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なぜ施策優先度を意思決定しなければならないのか? 経験から得た要因と対策 2024-12-12 @ プロダクトマネージャーLT Night 〜アウトカムを最⼤化する施策優先度の意思決定〜 mkitahara / きたはら ( @mikity01985 )

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名前 ● mkitahara ( @mikity01985 ) / 北原 幹也 出⾝ ● 静岡県 - 埼⽟県 - 千葉県 職能 ● エンジニアリングマネージャー / テックリード / Androidアプリ開発 / プロダクトマネージャー 職歴 ● FinTech会社 (2023/07〜 ) ○ モバイルアプリチームのエンジニアリングマネージャーを中⼼にいろいろ ○ 2024/10 より新規事業のテックリードを中⼼にいろいろ —--------------------------------- ● SES会社 (2011/04〜 2014/12) → 開発受託会社 2社 (2015/01 〜 2017/09) → EdTech会社 (2016/02〜 2023/06) ○ 新卒未経験でIT業界へ、研修でAndroidアプリ開発に出会う ○ Androidアプリ開発を中⼼にサーバーサイド、CRE⽴ち上げ、チーム責任者を経験 ○ EdTechでは出向‧業務委託のみ 30名程度の会社から 社員200⼈超えの組織の成⻑を経験 ■ 受託企業でも10名以下だったので、なんでも⾃分でやらざるをえない環境 を経験 ⾃⼰紹介

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アウトカムを最⼤化する

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アウトカムとは? アウトカム (成果) アウトプット (結果‧成果物) インパクト (社会経済的変化‧波及効果) ターゲット ゴール‧ミッションの実現 に近づいた! ⽬標達成! 例:SMART ⽬標 で計測 活動やプロジェクトの結果として得られる最終的な成果や効果 ‧アウトプット:活動やプロジェクトによって得られる成果物や結果 ‧インパクト:利⽤者やその環境の課題を改善したり、ポジティブな影響を与えること ⽬に⾒えるものが多い ⽬に⾒えないものが多い → 計測可能な⽬標で可視化 ※1 マーク‧J‧エプスタイン (著), クリスティ‧ユーザス (著), 鵜尾雅隆 (監修), 鴨崎貴泰 (監修), 松本裕 (翻訳), 社会的インパクトとは何か――社会変⾰のための投資‧評価‧事業戦略ガイド (10,14 2015)

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アウトカムは必ず得られるが...... アウトカム (成果) アウトプット (結果‧成果物) インパクト (社会経済的変化‧波及効果) ターゲット 例:SMART ⽬標 で計測 ⽬標未達...... ズレた⽬標設定...... ゴール‧ミッションの実現 に近づいた? ポジティブではない成果を得ることもある ‧ネガティブな成果、全く変化が⾒えない成果...... ‧実は変化が起きているが、確認ができていないこともある......

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アウトカムから学び、新たなインプットとする アウトカム (成果) アウトプット (結果‧成果物) インパクト (社会経済的変化‧波及効果) ターゲット 例:SMART ⽬標 で計測 ⽬標未達...... ズレた⽬標設定...... インプット (投⼊資材) アクティビティ (活動) 学習‧ふりかえりをしてアンラーンする ゴール‧ミッションの実現 に近づける インプット → アウトプット → アウトカム のループを構築する ‧アウトカムで得た反応を学び、次のインプットとしてさらなるアウトプットを⽣み出す ‧1つのアウトカムでインパクトを与えることは難しい...... → アウトカムの量を増やす

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アウトカムはコントロールしにくいが...... アウトカム (成果) アウトプット (結果‧成果物) インパクト (社会経済的変化‧波及効果) 例:SMART ⽬標 で計測 ⽬標未達...... ズレた⽬標設定...... インプット (投⼊資材) インプット (投⼊資材) アウトプット (結果‧成果物) アウトカム (成果) インプット (投⼊資材) アウトプット (結果‧成果物) アクティビティ (活動) ゴール‧ミッションの実現 量や質をコントロールできる領域 学習‧ふりかえりをしてアンラーンする アウトカムを⽣み出すインプット → アウトプット の 質と量を改善する ‧アウトカムを最⼤化するには、とにかくアウトプットの数を打ち続ける!!

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以上

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なら、登壇してまで話す内容ではない 󰢛 アウトプット の 質と量を改善する 必要があることはズレてないと考えている われわれが抱えている問題の状態 と対処を考えてみる ■ 何もわかっていない状態 ‧検証回数を増やす:アウトプットの量を増やす ■ インパクトを少しずつ実感してきた ‧再現性を確⽴する:アウトプットの質を⾼める ■ 市場の変化をキャッチアップできるようになってきた ‧より⾼速で施策を実施する:インプット →アウトプット→アウトカムの検証⾼速化

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なぜ、施策優先度を決めるのか?

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⾼速サイクルを回す障壁がある 時間と予算が無限であれば、施策実施も無限に⾏うことができる → 時間と予算は 有限であり、⽣み出すことも保存することもできない ※2 Jonathan Rasmusson (著), ⻄村 直⼈ (監訳), ⾓⾕ 信太郎 (監訳), 近藤 修平 (翻訳), ⾓掛 拓未 (翻訳),アジャイルサムライ−達⼈開発者への道 (7,16 2011)

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時間という制約は特に厳しい 逆に制限しなければ、いつまでも延期され続けるだけでなく、終わらなくなる...... ■ 変化は待ってくれずコントロールできない ‧市場や顧客の変化 ‧競合企業や新規企業の脅威 ■ パーキンソンの第⼀法則 ‧仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する  ‧過度に増員しても完成までの時間は変わらない

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アウトカムを最⼤化させるためにまずやること:アウトカムを可視化する アウトカム (成果) アウトプット (結果‧成果物) インパクト (社会経済的変化‧波及効果) ターゲット 例:SMART ⽬標 で計測 インプット (投⼊資材) アクティビティ (活動) アウトカム (成果) アウトプット (結果‧成果物) インパクト (社会経済的変化‧波及効果) ターゲット 例:SMART ⽬標 で計測 インプット (投⼊資材) アクティビティ (活動) 施策の完了:アウトプットまでではなく、アウトカムの計測まで

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MVPとMMP:MVPを検証して、MMPであるかどうかを評価する ■ MVP:Minimum Viable Product (実⽤最⼩限の製品) ※3 → アウトプット ■ MMP:Minimum Marketable Product (最⼩限の市場性のある製品)※3 → アウトカム MVP MVP MMP? 検証 output outcome MVP 5つ⽣み出す→ 5回検証できる ※3 romanpichler, THE MINIMUM VIABLE PRODUCT AND THE MINIMAL MARKETABLE PRODUCT ※2 Herding Cats, The Myth of Incremental Development MVP MVP MVP MVP

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検証回数を増やすには? ■ リソース効率 ■ フロー効率 A B C A B C アウトカムはコントロールできないので検証回数を増やす 有限な予算(資源)で検証回数を増やす → フロー効率を最⼤化させる 💰? 💰? 💰? 💰? 時間 時間 順番に検証する 優先度を決める! 学習結果によっては⼀部施策を やらないという判断もできる

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施策優先度の決め⽅

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それでも施策の優先度を決められない? ■ ⼈はなぜ不安に思うのか? ‧完璧、正解がわからないから  ‧そもそも完璧?正解?はどうやってわかる? → 検証してみないとわからない ‧リスクとは?:未知への恐怖‧脅威  → 思いつかないリスクはどこかで諦める → 第三者レビューにより洗い出し、みんなの施策にする  → リスクへの対応:「回避」「軽減」「移転」「容認 (許容) (保有)」:対策して不安を取り除く ■ ⼈はなぜ迷うのか? ‧基準がないから ‧責任とは?→ 責任は「発⽣した問題の対応も含めて、顧客に価値を届ける。or 施策を⽌める判断をする」 ■ 最後は判断する or 決断する勇気と覚悟 ‧判断:根拠‧論理をもとに客観的に結論を出す ‧決断:⾃分の意思で主観的に決める  → 材料やわからないことを含めて集める  → 絶対にやってはいけないことを明確にする

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施策優先度を決める⼿順 (案) 評価 材料収集 情報まとめ 結果可視化 材料収集 → 評価 → 結果可視化 の3ステップで対応する

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1. 材料収集‧情報まとめ 評価 材料収集 情報まとめ 結果可視化 ■ 要件定義書‧PRD ‧施策ごとに同じテンプレートで書く  ‧概要  ‧背景  ‧受⼊‧完了条件  ‧実現可能性、難易度  ‧着⼿可能になるまでに必要なタスク  ‧希望期⽇ (守れなかった場合のリスク‧脅威、リリース解禁最短⽇)  ‧期待する効果 (いつごろまでに、だれが、どうなっている?)  ‧対応した場合のリスク  ‧わかっていないこと  

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2. 評価を実施する 評価 材料収集 情報まとめ 結果可視化 ■ 相対評価を⾏う ‧緊急度/重要度 マトリックス  ‧四象限、九象限 の枠を書く  ‧基準となるチケットを1、2つプロット  ‧基準のチケットと⽐較して、他のチケットをプロットしてみる → 右上から対応する  ‧緊急度と重要度 以外に、有効性と実現性、労⼒と期待効果(リスク) など軸を変えてみると良い 緊急度 重要度 緊急度 重要度 緊急度 重要度

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3. 結果を可視化 評価 材料収集 情報まとめ 結果可視化 ■ プロダクトバックログに並べる ‧優先順位の⾼いものは上に置く ‧定期的に⾒直す / 再評価する ‧評価軸を都度変えて再評価する ‧上から順番に対応する  ‧相対評価なので全く同じものはない  ‧優先度→優先順位 とする ‧当時の評価軸の背景や評価結果を残しておくと良い ‧ ‧ ‧ 優先順位 ⾼ 低 ‧ ‧ ‧ 優先順位 ⾼ 低 チームで認識揃っていれば順番を変えてもいい

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おまけ:帆船のふりかえり ふりかえりをやってきて効果があった(ように感じた)フレームワーク アウトカムを得るための阻害要因は?→ 現状とリスクを可視化 船 ‧やったこと / やっていること ‧今の状態 追い⾵ ‧チャンスなこと 太陽 ‧ポジティブなこと / 状態 錨 ‧ブロッカーになっているもの 雲 ‧わからないこと/不安なこと 岩礁 ‧今後発⽣しそうなリスク‧脅威 無⼈島 ‧提供したこと (アウトプット) 虹の島 ‧達成したこと(アウトカム) アウトカム アウトプット リスク‧脅威 ブロッカー わからないこと 不安なこと チャンス(外 的要因) ポジティブ (主観的) やったこと

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まとめ

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まとめ ■ アウトカムを⽣み出すためにコントロールできるアウトプットの量と質を改善する ‧アウトカムは⽬に⾒えないことが多いので、状態を可視化する(KPI、SMARTな⽬標) ‧なにもわからないときは アウトプットの量、再現性がなんとなく⾒えてきたら 質 を求めていく ■ 施策優先度を決める原因(の⼀つ)は 有限な時間と予算(資源)である ‧時間は制御しないと逆に無限に膨らんでしまう ‧リスクや脅威に常に晒されている。社会変化は待ってくれない ■ MVP(アウトプット) で学習して、MMP(アウトカム)であるかを評価する ‧アウトカムは検証してはじめて得られたかどうかがわかる ‧フロー効率を⾼めて検証回数を増やす ■ 材料収集 → 相対評価 → 結果の可視化 の 3ステップで 優先順位を決める ‧(その時点での)評価軸の⾒える化、定期的な評価軸の⾒直し ‧優先度 に 順番をつけて、ひとつずつ試してみる ‧注意:施策対応コストだけで判断しないこと

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ご静聴ありがとうございました!