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『楽楽電子保存』開発チーム が挑む「AI駆動開発」の全貌 楽楽明細開発部 開発2課 小栗朗 フロントエンド開発課 伊藤彪我

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2 目次 導入背景と登壇者紹介 プロダクトの概要と課題 設計フェーズの加速 実装フェーズの加速 グローバル開発の加速 効果と課題・今後の展望

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3 導入背景と登壇者紹介 ● 登壇者の紹介 ● 電子帳簿保存SaaSの市場 ● AI駆動開発による価値提供のスピードアップ

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導入背景と登壇者紹介 | 登壇者紹介 楽楽明細開発部 開発2課 小栗朗(Akira Oguri) フロントエンド開発課 伊藤彪我(Hyoga Ito) 4
 プロジェクトリーダー 楽楽電子保存立ち上げ・グローバル開発推進 - 2021年ラクス入社 - 前職:メーカー系SIer、パッケージ開発のPMF達成・基盤刷新 フロントエンドエンジニア 主に楽楽電子保存のフロントエンド開発・改善担当 - 2020年新卒入社 - 楽楽明細→楽楽電子保存のフロントエンド開発

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導入背景と登壇者紹介 | 電子帳簿保存SaaSの市場 5
 年度 市場規模 (推計) 年間成長率 2022年度 104億円 – 2023年度 190億円 +82.0% 2024年度(予) 約296億円 +55.7% 2025年度(予) 約362億円 - 出展: it.impress.co.jp 2021年の電子帳簿保存法の改正により急激に需要が増した市場 2022年1月に電子帳簿保存サービス「楽楽電子保存」をリリース (2024年にPMFを達成) 現在も市場規模は拡大 今後も機能拡充が必要となっています(右表)

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導入背景と登壇者紹介 | AI駆動開発による価値提供のスピードアップ AI駆動開発は顧客への価値提供を早めるための必須戦略 6


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● 楽楽電子保存の概要 ● 楽楽電子保存の開発体制 ● 開発リードタイムが課題 7 プロダクトの概要と課題

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プロダクトの概要と課題 | 楽楽電子保存の概要 8
 電子帳簿保存法への対応を楽にするクラウドサービス 急速に成長している拡大期のプロダクト 【サービス概要】 ● 2022年1月にリリース ● 電子帳簿保存法対応を楽にするクラウドサービス ● AI-OCR+認定タイムスタンプで証憑の真実性担保 ● 楽楽明細連携、検索・権限管理で日々の手間削減

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プロダクトの概要と課題 | 楽楽電子保存の開発体制 9
 *今年入社したメンバー エンジニア バックエンド ブリッジSE ラクスベトナム エンジニア フロントエンド エンジニア PMM/PdM/ デザイナー PMM・PdM・プロダクトデザイナー・開発(フロントエンド+バックエンド) (バックエンド開発はラクスベトナムによるオフショア開発) (*) PMM: プロダクトマーケティングマネージャー PdM: プロダクトマネージャー

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プロダクトの概要と課題 | 開発リードタイムが課題 【Before】従来の開発プロセスと課題 各工程でリードタイムが長期化☹ - ウォーターフォール型プロセスにより、各工程の 遷移で待ち時間が発生 - オフショア開発により、作業依頼・受入の工数が 発生 10
 【After】AI導入による改善 要求策定から実装までのリードタイムを 大幅に短縮!😀 - AIが仕様の明確化、翻訳、レビューなどを支援 することで、各工程のボトルネックを解消 - これにより本来の目的であるユーザーへの迅速 な価値提供を実現

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● 上流のリードタイム課題 ● AI適用のポイント①②③ ● 上流のリードタイム改善 11 AI × 設計フェーズ

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設計フェーズの加速 | 要求〜設計のリードタイム課題 12
 要件定義・概要設計は一部のメンバーに集中 ドキュメントの分散と未経験者に適さない形式 - 要求仕様/要件定義/概要設計の一部にフリーフォマットや重複あり - PMM/PdM/開発で様々なツールを利用 (スプレッドシート、スライド、draw.ioなど)

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設計フェーズの加速 | AI適用ポイント①ドキュメントの統合/見直し 13
 ● 要件定義〜概要設計までを1つのGoogle Docsに集約 ○ 開発関係者全員で共有 ○ AIの入口となる資料を一元化 ● 設計資料内のフォーマットを見直し構造化 様々なフォーマット ● スプレッドシート ● スライド ● draw.io  etc PMM 要求 PdM 要求仕様 ドキュメント 統合 開発 要件定義 概要設計 設計資料の構造化/重複削除 AIインプットの 集約

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設計フェーズの加速 | AI適用ポイント①ドキュメントの統合/見直し (アウトプットイメージ) 14
 ● ドキュメントタブ上で作成者を担当を明確化 ○ PMM/PdM/開発(FE/BE/デザイナー) ● ステークホルダー間の議事録もセット ○ PMM⇔PdM間での要求出し ○ 開発内での議論も記載 PMM PdM 議事録 開発

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設計フェーズの加速 | AI適用ポイント②AI活用の準備 15
 ● 設計資料のフォーマットに従い設計情報を出力するプロンプトの作成 ● 設計のレビュー観点をプロンプト化 ● AI前提の概要設計の流れを明示化/チーム内共有 レビュー観点の プロンプト化 プロンプトの 作成 設計フローの 明示化

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設計フェーズの加速 | AI適用ポイント②AI活用の準備 (アウトプットイメージ) 16
 ● 概要設計のドラフトやレビューを行うプロンプト ● 実務に適用し、メンバーと振り返りながら、プロン プトを適宜、見直し

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設計フェーズの加速 | AI適用ポイント③AI前提の概要設計フロー 17
 1. PMM/PdMの要求仕様がインプット ○ 機能要求やユースケース、UXイメージ 2. 要求インプットからプロンプトを任意のAIに入力 ○ AI概要設計のドラフトを出力 3. 設計ドラフトをAIのプロンプトでレビュー 4. 開発者が設計ドラフトをレビューし、資料へ反映 ○ 一貫してGoogleDocsに記載 プロンプトから 設計情報出力 [出力AIツール] Gemini、 ChatGPT、 Devin etc 設計 インプット 設計 ドラフト レビュー観点 プロンプト 開発者 レビュー

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設計フェーズの加速 | 上流のリードタイム改善 18 要件定義・概要設計が 一部のメンバーに集中 ドキュメントの分散 未経験者に適さない形式 複数メンバーによる要件定義と 概要設計の並行実施 ドキュメントの無駄を見直し AIによるドラフト生成 結果、設計フェーズの期間が平均30%以上短縮 (当社比、10日->6日) 設計担当人数の倍増 (2人->5人) 【Before】 既存のやり方 【After】 プロセス見直し・AI活用導入

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● AIツールの使い分け戦略 ● Agentic Codingの実践 ● AI活用における品質保証体制 19 AI × 実装フェーズ

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20 AIツール 主な用途 理由・特徴 並行作業、API利用 Web上で複数の作業を並行して進められ、API利用に追 加料金が不要(通常の利用料金(ACU)はかかる) 集中したい作業 レスポンスが高速で、集中力を途切れさせることなく開発 に没頭できる 軽微なIssue対応 issueにアサインするだけで完結し、小規模な修正やタス クを簡単に処理できる                 Codex 障害・不具合調査 複雑なコードの解析精度が高く、根本原因の特定 ロジック相談、テキスト処理 アルゴリズムの壁打ちや、仕様書の要約・翻訳など、テキス トベースのタスクに強い 実装フェーズの加速 | AIツールの使い分け戦略

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実装フェーズの加速 | Agentic Codingの実践 21
 AIを活用した開発で、平均30%程度の工数削減!(実際のフロー例)

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実装フェーズの加速 | AI活用における品質保証体制 AIは強力な支援ツールですが、最終的な品質は「人間」が担保しています。 22


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● 日越合同チームの課題 ● AIによる開発力向上 ● グローバル体制へのチームトポロジー適用 ● AIとグローバル開発の親和性 23 AI × グローバル開発

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グローバル開発の加速 | 日越合同チームの課題① オフショア開発特有の課題 24
 - 言語の壁・情報伝達のタイムラグ - スキルギャップによるレビュー - 特定エンジニアへの業務集中

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グローバル開発の加速 | 日越合同チームの課題② オフショア開発特有の課題 25
 - 言語の壁・情報伝達のタイムラグ - スキルギャップによるレビュー - 特定エンジニアへの業務集中

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グローバル開発の加速 | 日越合同チームの課題③ オフショア開発特有の課題 26
 - 言語の壁・情報伝達のタイムラグ - スキルギャップによるレビュー - 特定エンジニアへの業務集中

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日本エンジニアの業務削減 (ボトルネックの解消) グローバル開発の加速 | AIによる開発力の向上 27
 言葉の壁・情報伝達のタイムラグ レビュー時間が長い ブリッジSEによる上流の伝達 AI翻訳補完による翻訳工数の減少 AIによるレビューや実装 品質向上しレビュー時間が減少 ブリッジSEによる 要件定義や概要設計 日本チームでの 成果物の受入レビュー 【観点】 【発生した問題】 【対応策や効果】 日越チーム間の 業務バランス 特定日本エンジニアへの業務集中 (特定業務がボトルネック化) 次要求の検討や高難易度な技術課題にフォーカス

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グローバル開発の加速 | グローバル体制へのチームトポロジー適用 28 28 凡例 Stream-aligned Team Enabling Team Platform Team Complicate d Subsystem Team インフラ・SRE AIチーム PMM・PdM・DE Enabling Team (支援チーム) Stream-aligned Team (機能開発チーム) ラクスベトナム ブリッジSE Colla bora tion Colla bora tion Colla bora tion ● AI活用により、ブリッジSE+ベトナムエンジニアの開発力がエンハンスされ土台が完成 ● チームトポロジーの本格導入(役割・責任を分担し、並行開発と自律性を実現) ○ 日本:Enabling Team ○ ブリッジSE+ベトナム:Stream-aligned Team - 同郷チームによるシームレスな開発

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グローバル開発の加速 | AIとグローバル開発の親和性 29 グローバル開発では「開発の言語化・構造化・共有」が成功の鍵であり、 それはAI活用においても不可欠な前提 共通原理が両者の親和性と開発力の拡大を生み出すと実感 海外拠点の課題 - 拠点間のコミュニケーションコスト - 複数横断部署横断による認知負荷 - スキルギャップ AI x グローバル開発へのチームトポロジー適用により課題が解消 海外拠点を構築する目的 - IT人材不足の解消 - グローバル競争力の強化

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● 得られた効果 ● 現在の課題 ● 今後の展望 30 効果と課題・今後の展望

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効果と課題・今後の展望 | 得られた効果 効果 31
 ● 要件定義〜開発のリードタイムが最大40%短縮 ○ 上流設計のリードタイムが30%短縮と並列化 ○ 実装スピードも30%改善 ● 機能開発以外の下記 Enabling の業務が加速 ○ ベトナムメンバーへのマインドセット醸成、技術意思決定といった開発チーム支援 ○ インフラ・SREチームとの共通基盤の改善

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● AI開発フローの最適化/完備 ○ AI利用で効果が出ているが、手動での利用が多く、開発フローの改善余地は多い ● テストでのAI活用拡大 ○ テストのAI活用はトライアル中 ● デザイン(UI)面のAI活用課題 ○ AIはUI実装が苦手 ■ Figma MCP活用検討 ■ 脱Figmaも視野に入れたデザイナー協力 32 効果と課題・今後の展望 | 現在の課題 現在の課題

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33 効果と課題・今後の展望 | 今後の展望 今後の展望 ● AI開発フロー整備/最適化、AI活用の拡大、リードタイム改善 ○ PMM/PdM/デザイナー/開発を含めた情報のGithub管理 ○ AIによるシームレスな要求〜テスト設計、自動テストのドラフト高速生成 ● PMM/PdM領域への開発の早期参画 ○ 今後、AI活用により開発リードタイムはより短縮し、 ユーザーにとって価値があること、そのWhy、Whatの特定、開発に チーム一体で集中していく

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ご清聴ありがとうございました。 34