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人工知能を開発する側から見る人間の条件 ー 生徒に身につけさせたい力とは - 日本デジタルゲーム学会理事 三宅 陽一郎 2019.8.6 かなっくホール https://www.facebook.com/youichiro.miyake http://www.slideshare.net/youichiromiyake [email protected] @miyayou

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経歴 京都大学(数学) 大阪大学(原子核実験物理) 東京大学 (エネルギー工学/人工知能) 高エネルギー加速器研究所(半年ぐらい。修士論文) http://www.facebook.com/youichiro.miyake

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第一章 人工知能とは

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自然知能と人工知能 人間 =自然知能 機械 =人工知能

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ダートマス会議(1956年) 我々は、1956年の夏の2ヶ月間、10人の人工知能研究者 がニューハンプシャー州ハノーバーのダートマス大学に集 まることを提案する。そこで、学習のあらゆる観点や知能 の他の機能を正確に説明することで機械がそれらをシミュ レートできるようにするための基本的研究を進める。機械 が言語を使うことができるようにする方法の探究、機械上 での抽象化と概念の形成、今は人間にしか解けない問題 を機械で解くこと、機械が自分自身を改善する方法などの 探究の試みがなされるだろう。我々は、注意深く選ばれた 科学者のグループがひと夏集まれば、それらの問題のう ちいくつかで大きな進展が得られると考えている。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83 %9E%E3%82%B9%E4%BC%9A%E8%AD%B0 人工知能=人間の知能を機械に写す(移す)。

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機械(マシン) ソフトウェア 知能 身体 機能 知能 http://www.1999.co.jp/blog/1210192 http://ja.wallpapersma.com/wallpaper/_- %E3%83%AA%E3%82%B9%E3%80%81%E5%A3%81%E7%B4%99%E3%80%81%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%89%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%80%81%E3 %83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%81%E3%83%9A%E3%83%83.html

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人間の精神 意識 前意識 無意識 外部から の情報 生態学的人工知能 ※生態=環境・身体との 結びつきを考える 伝統的な人工知能 身体知

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人間の精神、機械の精神 意識 前意識 無意識 外部から の情報 意識 前意識 無意識 外部から の情報 言語・非言語境界面 知覚の境界面 人工知能は、人間の知能を機械に移したもの。

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この300年の技術の動向 時間 規模 産業革命 情報革命 ネット革命 知能革命 機械化・自動化(オートメーション化) 電子情報化 オンライン化 知能化 第二次産業革命 電動化 1750 1860 1960 1990 Now… 現代は「知能化」の時代に 入りつつある。 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム

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この300年の技術の動向 時間 規模 産業革命 情報革命 ネット革 命 知能革命 機械化・自動化(オートメーション化) 電子情報化 オンライン化 知能化 第二次産業革命 電動化 1750 1860 1960 1990 Now… 第一次AIブーム = AI分野の立ち上がりのブーム(専門家の中)。研究の黎明期。 第二次ブーム = パーソナルコンピューターの普及。ニューラルネットの改善。 社会にコンピューターが広がって行くとき雰囲気。 第三次ブーム = ビックデータの上に学習する人工知能 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム

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人工知能がブームになるとき 時間 規模 情報革命 ネット革命 知能革命 電子情報化 オンライン化 知能化 1960 1990 2000 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム 1970 1980 2010

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二つの人工知能 IF (s_collison==true) register_all(s_star); assign_edge(); assign_vertex(); mix_all(); シンボルによる人工知能 (記号主義) ニューラルネットによる人工知能 (コネクショニズム) IBM ワトソン Google検索 など AlphaGo など http://www.nature.com/nature/journal/v518/n7540/full/nature14236.html

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神経素子(ニューロン)とは? 入力 入力 入力 出力 入力 この中にはイオン(電解,Na+,K+) 溶液が入っていて、入力によって電圧が 高まると出力する仕組みになっています。 100mVぐらい ニューラルネットワーク内シグナル伝達スピード 100(m/sec) … 案外遅い http://www.brain.riken.go.jp/jp/aware/neurons.html

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ニューラルネットを理解しよう② 数学的原理 http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/brain/brain/11/index-11.html 医学的知識 http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/sensei/mnaka/ut/sozai/ai.html モデル化 数学的モデル ニューロン 人工ニューロン 入出力関係のグラフ 入出力関係の関数(シグモイド関数) ニューラルネットワーク (ニューロンをつなげたもの) 道具はこれで全て。これで何ができるだろう?

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深階層ニューラルネットワーク http://www.nature.com/nature/journal/v518/n7540/full/nature14236.html ニューラルネットワーク=信号(波形)処理だけで知能を作る。

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人工知能がブームになるとき 時間 規模 1960 1990 2000 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム 1970 1980 2010 シンボルによる人工知能は 堅実に進化する

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人工知能がブームになるとき 時間 規模 1960 1990 2000 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム 1970 1980 2010 ニューラルネットによる人工知能は、 浮き沈みが激しい。

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人工知能がブームになるとき 時間 規模 1960 1990 2000 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム 1970 1980 2010 ニューラルネットによる人工知能は、浮き沈みが激しい。 = しかし、人工知能がブームになる時は、 必ず改良されたニューラルネットワークが現れる。

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この300年の技術の動向 社会 機械レイヤー 情報処理レイヤー 人工知能レイヤー

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この300年の技術の動向 時間 規模 産業革命 情報革命 ネット革 命 知能革命 機械化・自動化(オートメーション化) 電子情報化 オンライン化 知能化 第二次産業革命 電動化 1750 1860 1960 1990 Now… 現代は「知能化」の時代に 入りつつある。

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2 第1次AIブーム 時間 規模 情報革命 ネット革 命 知能革命 電子情報化 オンライン化 知能化 1960 1990 2000 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム 1970 1980 2010

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2 第一次AIブーム(1960年代) • コンピューターは大型のものしかない。 • 人工知能という分野自体が誕生したばかり。 • ニューラルネットという新しい分野のブーム。 19世紀後半 人間の脳は ニューロンという もので出来てい るらしい 20世紀前半 ニューロンの 電気的性質が 解明される (ホジキン博士、 ハクスレー博 士) 1950年代に ニューラルネット 発明 1963年に ホジキン=ハク スレー方程式が ノーベル賞

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医学的知識 モデル化 数学的モデル ニューロン ニューラルネットワーク (ニューロンをつなげたもの) 2 第一次AIブーム(1960年代) 結合には 強さがある。 結合には 強さがある。

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医学的知識 モデル化 数学的モデル ニューロン ニューラルネットワーク (ニューロンをつなげたもの) 2 第一次AIブーム(1960年代) 電気 電気 電気

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2 第一次AIブーム(1960年代) 身長 体重 年齢 健康 要運動 注意 学習データから ここの重みを 変化させます 健康 要運動 注意 新しいデータ ニューラルネット = データを分類する人工知能

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2 第一次AIブーム(1960年代) もし A ならば B もし B ならば C よって、 もし A ならば C シンボルによる人工知能 (記号主義) ニューラルネットによる人工知能 (コネクショニズム) 推論ベース ニューラルネット 誕生

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3 第二次AIブーム(1980年代) • パソコンが普及して行く。 • ルールを集めて知能を作ろう。 • 逆伝播法によるニューラルネットのブーム。 パソコンが 世の中で 普及して行く 知識主義 = たくさんの知 識を人工知能 に 与えて推論 すれば知能が できる インターネッ トもなく、知識 が足りない。 推論も専門 的な機能の み。

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3 第二次AIブーム(1980年代) IF (A) then B IF (C) then D IF (E) then F IF (G) then H IF ( I ) then J シンボルによる人工知能 (記号主義) ニューラルネットによる人工知能 (コネクショニズム) ルールベース 新しい学習法= 逆伝搬法

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3 第二次AIブーム(1980年代) 1 0 0 このように学習させたい

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3 第二次AIブーム(1980年代) 0 1 0 このように学習させたい

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3 第二次AIブーム(1980年代) 0 0 1 このように学習させたい

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3 第二次AIブーム(1980年代) 0 0 0 【逆伝播法】 ここが1になるように、 結合の強さを、 さかのぼって変えて行く。

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4 第三次AIブーム(2010年代) • インターネットが普及して行く。 • インターネットで蓄積されたデータを学習させて 知能を作ろう。 • 改善されたニューラルネットのブーム。 インターネッ トが世の中で 普及して行く データ 学習主義 = たくさんのデー タを人工知能 に学習させる 現在、進行中

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4 第三次AIブーム(2010年代) シンボルによる人工知能 (記号主義) ニューラルネットによる人工知能 (コネクショニズム) データベース 新しい学習法= ディープラーニン グ データベース 検索エンジン キーワード 検索結果 検索 人 次の章 で 説明 します

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インターネットによる 膨大なデータ 4 第三次AIブーム(2010年代) 時間 規模 1960 1990 2000 第一次AIブーム 第二次AIブーム 第三次AIブーム 1970 1980 2010 ルールベー ス 逆伝播法 データベー ス ディープ ラーニング 推論ベー ス ニューラル ネット誕生 小型・中型 コンピュータの普及 大型コンピュータ 専門家のみのブーム

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第二章 人工知能の発展の方向

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この300年の技術の動向 時間 規模 産業革 命 情報革 命 ネット 革命 知能革 命 機械化・自動化(オートメーション化) 電子情報化 オンライン化 知能化 第二次産業革 命 電動化 1750 1860 1960 1990 Now… 現代は「知能化」の時代に 入りつつある。

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人工知能と社会 ロボッ ト 世代 人口 人工 知能 少子高齢化社会 ロボットと人工知能で 少子高齢化社会を支える

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エンジニアリングとしての人工知能の 二つのアプローチ 人工知能を作る (キャラクターAI、ロボット…) 既にあるものを知能化する (家電、電車、ポスター、なんでも…)

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知能化 • 工場 → (知能化) → オートスケジューリング • 配送 → (知能化) → 自動分配・自動配送 • 車 → (知能化) → 自動走行・ITS • 家電 → (知能化) → コミュニケーション家電(ルンバなど) • インターネット → (知能化) → Web.4.0 (GoogleのDeep Learning など ) • TV → (知能化) → キーワード・趣向による自動録画 • 注文サービス → (知能化) → 自動受付・自動サービス 社会の隅々にまで、知的機能がインプリメント(実装)される。 知能化

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知能化 社会の隅々にまで、知的機能がインプリメント(実装)される。 知能化 現実世界 (~1995) 現実世界 2.0 (2015~)

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エンジニアリングとしての人工知能の 二つのアプローチ 人工知能を作る (キャラクターAI、ロボット…) 既にあるものを知能化する (家電、電車、ポスター、なんでも…) いきなり、人工知能を作ることは難しい。 まずは「知能化」を考えてみましょう。

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http://static.flickr.com/5051/5525304279_65012a492c_s.jpg ? http://flopdesign.com/download/Human_S/pages/B50.ht ml ?

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人間の知能の形/人工知能 の知能の形 人間(生物)の知能=総合的知能 一つの知能がいろんなことをできる お料理できる 将棋が打てる 目的地へ行ける 何でもできる可能性を 持つ総合知性

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人間の知能の形/人工知能 の知能の形 AlphaGO =囲碁しか打てない =人間より強い ナビ =目的地へのルート = とても正確 お掃除ロボット =お掃除しかできない = 24時間掃除 IBM ワトソン =記号の統計情報しかない =何百万行のテキストの関係を記憶 お料理ロボット =お料理しかできない =何万と言うレシピ 人工知能=専門的知能 一つのことしかできない。

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人間の知能の形/人工知能 の知能の形 お料理ロボット =お料理しかできない AlphaGO =囲碁しか打てない ナビ =目的地へのルート お掃除ロボット =お掃除しかできない IBM ワトソン =記号の統計情報しかない =何百万行のテキストの関係を記憶 人工知能=専門的知能 一つのことしかできない。一つのことがとても(人間より)得意。

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時間(イメージ) 空間(論理) 殆どの人工知能は与えられたフレーム(問題設定)の 外に出ることはできない。 人間は柔軟にフレーム(問題設定)を創造し 変化させることができる。 人間と人工知能の違い

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人と人工知能の非対称性 経験 (人間) 人工知能 人間

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人と人工知能の非対称性 経験 (人間) 人工知能 人間

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人と人工知能の非対称性 経験 ベルクソン =内部に留保されている渦の集まり 人工知能 人間 人はフレームを作り出せるが、 フレームの中の人工知能が経験にたどり着くことはない。 人工知能は人間を理解できない。 世界を経験をすることはない。 フレームの中で活動することはできても。

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時間(イメージ) 空間(論理) 人間は柔軟にフレーム(問題設定)を創造し 変化させることができる。

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時間(イメージ) 空間(論理) 人間は柔軟にフレーム(問題設定)を創造し 変化させることができる。 人はフレームを創造・変形・細分化できるが、 人工知能にその一部を代替させる =外部知能としての人工知能 =自分の延長としての人工知能

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人 フレーム フレーム フレーム フレーム(小) =人工知能の役割 フレーム(小) =人工知能の役割 自分の延長とし ての人工知能 (フレームが つなぐ)

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人 フレーム フレーム フレーム フレーム(小) =人工知能の役割 フレーム(小) =人工知能の役割 自分の延長とし ての人工知能 (フレームが つなぐ) これは協調ではない。 =一体となることが協調ではない =他者でありながら、協調する

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一つの体験 経験2 さまざまな現実 人間は一つの体験をさまざまな経験に変形しながら学習していく メタファー 知能とメタファー

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一つの知的機能 経験2 さまざまな現実 人工知能はたくさんの体験から一つの知的機能を学習する 知能とメタファー 抽出

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人工知能は自分で問題(フレーム)を 作れない。 与えられた問題の中で、人間より賢くなる。 これからの時代に必要な能力 =問題を作る能力 =人工知能を使役する能力

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人工知能は一般的な問題は解けない =部分的な問題を解ける

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能 フレームが 閉じている 問題領域

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能 フレームが 閉じている 問題領域 フレームが 閉じていない 問題領域

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能 フレームが 閉じている 問題領域 フレームが 閉じていない 問題領域

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能 フレームが 閉じている 問題領域 フレームが 閉じていない 問題領域

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機械 人間はどのように人工知能を 発展させて来たか? 記 号 自 然 言 語 概 念 人間 AI 意 味 言 葉 情 報 画 像 範 疇 判 別 イメ ー ジ 意 味 映 像 判 別 時 系 列 流 れ 意 味 Deep Learning

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機械 人間はどのように人工知能を 発展させて来たか? 記 号 自 然 言 語 概 念 人間 AI 意 味 言 葉 情 報 画 像 範 疇 判 別 イメ ー ジ 意 味 映 像 判 別 時 系 列 流 れ 意 味 機械(マシン)が得意なこと(=情報処理、画像処理、映像処理)と、 人間が得意なこと(=概念、イメージ、想像)は正反対。

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人工 知能 人はどのように人工知能を使っているか? 情報の海を母体として、人工知能が育っている。 = 情報の海を母体として人工知能が生まれる 人間 情報の海

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) 人工 知能 人はどのように人工知能を使っているか? 情報の海を母体として、人工知能が育っている。 = 情報の海を母体として人工知能が生まれる 人間 記号の海 言葉の海 情報の海

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) 人工 知能 人はどのように人工知能を使っているか? 情報の海を母体として、人工知能が育っている。 = 情報の海を母体として人工知能が生まれる 人間 記号の海 言葉の海 意味の海 概念の海 情報の海

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情報の海 (ネットワーク) ネット空間の人工知能 人間 検索エンジンがあるおかげで、かろうじて人間は情報の世界を渡ることができる。 検索エンジン (Googleなど)

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新しい現実空間 現実世界 (~1995) 人工知能による新しい空間 パソコン 現実がデジタル空間を内包していたはずが、 内包したデジタル空間が現実を変化させて行く。

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新しい現実空間 人工知能 クラウド 現実世界 (~1995) インターネット 人工知能による新しい空間 パソコン 現実がデジタル空間を内包していたはずが、 内包したデジタル空間が現実を変化させて行く。

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新しい現実空間 クラウド 現実世界 (~1995) インターネット 人工知能による新しい空間 パソコン 新しい現実空間 さらに、キーワードは「実世界指向」 ソフトウェアは身体を持って現実に出る。 それは現実世界を変貌させて行く。 「現実世界 2.0」

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IT技術による新しい現実空間のサービス(新規) ネット空間 現実空間 クラウド/人工知能 インターネット 進出・ 浸食 ロボッ ト 実空間 センシング ドロー ン IoT 現在起こっていること ~ネット空間から現実空間への回帰 ゲーム空間 人工知 能 https://www.ingress.com

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情報空間の拡大 ~人工知能の舞台が広がる http://www.s-hoshino.com

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情報空間の拡大 ~人工知能の舞台が広がる • やがて街全体が情報空間になる。 http://www.s-hoshino.com

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情報空間の拡大 ~人工知能の舞台が広がる • やがて街全体を制御する人工知能が出現する。 http://www.s-hoshino.com

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情報空間の拡大 ~人工知能の舞台が広がる http://www.s-hoshino.com

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これからは 都市全体が人工知能になる時代 =スマートシティ

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人工知能のさまざまな応用

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データの海が人工知能を育てる • Amazon(協調フィルタリング) • IBMワトソン • IBM Watson in みずほ銀行 • AlphaGO • ソニー「デジタルアナウンサー」 • Nvidia「自動運転」 • 医療用診断データベース

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人 人 工 知 能 「人」の代わりに人工知能

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人 人 工 知 能 「人」の間に人工知能 人

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人 人 工 知 能 「人」の間に人工知能 人 いつ空いている? えーと…

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人 人 工 知 能 「人」の間に人工知能。たとえば予定を自動調整してくれる。 人 いつ空いている? えーと… 予定表 予定表 来週の月曜日の 夜どうですか?

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これからは 人工知能は人と人の間に入る時代

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Amazon「協調フィルタリング」 ユーザデータ群 (たとえば販売サイト) A B C ? 評価 5 1 4 A,B,C という映画を購入した人に、 次にどの映画を推薦するべきか? A B C M 評価 4 2 5 5 同じ購入履歴で、同じような評価をしている 人が高く評価している映画を探して来る。 推薦

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IBM ワトソン ネット上のあらゆるWiki 百科事典データベース など りんご 赤い 90% 甘い 70% 青森 55% フランス 40% 果物 32% … しぶい 7% IBMワトソンは、文章の中の語の相関を学習する。 その学習データを用いて、インプットされた語と、 相関の強い言葉をリストアップする。

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IBM Watson in みずほ銀行 • オペレーターが顧客の要望を復唱する。 • 言葉に変換 • 自動的に関連するマニュアルを表示する https://www.change-makers.jp/business/10573 要件 クライ アントさ ん IBM ワトソン オペレーター バックアップ

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IBM Watson in 東京大学医学部 • 論文を学習させる。 • 論文を積み上げると富士山ぐらいになりそうな勢 い。=人間では無理。 • 症状を入れると、論文のリストが出て来る。 症状 患者さん IBM ワトソン お医 者さん バックアップ

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IBM Watson in 保険会社 • 保険会社の判例を学習させる。 • 一人前になるのに数年かかる。 • かつてはベテランが教えていた。 • タブレットからIBMワトソンがアドバイス 事故 内容 クライア ントさん IBM ワトソン 新人 バックアップ

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IBM ワトソン IBMワトソンは、 社内の暗黙知を吸収し蓄積する。

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AlphaGO 膨大な棋譜のデータ (人間では多過ぎて 読めない) この棋譜を そっくり打てる ように学習する 自己対戦して 棋譜を貯める この棋譜を そっくり打てる ように学習する AlphaGO

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Deep Q-Learning • https://becominghuman.ai/lets-build-an-atari-ai-part-1-dqn- df57e8ff3b26 Volodymyr Mnih, Koray Kavukcuoglu, David Silver, Alex Graves, Ioannis Antonoglou, Daan Wierstra, Martin Riedmiller (DeepMind Technologies) Playing Atari with Deep Reinforcement Learning http://www.cs.toronto.edu/~vmnih/docs/dqn.pdf 画面を入力 操作はあらかじめ教える スコアによる強化学習 https://becominghuman.ai/lets-build-an-atari-ai-part-1-dqn-df57e8ff3b26

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二つの人工知能 IF (s_collison==true) register_all(s_star); assign_edge(); assign_vertex(); mix_all(); シンボルによる人工知能 (記号主義) ニューラルネットによる人工知能 (コネクショニズム) Google検索,IBM ワトソンなど AlphaGo など http://www.nature.com/nature/journal/v518/n7540/full/nature14236.html

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学習過程解析 Volodymyr Mnih, Koray Kavukcuoglu, David Silver, Alex Graves, Ioannis Antonoglou, Daan Wierstra, Martin Riedmiller (DeepMind Technologies) Playing Atari with Deep Reinforcement Learning http://www.cs.toronto.edu/~vmnih/docs/dqn.pdf https://www.youtube.com/watch?v=5WXVJ1A0k6Q

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• Pπ ロールアウトポリシー(ロールアウトで討つ手を決め る。Pπ(a|s) sという状態でaを討つ確率) • Pσ Supervised Learning Network プロの討つ手からその 手を討つ確率を決める。Pσ(a|s)sという状態でaを討つ確 率。 • Pρ 強化学習ネットワーク。Pρ(学習済み)に初期化。 • Vθ(s’) 局面の状態 S’ を見たときに、勝敗の確率を予測 する関数。つまり、勝つか、負けるかを返します。 Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search http://www.nature.com/nature/journal/v529/n7587/full/nature16961.html https://deepmind.com/research/alphago/

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Mastering the game of Go with deep neural networks and tree search http://www.nature.com/nature/journal/v529/n7587/full/nature16961.html https://deepmind.com/research/alphago/

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あから2010 激指 YSS 合議 Bonanza GPS 将棋 あから2010合議サーバログを可視化してみた(A Successful Failure) http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/archives/1121781.html

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Nvidia「自動運転」 • 専用のグラフィックボードを 開発 • 市場へ向けて投入 • 高速道路用など用途別。 http://www.nvidia.co.jp/object/drive-px-jp.html

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http://www.nvidia.co.jp/object/drive-automotive-technology-jp.html

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二つの人工知能 IF (s_collison==true) register_all(s_star); assign_edge(); assign_vertex(); mix_all(); シンボルによる人工知能 (記号主義) ニューラルネットによる人工知能 (コネクショニズム) IBM ワトソン など AlphaGo など http://www.nature.com/nature/journal/v518/n7540/full/nature14236.html

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• 人間には扱えないような大きなデータから、 • 人間では気づかない特徴を学習している。 学習する人工知能 から学ぶこと • さらに人間の解釈を通過することなく、 • 直接サービスやアクションを展開する (当然アマゾンの開発者は我々に何を推薦して いるか知らない)

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学習する人工知能 から学ぶこと ユーザー データ AI

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人工知能は 電気、ガス、インターネットのように 社会インフラとなる。

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情報空間の拡大 ~人工知能の舞台が広がる http://www.s-hoshino.com ビックデータ インフラ としてのAI

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職業は人工知能でなくなるか? • 自分の職業の内容を細かくリストアップしてみましょう。 • その中の何割かが人工知能で置き換わるか、考えるか、 専門家に聞いてみよう。 • 全くなくなるのではなく、部分的に置き換わる。 • つまり発想を逆にして、人工知能といかに共存するか、そ の共存の仕方を模索する時代に来た。

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• 朝起きる。 • 電車に乗る。 • メイルをチェック。 • 必要な事項など返信。 • 会社に着く。 • メイルをチェック。予定をチェック。 • 要件を検討し内容を返す。 • 朝ミーティング。 • それぞれの要件を確認。 • 技術的な設計文書を書く。 • 相談する。プログラムして貰う。/ プログラムを書く。 • 出来ると社内に持っていく。 • 説得する。論争になる。 • つかれる。 • 食堂でたそがれながら、コーヒーを飲む。 • 机に返る。相談が来る。 • 技術的な解決策を示す。 • でも心配になってもう一度危機に来る。 • 人間関係の相談を受ける。 職業は人工知能でなくなるか?

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• 朝起きる。 • 電車に乗る。 • メイルをチェック。 • 必要な事項など返信。 • 会社に着く。 • メイルをチェック。予定をチェック。 • 要件を検討し内容を返す。 • 朝ミーティング。 • それぞれの要件を確認。 • 技術的な設計文書を書く。 • 相談する。プログラムして貰う。/ プログラムを書く。 • 出来ると社内に持っていく。 • 説得する。論争になる。 • つかれる。 • 食堂でたそがれながら、コーヒーを飲む。 • 机に返る。相談が来る。 • 技術的な解決策を示す。 • でも心配になってもう一度危機に来る。 • 人間関係の相談を受ける。 職業は人工知能でなくなるか? 自分の仕事に何割かが人工知能に置き換わる。

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• 朝起きる。 • 電車に乗る。 • メイルをチェック。 • 必要な事項など返信。 • 会社に着く。 • メイルをチェック。予定をチェック。 • 要件を検討し内容を返す。 • 朝ミーティング。 • それぞれの要件を確認。 • 技術的な設計文書を書く。 • 相談する。プログラムして貰う。/ プログラムを書く。 • 出来ると社内に持っていく。 • 説得する。論争になる。 • つかれる。 • 食堂でたそがれながら、コーヒーを飲む。 • 机に返る。相談が来る。 • 技術的な解決策を示す。 • でも心配になってもう一度危機に来る。 • 人間関係の相談を受ける。 職業は人工知能でなくなるか? 自分の仕事に何割かが人工知能に置き換わる。 =これからは人間と人工知能が協調する時代

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• 朝起きる。 • 電車に乗る。 • メイルをチェック。 • 必要な事項など返信。 • 会社に着く。 • メイルをチェック。予定をチェック。 • 要件を検討し内容を返す。 • 朝ミーティング。 • それぞれの要件を確認。 • 技術的な設計文書を書く。 • 相談する。プログラムして貰う。/ プログラムを書く。 • 出来ると社内に持っていく。 • 説得する。論争になる。 • つかれる。 • 食堂でたそがれながら、コーヒーを飲む。 • 机に返る。相談が来る。 • 技術的な解決策を示す。 • でも心配になってもう一度危機に来る。 • 人間関係の相談を受ける。 職業は人工知能でなくなるか? 自分の仕事に何割かが人工知能に置き換わる。 =これからは人間と人工知能が協調する時代 =人工知能とペアを組んで強いチームが勝つ

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• 朝起きる。 • 電車に乗る。 • メイルをチェック。 • 必要な事項など返信。 • 会社に着く。 • メイルをチェック。予定をチェック。 • 要件を検討し内容を返す。 • 朝ミーティング。 • それぞれの要件を確認。 • 技術的な設計文書を書く。 • 相談する。プログラムして貰う。/ プログラムを書く。 • 出来ると社内に持っていく。 • 説得する。論争になる。 • つかれる。 • 食堂でたそがれながら、コーヒーを飲む。 • 机に返る。相談が来る。 • 技術的な解決策を示す。 • でも心配になってもう一度危機に来る。 • 人間関係の相談を受ける。 職業は人工知能でなくなるか? 自分の仕事に何割かが人工知能に置き換わる。 =これからは人間と人工知能が協調する時代 =人工知能とペアを組んで強いチームが勝つ = 人間とペアを組むことを前提に人工知能を開発 するべき = 単独の人工知能ではなく

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単独の人工知 能 人間とペアを 組む人工知能 社会 インフラ パーソナ ル・サービ ス 人間の心 人と人の間 /モバイル システム /ビックデー タ 二つの人工知能

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どこで人工知能ビジネスを展開するか? =人工知能に人間の何をどこまで理解させて、 ビジネスを展開するか? 人間の幅=現れ=行動 人間の深さ

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どこで人工知能ビジネスを展開するか? =人間の内側の深さに入って行くためには、 人工知能の深みを持つ必要がある。 人間の幅=現れ=行動 人間の深さ

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単独の人工知 能 人間とペアを 組む人工知能 社会 インフラ パーソナ ル・サービ ス 人間の心 人と人の間 /モバイル システム /ビックデー タ 二つの人工知能

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人間の精神、機械の精神 意識 前意識 無意識 外部から の情報 意識 前意識 無意識 外部から の情報 言語・非言語境界面 知覚の境界面

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どこで人工知能ビジネスを展開するか? =人間の内側の深さに入って行くためには、 人工知能の深みを持つ必要がある。哲学が必要。 知能の幅=現れ=行動 知能の深さ 人間の行動

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どこで人工知能ビジネスを展開するか? 人工知能が人間を理解するほど、 人間は人工知能に共感する。 人間の幅=現れ=行動 人間の深さ

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どこで人工知能ビジネスを展開するか? 人間の内面深く理解する人工知能、はこれから。 人工知能技術は、そこに向かって進化している。 人間の幅=現れ=行動 人間の深さ

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人工知能は二種類ある。 社会インフラとなる人工知能。 個人をアシストする人工知能。 二つともこれからのビジネス。

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第三章まとめ • 人工知能は、オートメーションの新しい姿。 • 人間に近い領域までオートメーションする。 • だから人間には脅威を感じる。 • だからそれは、「社会インフラ」の新しい形でもある。

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【ワーク①】 • 人工知能があることで多くエンハンス・縮小されるような仕事 は何か(30分) • ①学校の先生 ②コンビニ店長 ③医者 • 15分議論、発表・講評:15分

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第三章 メタAI・キャラクターAI・ナビゲーションAI

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西欧的知能感 神 人間 人工 知能 垂直的知能感 人間に似ていれば 似ているほど良い。 = Human-like AI

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東洋的知能感 神 人間 人工 知能 鹿 ゾウリ ムシ 初音 ミク AIBO たま ごっち 水平的知能感 すべてに神が宿る (「八百万の神」世界観)

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人工知能の社会的受容の位置が違う 東洋: 横並び 西洋: 上下関係

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フィールド 3つのAIの連携の例 ナビゲーション AI メタAI キャラクターAI 状況を監視し、キーとなる役割を 適切なタイミングでエージェントに 指示する。 自律的な判断。 仲間同士の協調 地形を解析する 目的に応じた点を見つけ出す 目的地までのパスを計算する Support エージェントが自律的に戦闘・協調しつつ、ナビゲーションAIが 戦術的ポイントを教え、メタAIは、全体の戦闘の流れを作る。

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フィールド 3つのAIの連携の例 ナビゲーション AI メタAI キャラクターAI 状況を監視し、キーとなる役割を 適切なタイミングでエージェントに 指示する。 自律的な判断。 仲間同士の協調 地形を解析する 目的に応じた点を見つけ出す 目的地までのパスを計算する Support エージェントが自律的に戦闘・協調しつつ、ナビゲーションAIが 戦術的ポイントを教え、メタAIは、全体の戦闘の流れを作る。

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第三章① メタAI

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AIの分化 ゲームシステム メタAI キャラクターAI ナビゲーションA I ナビゲーションAIのイメージをつかめただろうか? では、最後のメタAIについて説明する。

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メタAIの歴史 1980 1990 メタAIというのは、ゲームそのものに埋め込まれたAI。 1980 1990 2000 古典的メタAI 現代のメタAI キャラクターAI技術の発展

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メタAIの歴史 1980 1990 2000 古典的メタAI 現代のメタAI キャラクターAI技術の発展 その歴史は古く、1980年代にまでさかのぼる。 その時代と現代のメタAIは、異なる点も多いので、 古典的メタAI、現代のメタAIと名づけて区別することにしよう。

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(例)「ゼビウス」(ナムコ、1983) 敵出現テーブル巻き戻し 敵0 敵1 敵2 敵3 敵4 敵5 『あと面白い機能なんですけれど、 ゼビウスには非常に簡単なAIが組み込まれています。 「プレイヤーがどれくらいの腕か」というのを判断して、 出てくる敵が強くなるんです。 強いと思った相手には強い敵が出てきて、 弱いと思った相手には弱い敵が出てきます。 そういっ たプログラムが組み込まれています。 ゲームの難易度というのは「初心者には難しくて、上級者 には簡単だ」ということが、 ひとつの難易度で(調整を)やっていくと起きてしまうので、 その辺を何 とか改善したいな、ということでそういったことを始めてみたのですけれど、 お陰で割合にあまり上 手くない人でも比較的長くプレイできる、 うまい人でも最後のほうに行くまで結構ドラマチックに楽 しめる、 そういった感じになっています。』 - 遠藤雅伸(出演)、1987、「糸井重里の電視遊戯大展覧会」『遠藤雅伸ゼビウスセミナー』フジテレビ -

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現代のメタAI より積極的にゲームに干渉する。 メタAI 敵配位 敵スパウニング ストーリー レベル 動的生成 ユーザー

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メタAI Left 4 Dead の事例 Michael Booth, "The AI Systems of Left 4 Dead," Artificial Intelligence and Interactive Digital Entertainment Conference at Stanford. http://www.valvesoftware.com/publications.html 今回は Left 4 Dead の事例を見てみる。

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メタAI(=AI Director)によるユーザーのリラックス度に応じた敵出現度 ユーザーの緊張度 実際の敵出現数 計算によって 求められた 理想的な敵出現数 Build Up …プレイヤーの緊張度が目標値を超えるまで 敵を出現させ続ける。 Sustain Peak … 緊張度のピークを3-5秒維持するために、 敵の数を維持する。 Peak Fade … 敵の数を最小限へ減少していく。 Relax … プレイヤーたちが安全な領域へ行くまで、30-45秒間、 敵の出現を最小限に維持する。 Michael Booth, "The AI Systems of Left 4 Dead," Artificial Intelligence and Interactive Digital Entertainment Conference at Stanford. http://www.valvesoftware.com/publications.html より具体的なアルゴリズム

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安全な領域までの道のり(Flow Distance) メタAIはプレイヤー群の経路を トレースし予測する。 - どこへ来るか - どこが背面になるか - どこに向かうか Michael Booth, "The AI Systems of Left 4 Dead," Artificial Intelligence and Interactive Digital Entertainment Conference at Stanford. http://www.valvesoftware.com/publications.html

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プレイヤーからの可視領域 可視領域(プレイヤーから見えている 部屋)では、敵のスパウニング(発生) はできない。 Michael Booth, "The AI Systems of Left 4 Dead," Artificial Intelligence and Interactive Digital Entertainment Conference at Stanford. http://www.valvesoftware.com/publications.html

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敵出現領域 背後 前方 Michael Booth, "The AI Systems of Left 4 Dead," Artificial Intelligence and Interactive Digital Entertainment Conference at Stanford. http://www.valvesoftware.com/publications.html 前方と背後のプレイヤー群から見えてない部屋に、 モンスターを発生させる。

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Procedural Generation in WarFrame • Warframe ではダンジョンが自動生成される。 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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Black Combination in WarFrame • ブロックを組み合わる • 完全に零からの生成 ではない。 このような生成のことを Semi-procedural と言う。 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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WarFrame における自動生成マップの 自動解析による自動骨格抽出 • 自動生成するだけでなく、自動生成したダンジョンを、自動 解析します。ここでは、トポロジー(形状)検出を行います。

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WarFrame における自動生成マップの 自動解析によるナビゲーションデータ作成 抽出した骨格に沿って 自動的にナビゲーション・データを作成します。 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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スタートポイント、出口、目的地の 自動生成 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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ヒートマップ(影響マップ)を用いて ゲーム中にプレイヤーの周囲を自動解析 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed ヒートマップ(影響マップ)とは、対象(ここではプレイヤー)を中心に、位置に温度(影響度) を 与える方法です。距離に応じて減衰します。また時間が経つと、周囲に熱が拡散します。

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Tactical Map の例 (影響マップ) (例)敵と自分の勢力をリアルタイムに計算する。 4 6 8 8 8 8 6 4 2 0 -1 -2 -4 -4 -4 -2 4 6 8 8 8 8 4 2 1 0 -2 -4 -4 -2 4 6 8 8 8 6 3 1 0 -2 -4 -4 -4 -2 4 6 8 8 8 6 6 4 1 0 -2 -4 -4 -2 2 4 6 8 6 6 4 4 0 -1 -2 -4 -4 -4 -2 1 2 4 6 6 4 2 2 -4 -5 -3 -3 -4 -4 -2 -1 3 3 3 3 4 2 2 0 -4 -5 -5 -8 -8 -6 -4 -2 3 3 2 2 2 0 -2 -4 -8 -10 -10 -8 -4 -2 3 3 3 2 2 1 0 -4 -8 -10 -10 -8 -8 -4 -2 2 2 2 2 1 1 0 -3 -8 -10 -10 -8 -8 -4 -2 1 1 1 1 0 0 -2 -4 -8 -8 -8 -8 -8 -8 -8 -8 0 0 0 0 0 -1 -1 -2 -5 -6 -6 -6 -8 -8 -8 0 0 0 0 -1 -2 -2 -2 -4 -4 -4 -6 -8 -8 -8 -8 0 0 0 0 -1 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 0 0 0 0 -1 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 -2 0 0 0 0 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1 -1

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ヒートマップ(影響マップ)を用いて ゲーム中にプレイヤーの周囲を自動解析 「ヒートが増加する=プレイヤーが近づく点」 「ヒートが減少する=プレイヤーが遠ざかる点」 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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アクティブ・エリアセット(Active Are Set) Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed アクティブ・エリアセットは、プレイヤーの周囲の領域で、 リアルタイムにメタAIがゲームを調整する領域

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メタAIがアクティブ・エリアセット内で ゲームを調整する 「ヒートが増加する=プレイヤーが近づく点」なので、モンスターを生成する。 「ヒートが減少する=プレイヤーが遠ざかる点」なので、モンスターを停止する。 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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メタAI (AI Director,)による 動的ペース調整 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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メタAI(自動適応ペーシング) メタAI (AI Director,)による 動的ペース調整 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed

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メタAIによる出会うモンスターの数の大域調整 Daniel Brewer, AI Postmortems: Assassin's Creed III, XCOM: Enemy Unknown, and Warframe (GDC2015) http://www.gdcvault.com/play/1018223/AI-Postmortems-Assassin-s-Creed プレイヤーのスタート地点から出口までの道のりで、 コンスタントにモンスターと出会うようにする。

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FarCry 4 の事例 Julien Varnier, Far Cry's AI: A Manifesto for Systemic Gameplay http://archives.nucl.ai/recording/far-crys-ai-a-manifesto-for-systemic-gameplay/

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FarCry 4 の事例 Julien Varnier, Far Cry's AI: A Manifesto for Systemic Gameplay http://archives.nucl.ai/recording/far-crys-ai-a-manifesto-for-systemic-gameplay/

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FarCry 4 の事例 Julien Varnier, Far Cry's AI: A Manifesto for Systemic Gameplay http://archives.nucl.ai/recording/far-crys-ai-a-manifesto-for-systemic-gameplay/

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FarCry 4 の事例 Julien Varnier, Far Cry's AI: A Manifesto for Systemic Gameplay http://archives.nucl.ai/recording/far-crys-ai-a-manifesto-for-systemic-gameplay/

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物語を作る人工知能

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これからのゲームの作り方 オープンワールド プロシージャル(自動生成) 適応型的AI (自動AI配置、自動ミッション生成)

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まとめ メタAIは、ゲームの流れを動的に作るAIで、キャラクターAI、イベントなど には命令だけを出す。これは明確に、メタAIと他のモジュールが独立した 関係にあるから可能なこと。

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フィールド 3つのAIの連携の例 ナビゲーション AI メタAI キャラクターAI 状況を監視し、キーとなる役割を 適切なタイミングでエージェントに 指示する。 自律的な判断。 仲間同士の協調 地形を解析する 目的に応じた点を見つけ出す 目的地までのパスを計算する Support エージェントが自律的に戦闘・協調しつつ、ナビゲーションAIが 戦術的ポイントを教え、メタAIは、全体の戦闘の流れを作る。

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第三章② キャラクターAI

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アプローチ より深い知能に対する知見 (サイエンス、哲学) そこから構築 (エンジニアリング) 人間-人工知能、人工知能-人工知能の関係性の深さ

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FC SFC SS, PS PS2,GC,Xbox Xbox360, PS3, Wii DC (次世代) Hardware 時間軸 2005 1999 ゲームの進化と人工知能 複雑な世界の 複雑なAI ゲームも世界も、AIの身体と内面もますます複雑になる。 単純な世界の シンプルなAI (スペースインベーダー、タイトー、1978年) (アサシンクリード、ゲームロフト、2007年)

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(例) スペースインベーダー(1978) プレイヤーの動きに関係なく、決められた動きをする (スペースインベーダー、タイトー、1978年)

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(例)プリンス・オブ・ペルシャ 「プリンス・オブ・ペルシャ」など、 スプライトアニメーションを用意する必要がある場合、 必然的にこういった制御となる。 (プリンスオブペルシャ、1989年)

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強化学習(例) 強化学習 (例)格闘ゲーム キッ ク パン チ 波動 R_0 : 報酬=ダメージ http://piposozai.blog76.fc2.com/ http://dear-croa.d.dooo.jp/download/illust.html

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原始の海+光+熱+稲妻 http://www.yunphoto.net/jp/photobase/yp2863.html Photo by (c)Tomo.Yun http://www.yunphoto.net

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ユーリーミラーの実験 ガスから生命の構成要素であるアミノ酸を合成した。 ハロルド・ュ―リーの研究室で、スタンレー・ミラーが実験(1953年) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Miller-Urey_experiment_JP.png

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極性頭部 非極性尾部 水と仲良し 水と溶けあえない (参考)永田和宏 「生命の内と外」 (「考える人」(Vol.45))

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自己組織化

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原始の海で構造化=外と内の形成 外 内 Energy

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http://28275116.at.webry.info/201005/article_7.html

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テセウスの船(パラドックス) 船の老朽化した部分を、新しい木に入れ替えているうちに、 全部を入れ替えてしまった。 はたしてこの船は元の船と同一のものであろうか? http://img02.hamazo.tv/usr/j/a/g/jagr/629.jpg

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テセウスのパラドックス 物質的構成 = 循環する 物質によらず不変なもの 構造

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テセウスのパラドックス 物質的構成 = 循環する 物質によらず不変なもの 構造 情報

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だから、こう言える。 生物は物質的存在であると同時に、 情報的存在でもあるのだ。

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テセウスのパラドックス 物質 情報 情報 物質 生物は、情報的存在であり、同時に物質的な存在である。 物質は情報に存在を与え、情報は物質に構造を与える。

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情報と物質 情報 物質 生物は、情報的存在であり、同時に物質的な存在である。 物質は情報に存在を与え、情報は物質に構造を与える。

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「情報と物質」から「精神と身体」へ 情報 物質 精神・知性 身体

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精神と身体、そして進化 情報 物質 精神・知性 身体 進 化

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世界 物質的循環 物質 物理的INPUT 物理的OUTPUT 生理的代謝機能

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世界 情報的循環 情報 INPUT INFORMATION OUTPUT INFORMATION 情報処理=情報代謝 (つまり思考) 物質的存在としての身体がそうであるように、情報的存在として人間は、 情報を摂取し、記憶し(=情報体としての自分を組み換え)、情報をアウトプット・排泄する。

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世界 情報的・物質的循環 物質 物理的OUTPUT 代謝機能 情報 INPUT INFORMATION OUTPUT INFORMATION 情報処理=情報代謝 (つまり思考) 生理的代謝機能 物理的INPUT

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精神と身体、そして進化 情報 物質 精神・知性 身体 人工知能 ハードウェ ア 知能は生き物の情報的側面である。

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環境 人工知能とは? 身体 人工知能=人工的な存在(=身体)を環境の中で活動させる 入力(センサー) 行動(アウトプット) 知能

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Intelligence World センサー Information Flow エフェクター Agent Architecture

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知能の世界 環境世界 認識の 形成 記憶 センサー・ 身体 記憶体 情報処理過程 情報 統合

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知能の世界 環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 情報 統合

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知能の世界 環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・ 身体 運動の 構成 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合

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知能の世界 環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・ 身体 運動の 構成 センサー・ 身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 対象・ 現象 情報の流れ(インフォメーション・フロー) 影響を与える 影響を受ける

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サブサンプション・アーキテクチャ(ロドニー・ブルックス) INPUT OUTPUT 時間 情報抽象度 反射的に行動 少し場合ごとに対応 抽象的に思考 理論的に考える 言語化のプロセス = 自意識の構築化 Subsumpution Architecture 運動の実現のプロセス = 身体運動の生成

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ルンバ (iRobot社) http://chihoko777.exblog.jp/12567471/

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フィールド 3つのAIの連携の例 ナビゲーション AI メタAI キャラクターAI 状況を監視し、キーとなる役割を 適切なタイミングでエージェントに 指示する。 自律的な判断。 仲間同士の協調 地形を解析する 目的に応じた点を見つけ出す 目的地までのパスを計算する Support エージェントが自律的に戦闘・協調しつつ、ナビゲーションAIが 戦術的ポイントを教え、メタAIは、全体の戦闘の流れを作る。

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第三章③ ナビゲーションAI

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ネットワーク上のグラフ検索法 ダイクストラ法 M F L B A S O P D C G S V H Q X K N J R T W E I U Z Y G 5 4 6 3 7 2 3 B C 3 G D E 3 2 2 4 L 3 3 5 5 J F 出発点(S)を中心に、最も短い経路 を形成して行く。Gにたどり着いたら終。 各ノードの評価距離=出発点からの経路

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ネットワーク上のグラフ検索法 A*法 M F L B A S O P D C G S V H Q X K N J R T W E I U Z Y G 5 4 6 3 7 2 3 B C 3 3 2 2 4 3 5 5 出発点(S)を中心に、 そのノードまでの 最も短い経路を 形成して行く。 Gにたどり着いたら終了。 ゴール地点がわかっている場合、現在のノードとゴール との推定距離(ヒューリスティック距離)を想定して、 トータル距離を取り、それが最少のノードを探索して行く 各ノードの評価距離=出発点からの経路+ヒューリスティック距離 ヒューリスティック距離 (普通ユークリッド距離を取る) 3+14.2 3+13.8 G H 3 5+10.5 6+8.4

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パス検索とは 現在の地点から指定したポイントへの経路を、 リアルタイムで計算して導く技術。 RTS - Pathfinding A* https://www.youtube.com/watch?v=95aHGzzNCY8

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人工知能の起源

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哲学 論理学 数学、論理学、哲学(=学問) 数学

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数学 数学=? 数学

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数学の歴史 代数学 幾何学 ディオファントス「算術」 方程式(当時はそう呼んでいなかったが) ユークリッド (埃、アレクサンドリア、 323-283 ぐらい) x2 - n y2 = 1 などの解を求める

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ニュートン「プリンキピア」(1687年) 自然哲学の数学的諸原理 「ニュートン力学」を総合幾何学を 用いて解説。 当時、微積分学はニュートンが作った ばかりだったので、総合幾何学を用い て解説した。 人類至上、宇宙を大規模に解き 明かした最高の書物。

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ニュートン「プリンキピア」(1687年) 自然哲学の数学的諸原理 「ニュートン力学」を総合幾何学を 用いて解説。 当時、微積分学はニュートンが作った ばかりだったので、総合幾何学を用い て解説した。 人類至上、宇宙を大規模に解き 明かした最高の書物。

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数学の歴史 代数学 幾何学 解析幾何学 純粋幾何学

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数学の歴史 代数学 幾何学 解析幾何学 純粋幾何学 x2 - n y2 = 1 などの方程式によって図形・曲線を表す。 記号操作によって、誰でも一定の手順で証明が可能。 補助線など「閃き」によって証明する。

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デカルトからライプニッツへ 幾何学を代数的様式で表す()。 記号操作によって幾何学を行うことが可能。 つまり数学を記号操作に還元することができる。 デカルトは数学的量を記号で置き換えた(代数)。 しかし、人間の思考一般を記号操作で表せるの ではないか? (普遍記号学) ライプニッツ (独、1646-1716) デカルト (独、1596-1650)

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デカルトからライプニッツへ 幾何学を代数的様式で表す()。 記号操作によって幾何学を行うことが可能。 つまり数学を記号操作に還元することができる。 デカルトは数学的量を記号で置き換えた(代数)。 しかし、人間の思考一般を記号操作で表せるの ではないか? (普遍記号学) ライプニッツ (独、1646-1716) デカルト (独、1596-1650) しかし、対立は数学だけではなくて、 より深い思想的立場が違う。

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デカルトからライプニッツへ つまり数学を記号操作に還元することができる。 人間の思考一般を記号操作で表せるのではない か? (普遍記号学) ライプニッツ (独、1646-1716) デカルト (独、1596-1650) しかし、対立は数学だけではなくて、 より深い思想的立場が違う。 我、思うゆえに我あり。疑い得ないものから出発 して、明晰な論理によって認識を広げて行くこと。 論理学まで含めて、全学問を普遍記号の原理の 元に演繹する。

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デカルト 哲学 論理学 数学 確実な推論によって 記号の操作によって

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デカルト「近代学問の父」 「近代合理主義」 哲学 論理学 全学問 確実な推論によって 合理的推論によって

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デカルトの著作 1618年『音楽提要』Compendium Musicae 公刊はデカルトの死後(1650年)である。 1628年『精神指導の規則』Regulae ad directionem ingenii 未完の著作。デカルトの死後(1651年)公刊される。 1633年『世界論』Le Monde ガリレオと同じく地動説を事実上認める内容を含んでい たため、実際には公刊取り止めとなる。デカルトの死後(1664年)公刊される。 1637年『みずからの理性を正しく導き、もろもろの学問において真理を探究するため の方法についての序説およびこの方法の試論(屈折光学・気象学・幾何学)』 Discours de la méthode pour bien conduire sa raison, et chercher la verité dans les sciences(La Dioptrique,Les Météores,La Géométrie) 試論(屈折光学・気象学・幾何学)を除いて序説単体で読まれるときは、『方法序説』 Discours de la méthode と略す。 1641年『省察』Meditationes de prima philosophia 1644年『哲学の原理』Principia philosophiae 1648年『人間論』Traité de l'homme 公刊はデカルトの死後(1664年)である。 1649年『情念論』Les passions de l'ame https://ja.wikipedia.org/wiki/ルネ・デカルト

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ライプニッツ「普遍記号学」 哲学 論理学 数学 記号の操作によって 人間の思考全体を 記号操作によって、 表されるはずだ。

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ライプニッツ「モナドロジー」 (原著:1714, 翻訳:2005,清水富雄、竹田篤司、飯塚勝久) • 表象も、表象に依存して動くものも、メカニックな理由、つま り形や運動を持ち出しては、 説明がつかないということであ る。ものを考えたり、感じたり、知覚したりできる(p.8)

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フレーゲ(1848-1925) • 分析哲学の祖 • 人間の思考の形式化 • ゲッティンゲン大学で博士号 • イエーナ大学で殆どの時期を過ごす • 数学と哲学の間で独自の学問を打 ち立てる • 現代数学の記号、一階述語論理は フレーゲに寄る。

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フレーゲ「普遍記号学」 哲学 論理学 数学 論理学の体系を 再構築する。

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近代へ 科学の起源と哲学の起源 ユークリッド (埃、アレクサンドリア、 323-283 ぐらい) アルキメデス (希、384-322) アリストテレス (希、384-322) オルガノン (アリストテレス論理学) 科学・数学の流れ ライプニッツ (独、1646-1716) デカルト (独、1596-1650) フレーゲ (独、1848-1925) 論理学の革新 人間の思考の 記号化

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述語論理 命題 一階述語 論理 二階述語 論理 ~は~である。 (例)メアリは女優である。女優は女性である。 メアリは女性である。 すべての~はーである。 {∀ t | P(t) } (例)すべての人間は生まれた。 ~という ー が存在する。 {∃t | P(t) } (例) 体の白いラインが存在する。 全称量化記号 (universal quantifier) ∀ と 存在量化記号 (existential quantifier) ∃ 命題 と変数 P (t) 命題 と変数 と集合 P (t)、集合S ~という集合が存在する すべての集合について~である。 (例)任意のxについて、それは集合に属するか、属さないかである。 ∀S ∀x (x ∈ S ∨ x ∉ S) 三段論法

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フレーゲ「概念計算」 • ライプニッツもまた適切な表記法のもつ利点を認識していた し、恐らく、それを過大評価していたのだ。普遍記号学、すな わち、哲学計算(calculus philosophicus)、あるいは計算者 (ratiocinator)という彼のアイデアは、あまりにも巨大だった ので、それを具体化しようとする試みは単なる準備段階を出 ることはなかった。 (フレーゲ著作集1、勁草書房勁、P.4-5)

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フレーゲ「概念計算」 • われわれは、現存する幾つかの式言語に見られる隙間を埋 め、これまでばらばらであったそれらの分野をただ一つの領 域へと結合し、更に、これまでそのような式言語を欠いてい た領域へとそれを拡張することができるのである。 (フレー ゲ著作集1、勁草書房勁、P.4-5)

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フレーゲ「普遍学」 「概念記法 – 算術の式言語を模造した純粋思考のための一つの式言語-」

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フレーゲの記号系 http://plato.stanford.edu/entries/frege-theorem/notes.html

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http://slideplayer.org/slide/667932/ フレーゲの記号系 https://www.math.uwaterloo.ca/~snburris/ht docs/scav/frege/frege.html

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問3 「論理思考と人間と人工知能」 人間の思考活動を、 記号的な論理法則ですべて 表現することは可能か? もし可能なら、それを人工知能に 移せば、人間の思考となるか?

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ブール代数 • 冪等則:x ∧ x = x ∨ x = x 、 • 交換則:x ∧ y = y ∧ x 、x ∨ y = y ∨ x 、 • 結合則:(x ∧ y)∧ z = x ∧(y ∧ z) 、(x ∨ y)∨ z = x ∨(y ∨ z) 、 • 吸収則:(x ∧ y)∨ x =x 、(x ∨ y)∧ x = x 、 • 分配則:(x ∨ y)∧ z = (x ∧ z)∨(y ∧ z) • (x ∧ y)∨ z = (x ∨ z)∧(y ∨ z) • さらにL の特別な元 0 ,1 と単項演算 ¬ について、以下が成 り立つとき <L; ∨, ∧, ¬> を可補分配束(ブール束)と呼ぶ。 • 補元則: x ∨ ¬x = 1, x ∧ ¬ x = 0。

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論理主義 • 数学は論理学の一部である。 • フレーゲは公理系からそれを実証しようとする。(算術の基 礎) • しかし、公理の一つ(5つめの公理)がパラドックスを含むこと がわかる。 • フレーゲはそのパラドックスを回避しようとする。論争。 • 現代ではフレーゲの公理系を修正できるという評価。

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論理主義 • しかし、数学は論理学の一部ではない。 • 実数(連続量)を定義できるか? • 論理から数を定義しようとする(カントール、デー デキントなど)。 • しかし、数学の体系の中には、肯定も否定もでき ないような命題が存在する。 • これを「ゲーデルの不完全性定理」という。 • 論文「『プリンキピア・マテマティカ』とそれに関連 する体系における形式的に決定不可能な命題に ついてI」 (ゲーデル、1931年)

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(例)連続体仮説 • 加算無限濃度(自然数)と、連続体無限濃度 (実数)の間には、他の濃度は存在しない。 (ゲオルグ・カントール) この命題は実は否定も肯定もできない。 逆に言うと、この命題を付け加えても、付け加えなくても、 数学はそのまま成立する。(選択公理) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E7%B6%9A%E4%BD%93%E4%BB%AE%E8%AA%AC アレフゼロ

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バートランド・ラッセル(英、1872-1970) • 英の数学者・哲学者・文学者 • ノーベル文学賞を受賞 • ケンブリッジ大学で教える。 • ヴィトゲンシュタインを見出す。 • 政治的運動も展開。 • 数々の著作。 • 論理学者としてラッセルのパラドックス

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ラッセルのパラドックス • 「市長は自分が市長をする市以外に住まなくてはならない。市長を 集めた不在市長市に、すべての不在市長が住まなくてはならない。 誰が市長になれば良いか?」 • 自己言明に対するパラドクス。 • フレーゲによる修正 • ラッセルによる修正 = 型階層理論 (集合にはクラスがある)

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分析哲学の系譜 フレーゲ (独1848-1925) ラッセル (英1872-1970) ブール (英1815- 1864) ヴィトゲンシュタイン (墺、1889-1951) ゲーデル (墺1906-1978) ライプニッツ (独1646-1716) デカルト (仏1596- 1650)

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述語論理 命題 一階述語 論理 二階述語 論理 ~は~である。 (例)メアリは女優である。 すべての~はーである。 {∀ t | P(t) } (例)すべての人間は生まれた。 ~という ー が存在する。 {∃t | P(t) } (例) 体の白いラインが存在する。 全称量化記号 (universal quantifier) ∀ と 存在量化記号 (existential quantifier) ∃ 命題 と変数 P (t) 命題 と変数 と集合 P (t)、集合S ~という集合が存在する すべての集合について~である。 (例)任意のxについて、それは集合に属するか、属さないかである。 ∀S ∀x (x ∈ S ∨ x ∉ S)

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述語論理 命題 一階述語 論理 二階述語 論理 ~は~である。 (例)メアリは女優である。 すべての~はーである。 {∀ t | P(t) } (例)すべての人間は生まれた。 ~という ー が存在する。 {∃t | P(t) } (例) 体の白いラインが存在する。 全称量化記号 (universal quantifier) ∀ と 存在量化記号 (existential quantifier) ∃ 命題 と変数 P (t) 命題 と変数 と集合 P (t)、集合S ~という集合が存在する すべての集合について~である。 (例)任意のxについて、それは集合に属するか、属さないかである。 ∀S ∀x (x ∈ S ∨ x ∉ S) 現代数学

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極限の概念「ε-δ論法」 • 「任意のεを取った時、|f(x)-b|がε以下になるよう な |x-a|<δ となるδが存在する。」 b a

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ラッセル/ホワイトヘッド 数学原理(Principia Mathematica) • 数学が論理学で記述できることを示す。 • ラッセルのパラッドクスを回避するラッセル自身の「型理論」 (type theory)が盛り込まれる。 https://archive.org/details/PrincipiaMathematicaVolumeI

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ヴィトゲンシュタイン(1889-1951) • オーストリアの哲学者 • 工学からその基礎に疑問を持ち、 • 数学、さらに哲学へ。 • イギリスのケンブリッジのラッセルのもとで哲 学を研究する。 • フレーゲと交流。 • 孤高の哲学者。 • 20代で「論理哲学論考」を著して、小学校 教師に。その後、再び、大学で研究する。 「哲学論考」 • 講義を受けた聴講者が講義録をまとめる。

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ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」 • 哲学の目的は思考の論理的明晰化である。 • 哲学は学説ではなく、活動である。 • 哲学の仕事の本質は解明することにある。 • 哲学の成果は、命題ではない。命題の明晰化である。 • 思考はそのままではぼやけている。哲学はそれを明晰にし、 限界をはっきりさせねばならない。 (ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」岩波文庫、P.51)

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ヒルベルト「数理論理学」 • 20世紀最大の数学者 • 「マテマティカ・プリンキピア」の成果を 数学的に細分化し、数学基礎論として 位置付けた。 • ヒルベルト/アッカーマン「数理論理 学」(1927年、オリジナルはゲッティン ゲン大学における講義 1917-1918) • 決定問題を提起

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アラン・チューリング(1912-1954) • ヒルベルトの関数計算の記法を体系的 かつ有限個の記号だけを使うように変 更すれば、その計算体系で証明可能な すべての論理式を見つけることができ るような自動機械Hを構成できる。 (チューリングに論文より引用) (チャールズ・ベゾナルド「チューリングを 読む」P.344)

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本日のメニュー • 序章 前置き-数学、物理学、認識- • 第一章 分析哲学の系譜 • 第二章 分析哲学から人工知能へ • 第三章 人工知能の拡がりと論理プログラミング • 第四章 ゲームキャラクターにおける応用 • 第五章 記号論の反対側 – ニューラルネットワーク –

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分析哲学から人工知能へ 第二章

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ダートマス会議(1956年) • ジョン・マッカーシーのいたダートマス大学で、人 工知能をテーマとして初めて開催された会議。 • Artificial Intelligence という名称もはじめてここで 用いられた。 http://www-formal.stanford.edu/jmc/history/dartmouth/dartmouth.html

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ダートマス会議(1956年) http://www-formal.stanford.edu/jmc/history/dartmouth/dartmouth.html

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ダートマス会議(1956年) 我々は、1956年の夏の2ヶ月間、10人の人工知能研究者 がニューハンプシャー州ハノーバーのダートマス大学に集 まることを提案する。そこで、学習のあらゆる観点や知能 の他の機能を正確に説明することで機械がそれらをシミュ レートできるようにするための基本的研究を進める。機械 が言語を使うことができるようにする方法の探究、機械上 での抽象化と概念の形成、今は人間にしか解けない問題 を機械で解くこと、機械が自分自身を改善する方法などの 探究の試みがなされるだろう。我々は、注意深く選ばれた 科学者のグループがひと夏集まれば、それらの問題のう ちいくつかで大きな進展が得られると考えている。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83 %9E%E3%82%B9%E4%BC%9A%E8%AD%B0

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Logic Theorist (1956年) • 世界初の人工知能プログラム • ダートマス会議においてデモンストレーション • アレン・ニューエルとハーバート・サイモン(後にノーベル経済 学賞) • 「プリンキピア・マテマティカ」の定理を、プログラム上で、組み 合わせにより証明。 • 「プリンキピア・マテマティカ」は定理を組み合わせて証明して 行くので、適している。 https://www.ai-gakkai.or.jp/whatsai/AItopics5.htm

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Logic Theorist http://www.slideshare.net/umeshmeher/artificial-intelligence-34661808

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Logic Theorist http://www.slideshare.net/umeshmeher/artificial-intelligence-34661808

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ジョン・マッカーシー 「適切な形式言語(おそらく述語計算の 一部)を処理するプログラムは共通の手 段となる。基本プログラムは前提から直 ちに結論を導き出す。その結論は宣言 的かもしれないし命令的かもしれない。 命令的な結論が導かれるなら、そのプロ グラムはその結論に対応した動作をす る」 (1958年) • 「ALGOL」「LISP」「Prolog」によって数理 論理学の人工知能への応用を牽引し

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論理プログラミング 人間の思考の 記号化の夢 人間の思考の 記号化の研究 人工知能における 論理思考 =述語論理プログラミング 分析哲学・言語哲学 LISP / PROLOG 数理論理学の成果をプログラミングに導入する。

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論理プログラミング 人間の思考の 記号化の夢 人間の思考の 記号化の研究 分析哲学・言語哲学 LISP / PROLOG 数理論理学の成果をプログラミングに導入する。 計算理論

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論理プログラミング 人間の思考の 記号化の夢 人間の思考の 記号化の研究 分析哲学・言語哲学 LISP / PROLOG 数理論理学の成果をプログラミングに導入する。 計算理論 哲学 論理学 数学 プログラミング 人工知能

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東洋哲学と人工知能、分節化、唯識論

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人間の精神 意識 前意識 無意識 外部から の情報 言語・非言語境界面 (シニフィアン/シニフィエ) 意識の境界面 (表象) 知覚の境界面 知能と身体の境界面 (仏教で言う:阿頼耶識) 世界と自分は一体だと思ってい る 世界と自分は違うと思っている

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二つの知能論 •西洋の知能論 = 機能論 •エージェントアーキテクチャ/ •環世界 •東洋の知能論 = 存在論 驚くほど存在について議論しない 驚くほど機能について議論しない

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・身体 運動の 構成 センサー・身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 エージェント・アーキテクチャ 記憶

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No content

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A M B C 表層意識 言語アラヤ識 M領域 (イマージュ) 無意識 意識のゼロポイント 象徴化作用 意識化 深層 意識 領域 意識と本質、岩波文庫、井筒俊彦、P.214

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意識と本質 我々が「・・・・・・の意識」(=表層意識)によって対象的に認識し関 わり合う無数の事物からなる経験的世界が、存在の有「本質的分 節の所産であることは、既に繰り返し述べたところ。事物と我々の 日常的出合いに関する限り、この存在分節は、たしかに表層意識 領域内での事態でしかない。だが、存在分節の根は深い。それは、 表層意識の働きに尽きるものではないし、また表層意識で始めて 起こることでもない。存在分節は、実は、意識のもっとずっと深いと ころで生起するのだ。我々が表層意識の面で見る事物の分節は、 深層で第一次的分節の結果、あるいはそれの第二次的展開に過 ぎない。 (意識と本質、岩波文庫井筒俊彦、P.229)

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存在の混沌 生態による分節化 言語による分節化 世界

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存在の混沌 生態による分節化 言語による分節化 世界 創造のプロセス =存在の意味分節

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存在の混沌 生態による分節化 =環世界による分節化 言語による分節化 世界 創造のプロセス =存在の意味分節

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存在の混沌 生態による分節化 言葉による分節化 見える世界 社会による分節化 生物レベル 教育/社会 =文化の押し付け (恣意性)

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内側から 外側から 人工 知能 I m e 創発的内省性 (emergent reflectivity) 世界・対象の更新 世界の集約点として の自分(me) 未来社会篇 第弐夜より

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存在の混沌 生態による分節化 言語による分節化 世界 創造のプロセス =存在の意味分節 文化世界 環世界 (対世界)

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人間の精神 意識 前意識 無意識 外部から の情報 言語・非言語境界面 (シニフィアン/シニフィエ) 意識の境界面 (表象) 知覚の境界面 知能と身体の境界面 (仏教で言う:阿頼耶識) 世界と自分は一体だと思ってい る 世界と自分は違うと思っている

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唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識) 末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象とし て 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けてい る。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 )

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唯識論 世界は識から成り立つとする理論。 眼識 耳識 鼻識 舌識 身識 意識 阿頼耶識 (一切種子識) 末那識 感覚 (五識) 思考 自我執着心 根本心 表層心 深層心 言葉なしで対象を直接 に把握する。それぞれ 固有の対象を持つ。 五識と共に働いて感覚を 鮮明にする。五識の後に 言葉を用いて対象を概念的 に把握する 常に阿頼耶識を対象とし て 「我」と執する。 眼識ないし末那識を生じる。 身体を生じて生理的に維持している。 自然をつくり出し、それを維持し続けてい る。 一切を生じる種子を有する。 (横山紘一 「唯識の思想」、講談社学術文庫、P.60 ) 阿頼耶識から生まれた ものが、人間にさまざま なものを見せる。 =煩悩

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イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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言葉のない世界 イブン・アラビーの存在論(アラビア哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119 アーラム・アム・ミサール (根源的イマージュの世界) 存在的多者の領域 対象からなる世界 (=言葉で分節化された世界)

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存在的多者 の領域 アーラ ム・ア ム・ミ サール 上昇過程 =自己の存在を 奥深く還元する 下降過程 =奥底の何かが 自己を世界において 顕現しようとする イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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存在的多者 の領域 アーラ ム・ア ム・ミ サール 上昇過程 下降過程 上昇過程・下降過程 仏教: 向上・向下 (不覚 → 覚 → 不覚) 仏教: 向上門・却来門 仏教: 掃蕩門・建立門 浄土真宗: 住相・環相 スーフィズム: 上昇・下 降 イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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イブン・アラビーの存在論(イスラーム哲学) 存在的多者 の領域 アーラ ム・ア ム・ミ サール 上昇過程 下降過程 存在のゼロポイント =道(老子) =絶対的一者(アハド)(イブン・アラビー) =空=無 =光の光 =存在の零度(ロラン・バルト) =絶対の無=絶対の有 =真空が妙有に切り替わるとおころ =無極即太極(宋代の易学、周廉渓) イスラーム哲学の原像、岩波新書、井筒俊彦、P.119

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自己顕現の流れ 共創する場 人工知能モデル トップダウンの流れ ボトムアップの流れ 自分自身を形 成 する流れ 自分自身を形 成 する流れ 種子 自分 行為 自分自身を形成する (認識もその一部。 自分自身としての認識) 行為を形成する (自分自身を 世界へ投げ出す) 時間の作用に対して ホメオタシス的衝動 アポトーシス的衝動 行動とは恒常性の破壊 形成とは変化の破壊

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・身体 運動の 構成 センサー・身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 受け渡 し 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す

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人間の二つの自己本性 • 時間を超えて不変的もの・恒久的なものでありたいと願う自己 (=恒常性自 己・ホメオスタシス) • 常に世界と共に一つの流れでありたいと願い自己 (=投与的自己・アポトーシス)

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・身体 運動の 構成 センサー・身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 受け渡 し 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 自分の中心へ向かって 自分自身取り戻す力 自分自身の投与によって 世界に流れを作る力

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・身体 運動の 構成 センサー・身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 受け渡 し 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 自分の中心へ向かって 自分自身取り戻す力 =マインドフルネス 自分自身の投与によって 世界に流れを作る力

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知能という場には二つの自己がある 世界と共に一つの流れでありたいと思う自己 世界から離れて独立不変の自己でありたいと 思う自己

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環境世界 認識の 形成 記憶 意思の 決定 身体 制御 エフェクター・身体 運動の 構成 センサー・身体 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 意思決定 モジュール 記憶体 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 情報 統合 運動 統合 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 受け渡 し 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 「構成的自己=知能」 の形成(創造)

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環境世界 意思の 決定 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 「構成的自己=知能」 の形成(創造)

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環境世界 意思の 決定 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 自分の中心 常にポップ(浮かび上がっては消える)する自己

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環境世界 意思の 決定 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 自分として世界がある 世界として自分がある

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環境世界 意思の 決定 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 自分として世界がある 世界として自分がある 断絶

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環境世界 意思の 決定 情報処理過程 運動創出過程 身体部分 「存在的自己・認識・記憶」 の形成(創造) 一なる全 (すべての源 泉) 超時間的 自分を時間と世 界に投げ出す 「構成的自己=知能」 の形成(創造) 自分として世界がある 世界として自分がある 断絶 理

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第四章 人工知能と創造性

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プロシージャル技術 ゲームAI技術 AI技術 プロシージャル 技術 コンテンツ自動生成技術 (PCG, Procedural Contents Generation )

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Rogue (1980)のレベル生成法 Rect[0] Rect[0] Rect[1] Rect[0] Rect[1] Rect[2] Rect[3] http://racanhack.sourceforge.jp/rhdoc/intromaze.html

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Rogue (1980)のダンジョン生成法 Rect[0] Rect[0] Rect[1] Rect[0] Rect[1] Rect[2] Rect[3] このようにアセット(ゲームのデータ)をツールなどを通して製作するのではなく、 プログラムで作ることを「プロシージャル・コンテンツ・ジェネレーション」(PCG)と言う。 http://racanhack.sourceforge.jp/rhdoc/intromaze.html

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迷路の自動的な作り方 • 穴掘り法 • 棒倒し法 • 壁伸ばし法

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WarFrame における自動生成マップの 自動解析による自動骨格抽出 • 自動生成するだけでなく、自動生成したダンジョンを、自動 解析します。ここでは、トポロジー(形状)検出を行います。

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アーロンのアルゴリズム • 知識ベースの人工知能 = 閉曲線で描くことを学ぶ。 1981

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アーロンのアルゴリズム • 知識ベースの人工知能 (左) 学んだ知識から描く (右) 架空のものを学んだものから描く 1985 1983

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アーロンのアルゴリズム • 知識ベースの人工知能 前後関係を取れるようにする。 1986

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ブラウン運動 ロバート・ブラウン博士によって、1827年に発見された現象。 微粒が媒質(液体)の中で行う不規則な運動。 アインシュタイン博士によって、熱運動する媒質の不規則な 衝突によって引き起こされると説明された。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E9%81%8B%E5%8B%95

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ブラウン運動から地形生成 ロバート・ブラウン博士によって、1827年に発見された現象。 微粒が媒質(液体)の中で行う不規則な運動。 アインシュタイン博士によって、熱運動する媒質の不規則な 衝突によって引き起こされると説明された。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E9%81%8B%E5%8B%95 宮田一乗「プロシージャル技術の動向」(CEDEC 2008)

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ブラウン運動から地形生成 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E9%81%8B%E5%8B%95 https://www.youtube.com/watch?v=m4JDNzwFZFI

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ブラウン運動から地形生成 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E9%81%8B%E5%8B%95 http://www.kenmusgrave.com

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ブラウン運動から地形生成 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%B3%E9%81%8B%E5%8B%95 http://www.kenmusgrave.com

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Age of Empires III における地形自動生成 西川善司, 「3DゲームファンのためのAGE OF EMPIRESエンジン講座(後編)こだわりの影生成と算術合成 されるディテール、次回作はXbox2?」, GAME Watch, 2005

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植物自動生成 Since 1968 A. Lindenmayer L-system 文法規則 構成要素 F,+,-,[,] 規則 F-> F[-F]F[+F][F] F 0世代 1世代 F[-F]F[+F][F] 2世代 3世代 4世代 5世代 Simulating plant growth by Marco Grubert http://www.acm.org/crossroads/xrds8-2/plantsim.html

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The Sketch L-System: Global Control of Tree Modeling Using Free-form Strokes Takashi Ijiri, Shigeru Owada, Takeo Igarashi. The Sketch L-System: Global Control of Tree Modeling Using Free-form Strokes http://www-ui.is.s.u-tokyo.ac.jp/~ijiri/SketchLSystem/index.html L-system を用いて簡単な操作で木のモデルを作成するツール

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デモ The Sketch L-system SG06_SketchLSystem Takashi Ijiri, Shigeru Owada, Takeo Igarashi. The Sketch L-System: Global Control of Tree Modeling Using Free-form Strokes http://www-ui.is.s.u-tokyo.ac.jp/~ijiri/SketchLSystem/index.html

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L-system によるダンジョン自動生成(三宅案) variables : X Y F constants : + − start : FX rules : (X → X+YF+),(Y → -FX-Y) angle : 90° http://en.wikipedia.org/wiki/L-system

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L-system による街の自動生成 City Engine(central pictures) Yoav I H Parish, Pascal Müller http://www.centralpictures.com/ce/tp/paper.pdf http://www.centralpictures.com/ce/ George Kelly, Hugh McCabe, A Survey of Procedural Techniques for City Generation http://www.gamesitb.com/SurveyProcedural.pdf

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NO MAN’S SKY (Hello Games, 2016) http://www.no-mans-sky.com/ 宇宙、星系、太陽系、惑星を自動生成する。

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FarCry2 におけるプロシージャル技術 50km四方のマップを作る オブジェクト(草木)&アニメーションデータを自動生成

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FarCry2 (Dunia Engine ) デモ 草原自動生成 時間システム 樹木自動生成 動的天候システム 動的天候システム http://www.farcry2-hq.com/downloads,18,dunia-engine-nr1.htm

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自動生成ダンジョンを取り入れたいくつかのゲームタイトル例 1980年 Rogue 1984年 ドルアーガの塔(バンダイナムコゲームス) 1987年 NetHack 1988年 ティル・ナ・ノーグ(システムソフト)※シナリオ自動生成、 世界自動生成 1993年 トルネコの大冒険(エニックス) 1995年 風来のシレン(チュンソフト) 1996年 Diablo(Blizzard) 2004年 マビノギ(ネクソンジャパン) 2005年 CODED ARMS (コナミ) 2006年 テイルズ オブ エターニア オンライン(バンダイナムコ ゲームス) 2007年 Hellgate:London (Flagship Studios) ※3Dダンジョン ブルードラゴン「シャッフルダンジョン」(MISTWALKER) ファイナルファンタジー11「ナイズル島」(スクウェア・エニックス) 2012年 ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド3D (スクウェア・エニックス) 2014年 ドラゴンファンク(Toydea) 2018年 魔女の迷宮(オレンジキューブ) その他多数 植物自動生成・自動配置が応用されているいくつかのタイト ル・開発環境 2008年 Far Cry 2 (Ubisoft) 2008年 Spore(Maxis)※自動配置以外にも、さまざなプロ シージャル技術を導入 2009年 SpeedTree (IDV社)※専用ミドルウェア 2009年 CryEngine 3(Crytek社)※ゲームエンジン 2017年 Horizon Zero Dawn(Guerilla Games) 地形自動生成が応用されているいくつかのタイトル 1996年 The Elder Scrolls:DAGGERFALL(Bethesda Softworks) 1999年 Age of Empire II (Ensemble Studios) 2001年 Empire Earth(Stainless Steel Studios) 2002年 Age OF Mythology(Ensemble Studios) 2003年 Eve Online(CCP Games)※地形というよりも星系 2005年 Age of Empires III(Ensemble Studios) 2009年 Halo Wars(Bonfire Studios)※開発工程において 2010年 A列車で行こう9(アートディンク)※シリーズ通して 応用されている 2016年 No Man’s Sky(Hello Games) ※様々な自動生成技術が集積している 2017年 Horizon Zero Dawn (Guerilla Games) ※開発工程において

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第五章 シンギュラリティ

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シンギュラリティ = 人間と人工知能の関係が新しい段階に移ること 閉じた問題を設定すれば、今でも人工知能は人間を凌駕する。 (例)閉じた問題=偶発性のない問題。画像診断、将棋、囲碁、など。 開いた問題に対して、人工知能は基本的に対応できない。

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シンギュラリティ = 人間と人工知能の関係が新しい段階に移ること 専門的な状況を設定すれば、今でも人工知能は人間を凌駕する。 (例)専門的な状況=完全に定義された状況。精密組み立て、経路検索 総合的な状況に対して、人工知能は基本的に対応できない。

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人工知能が解ける問題 閉じている 開いている 総合型 専門型 人工知能が 得意 運動、運転、身体性 新しい芸術

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人工知能が解ける問題 閉じている 開いている 総合型 専門型 画像診断、 将棋、囲碁、 文書整形 運動、運転、身体性 新しい芸術

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人工知能が解ける問題 閉じている 開いている 総合型 専門型 画像診断、 将棋、囲碁、 文書整形 直観 精密 運動、運転、身体性 新しい芸術

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人工知能が解ける問題 閉じている 開いている 総合型 専門型 画像診断、 将棋、囲碁、 文書整形 直観 精密 運動、運転、身体性 新しい芸術

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人工知能が解ける問題 閉じている 開いている 総合型 専門型 運動、運転、身体性 新しい芸術 画像診断、 将棋、囲碁、 文書整形 直観 精密

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人工知能が解ける問題 閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能

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人工知能が解ける問題 閉じている 開いている 総合型 専門型 運動、運転、 新しい芸術 画像診断、 将棋、囲碁、 文書整形 直観 精密

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能 最終的に人工知能がカバーする 問題群

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能 最終的に人工知能がカバーする 問題群 人間が得意 とする問題 群

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能 最終的に人工知能がカバーする 問題群 人間が得意 とする問題 群 完全なシンギュラリティ

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人工知能と社会 ロボッ ト 世代 人口 人工 知能 少子高齢化社会 ロボットと人工知能で 少子高齢化社会を支える

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人工知能と社会 ロボッ ト 世代 人口 人工 知能 少子高齢化社会 ロボットと人工知能で 少子高齢化社会を支える 人間と人工知能の関係はどうあるべきか

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閉じている 開いている 総合型 専門型 直観 精密 総合型人工知能 (汎用人工知 能) 問題特化型 人工知能

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西欧的知能感 神 人間 人工 知能 垂直的知能感 人間に似ていれば 似ているほど良い。 = Human-like AI = 単一の軸 命令=サーバント

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東洋的知能感 神 人間 人工 知能 鹿 ゾウリ ムシ 初音 ミク AIBO たま ごっち 水平的知能感 すべてに神が宿る (「八百万の神」世界観) 話者=仲間

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デジタルの海 要素を集めて積み重ね、構築的に 人工知能を作る = 西欧的人工知能 デジタルの海 人工知能 電子の海から人工知能を見つけ掘り出す = 東洋的人工知能 積み 重ね る 掘り 出す 掘り 出す 積み 重ね る 人工知能

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まとめ

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技術の進歩 時間軸 非技術的世界 機械化 コンピュータ化 情報化 人工知能(AI)化

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シンギュラリティ・ライン 人工知能の技術の蓄積 人間を中心として外部へ向かって 環境・空間・身体に宿るインテリジェンス 一つの存在へとインタグレ―ションし、 新たなる知能を生み出す 拡張人間 (Human Augmentation による Augmented-Human =人工知能と融合した人間) 自律側AI (Autonomous AI =人工知能の純粋な結晶) 人工知能進化の方向 人間側にAI 技術を集約 非人間側にAI 技術を集約 人間 側 人工 知能

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シンギュラリティ・ライン 人間を中心として外部へ向かって 環境・空間・身体に宿るインテリジェンス 一つの存在へとインタグレ―ションし、 新たなる知能を生み出す 拡張人間 (Augmented Human) 自律側AI (Autonomous AI) 人工知能進化の方向 人間 側 人工 知能 現在の人間と人工知能の関係性 より高次の新しい関係性 ア ッ プ デ | ト

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シンギュラリティ・ライン 拡張人間 (Augmented Human) 自律側AI (Autonomous AI) 人工知能進化の方向 発 展 進 化 より高次の新しい関係 性 さらに発展する関係性

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シンギュラリティ・ライン 人間を中心として外部へ向かって 環境・空間・身体に宿るインテリジェンス 一つの存在へとインタグレ―ションし、 新たなる知能を生み出す 拡張人間 (Augmented Human) 自律側AI (Autonomous AI) 人工知能進化の方向 人間 側 人工 知能 現在の人間と人工知能の関係性 ア ッ プ デ | ト 人と人工知能の 相互作用する場

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シンギュラリティ・ライン 人間を中心として外部へ向かって 環境・空間・身体に宿るインテリジェンス 一つの存在へとインタグレ―ションし、 新たなる知能を生み出す 拡張人間 (Augmented Human) 自律側AI (Autonomous AI) 人工知能進化の方向 人間 側 人工 知能 現在の人間と人工知能の関係性 ア ッ プ デ | ト 人と人工知能の 相互作用する場

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シンギュラリティ・ライン 人間を中心として外部へ向かって 環境・空間・身体に宿るインテリジェンス 一つの存在へとインタグレ―ションし、 新たなる知能を生み出す 拡張人間 (Augmented Human) 自律側AI (Autonomous AI) 人工知能進化の方向 人間 側 人工 知能 現在の人間と人工知能の関係性 ア ッ プ デ | ト 人と人工知能の 相互作用する場

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シンギュラリティ・ライン 人間を中心として外部へ向かって 環境・空間・身体に宿るインテリジェンス 一つの存在へとインタグレ―ションし、 新たなる知能を生み出す ①拡張人間 (Augmented Human) ②自律側AI (Autonomous AI) 人工知能進化の方向 人間 側 人工 知能 現在の人間と人工知能の関係性 ア ッ プ デ | ト ③人と人工知能の 相互作用する場

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人工知能が導入される場所 ① 人間 ② 人工知能 ③ 場 ① 拡張人間 ② 自律的人工知能 ③インテリジェントな場

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人工知能の描く未来像

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社会 仕事 人 仕事をする 仕事をする サポート 人工 知能

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ネットワールド 人 エージェント エー ジェン ト 仮想 人格 現実 存在

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ゲーム世界 人工知能アシスト ゲーム世界 プレイヤー 人 仮想 人格 プレイヤー 仮想 人格 仮想身体 仮想身体 人

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ゲーム世界 プレイヤー 人 仮想 人格 仮想身体 本 能

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物理空間 ネット空間 GPS バインディング 人間が移 動 その人間の エージェン トが移動

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社会 マザーAI エー ジェン ト エー ジェン ト エー ジェント エー ジェン ト エー ジェン ト エー ジェン ト エー ジェン ト エー ジェン ト エー ジェン ト エー ジェン ト 生成する (知識を付 与) 消滅させる (知識を吸い上げる) 知識をやりとり 人 人とコミュニケーション

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拡張人間 (Augmented Human) 自律側AI (Autonomous AI) 人工知能進化の方向 発 展 進 化 相互に学習する 発 展 進 化 相互に学習する 相互に学習する

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ご質問 • [email protected] • Twitter: @miyayou • Facebook: https://www.facebook.com/youichiro.miyake