Slide 1

Slide 1 text

2022/09/17 ヤマハモーターソリューション株式会社 マネジメントセクタ 技術開発部 松井幸一 人と技術のモダナイズを Scrumで実証してみた

Slide 2

Slide 2 text

2 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 本日の内容 他のIT業界と比べるとまだまだサイロ型組織&ウォーターフォールモデル が主流の製造業IT部門でも、Scrumを通して ✓ まなびほぐしを実現できる ✓ 技術のモダナイズを実現できる ✓ 人材のモダナイズも実現できる ✓ 開発が楽しい!を実現できる

Slide 3

Slide 3 text

3 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 自己紹介 松井 幸一 @koichimatsui2 ヤマハモーターソリューション株式会社 マネジメントセクタ 技術開発部 部長 20代で東京での生活に限界を感じ、地方都市へのIターンを模索。 色々探した結果、海、山、川、湖、産業(仕事)と全て揃った浜松に移住。 2007年からヤマハ発動機の仕事をしています。現在48歳。 趣味: サーフィン、ウインドサーフィン、スノーボード、登山、自転車、etc…。

Slide 4

Slide 4 text

4 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 会社紹介 会社名 ヤマハモーターソリューション株式会社 創立 1987年9月 資本金 1億円 売上高 102億6,600万円(2021年12月期決算) 従業員数 351人(2022年7月時点) 株主 ヤマハ発動機株式会社 100%出資 本社住所 静岡県磐田市岩井2000-1 海外現地法人 中国:ヤマハモーターソリューションアモイ (YMSLX) インド:ヤマハモーターソリューションインディア (YMSLI) 略称「YMSL」 Yamaha Motor Solutions ヤマハ発動機グループの ITソリューション企業です

Slide 5

Slide 5 text

5 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. グローバル One Yamaha IT Team YMSL 351人 +252人 YMSLX 379人 +126人 YMSLI 288人 +53人 YMC 中国 欧州 台湾 アジア 北米 南米 豪州 中米 日本、中国、インドのヤマハモーターソリューショングループを中心に、 グローバル One Yamaha IT Teamが基幹系とデジタル系の両輪で ヤマハ発動機のビジネスを支えている。 YMSLグループ社員、パートナー合わせて1,449人、グローバルOne Yamaha IT Team全体で2,000人弱 :地域IT 7リージョン :YMC直轄IT 2リージョン :YMSLグループ (人数は社員+パートナー)

Slide 6

Slide 6 text

6 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 我々の強み ヤマハ発動機の基幹業務を支えるシステム ★YMSL設立 ★YMSLX設立 ★YMSLI設立 30年以上に渡りヤマハ発動機のモノづくりを支えてきたノウハウ・組織体制はスター トアップには無い大きな強み。 YMSL A部門 B部門 : YMC A事業部門 +IT部門 B事業部門 +IT部門 : YMSLX,I A部門 B部門 : 業務委託 業務委託 業務委託 業務委託 ▼現在 領域ごとに組織が作られ それぞれの業務を熟知 各領域で安心・安全を 支えている

Slide 7

Slide 7 text

7 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 我々の課題 ヤマハ発動機の基幹業務を支えるシステム モノ+サービス ★YMSL設立 ▼現在 ★YMSLX設立 ★YMSLI設立 一方で、ビジネス環境の変化に伴い、これまで強みだったものがだんだん通用しなく なってきている。 YMSL A部門 B部門 : YMC A事業部門 +IT部門 B事業部門 +IT部門 : YMSLX,I A部門 B部門 : 業務委託 業務委託 業務委託 業務委託 完成の姿を明確には定 義できず、予測型では 対応が難しい ビジネスの成長スピード アップに合わせてITもス ピードを求められている 領域ごとに組織が作られ それぞれの業務を熟知 各領域で安心・安全を 支えている ・・・だけでは不十分に

Slide 8

Slide 8 text

8 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 超えていかなければならない壁 - 既存システムのモダナイズ 基幹業務を支えるシステムは20年、30年と安定稼働を続けているものが多く存 在。裏を返せば20年、30年前の技術やプロセスを引き継いでおり、今後のビジネ ス要求への対応が難しい。 システム システム システム リライト リビルド/リプレース システム 停止・縮小 統廃合 リタイヤ SaaS 市販パッケージ 最新テクノロジー プラットフォーム、運用体制 システム リバイス 実行環境 保守切れ対応 (塩漬け) ヤマハ発動機の基幹業務を 支えるシステム 簡便開発 Web API対応 CICD,自動テスト セキュリティ対策 保守切れ脱却 設計開発プロセス最適化 etc. + ビジネス スピード 脆弱性 対策 コスト 最適化 Yamaha Motor to the Next Stage 既存システムの モダナイズが急務

Slide 9

Slide 9 text

9 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. モダナイズを実現するためには何が必要か? システム 実行環境 ソフトウェア エンジニアリング ソフトウェア エンジニアリング システムの モダナイズ ・手動ビルド/デプロイ ・開発後にまとめてテスト ・セキュリティ観点の不足 ・長い開発サイクル etc. ・CI/CD ・テスト自動化/テストコード ・セキュアコーディング ・迅速な開発サイクル etc. ・MW保守切れ ・MW脆弱性 ・開発保守効率低下 etc. 実行環境 システム システムだけを新しいものに変えても、真の目的は達成できない。システムのモダナ イズと同時にソフトウェアエンジニアリングについても見直し、人材のモダナイズも同 時に実現する必要がある。 ・SaaS/PaaS ・パッケージ ・LC/NC etc. 実行環境 システム ・SaaS/PaaS ・パッケージ ・LC/NC etc. ソフトウェア エンジニアリング ・手動ビルド/デプロイ ・開発後にまとめてテスト ・セキュリティ観点の不足 ・長い開発サイクル etc. ✗ 人材の モダナイズ システムの モダナイズ 同時に実現 ✔ 見せかけの モダナイズ

Slide 10

Slide 10 text

10 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. とはいえ現場部門だけでは難しい 現場部門でモダナイズを実現しようとしても様々な問題に直面する。 人材の モダナイズ システムの モダナイズ 慣れない開発ツールに 対する不安 新しいやり方を習得して 展開するスキルを持った 人材がいない 短期間で高品質の アウトプットを出せるか不安 オフショア開発体制で 人材の成長まで フォローしきれない やるべきことが沢山 ありすぎて何から 手を付けて良いか… 技術的な問題が 発生した場合に どう対処すれば良いか ・・・ ・・・

Slide 11

Slide 11 text

11 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 共通して背景にあるものは変革への恐れ 現場部門でモダナイズを実現しようとしても様々な問題に直面する。 人材の モダナイズ システムの モダナイズ 慣れない開発ツールに 対する不安 新しいやり方を習得して 展開するスキルを持った 人材がいない 短期間で高品質の アウトプットを出せるか不安 オフショア開発体制で 人材の成長まで フォローしきれない やるべきことが沢山 ありすぎて何から 手を付けて良いか… 技術的な問題が 発生した場合に どう対処すれば良いか ・・・ ・・・ 共通するもの:Fear 恐れ(心配や懸念。変革へ踏み出す勇気を妨げるもの。) モダナイズを推進する上で、現場部門の恐れをいかに解消することができるかがポイント。

Slide 12

Slide 12 text

12 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 根本問題 恐れを乗り越えるには 状況は組織により様々。しかし、変革を阻むFear(心配、懸念、不安、etc.)を認 識し、その根本問題を見極め対処していくアプローチはどのような状況でも同じ。 不安 心配 懸念 懸念 心配 慣れない開発ツールに 対する不安 短期間で高品質の アウトプットを出せるか不安 オフショア開発体制で 人材の成長まで フォローしきれない 技術的な問題が 発生した場合に どう対処すれば良いか やるべきことが沢山 ありすぎて何から 手を付けて良いか… 新しいやり方を習得して 展開するスキルを持った 人材がいない 新しいことに取り組む ための準備のノウハウと 時間がない モダナイズに向けて メンバーに指示を出せる 人材が部門にいない Fear 取り組む べき問題

Slide 13

Slide 13 text

13 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 実行するための環境がすでに整っていたとしたら? ⚫ 有識者によるプロセス面、技術面のフォロー体制 ⚫ 会社内で公認された活動 ⚫ 費用面も調整済 指示をしなくてもこんなことができるチームがいたとしたら? ⚫ 新しい環境や開発ツールは自分達で習得 ⚫ チームに起こる問題は自分達で解決 ⚫ 品質を担保しながら確実にアウトプット こんな状況なら恐れを乗り越えられる? もし以下のような状況を作ることが出来たら、部門のモダナイズは進むのではない だろうか。 Scrumで 実証してみる 勝てる環境を 整える ② ①

Slide 14

Slide 14 text

14 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 実行するための環境がすでに整っていたとしたら? ⚫ 有識者によるプロセス面、技術面のフォロー体制 ⚫ 会社内で公認された活動 ⚫ 費用面も調整済 指示をしなくてもこんなことができるチームがいたとしたら? ⚫ 新しい環境や開発ツールは自分達で習得 ⚫ チームに起こる問題は自分達で解決 ⚫ 品質を担保しながら確実にアウトプット こんな状況なら恐れを乗り越えられる? もし以下のような状況を作ることが出来たら、部門のモダナイズは進むのではない だろうか。 Scrumで 実証してみる 勝てる環境を 整える ② ① まずは環境を整える

Slide 15

Slide 15 text

15 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. Launch preparation

Slide 16

Slide 16 text

16 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 勝てる環境を整える ー 外部有識者のフォロー体制 アジャイルコーチとして、やっとむさん、ガオリュウさんに参画頂き、Teams上でいつ でも相談できる環境を整えた。 誰でも気軽に 相談できる場 やっとむさん ガオリュウさん やっとむさんには数年前から社内でのTDDBC実施やアジャイル開発の社内プロセス整備でご協力頂いていた。 ガオリュウさんにはやはり数年前から社内ファシリテーター育成研修の講師としてご協力頂いていた。 運営まわりの話 (松井)

Slide 17

Slide 17 text

17 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. YMSL YMSLX 勝てる環境を整える ー 組織に関するフォロー体制 社内で認知された取り組みとするため、経営層(取締役)を巻き込み 「あとはやるだけ」の状態を整えた。 経営層 経営層 事業部 セクタ 事業部 … … IC 部 門 A 部 門 B 部 門 C 部 門 D 技 術 研 究 部 技 術 開 発 部 総 務 部 部 門 A 部 門 B … … 部 門 E 実証テーマ システム 取り組み内容・目的のグループ内共有 キーマン及び実証テーマシステム選出依頼 費用の調整 実務的な調整 近いうちにモダナイズが 必要なシステムを選出 各部門 キーマン選出 部門 キーマン 選出 技術 支援

Slide 18

Slide 18 text

18 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 実行するための環境がすでに整っていたとしたら? ⚫ 有識者によるプロセス面、技術面のフォロー体制 ⚫ 会社内で公認された活動 ⚫ 費用面も調整済 指示をしなくてもこんなことができるチームがいたとしたら? ⚫ 新しい環境や開発ツールは自分達で習得 ⚫ チームに起こる問題は自分達で解決 ⚫ 品質を担保しながら確実にアウトプット こんな状況なら恐れを乗り越えられる? もし以下のような状況を作ることが出来たら、部門のモダナイズは進むのではない だろうか。 Scrumで 実証してみる 勝てる環境を 整える ② ① 全社共通部門のマネージャーだからこそできる動き。 積極的に動き環境を整える。 ✔

Slide 19

Slide 19 text

19 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 実行するための環境がすでに整っていたとしたら? ⚫ 有識者によるプロセス面、技術面のフォロー体制 ⚫ 会社内で公認された活動 ⚫ 費用面も調整済 指示をしなくてもこんなことができるチームがいたとしたら? ⚫ 新しい環境や開発ツールは自分達で習得 ⚫ チームに起こる問題は自分達で解決 ⚫ 品質を担保しながら確実にアウトプット こんな状況なら恐れを乗り越えられる? もし以下のような状況を作ることが出来たら、部門のモダナイズは進むのではない だろうか。 Scrumで 実証してみる 勝てる環境を 整える ② ① 環境を整えたら、あとはチームに任せ、見守る。 ✔

Slide 20

Slide 20 text

20 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. モダナイズ実証チーム結成 Team Tachyon

Slide 21

Slide 21 text

21 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. Scrumで実証してみる YMSLX YMSL Dev.E Dev.A Dev.B Dev.D Dev.C Scrum Master 技術支援 Product Owner やっとむ Agile coach ガオリュウ 顧客 松井 PJ Owner PJ Owner 代理 Scrum Team Developers 初 初 初 初 初 初 初 各部門のキーマン達が集められた。チーム全員がScrum初体験。 しかも開発者が国を跨ぐ比較的難易度の高いチーム編成でスタート。

Slide 22

Slide 22 text

22 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. Scrumで実証してみる 4/4 4/11 4/18 4/25 5/2 5/9 5/16 5/23 5/30 6/6 6/13 6/20 6/27 7/4 Sprint1 Sprint2 Sprint3 Sprint4 Sprint5 Sprint6 Sprint7 Sprint8 Sprint9 Sprint10 JST CST 月(星期一) 火(星期二) 水(星期三) 木(星期四) 金(星期五) 10:00 9:00 11:00 10:00 12:00 11:00 13:00 12:00 14:00 13:00 15:00 14:00 16:00 15:00 17:00 16:00 18:00 17:00 Sprint planning Daily Scrum Daily Scrum Daily Scrum Daily Scrum Sprint review Sprint retrospective 💀 💀 💀 💀 💀 ◆全体スケジュール ◆Scrumイベントスケジュール フィードバックからの学びを得るためSprint期間は1週間。 学びながら進めるため、Scrumイベントの時間は少し多めに確保。

Slide 23

Slide 23 text

23 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. Team Tachyon Liftoff

Slide 24

Slide 24 text

24 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の 引力から離脱する

Slide 25

Slide 25 text

25 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の引力① Redmineを使い始めたみたいで すが、何を登録してますか? RedmineでProductバックログや Sprintゴールなどを管理して、個人の タスクは子チケットとして登録して、毎 日進捗を記録します。 付箋だと情報が載せきれないのと情 報の共有が不便なので…。 PJを開始してすぐ、チケット管理ツール(Redmine)を使いはじめた。 過去の成功体験の引力 全てのタスクをチケットできっちり管 理しながらPJを進めることで成功 させてきた。 作業を工程に分割し得意な誰かに 引き渡すことで効率を上げてきた。 当時のチームメンバーとの会話

Slide 26

Slide 26 text

26 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の引力 過去の成功体験の引力① PJを開始してすぐ、チケット管理ツール(Redmine)を使いはじめた。 全てのタスクをチケットできっちり管 理しながらPJを進めることで成功 させてきた。 作業を工程に分割し得意な誰かに 引き渡すことで効率を上げてきた。 タスクのライフサイクルは数時間で 今までと比べて圧倒的に短い。 ホワイトボードと付箋を活用するこ とでタスク管理を楽に。 個々の得意分野を専業にするので はなく、チーム全体がすべての分野 に対応できるようにする。

Slide 27

Slide 27 text

27 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の引力② ユーザーストーリーマップとは別に、機能関連図のようなものが出来上がってきた。 エンジニア視点の リスクベース評価 過去の成功体験の引力 後から技術的な課題が見つかると 期間内に終わらないので全てのリ スクを事前に洗い出す。 作業全体を把握することで効率よ く作業を分担できる。

Slide 28

Slide 28 text

28 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の引力 過去の成功体験の引力② ユーザーストーリーマップとは別に、機能関連図のようなものが出来上がってきた。 後から技術的な課題が見つかると 期間内に終わらないので全てのリ スクを事前に洗い出す。 作業全体を把握することで効率よ く作業を分担できる。 技術視点ではなくあくまで価値の 視点に立つ。 期間に対して実現する機能はあく まで予測であり約束ではない。 個々の得意分野を専業にするので はなく、チーム全体がすべての分野 に対応できるようにする。

Slide 29

Slide 29 text

29 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の引力③ システムを開発するための環境を用意する人とそれを使う人に分かれた。 Branchポリシー コーディング規約 CI/CD SAST アプリ開発 テスト 用意する人 使う人 過去の成功体験の引力 環境を用意するのは最初だけ。詳 しい人に用意してもらったほうが効 率的。 開発者が開発行為だけに集中で きる。

Slide 30

Slide 30 text

30 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の引力 過去の成功体験の引力③ システムを開発するための環境を用意する人とそれを使う人に分かれた。 環境を用意するのは最初だけ。詳 しい人に用意してもらったほうが効 率的。 開発者が開発行為だけに集中で きる。 個々の得意分野を専業に するのではなく、チーム全 体がすべての分野に対応 できるようにする。

Slide 31

Slide 31 text

31 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 過去の成功体験の引力 - まとめ 成長<効率 成長=効率 過去の成功体験の引力からの離脱の過程は、納品優先や成長よりも効率を優先 する文化から、チーム全体が成長しながら同時に効率も手に入れる文化へのまな びほぐし

Slide 32

Slide 32 text

32 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 引力から離脱し もっと上手くなるチームへ

Slide 33

Slide 33 text

33 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 引力から離脱するにつれ、チームの取り組み方も変わってきた

Slide 34

Slide 34 text

34 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. ふりかえり もっと上手くなるチームへ① スプリントレビューでの不具合発見。テストが不足していることへの気付き。 ⇒チームでテストを上手くなる。 V字モデルをもとに どの工程で何をテスト する必要があるかの認 識合わせ ⚫ テストについて改めてチームで学ぶ ⚫ テストケースをペアで作成する 結合テスト・シ ステムテスト作 成の経験が足 りない 機能要件や非機能 要件テストの経験は 一部の開発者しか 持っていない チーム内で結 合テストに対 する認識が 合っていない やっとむさん支援

Slide 35

Slide 35 text

35 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. もっと上手くなるチームへ② スプリントレビューがやったことの報告主体になっている。顧客も何をポイントにレ ビューすればよいかわからない。⇒チームで顧客とのコミュニケーションを上手くなる。 ふりかえり ⚫ 持ち回りでレビューのシナリオを作成 ⚫ 前回のふりかえりとレビューポイントの明確化 レビューのシナリオ を事前に作ったほ うがいい 顧客との情報 共有・コミュニ ケーションが足 りない ステークホル ダーが喜ぶレ ビューになった らいいな

Slide 36

Slide 36 text

36 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. もっと上手くなるチームへ③ チームのふりかえりの様子を観察しながら、より成長できる部分についてはポイント を絞って介入。 スプリントレトロスペクティブ そろそろモードを切り替えた方がいいかも。 「できないことをできるようになる」というふり かえりを練習する頃合いかなと。 ふりかえりについてもそろそろ 別の観点でのふりかえりも必 要な頃ですかね? 確かに個人視点での比較的浅めの課題 と、できそうなことをアイデアベースでやって いる気もするので、モードを切り替えるのは 良い気がします。 観察 ふりかえりのふりかえり ガオリュウさん支援

Slide 37

Slide 37 text

37 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. もっと上手くなるチームへ - 他にも色々できるように 今回例に挙げたこと以外にも、約2ヶ月、8Sprintの間に色々なことにチームが気 付き、アクションし、上手くできるようになっていった。 TDD CI/CD セキュアコーディング 自動テスト …etc. システムの品質ももちろん出荷可能な状態。

Slide 38

Slide 38 text

38 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. もっと上手くなるチームへ - まとめ Front-end Front-end Back-end Back-end TDD TDD CI/CD CI/CD Git Git 技術のモダナイズに関しても短期間のうちにチーム全員がバランス良くスキルアップ を実現することができた。 Before After

Slide 39

Slide 39 text

39 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. Touchdown

Slide 40

Slide 40 text

40 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー 最終スプリントのふりかえり ドラえもんがタイムマシンでやってきました。 「モダナイズ実証PJ、おつかれさま。 2ヶ月前のきみたちにメッセージを送ってあげるよ。」 モダナイズ実証PJ前、Scrum経験前の自分達に何を伝えますか? …という設定でふりかえりを行いました。

Slide 41

Slide 41 text

41 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー 最終スプリントのふりかえり こういうことが起きるよ いいね!が2つ以上ついたものをピックアップ

Slide 42

Slide 42 text

42 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー 最終スプリントのふりかえり こんなことが出来るようになるよ いいね!が2つ以上ついたものをピックアップ

Slide 43

Slide 43 text

43 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー 最終スプリントのふりかえり こんな大変な経験もするよ いいね!が2つ以上ついたものをピックアップ

Slide 44

Slide 44 text

44 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー 最終スプリントのふりかえり いまこんな気持ちだよ いいね!が2つ以上ついたものをピックアップ

Slide 45

Slide 45 text

45 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー 最終スプリントのふりかえり

Slide 46

Slide 46 text

46 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー 成果を持ち帰る モダナイズ実証PJ終了後、チームの体験をまとめYMSLX社内にフィードバック。 肯定的な意見、新たな疑問も貰いながら、確実に影響を与えられている。 Moon rock アジャイル開発実践報告 90頁に渡り、チームで 体験してきたこと、気 付きをまとめてフィード バック

Slide 47

Slide 47 text

47 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー メンバー個人のふりかえり ◆ POとして、ユーザーの視点からユーザーのニーズを考え、それぞれの要件がユーザーにどのような価値をもたらすかを 考えることを学んだ。 ◆ テスト自動化、SonarQube、結合テスト/システムテストを用いて品質を担保することができた。 ◆ チームは常時コミュニケーションに適した環境を用意していて、問題が発生した場合はすぐに話し合い、解決できた。 ◆ スクラムマスターとしてスクラム開発を勉強できてよかった。 ◆ アジャイル開発で品質の問題を早めに発見でき、チームメンバーの品質意識をどんどん向上することができる。 ◆ アジャイルとTDDを通しての人材のモダナイズの方法はYMSLXの開発者に展開したい。 ◆ TDD、SonarQube、SonarLint、CICDなどを使用して品質を担保しているため、非常に安心感があった。 ◆ チームの雰囲気は和やかで、コミュニケーションやディスカッションがよく出来ていて、メンバーから多くのことを学んだ。 ◆ アジャイル開発は自律性と自信を高め、またチームの生産性と責任感を高められることが分かった。 ◆ タスクの分解は詳細かつ明確で、より迅速に使用でき、調整もしやすかった。 ◆ チームは、機能の確認、スタイルの議論、顧客へのプレゼンテーションとコミュニケーションに一緒に関わることで、顧 客のフィードバックとニーズをよりよく理解することができた。 ◆ チームの雰囲気は調和が取れており、目標が一緒に設定され、プロジェクトを自分事として捉えられたので、完成に 対する自信が向上した。 PO SM Dev.A Dev.B

Slide 48

Slide 48 text

48 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. チームの成長 ー メンバー個人のふりかえり ◆ 全員が対等で、チームワークを大切にし、お互いに助け合ってスプリントゴールを達成する、緊迫感があり、成長の 実感も十分に感じられた。 ◆ オープンマインドも徐々に変化してきており、ユーザーの利用過程でUI/UXの改善が必要かどうかを検討していきます。 ◆ 今まで触れたことのない分野に触れ、チームメンバーから多くのことを学んだ。 Dev.C ◆ ネジを締めるためにここにいると思っていましたが、飛行機を作るためにここにいるとは思っていませんでした。 ◆ 開発に再度TDD を取り入れたことで、品質を確保しながら、TDD の理解がより深まった。 ◆ アジャイル開発プロセスでは、ウォーターフォール開発と比較して、チームワーク、透明性、および個人の自律性の重 要性がより顕著になることがわかった。さらに、アジャイル開発では、チームメンバーに対する要求が高くなり、メン バーに大きな成長をもたらす可能性があることもわかった。 Dev.D ◆ 短いスプリントを何度も回していく上で、テスト自動化推進は非常に重要であることを痛感した。 ◆ チーム全員が同じ立場で課題共有・意見交換・改善を繰り返し進めることで、これまでの開発手法と比べて課題解 決力が高くなると感じた。 ◆ チーム一人一人が顧客の要件確認から開発、レビューを担当するため、顧客の求めていることや運用についての意 識が高まると感じた。 Dev.E

Slide 49

Slide 49 text

49 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 現場の受け止め 品質向上 - コードリファクタリング (TDD ※) - コードレビュー (ペアプロ) - バグ/脆弱性早期発見 (TDD、SAST) - 回帰テスト自動化 (CI/CD、JUnit) ※テスト漏れ/テスト誤りなどを防止 工数削減 - デプロイ作業自動化 (CI/CD) - 単体/回帰テスト自動化 (CI/CD、JUnit) ※複雑なテストを定義/自動化 その他の効果 - 開発者の心理的負担の減少 (JUnit) ※いつでも素早くテストを実行できる - 知見共有による技術力向上 (ペアプロ) 新しい開発手法の習得に加え、Scrumを通じて良い効果を得られることが分かりました。 一方、PoCの振り返りを行っていく中で気づきや今後の課題なども見えてきました。 テスト関連の課題 - テスト自動化範囲の拡大 (今回はバックエンドUnitテストのみ 今後、フロントエンドやE2E等への拡大) - テストコードを維持/管理していく体制の確保 - システム特性に応じた適切なテストの見極め 開発プロセス展開/推進 - Gr内への展開/推進していく課題 - TDDなどの教育面 - ペアプロなどを推進する文化 その他の気づき - TDD、自動化、SASTなどを開発初期から 計画し取り組んでいくことが必要 (後工程になるに従って手戻り等の問題有) → モダナイズ実証をScrum体制で取り組むことにより、必要なスキルが明確になりました。 今回得た経験を今後のプロジェクトに活かしていきたい。 ※TDD…テスト駆動開発(Test-Driven Development) 今回のモダナイズ実証の対象となったシステムを担当するYMSLの部門からの評 価。現場部門の恐れも解消できた。

Slide 50

Slide 50 text

50 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 実行するための環境がすでに整っていたとしたら? ⚫ 有識者によるプロセス面、技術面のフォロー体制 ⚫ 会社内で公認された活動 ⚫ 費用面も調整済 指示をしなくてもこんなことができるチームがいたとしたら? ⚫ 新しい環境や開発ツールは自分達で習得 ⚫ チームに起こる問題は自分達で解決 ⚫ 品質を担保しながら確実にアウトプット こんな状況なら恐れを乗り越えられる? もし以下のような状況を作ることが出来たら、部門のモダナイズは進むのではない だろうか。 Scrumで 実証してみる 勝てる環境を 整える ② ① この短期間にここまでチームが成長できたのは想定以上。 「いける」という実感。確実に一歩踏み出せた感触あり。 ✔ ✔

Slide 51

Slide 51 text

51 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 火を絶やさないために

Slide 52

Slide 52 text

52 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 火を絶やさないために - 種火をまもる 今回のPJの途中から、アジャイル開発についての定期的な情報共有会をスタート。 ⚫ 今回のチームメンバーが帰って来られる場所。 ⚫ 現場でアジャイル開発に関わる人なら誰でも参加できる場所。 YMSL YMSLX 部 門 A 部 門 B 部 門 C 部 門 D 部 門 A 部 門 E アジャイル開発情報共有会 Agile coachにいつでも相談できる! 今月からFearless Changeを ABDで読書会しています

Slide 53

Slide 53 text

53 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. 火を絶やさないために - 薪をくべる 技術開発部は全社のPJのアーキテクチャ支援やアドバイスを行う立場。 アジャイル開発が適したPJには積極的に提案をするとともに、Agile Coachの支 援を受けながら確実に支援し、現場の成功体験を増やしていく。 YMSL YMSLX 部 門 A 部 門 B 部 門 C 部 門 A 部 門 X 部 門 X 技 術 開 発 部 アジャイル開発情報共有会 アーキテクチャ 相談 etc. … 情報共有の場も 拡げていく

Slide 54

Slide 54 text

54 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. さいごに

Slide 55

Slide 55 text

55 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. さいごに - いちエンジニアとしての葛藤 現場、楽しそうだなぁ…。 でも・・・

Slide 56

Slide 56 text

56 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. さいごに - 今のモチベーション YMSL YMSLX YMSLI YMC 中国 欧州 台湾 アジア 北米 南米 豪州 中米 YMSLグループ社員、パートナー合わせて1,449人、グローバルOne Yamaha IT Team全体で2,000人弱 グローバル One Yamaha IT Team2000人がこんなふうにワクワクしながら 取り組んでいける場を作れたら、きっともっと世の中に貢献できるはず。

Slide 57

Slide 57 text

57 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. さいごに - 仲間を募集しています これを実現するためにはまだまだ仲間が必要です。 ヤマハ発動機グループのグローバルなフィールドで あなたのITスキルや経験を活かしてみませんか? https://www.ymsl.co.jp/recruit/career/

Slide 58

Slide 58 text

58 Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD. さいごに - 実証結果 他のIT業界と比べるとまだまだサイロ型組織&ウォーターフォールモデル が主流の製造業IT部門でも、Scrumを通して ✓ まなびほぐしを実現できる ✓ 技術のモダナイズを実現できる ✓ 人材のモダナイズも実現できる ✓ 開発が楽しい!を実現できる まずは環境をしっかり用意すること。チームが始動した後はチームに委ね、 介入は最小限にすること。それでもチーム全員のマインドシフトまでも実 現できる。

Slide 59

Slide 59 text

Copyright© YAMAHA MOTOR SOLUTIONS CO., LTD.