Slide 1

Slide 1 text

「速くなった」では足りない 弥生で Cursor を組織導入し、生産性を測った1年 Cursor Meetup Sappro 2026/08/01(土)

Slide 2

Slide 2 text

弥生株式会社 エンジニア 関口 勇樹 / @redamoon https://www.redamoon.net/ https://zenn.dev/redamoon https://note.com/redamoon 趣味:園芸・DIY・読書・AIエージェント技術検証 ハッシュタグ:#園ジニア #園芸エンジニア #毎日読書 音楽:SIAM SHADE 著書:プロフェッショナルWebプログラミング Vue.js 学習教材:全体像を理解できるVue.js全書

Slide 3

Slide 3 text

本日話したいこと AI投資を続けるために、何を測っているか ・個人の体感ではなく、組織としての実績について ・Cursor / Devin をどう使い分けてきたか ・数字から見えたこと・これから考えていること

Slide 4

Slide 4 text

背景 2025年前期 組織としてAI駆動開発(AIDD)を立ち上げ

Slide 5

Slide 5 text

組織としてAI駆動開発(AIDD)を立ち上げ 🛠 🎯 🤝 標準ツール選定 開発生産性の目標 外部研修 Cursor / Devin を組織の標準 開発生産性向上 10% を目標 ツールに に設定 選定後に Claude Code / 指標はプルリクエスト数。AI Codex / Kiro なども登場 予算の正当性を測る数値とし て使う AWS 提唱の AI-DLC へ参加

Slide 6

Slide 6 text

本当に「速くなった」と言える根拠はあるか? 🙋 個人の体感 AIツールで確かに速くなった 🏢 組織全体の実態 数字で見なければ、本当に速くなってい るかは分からない 予算・組織展開には、定量的な正当性が要る 「AIを使っている人がいる」からといって、「組織の開発が速くなった」とは言えない

Slide 7

Slide 7 text

組織全体として開発生産性の段階定義が 必要になる

Slide 8

Slide 8 text

生産性の段階定義 段階 内容 導入時 PR 数(エンジニアのアウトプット) 現在地 チームとしてのツール利用・PR数の指標から開発生産性を数値化 次 Four Keys(デプロイ頻度・品質 等) その先 ビジネス成果(売上・利益)

Slide 9

Slide 9 text

開発生産性の定義は会社ごとに異なる ・生産性の定義は、会社ごとに違う ・Four Keys は「エンジニアリングとして測れる到達点」、その先にビジネス貢献がある ・まずはエンジニアのアウトプット最大化する ・出力データを取得 → 品質メトリクス統合、という段階的アプローチ

Slide 10

Slide 10 text

なぜ Cursor / Devin を選んだか Cursor を選んだ理由 Devin も合わせて選んだ理由 当時の選択肢の中で、AIエディタとして エディタはローカルに依存するため、自 一番使いやすかった 律的に動く AI がほしかった VSCode からの乗り換えがしやすく、手元の 手元の作業は Cursor、並列で回したい作業は 変更も見やすい。人間側の編集も容易だった Devin(去年前半に考えた標準化構想案)

Slide 11

Slide 11 text

Cursor / Devin 組織導入 + 可視化 ・Business / Team プランでの展開 ※Devinは、エンタープライズ ・Rules / Skills / Commands の整備(オンボーディング強化) ・利用量・コストの可視化(チーム別平均費用) ・シート費用がコストの大半 → 使われ方とコストをセットで見る 可視化は監視ではなく、行動変容と予算の根拠として利用する

Slide 12

Slide 12 text

Devin と Cursor の使い分けの変化 導入してから1年。現在では Devin と Cursor の機能差はほとんどなくなった。 ・Cursor:ブラウザやSlackなど並列で回すこと可能になった ・Devin:Devin CLI / Devin DesktopなどUI操作周りも強化された ツール導入時 現在 Devin 自律・並列・Slack / ブラウザ入口 CLI / Devin Desktop Cursor IDE CLI / ブラウザ入口 / 自律・並列・Slack

Slide 13

Slide 13 text

計測基盤:Databricks 「組織で Cursor / Devin を回し、Databricks で約1年分を計測」 データ収集の流れ 1. Cursor のデータを CSV でエクスポート(手動) 2. Devin のデータを API で取得 3. ツールごとのデータをそれぞれ Databricks に投入 4. 月イチで結合処理して可視化 5. 全体・チーム単位でのAIコスト・プルリクエスト数を確認・分析 対象人数の目安:412人

Slide 14

Slide 14 text

全社の平均PR数 推移 2025/4 平均 6.9 → 直近 11.41(+65.5%)

Slide 15

Slide 15 text

チーム別の PR 数 AI導入以降、チーム単位のPR数は増加傾向にある

Slide 16

Slide 16 text

チーム別の PR 数 PR数をベースに前月・前々月の成長率を比較

Slide 17

Slide 17 text

チーム別の AI 利用率 × PR AI 活用チームは、非活用チームに比べて最大約5倍の PR を生み出している。 ・左上:AI利用率が低いけど、pull req数が多いチーム ※標準ツール以外を利用している場合は計測外(Claude・Kiro・Copilot etc) ・右上:AI利用も高くて、pull req数もあげてるチーム ・X軸:AIの利用率スコア ※CursorとDevinの利用量(トークン量など)を正規化 ・Y軸:1人あたりのPR作成数 ※チームのPR総数をメンバー数で割ったもの

Slide 18

Slide 18 text

AI 全体のコスト・予算消化率 コスト管理の実績が、来期の予算の妥当性を判断する根拠になる

Slide 19

Slide 19 text

正直に言うと ・完全な相関ではない → 「AIを導入してからの生産性向上の傾向がある」という仮説 ・PR はアウトプット量。品質・ビジネス成果とはまだ紐づいていない

Slide 20

Slide 20 text

推進活動から見えたこと ・チームの推進リーダーごとにヒアリング・アンケートを実施し、利用方法や課題を集約 ・見えてきた課題:「他チームが何をしているか見えない」という声が多かった ・見えてきた課題:実務レベルの困りごとを、現場から拾いきれていなかった

Slide 21

Slide 21 text

組織としての次のステップ ・PR → Four Keys(デプロイ頻度・品質) ・今期の利用コストを、来期の予算の根拠にする ・データ収集の自動化(Enterprise / API) ・レビュー・承認が律速(HITL) ・開発のループエンジニアリングへ(ヒューマン・オン・ザ・ループ)

Slide 22

Slide 22 text

まとめ ・組織導入は、利用量の可視化から始めればよい。そのデータが後の判断材料になる ・生産性は 段階的に定義 する(PR → Four Keys → ビジネス) ・AI投資を続けるには、生産性の高い実績とビジネス成果を紐づけて測ることがポイントになる ・組織として予算を獲得して導入するためには、開発生産性の指標が一つのキーになる

Slide 23

Slide 23 text

ご清聴ありがとうございました ☺