率的に、より速くすることができるのです。” 第2章「リーダーシップは心のありよう」(22ページ) この本のスタンス: リーダーシップとは 「権力ではなく、影響力を活用できること」

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まとめるとアジャイルリーダーシップとは ● 「適応性」の高いチームや組織をつくっていくためのもの(=アジャイル) ● 役職や権力にまつわることではなく、心のありようと影響力にまつわること (=リーダーシップ)

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『アジャイルリーダーシップ』 ● 著: Zuzana Šochová(“Zuzi”) ○ アジャイルコーチ ○ 『SCRUMMASTER THE BOOK』の原 著者 ● 原書: The Agile Leader: Leveraging the Power of Influence(2020/12)

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『アジャイルリーダーシップ』 ● Zuziさんが認定アジャイルリーダーシッ プ研修の講師をつとめる中で、より広 く、世の中の多くの人にアジャイルリー ダーシップを知り、実践してほしい、と いう思いを持つようになった ● Zuziさん自らがリーダーとして組織をア ジャイルに変えてきた経験や、コーチと して他組織のリーダーたちを支援してき た経験を踏まえてまとめた本 ● 「適応性の高い組織をつくるためのリー ダーシップ」の最前線

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なぜアジャイル リーダーシップなのか

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“アジャイルリーダーシップとは、 ツールやプラクティス、方法論のこと ではありません。リーダーシップは夢 と情熱から始まります” 第4章「アジャイルリーダー」(40ページ) はじめに考えるべきは 「なぜアジャイルリーダーシップなのか」

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“リーダーがまず変わる必要がありま す。そうすれば組織はついてくるで しょう” 第2章「リーダーシップは心のありよう」(23ページ) はじめに考えるべきは 「なぜアジャイルリーダーシップなのか」

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“目的を持つことが重要なのです。 目的がないと道を見失ってしまいま す。機会が数多くありすぎて、その中 からどのように正しい選択をすればい いのかわからなくなるのです” 第4章「アジャイルリーダー」(63ページ) はじめに考えるべきは 「なぜアジャイルリーダーシップなのか」

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アジャイル リーダーシップ とはなにか

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まとめるとアジャイルリーダーシップとは(再掲) ● 「適応性」の高いチームや組織をつくっていくためのもの(=アジャイル) ● 役職や権力にまつわることではなく、心のありようと影響力にまつわること (=リーダーシップ)

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では、アジャイルリーダーシップとはなにをすることか ● 組織のマインドセットと構造(=文化)を、段階的にアジャイルに(適応性 のより高いかたちに)変えていくこと

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アジャイルリーダーシップとは なにをすることか

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アジャイルリーダーシップとは、以下の2つを導くこと ● 組織の「マインドセット」は、 ○ 「個人」中心のマインドから ○ 「チーム」「組織」そして「社会全体」中心のマインドへ ● 組織の「構造」は、 ○ 「指揮命令型の、固定的な階層構造」から ○ 「あらゆるところでリーダーシップが創発する、流動的なネットワーク構造」へ

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アジャイルリーダーは、 組織の文化を育てる

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今日の(残りの)お話の前提 ● 書籍『アジャイルリーダーシップ』は「テイスティングメニュー」 ● 「本書はレシピ集ではありません。書いてある手順通りにやれば誰でも、世 界を変えるアジャイルリーダーに変わることができるという本ではないので す。それよりも、アジャイルリーダーシップのさまざまなコンセプトや原則 を味見できるテイスティングメニューやビュッフェのようなものだと考える とよいかもしれません。」(「まえがき」より) ● 今日のお話ではあえて「アジャイルなチームをつくるリーダーシップ」に フォーカスします

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アジャイルな チームをつくる アジャイル リーダーシップ

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アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ (のヒント) ● 個人ではなくチーム ● 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ● ファシリテーションからコラボレーションへ ● 自律性のためのビジョンと目的 ● 「勇気」の価値 ● リーダーは一歩だけ先を行く

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アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ (のヒント) ● 個人ではなくチーム ● 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ● ファシリテーションからコラボレーションへ ● 自律性のためのビジョンと目的 ● 「勇気」の価値 ● リーダーは一歩だけ先を行く

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“アジャイルとは、つまるところチー ムとコラボレーションのことです。個 人はそれほど重要ではありません。” 第6章「コンピテンシー」(132ページ) 個人ではなくチーム

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(アジャイル組織は)チームが組み合わさって一 つになったかたちを取ります。現代のビジネスの 複雑性に対処するためには、チームという複雑系 が必要だからです。(中略) チームが自己組織化し、自己管理し、時には方針 さえ自分たちで決めることもあります。” 第3章「組織の進化」(35ページ) ビジネスの複雑性に、チームという複雑系で対処する

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アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ (のヒント) ● 個人ではなくチーム ● 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ● ファシリテーションからコラボレーションへ ● 自律性のためのビジョンと目的 ● 「勇気」の価値 ● リーダーは一歩だけ先を行く

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“システムの観点からすると、正解も不正解もあり ません。常に多くのことが同時に起きているので あり、判断をほんの少しだけ保留すれば、「誰も が正しい、ただし部分的に」[Šochová17a]という ことに気づきます。 第5章「アジャイルリーダーシップモデル」(80ページ) 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」

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“すべてのフィードバックをシステムの観点で捉 え、「誰もが正しい、ただし部分的に」と考えて いれば、フィードバックから学ぶ能力は大きく向 上します。” 第6章「コンピテンシー」(116ページ) 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」

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アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ (のヒント) ● 個人ではなくチーム ● 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ● ファシリテーションからコラボレーションへ ● 自律性のためのビジョンと目的 ● 「勇気」の価値 ● リーダーは一歩だけ先を行く

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“アジャイルとは、つまるところチー ムとコラボレーションのことです。個 人はそれほど重要ではありません。” 第6章「コンピテンシー」(132ページ) アジャイルの核心にはコラボレーションがある

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アジャイルの核心にはコラボレーションがある

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アジャイルの核心にはコラボレーションがある

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アジャイルの核心にはコラボレーションがある

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“ファシリテーションとは、効果的なやり方でお互 いに話し合う能力のことです。そこから創造性や イノベーションが生まれます。場の空気を読み取 り、さまざまなコミュニケーション様式を理解す る能力は、コラボレーションが生まれやすい構造 をかたちづくる出発点となります。” 第6章「コンピテンシー」(137ページ) 一方で、ファシリテーション

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“チームによるコラボレーションがご く当たり前な働き方になるまでの間、 ファシリテーションは効果的なコミュ ニケーションを可能にする非常に重要 なスキルです。” 第6章「コンピテンシー」(137ページ) ファシリテーションは、 コラボレーション以前の段階で特に重要

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アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ (のヒント) ● 個人ではなくチーム ● 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ● ファシリテーションからコラボレーションへ ● 自律性のためのビジョンと目的 ● 「勇気」の価値 ● リーダーは一歩だけ先を行く

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“存在目的はアジャイル組織の必須条 件です。存在目的がないと、完全な自 律性はカオスを生み出します。” 第8章「アジャイルな組織をつくる」(173ページ) 目的は自律の必須条件

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“ビジョン策定プロセスを適切に進めて目的との感 情的なつながりを生み出せば、エネルギーは自ず と生まれてきます。モチベーションを高めるため にそれ以上のことをする必要はありません。チー ムはビジョンに沿って行動し、ビジョン達成のた めに最善を尽くします。” 第6章「コンピテンシー」(103ページ) 適切なビジョンがあれば、チームは強くなる

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“逆にビジョンが不明確だと、本来は創造的で知的 な人々が、個別の小さなタスクを遂行することに 集中するようになってしまいます。予測が難しく 不明確な世界の中で、それが唯一の明確なものと なるからです。” 第6章「コンピテンシー」(103ページ) 適切なビジョンがなければ、チームになれない

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アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ (のヒント) ● 個人ではなくチーム ● 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ● ファシリテーションからコラボレーションへ ● 自律性のためのビジョンと目的 ● 「勇気」の価値 ● リーダーは一歩だけ先を行く

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「勇気」の価値 ● スクラムの価値基準: 確約、勇気、集中、公開、尊敬 ● XPの価値基準: コミュニケーション、シンプリシティ、フィードバック、勇 気、リスペクト

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“勇気はアジャイルの価値基準の一つですが、多く の組織で見過ごされています。結局のところ、人 は組織のために働くのではなく、偉大なリーダー のために働くのです。偉大なリーダーになりま しょう。勇気を持って手放すのです。チームが答 えを見つけてくれると信じましょう。” 第4章「アジャイルリーダー」(73ページ) 自律性のための「勇気」

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“勇気によって現状を打破できます。実験に踏み出 す勇気を持っていますか?現状を打ち破ろうとし ているのでしょうか、それとも確立されたプラク ティスやプロセスに従おうとしているのでしょう か?人によって反応は異なるでしょうが、勇気な きリーダーシップはなく、勇気なきアジャイルも ありません。” 第7章「メタスキル」(164ページ) 変革のための「勇気」

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アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ (のヒント) ● 個人ではなくチーム ● 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ● ファシリテーションからコラボレーションへ ● 自律性のためのビジョンと目的 ● 「勇気」の価値 ● リーダーは一歩だけ先を行く

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“アジャイルリーダーは、組織がア ジャイルへの道のりを歩むためのガイ ドです。メタスキルの観点で言うと、 忍耐が必要です。このような変化には 時間がかかるからです。” 第12章「まとめ」(320ページ) リーダーは一歩だけ先を行く

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“たとえ現在の状況があなたが組織に 夢見ることや願うことからかけ離れて いても、リーダーが先を行くのは一歩 だけであるべきです。変化を押し付け すぎないようにする必要がありま す。” 第12章「まとめ」(320ページ) リーダーは一歩だけ先を行く

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“変化は、押し付けてはいけません。 育てましょう。” 第12章「まとめ」(320ページ) リーダーは一歩だけ先を行く

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まとめ

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まとめ ● アジャイルリーダーシップには、あなた自身の夢や目的、情熱が欠かせない ● アジャイルリーダーシップとは、「組織のマインドセットと構造(=文化) を、段階的にアジャイルに(適応性のより高いかたちに)変えていく」こと ● アジャイルなチームをつくるアジャイルリーダーシップ(のヒント) ○ 個人ではなくチーム ○ 学びのための「誰もが正しい、ただし部分的に」 ○ ファシリテーションからコラボレーションへ ○ 自律性のためのビジョンと目的 ○ 「勇気」の価値 ○ リーダーは一歩だけ先を行く

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今日触れられなかったトピック(主な もの) ● アジャイルリーダーのさまざまな側面やコン ピテンシー、メタスキル ○ サーバントリーダー、カタリストリーダー、 etc. ○ ビジョン、モチベーション、変化、意思決定、コーチング、 etc. ○ 好奇心、信頼、オープンさ、多様性、コミットメント、 etc. ● アジャイル組織 ● アジャイル取締役会 ● アジャイル人事 ● アジャイル財務 ● その他さまざまなツール ○ オープンスペース、ワールドカフェ、システム思考、 etc.

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“アジャイルリーダーであるということ。 それは役職による権力ではなく、 影響力を活用できるということです。” 第1部「アジャイルリーダー—隠れたリーダーシップを解き放とう」(1ページ)

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“リーダーシップは心のありようです。 誰もがリーダーになれるのです。” 第2章「リーダーシップは心のありよう」(21ページ)

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“あなたがリーダーになることを妨げるものは、 あなた自身以外にはありません。” 第2章「リーダーシップは心のありよう」(21ページ)