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失敗を学びに変える アジャイルなマインドセット: Linda, Lyssa, Jeff, そしてEmotion Scienceから学ぶ13年間の気づき

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川口 恭伸 かわぐち やすのぶ Twitter: @kawaguti YesNoBut株式会社 代表取締役社長 アギレルゴコンサルティング株式会社 シニアアジャイルコーチ 一般社団法人スクラムギャザリング東京実行委員会 代表理事 一般社団法人 DevOpsDays Tokyo 代表理事

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https://www.youtube.com/watch?v=ipuwbFanqMY

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今日は私がこれまでに参加した 国内外のカンファレンスで なるほど!となったセッションを おすそ分けしたいと思います。

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アジャイルな マインドセット Linda Rising, 2011

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https://enterprisezine.jp/article/detail/3400

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全員に簡単な課題を与え、その結果に応じて 「努力チーム」と「頭脳チーム」に分けます。 A: 努力チーム B: 頭脳チーム

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各チームに、次の課題として やりたいものを選ばせました。 (1)難しい課題 (2)簡単な課題 学べることも多い

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「A: 努力チーム」の 90%近くが(1)を選択 「B: 頭脳チーム」の 90%近くが(2)を選択

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とても難しい試験

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がんばって取り組み、 チャレンジを楽しんだ

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B: 頭脳チームは すぐにやる気をなくした

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チャレンジを楽しむ やる気をなくす

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Fixed Growth

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Fixed Growth 能力は 目的は 挑戦を 失敗は 努力は 困難への反応

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Fixed Growth 能力は 目的は 挑戦を 失敗は 努力は 困難への反応 グロースマインド セットで変化に向 き合う!

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今の私の人生のミッション はあなたたち、とても若い あなたたちが私がしたよう な失敗をしなくてすむよう にすることです。 https://enterprisezine.jp/article/detail/3400

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心理学の、技術的でない 「ふわっとした(fluffy)」 事柄を無視しないで ください。 https://enterprisezine.jp/article/detail/3400

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アジャイルが私たちにもた らしたものも、ふわっとし た人間同士の事柄を現実と して捉える、ということ だったのですから。 https://enterprisezine.jp/article/detail/3400

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1964年にカンザス大学で化学の学士号 を取得し、1984年にサザンイリノイ大学 でコンピュータサイエンスの理学修士号を、 1987年にサウスウェストミズーリ州立大 学で数学の修士号を取得しました。1992 年にアリゾナ州立大学でコンピュータサイ エンスの博士号を取得し、その博士論文 「Information hiding metrics for modular programming languages (モジュラープログラミング言語における 情報隠蔽メトリクス)」はオブジェクトベー スの設計メトリクスに関するものでした。 https://en.wikipedia.org/ wiki/Linda_Rising

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1964年にカンザス大学で化学の学士号 を取得し、1984年にサザンイリノイ大学 でコンピュータサイエンスの理学修士号を、 1987年にサウスウェストミズーリ州立大 学で数学の修士号を取得しました。1992 年にアリゾナ州立大学でコンピュータサイ エンスの博士号を取得し、その博士論文 「Information hiding metrics for modular programming languages (モジュラープログラミング言語における 情報隠蔽メトリクス)」はオブジェクトベー スの設計メトリクスに関するものでした。 https://en.wikipedia.org/ wiki/Linda_Rising リンダの 経歴はガチ

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ちなみにこのセッションの後に、 別のキーノートで話された話題と 共通性を感じて 「Same」(同じだね)って 言いに行ったら、 “No, Similar” (違う。似ている) と言われたのをよく覚えています。 その人が頑張って探究したものを、 軽々しく「XXと同じ」って言っちゃ いけないんだな、って学びました。 https://enterprisezine.jp/article/detail/3400

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組織に 新しい考え方を 導入・普及 したい人の定番本。

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安定期がない 変化の時代こそ アジャイル Lyssa Adkins, 2023

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https://www.youtube.com/watch?v=nHIlMlpDWz g

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VUCAという略語を聞いたことがあると思います。 私たちの世界が、 変動性(Volatile)、 不確実性(Uncertain)、 複雑性(Complex)、 曖昧性(Ambiguous) を持つようになってきている、ということです。

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いまVUCAだけでなく、変化の性質そのものが変 化しています。私はこのことを2020年に初めて 知りました。そして、なぜ物事がこれほどまでに難 解なのか、その理解を深める上で、驚くべき発見 となりました。以前は、大きな変化を経ても、その 後しばらくは安定した状態が続くというものでし た。

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私たちの人生、私たちの世界 のますます多くの部分が、 この3つの変化、すなわち 永続的、 遍在的、 そして最も困難な 指数関数的 な変化にさらされています。

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変化は休むことなくずっと続く 永続的

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変化はあらゆる場所で起こる 偏在的

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変化は拡大していく 指数関数的

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変革期 変革期 変化 変化 変化 安定期 拡大期 安定期 拡大期 安定期 拡大期 ソフトウェアは変化した 数年ごとのメジャーバージョンアップ 大規模な先行マーケティング ライセンス販売モデル 継続的な変更とリリース 事前告知なし・発表日に提供開始 従量制・サブスクリプション

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変革期 変革期 変化 変化 変化 安定期 拡大期 安定期 拡大期 安定期 拡大期 https://gazoo.com/feature/gazoo-museum/car-history/15/01/16_1/ https://www.honda.co.jp/50years-history/ challenge/1981city/page02.html https://www.youtube.com/watch?v=Hl1zEzVUV7w https://logmi.jp/tech/articles/327160 ハードウェアも変化していく

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1986 変革期から学び、継続的な変化に備える 変革期 変革期 変化 変化 変化 安定期 拡大期 拡大期 安定期 拡大期 安定期 2005 https://logmi.jp/tech/articles/327160 2022 https://speakerdeck.com/kawaguti/roots-of-scrum-2005 https://hbr.org/1986/01/the-new- new-product-development-game

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https://www.youtube.com/watch?v=tLbvnxCkXWA 初代プリウスにみるアジャイル開発の要素と 現代の環境での進め方について

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テスラとSpaceXにおけるアジャイル Joe Justice

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https://www.youtube.com/watch?v=nHIlMlpDWzg 変化は外から、障害の形で現れる。

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変化を代謝する (取り入れて自らも変化する) https://www.youtube.com/watch?v=nHIlMlpDWzg

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「清水の舞台」 見学しました

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話しながら 付箋に書いて 共有しよう Jeff Patton, 2011

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ジェフ・パットン Jeff Patton ユーザーストーリー マッピング

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ソフトウェア設計者、プログラマであり、 「Visual Basicの父」として広く認知さ れている。また、著書『About Face 3』、『コンピュータは難しすぎて使え ない』でも知られている。インタラク ションデザインコンサルティングのリー ディングカンパニーであるクーパー社を 創業して目的主導型設計手法を生み出し、 ハイテク製品を生み出すための実用的な インタラクションデザインツールとして 「ペルソナ」の活用を先駆的に提唱した。

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しかし、デザインと開発という2 種類の実践者たちが協力し合えば、 仕事が電気(怪物のエネルギー 源)となり、呼吸をする生きた製 品が生まれる可能性が出てくる。 チームワークが怪物に生命を吹き 込み、人々に愛されるものに変え るのだ。 アラン・クーパーによる序文

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この2つの分野の実践者たちは、 一般にとても有能で、スキルがあ り、信頼できるが、ある共通した 弱点を持っている。プログラミン グの言葉ではデザインの意向をう まく表現できず、デザインの言葉 では開発の趣旨をうまく表現でき ないのだ。 アラン・クーパーによる序文

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つまり、2つの分野には共通の言 葉が欠けている。そして、ジェ フ・パットンの立ち位置が、まさ にこの2 つの分野の重なり合う場 所なのだ。 アラン・クーパーによる序文

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ジェフ・パットン Jeff Patton 協調ワークショップを 通じて共通理解を作る。

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2011年。初来日が 第一回スクラムギャザリング東京

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最も驚いたのは、 付箋を書き出す際の 「スピード」と「量」

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64 世界最初のユーザーストー リーマッピングが生まれた時

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65 前書き

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66 ゲーリーから聞き取って 書いたカードで床が埋まった。 そして、それを整理した。

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69 利用現場を知らない人には、 この緻密さと情報量を 出すことは難しい。

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70 前書き リアルタイムに 議論し、記録し、 付け加えていく

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https://www.1101.com/iwata/2007-09-04.html

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「オレは、これをいいと思う」って すべてのお客さんを代表するかのように、 思い込みで語るつくり手が多いんですよ。 https://www.1101.com/iwata/2007-09-04.html

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本当は「お客さんがこう反応する」 っていう事実があって、 「それはなぜだろう?」 という仮説があって、そこではじめて 「じゃあ、どうすれば、 根っこの問題が解決できるだろう?」 って考えなきゃいけないのに、 「オレはこう思う!」という、 事実と仮説をぐちゃぐちゃに混ぜた意見を 押し通してしまうことが多いんですね。 https://www.1101.com/iwata/2007-09-04.html

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つまり、宮本さんというのは 視点を動かすことに長けているんですね。 そのとおりですね。 いままで近くで見てたのを、 突然ものすごく遠くから見てやり直すというか 虫メガネで見ていたかと思うと 地上一万メートルからもう一回見直してみたり https://www.1101.com/iwata/2007-09-04.html

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作る人 考える人

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資料を作る人 会議する人 ものを作る人

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自己組織的な チーム 考えながら 作れる

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感情的なささくれと うまく付き合おう Michael Sahota, 2018

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コミュニケーションの 密度が上がると、 瞬間的にぶつかって しまうことも増えます。

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感情の性質を理解し、 うまくつきあっていく スキルが大事になります。

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ネガティブな感情は、私たちが最 大の可能性で最高に生きることを 妨げ、リスクをとったり、自分の 目的に生きることを妨げます。 ネガティブな感情は、人生や経験 を形作る人間関係から、私たちを 分離・断絶させます。ネガティブ な感情は、私たちがルールや過去 の条件に囚われるように仕向けま す。

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私たちの感情系は過去と現在、未来 を区別することができません。感情 系は体験していることが今起きてい ることなのか、それとも既に起きた ことなのかを見分ける事ができない のです。そのため、過去の幸せな記 憶を持ち出すと、自分に今実際に起 きているかのように感じるのです。

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脳はやってくる情報を評価して、以 前の状況に似た既存の神経経路を見 つけます。つまり、既に確立された 経路を再利用することで時間を節約 するのです。そして、脳は危険だと 認識したものを定義し、より速く検 出するようになります。脳は、状況 や出来事が新しいものかどうかや、 以前と違っているかどうかは認識し ません。脳は、現在の状況を過去の 状況やマッチする状況と比較して、 何をすべきかの指針にします。

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感情的になっていると、声が大 きくなったり、批判的になった り、容赦なく意見を言ったりし ます。あるいは、声を上げるこ とが最善の策であるにもかかわ らず、静かで控えめな態度をと ることもあります。

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新しいアイデア、特に自分 を成長させることを意図し たアイデアに対して「いえ、 そうは思えません」という のはとても簡単です。アイ デアが既存の信念と異なる ものである場合、心はその 考えを拒否します。

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脳は、新しいアイデアが やってくるとすぐに思考を 停止するように作られてい るのです。

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感情的に反応するとき、私たち は整っていません。知的であり ません。事実、反対のことが起 こります。最悪です。感情的な 反応はこのようにして、私たち が望む人生を生きることを阻害 します。

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また、自分の本心とは違っ た態度をとってしまうこと もあります。こうしたこと は、自分自身にダメージを 与え、チームを破壊し、人 間関係を悪化させます。

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私たちが自身の人生で求めるも のを手に入れるには、起きてい ることに対して整った場所から 対処する必要があります。知的 に行動することのできる穏やか な場所です。

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私たちが自身の人生で求めるも のを手に入れるには、起きてい ることに対して整った場所から 対処する必要があります。知的 に行動することのできる穏やか な場所です。 感情の ささくれに 対処する

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Fixed Growth 能力は 目的は 挑戦を 失敗は 努力は 困難への反応 グロースマインド セットで変化に向 き合う!

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https://www.youtube.com/watch?v=nHIlMlpDWzg 変化は外から、障害の形で現れる。 変化は外から 障害の形で 現れる。

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95 前書き リアルタイムに 議論し、記録し、 付け加えていく

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私たちが自身の人生で求めるも のを手に入れるには、起きてい ることに対して整った場所から 対処する必要があります。知的 に行動することのできる穏やか な場所です。 感情の ささくれに 対処する

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私、間違ってるかも I could be wrong Mike Cohn, 2013

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ご存知の通り、私はアジャイルの大き な支持者です。私は「Succeeding with Agile」を執筆しました。ユー ザーストーリーが大好きで、それにつ いても本を書きました。見積もりと計 画作成も大好きで、それらについても 多くの文章を書いてきました。これら のことを提唱するのは、実際に効果が あるのを見てきたからです。

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ユーザーストーリー アジャイル普及導入 見積もりと計画づくり

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しかし、私は間違っているかもしれま せん。実際、私が推奨してきたアジャ イルの一部について、時間が経って間 違いだと証明されることを願っていま す。アジャイルは実験です。最良の結 果を得るための最善の方法についての 仮説、つまり最善の推測を立てること です

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しかし、時には物事が最善の形で進ま ないこともあります。 そういう時は、それを認め、そこから 学び、前に進む必要があります。

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1999年、私はコロラド州のある会社で エンジニアリング部門のバイスプレジデ ントを務めていました。その会社は非常 に順調でした。製品は成功し、プロジェ クトは期限通りに完了していました。ま た、私の上司であるCEOも素晴らしい人 でした。この良好な状況—良い会社、素 晴らしいCEO—を活かして、私たちが苦 手としていた「見積もり」の能力を向上 させたいと考えました。

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そこで、私のチームで実験を始め ることにしました。当時20〜25の チームがありましたが、各チーム に異なる方法で見積もりを行うよ うに指示しました。完全に異なる 方法である必要はありませんでし たが、少なくとも何らかの違いを 持たせる必要がありました。

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最初、チームはタスク分解のようなアプ ローチを行っていました。これは大きな 機能、つまりユーザーストーリーのよう なものを取り、タスクのリストに分解す るというものです。チームはパラメト リック見積もりも行っていました。これ は作業に関わる工数のモデルを作成する ことです。

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そのモデルは、コード行数や機能ポイン トのようなものに基づくことが多いです。 そしてコード行数や機能ポイントは通常、 ドメインの複雑さを開発者の平均経験年 数で割り、アーキテクトの誕生日の平方 根を足したもので掛け算されます。その ような感じです。そしてそれにより予測 される完了日が出されます。

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私たちのプロジェクトのほとんどは2〜 3ヶ月程度でした。各プロジェクトが終 わるたびに、チームは自分たちの成果を 振り返り、次のアプローチを選択しまし た。自分たちの完了日予測の精度と、他 のチームの予測精度を比較検討して、次 のアプローチを決めていました。劇的に 異なるアプローチを選ぶ必要はありませ んでしたが、少なくとも何か違うものを 選ぶ必要がありました。

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タスク分解 完了予想日 ストーリーのようなモノ ごにょごにょ

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当時使っていたアプローチの1つで、こ の実験を始めた時に私が勝者になると 思っていたのは、「経験豊富なシニアプ ログラマー日数(ESP days)」という アプローチでした。私はこのアプローチ を推していました。勝者になってほしい と思っていました。それは単に「ESP」 という素晴らしい頭字語になるからとい うだけでなく、見積もりアプローチとし て素晴らしい名前だと思ったからです。

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基本的な前提は、各チームメンバーが経 験豊富なシニアプログラマーであるかの ように見積もるというものでした。これ は、理想主義者による問題や、あなたの 理想日数と私の理想日数が同じではない という問題(スキル、専門知識、経験の 大きな違いによる)を回避しようとする 試みでした。

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タスク分解 完了予想日 ストーリーのようなモノ ESP Days 経験豊富なシニア プログラマなら?

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これは最初のチームではうまくいきまし た。なぜなら、そのチームのメンバー全 員が実質的に経験豊富なシニアプログラ マーだったからです。しかし、他のチー ムに展開すると、うまくいきませんでし た。

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見積もりは難しく、自分がどれくらいか かるかを見積もるのは本当に難しいので す。架空の典型的な経験豊富なシニアプ ログラマーがその作業を完了するのにど れくらいかかるかを見積もるのは、さら に難しいことでした。良くないアイデア でしたが、私はこれがうまくいくと思っ ていました。

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タスク分解 完了予想日 ストーリーのようなモノ ESP Days 経験豊富なシニア プログラマなら?

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最初に支持を失ったアプローチの1つが パラメトリック見積もりでした。パラメ トリック見積もりでは、チームがプロ ジェクトにかかる時間のモデルを作成し ます。しかし、プロジェクトに含まれる コード行数を尋ねることは、単に「どの くらいかかるか」と尋ねるのと同じくら い難しいことがわかりました。そのため チームはすぐにパラメトリック見積もり を放棄しました。

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同様に、チームはタスク分解も放棄しま した。大きな機能をタスクのリストに分 解することは非常に時間がかかり、完了 するまでどれだけうまくできたかわから ないからです。タスクの50%を見つけら れたのか、80%を見つけられたのかわか りません。

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タスク分解 完了予想日 ストーリーのようなモノ ESP Days 経験豊富なシニア プログラマなら?

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私がしたことと言えば、「2つのチーム が全く同じ方法で見積もることはできな い」という単純な実験のルールを設定し ただけでした。チームは今日で言うとこ ろの理想日数やストーリーポイントに集 まり始めました。

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この実験は約2年間続きました。大きな 枠組みのアプローチには同意し始めまし たが、チームは小さな点で異なり始めま した。チームは使用する単位について議 論し始めました。1-2-4-8-16といった 単位を好むチームもあれば、フィボナッ チ数列を好むチームもありました。見積 もりの切り上げ方についても実験を始め ました。悲観的に常に切り上げるべきと 言うチーム、楽観的に常に切り下げるべ きと言うチーム、現実的に最も近い数字 に丸めるべきと言うチームがありました。

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ミーティングの進め方についても実験を 始めました。見積もりミーティングの ルールについてです。そこから今日のプ ランニングポーカーの手法に組み込まれ ているものの一部が生まれました。他の チームは参加者について実験しました。 3人だけで済ませられる方法はないか、 本当にチーム全員が必要なのかといった 点です。

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https://kawaguti.hateblo.jp/entry/20120218/1329524230 https://www.youtube.com/watch?v=3anefSB56LE プランニングポーカー かんたんガイド

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このように、様々な実験が行われていま した。私が過去10年ほど書いてきたこと やトレーニングしてきたことから、この 実験がどこに行き着いたか想像できるで しょう。しかし、この話の要点はそこで はありません。この話の要点は、実験を 始めたとき、私には何がうまくいくかと いうアイデアがありましたが、「間違っ ているかもしれない」と自分に言い聞か せていたことです。そして実際、私は間 違っていました。

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スクラムやアジャイルについて、最後に 考えを変えたことは何でしょうか?小さ なことでも構いません。4週間スプリン トから1週間スプリントへの(またはそ の逆の)好みの変更かもしれません。あ るいは、プロダクトオーナーをレトロス ペクティブに含めるという決定のような、 より大きな信念の転換かもしれません。 かつて強く信じていたが、今はもう信じ ていないことを思い出せますか?

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もし初期のスクラム提唱者たちが、スク ラムを定義する際に「これが物事の進め 方だが、私は間違っているかもしれな い」と言う勇気を持っていなかったら、 スクラムはどうなっていたでしょうか。

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失敗を学びに変える アジャイルなマインドセット: Linda, Lyssa, Jeff, そしてEmotion Scienceから学ぶ13年間の気づき

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失敗を学びに変える アジャイルなマインドセット: Linda, Lyssa, Jeff, そしてEmotion Scienceから学ぶ13年間の気づき 私、間違ってるかも I could be wrong