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LeSS に潜む 「隠れWF病」 とその 処⽅箋 LeSSʼ Yoaké ASIA 2024 隠れ WF病

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「隠れWF病」とは 2 ⾏動様式を観察してみると WFと変わっていない現象のこと スクラムを導⼊し アジャイルに開発しているつもりになっているが

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⽬次 3 1. はじめに 2. 気づいたきっかけ 3. 原因の深堀り 4. 隠れWF病の処⽅箋 5. おわりに

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はじめに

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はじめに|⾃⼰紹介 5 名前 所属 経歴 スキル その他 ikeko/今井恵⼦ LINEヤフー オンライン診療サービス「LINEドクター」PO 現職︓5年⽬ 前職︓リクルート/ミクシィ/元デザイナー UXデザイン/リサーチ/スクラム開発 6歳の男⼥双⼦を育児中/X︓@imaikeko

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はじめに|⾃⼰紹介 6 スクラムに出会う ミクシィ時代 リクルート時代 LINE 料理サプリ PO 少数精鋭5⼈チーム 受験サプリIDN版 PO AirレジNY版 PO 有象無象の10⼈未満チーム 40⼈の⼤規模スクラム LINEドクター PO 20⼈の⼤規模スクラム CSPO 研修 LeSS 研修

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はじめに|サービス紹介 7 通院0分、薬がポストに届く おうち診療「LINEドクター」

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いつも飲んでいる薬がほしい 定期的に通院しているけどいつも同じ お薬をもらうだけ。通院を少し⾯倒に 感じている⽅にご活⽤いただけます。 スキマ時間で受診したい 仕事や育児が忙しく、体調が悪くても 通院に時間が割けない⽅にぴったりで す。移動時間や待合室での待ち時間を 削減できます。 できるだけ外出を控えたい 体調が悪く外出が⾟い時、感染症にか かるリスクを減らしたい時、ご⾃宅か ら医師の診療を受けることができます。 シーン 1 シーン 2 シーン 3 はじめに|サービス紹介 8

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5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉ 12⽉ 1⽉ 2⽉ 3⽉ 4⽉ 5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉ 12⽉ 1⽉ 2⽉ 3⽉ 4⽉ 5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 10⽉ 11⽉ 12⽉ 1⽉ 2⽉ 3⽉ 4⽉ 5⽉ 6⽉ 7⽉ 8⽉ 9⽉ 2021 2022 2023 2024 はじめに|サービス紹介 9 診療件数実績推移 ※ 2024年10⽉末時点の集計 過去最多 花粉症 花粉症 コロナ コロナ コロナ コロナ コロナ

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はじめに|チーム紹介 10 PO Backend Frontend QA PM Backend Frontend QA PM Scrum 1T Scrum 2T Scrum推進T Manager’s

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はじめに|スクラム開発経験者 11 PO Backend Frontend QA PM Backend Frontend QA PM Scrum 1T Scrum 2T Scrum推進T Manager’s

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はじめに|LeSS導⼊までの道のり 12 ど ウォーターフォール イテレーション開発 LeSS導⼊ • 仕様がFIXしてないと開発着⼿しませんスタイル • 3ヶ⽉後くらいに突然完成品が出てくる • ⼤体思ってたんと違う出来 • 企画・開発・リリースを1ヶ⽉サイクルで繰り返す • 突然ガチンコスクラムを導⼊するのは躊躇したため の妥協案 • 満を持してLeSS導⼊ • 意外にみんな乗り気で反対する⼈はゼロ Step 1 Step 2 Step 3

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はじめに|LeSSを導⼊したものの 13 最初は苦労するだろうと⾝構えていたのに すんなり1スプリント⽬が終わってしまった

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気付いたきっかけ

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気づき|①チケットが全然落ちない 15 スクラムに取り組み始めたばかりのチームは、 課題の分析と解決を積み重ねることで成⻑していきます 1スプリント⽬からソツなくチケットをクローズ ISSUE • そもそもプランニングが終わらない • ひとつもチケットがクローズできない 1スプリント⽬あるある

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気づき|②⾒積もりに時間がかかりすぎている 16 1時間のリファインメントで1チケットしか⾒積もれない ISSUE 私が知ってるリファインメント 今のリファインメント 受⼊れ条件 ワイヤー 5⾏以内 ホワイトボードになぐり書き ほぼ仕様書 デザインFIXした状態 未FIX事項 その場で決める 決めてから出直し

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気づき|③アウトプットが変わらない 17 リリース頻度も品質もWF時代と変わらない ISSUE スクラムで開発が早くなるわけではないが、スクラムを始めた結 果効率性が追求され、結果的に早く世の中に物が出ることはある リリース頻度 様々なロールで仕様について議論することで、企画者が⼀⼈で プランニングするWFよりサービス品質が⾼くなることはある サービス品質

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原因の深堀り

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原因|①チケットが全然落ちない 19 チケットを落とす、考慮漏れは悪いこと、 無理してでもやり切ろうというマインド。 残業してやり切る ⾒積もりが⽢かった CASE1 追加チケットを切らずにやり切る 考慮漏れが発覚 CASE2 バッファを積む よくわからんやつ CASE3 隠れ WF病 チケットが落ちる主な要因

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原因|②⾒積もりに時間がかかりすぎている 20 規模⾒積もりの域を超えて ⼯数⾒積りになっていた。 要件の詳細化 ⼿戻りが怖い CASE1 要件の肥⼤化 考慮漏れが怖い CASE2 スパイクチケットの乱⽤ よくわからんやつ CASE3 ⾒積もりに時間がかかる主な要因 隠れ WF病

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原因| ③アウトプットが変わらない 21 重厚な仕様を詳細に⾒積もる ⾒積もり CASE1 残業して帳尻を合わせる 開発 CASE2 隠れ WF病 プロセスだけLeSSを導⼊したところで WFと何ら変わらないマインド。リリース頻度や サービスの品質が変わらないのは当たり前。

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隠れWF病の処⽅箋

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処⽅箋|改善のプロセス 型だけスクラムで メンタリティがWFのまま。 ⾃ら気づいて欲しい。 ちゃんとスクラムの型通り できている。 何か変える必要性ある︖ まずはスクラム推進Tからメンタリティを変えていく作戦 PO TEAM

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処⽅箋|スクラム推進Tとは 24 PO Backend Frontend QA PM Backend Frontend QA PM Scrum 1T Scrum 2T Scrum推進T Manager’s

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処⽅箋|スクラム推進Tとは 25 PO Backend Frontend QA PM Backend Frontend QA PM Scrum 1T Scrum 2T Scrum推進T Manager’s • スクラム経験がほぼないチームであり、SMを擁⽴できな かったことで⽣まれたチーム • スクラムの推進に主体的なメンバーの⽴候補制 • SMが担う役割を協⼒して⾏うことで、実務を通してSM のスキルを獲得していく

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処⽅箋|スクラム推進Tとは 26 Backend Frontend QA PM Backend Frontend QA PM Scrum 1T Scrum 2T Scrum推進T PO Manager’s

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処⽅箋|スクラム推進Tとは 27 Backend Frontend QA PM Backend Frontend QA PM Scrum 1T Scrum 2T Scrum推進T PO Manager’s

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処⽅箋|①草の根的マインドセットの啓蒙 28 チケットを落とすのも追加チケットも怖くない︕ TRY 無理やり終わらせるより、なぜ終わらなかったのか テーブルに乗せてみんなで議論するほうが健全 チケットを落とすこと ここも修正しなければいけなかった、という気づき それは考慮漏れではなく新しい要求が⽣まれたという事 追加チケットの考え⽅

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処⽅箋|①草の根的マインドセットの啓蒙 29 実装が終わらずDoneできなかったチケットを、 テストを簡略化して強引にリリースしようとしていた わからない それは無理してやる必要があるの︖ ⼀番下です そのチケットの優先度は︖ ⼤丈夫じゃない テスト簡略化して⼤丈夫なの︖ USE CASE 改めて問うてみた

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処⽅箋|①草の根的マインドセットの啓蒙 30 実装が終わらずDoneできなかったチケットを、 テストを簡略化して強引にリリースしようとしていた 次のスプリント、次のリリースに回した上で振り返り USE CASE • 下の⽅にあるわりにポイント数が⾼かった • Doneさせるにはスプリント開始⽇から着⼿しなければいけなかった • 優先度が下でも、終わるのであれば先に着⼿しても良い 振り返り

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そもそもなんで精緻に⾒積もってはいけないの︖ 規模⾒積もりによって知りたいのは 精緻な⾒積もりではなく、先々の⾒通し。 Q A 処⽅箋|②リファインメントの改善 31 1スプリント先が精緻に ⾒積もれている状態 数スプリント先まで ⾒通せている状態

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処⽅箋|②リファインメントの改善 32 最低限の要件で「規模」を⾒積もろう︕ TRY • 規模⾒積もりに影響しない仕様は詰めない • 規模⾒積もりに影響しない議論はしない 最低限がわからない • チケットを落とすのも追加チケットも怖くない︕ • やってみて課題があればまた考えよう 考慮漏れが怖い

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処⽅箋|②リファインメントの改善 33 考慮漏れや⼿戻りが怖い怖い怖い

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処⽅箋|②リファインメントの改善 34 1チケット 平均 14分 ASIS TOBE 1チケット 平均 60分

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処⽅箋|③輪読会 35 本を読むことで理想像と⾃分たちの状態を⽐較 「隠れWF病」に気づき始める 輪読会の開催 TRY • スクラムに関する書籍を読み、気づきをSlackでシェア • Zoomを繋いでみんなで同じ章を読み、miroに感想をシェア やったこと 理想の状態とは何かが違うと感じたメンバーが⾃発的に開催

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処⽅箋|③輪読会 36 Slackで気づきシェア 輪読会ルール

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処⽅箋|③輪読会 37 私⾃⾝はスクラムに関する書籍は1冊もまともに読んだことがない 実践で当たって砕けろ派 ⼀⽅、Z世代のメンバーは当たって砕けるのは怖い 本で予習してから挑むスタイル がハマった

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処⽅箋|まとめ 38 トップダウンアプローチとボトムアップアプローチを組み合せる POINT 知識とナレッジの組み合せがメンタリティのベースとなる POINT • スクラム経験が浅いチームには課題の本質を⾒極めることは難しい、 かといてトップダウンで号令をかけても納得感が薄い • トップダウンで気づきを与えつつ、ボトムアップで改善を実⾏ • 本で読んだことを実践し、実践したことを本で振り返る • 座学だけ、またはがむしゃらに実践だけでは効果が薄い

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39 おわりに

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おわりに|本⽇お伝えしたいこと 40 1. スクラムの本質は型よりメンタリティ 2. WFメンタルのままスクラムをやることもできちゃう 3. メンタリティは知識と実践で変えていける あなたのチームに「隠れWF病」は潜んでいませんか︖

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THANK YOU ! ご清聴ありがとうございました