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Ridge-i インターンシッププログラム 人工知能・機械学習(AI/ML)基礎講座 第5話 第2次AIブーム ルールベースとエキスパートシステム Chief Research Officer 牛久 祥孝

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1.2. 第2次AIブーム

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Take Home Message • 第1次ブームの終焉 – フレーム問題 – 「知識」への注目 • 第2次AIブーム(1980年代) – ルールベースとエキスパートシステム – オントロジー • 現在も続く知識ベースの人工知能への取り組み – ワトソン

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第1次AIブームの終焉 • フレーム問題 – ジョン・マッカーシー(人工知能という言葉をつくりだした、 ダートマス会議の主催者)が1969年に指摘 – あるタスクを実行する際に、 • そのタスクに関係あること • そのタスクに関係ないこと を分離して動作を記述することが非常に難しい、という問題 • 本講義ではダニエル・デネットの例[1984]をもとに作成した 例を紹介

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ネズミ型ロボットN1 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み チーズを発見!

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ネズミ型ロボットN1 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み

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ネズミ型ロボットN1 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み 罠にかかってエネルギー切れ

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ネズミ型ロボットN2 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み • 「自分の起こそうとする行動によって発生する別の現象」を 考慮する機能を追加 チーズを発見!

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ネズミ型ロボットN2 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み • 「自分の起こそうとする行動によって発生する別の現象」を 考慮する機能を追加 チーズを発見! このチーズを取った 時に左の木が倒れて くるだろうか このチーズを取った 時に左の葉っぱが飛 んでくるだろうか このチーズを取った 時に下に穴が開くだ ろうか このチーズを取った時 に土が周囲から降りか かってくるだろうか このチーズを取った時 に奥の木が吹き飛んで くるだろうか このチーズを取った時 に空から隕石が降って くるだろうか

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ネズミ型ロボットN2 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み • 「自分の起こそうとする行動によって発生する別の現象」を 考慮する機能を追加 チーズを発見! このチーズを取った 時に左の木が倒れて くるだろうか このチーズを取った 時に左の葉っぱが飛 んでくるだろうか このチーズを取った 時に下に穴が開くだ ろうか このチーズを取った時 に土が周囲から降りか かってくるだろうか このチーズを取った時 に奥の木が吹き飛んで くるだろうか このチーズを取った時 に空から隕石が降って くるだろうか 考え続けてエネルギー切れ

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ネズミ型ロボットN3 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み • 「自分の起こそうとする行動によって発生する別の現象」を 考慮する機能を追加 • 「自分の起こそうとする行動と関係ない現象は考慮しない」 ようにする機能を追加 チーズを発見!

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ネズミ型ロボットN3 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み • 「自分の起こそうとする行動によって発生する別の現象」を 考慮する機能を追加 • 「自分の起こそうとする行動と関係ない現象は考慮しない」 ようにする機能を追加 チーズを発見! このチーズと左の木 が倒れるのには関係 があるだろうか このチーズと左の葉 が飛来することは関 係があるだろうか このチーズを取った と下に穴が開くこと は関係あるだろうか このチーズと土が周囲 から降ってくることは 関係あるだろうか このチーズと奥の木が 吹き飛んでくることは 関係あるだろうか このチーズと空の隕石 には関係あるだろうか

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ネズミ型ロボットN3 • チーズを動力源として消費する • チーズを探して摂取する機能を実装済み • 「自分の起こそうとする行動によって発生する別の現象」を 考慮する機能を追加 • 「自分の起こそうとする行動と関係ない現象は考慮しない」 ようにする機能を追加 チーズを発見! このチーズと左の木 が倒れるのには関係 があるだろうか このチーズと左の葉 が飛来することは関 係があるだろうか このチーズを取った と下に穴が開くこと は関係あるだろうか このチーズと土が周囲 から降ってくることは 関係あるだろうか このチーズと奥の木が 吹き飛んでくることは 関係あるだろうか このチーズと空の隕石 には関係あるだろうか 考え続けてエネルギー切れ

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知識への注目 • 第1次AIブームでの反省 – 推論・探索のために限定されたルールの下であれば問題をとけた • 迷路の探索やパズルの解き方、定理の証明など – 現実の問題は解けるのか? • 病気の人をどう治せばいいか、など • お医者さんの代わりをしたいなら – お医者さん(エキスパート)の知識をコンピュータに入れよう! – ルールベースのエキスパートシステムが発展

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ルールベースのエキスパートシステム • DENDRAL [Feigenbaum+, 1971] – 質量スペクトルから化学構造を推定するシステム • PROSPECTOR [Hart+, 1978] – 鉱床を発見するためのシステム • MYCIN [Shortliffe, 1976] – 医療診断のためのシステム – 例:ある細菌が緑膿菌と判定するルール • もし 細菌の培地は血液であり 細菌のグラム染色による分類がネガティブであり 細菌の形状が棒状であり 患者の痛みがひどい • なら、この細菌は緑膿菌

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エキスパートシステムでの知識表現の問題点 • ルールが膨大になると、エキスパートシステムとしての拡張性やメ ンテナンス性が問題になる • 特に次の観点への無配慮が問題[武田, 2001] – 全体性:例えば農家におけるリンゴ選別機で必要なリンゴの情報(サイズや 色)と、スーパーにおける商品選別機で必要なリンゴの情報(誰が 育てたか、収穫日はいつだったか)は異なる。 – 網羅性:さらに、農家におけるリンゴ選別機でも、違う国や地域の 農家であれば違うルールが必要かもしれない。 – 体系性:リンゴの概念が体系として与えられていないので、ある エキスパートシステムに与えた知識を別のシステムに共有したり 再利用したりするのが難しい。 – 変化可能性:今のリンゴであれば良いが、そのうち別の品種が登場 した場合には、うまくいかないかもしれない。

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オントロジー • 「概念化の仕様」 [Gruber, 1993] – 知識を共有し再利用するためのデータベース • Cyc Project – 「すべての木は植物だ」「東京は日本の首都だ」といった知識を すべて計算機に入力することが目的 – ダグラス・レナートが1984年から現在に至るまで続けているプロ ジェクト • WordNet – ジョージ・ミラーが1980年代に構築開始 – 単語の同義語、抽象的かどうかの親子関係などを記述した辞書 (シソーラス)

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ワトソン • 2006年からIBMが開発を開始したQA(Question Answering) システム • 2011年にジョパディ!というクイズ番組で人間を破る – 自然言語によるクイズからオントロジーを高速で検索する技術 – 深層学習の流行と同時期だが、深層学習による成果ではない (当時より機械学習は活用されており、現在のQAでは深層学習も よく用いられている) • 2016年に東京医科学研究所でワトソンのおかげである患者 の推定困難な病気が正しく診断され、治療に成功したと発表 – 2000万件以上のがんに関する論文をデータとして保持