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Between the Strategy and executions 戦略と実行をつなぐデータ

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活動分野 データ分析(プロダクト改善、成長戦略)・事業計画・グロース戦略など メルカリでの経験を始め、近年はスタートアップなどを中心に事業成長の戦略などを得意としていたが、 昨年からは政府のデジタル戦略や政策分野でのプロジェクトに従事。 2022- 日本政府デジタル庁 - Project Manger, Fact & Data 2016-2020 株式会社メルカリ- Head of Data Analytics 2008-2016 外資戦略コンサル, データサイエンス受託企業 など 自己紹介 Hikaru Kashida

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データとは -- 戦略と事業の文脈で考える

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データ = 戦略と実行の間をはかるもの

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出典:https://yamotty.tokyo/

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戦略 実行 What's Data About データ(数値)とは、戦略と実行の 間をつなぐために存在する データとは データ (数値)

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戦略 実行 データ(数値)を元に 戦略が実行に一致することを図る データ(数値)を元に 実行が戦略に一致していることを測る データ (数値) 一致を図る 一致を測る What's Data About データとは

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なぜデータか

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現実 データ(数値) データ分析 (モデリング) Why Data? なぜデータか より理解しやすい より正確である データは、人間の認知に対して 情報量を調整するための手法論 つまり、 正確性 と 理解のしやすさ を トレードオフする技術 政権支持率 42% *次頁で説明する通り、この記述自体も、 正確性をある程度犠牲にしてわかりやすさを取っているといえる

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なぜトレードオフさせる必要が あるのか? 企業、行政、宗教などの業種によらず、 また洋の東西を問わず、 現代においてなにかの目的を達成するためには 組織 = 人間の集合体を動かす必要がある。 そのため、組織のアウトカムを最大化する上で、 "不正確だが伝わる" > "正確であるが伝わらない" が真である図式が少なくないため。 そもそもこのスライドで試みている説明そのものが そのひとつの実例であると言える。 * ここまででの言及は不正確さを指摘しようと思えば、いくらでもできるものが少なくない。 ただし、聴者の理解度を優先し、事象を単純化しているためにわかりやすさは期待できる。 Why Data? なぜデータか

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現実 データ(数値) Why Data? なぜデータか 正確度 例 100 20 5 1 理解度 1 50 200 1000 現実をどの程度大胆にモデリング するのかにはオプションがある 用途によって最適解は異なるが、 必要性に応じたバランスを 考え抜いて選択することが極めて肝要 IR 事業計画 内部施策 顧客調査 *数値は度合い(マグニチュード)を概念的に表したものであり、特段意味があるものではない。

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事業計画(主にトップライン)

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戦略 実行 事業計画(数値)を元に 戦略を実行に繋げられる 事業計画(数値)を元に 実行が戦略に一致しているか測れる 事業計画 (数値) それによって 戦略と実行の 一致が図れる それを見れば 戦略と実行の 一致が測れる Business Planning 事業計画

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戦略と実行のアラインを狙う 適切な粒度での現実のモデリングを目指す ドライバーとアウトカムを連動させる Business Planning 事業計画

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売上 事業計画(数値)を元に 戦略を実行に繋げられる 購買者 月間単価 MAU CVR% 事業計画(数値)を元に 実行が戦略に一致しているか測れる Bad Case Study ダメだと思った例 成長戦略 ・MAUをMoM +5%成長、CVRを 65% ⇢ 75% に伸ばす ・月間の顧客単価を +10%を目指す

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現場のチームは右記のどれも実際に 上げようと動いていない。 実情とのアラインが薄い。 また測定上の問題も大きい。 など、 戦略と実行が揃っていない。 月間単価 MAU MoM 5% 成長 CVR% Bad Case Study 何が問題か? 直接的に操作可能でない 成長するほど、同じ5%の意味が 変わるがそれがリソースに反映されていない 直接的に操作可能でない リソース投下との関連が曖昧 MAUを無理に増やすと低下する。 全体の単価は、新規ユーザ流入数など 個別の要因によって大きく変動。

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N月の売上 新規客 復帰 Case Study 過去実際に用いた例 既存客 維持率% Paid 単価 × 単価 単価 × × N-1の顧客数 Organic × + 顧客を簡単なセグメントでわけ 更にドライバーで分けていく そして操作できる変数を明確に し、事業上のアクションと 紐付けていく

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N月の売上 新規客 復帰 既存客 維持率% Paid 単価 単価 単価 N-1の顧客数 Organic × + 広告予算 Product 獲得効率 CRM(維持) CRM (頻度) 高単価商材 マーケティング部:広告費 開発部:(継続率up機能) 商品部etc.:高単価商品率 グロース部:Retention ROI グロース部:# of Star User マーケティング部 : CPA 事業計画モデルでStrategy と Executionを数字で表現し、結びつける。 × × × Given Given Given Driver Given Given Driver Driver Strategyを数値で表したもの(=DriverとGivenの明示、およびリソースの割り振り) Executionを数値で表したもの

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戦略 実行 事業計画(数値)を元に 戦略を実行に繋げられる 事業計画(数値)を元に 実行が戦略に一致しているか測れる 事業計画 (数値) Business Planning 事業計画 Driver (注力) Given (非注力) ヒト モノ カネ どのように達成するか (戦略と現実を加味) リソースの分配と 密接なモデルにする 事業計画 実行の成功度を 数値で測れるように

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維持率 60⇢62.5% Paid + 31,250 uu 単価 +5% 広告予算 Product 獲得効率 CRM(維持) 予算 2億 予算 5億 予算消化率 機能A/B/C 運用 (RR +1.5%) RR +2% e-CPA ¥800 機能D Star 2,000 高単価 8⇢10% 施策E/F 予算 1億 CRM (頻度) 高単価商材 開発部 商品部etc. グロース部 グロース部 マーケティング部 売上 + 15% マーケティング部 事業計画モデルでStrategy と Executionを数字で表現し、結びつける。 Strategy(どのようにして目標を達成するか) Strategy(リソース : カネ・ヒト) 戦略と実行の 一致度の測定

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高い事業解像度と数値の理解が求められる。 机の上でExcelを叩いているだけの生粋の経営企画屋には難しい。 ・事業の現場として何が直接的に可変か、可変でないか ・何の数値が測定可能か、データで定期的に取得か ・何がどの程度改善可能か、無理はないか、飽和点は Business Planning 事業計画

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事業計画モデルでStrategy と Executionを数字で表現し、結びつける。 既存 60 既存 72 復帰 30 新規 30 全顧客 100 60% 復帰 30 新規 40 60% 120 100 142 0ヶ月 1ヶ月 2ヶ月 .......... .......... 12ヶ月 新規客数と維持率%だけ決まれば Nヶ月後の顧客数も自然にわかる。 後はこれらの数値(ドライバー)への、 ・リソース配分 ・実行の努力目標(CPAやROI etc.) を決めていくだけ。 # % 全顧客 X 250

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事業計画モデルでStrategy と Executionを数字で表現し、結びつける。 0ヶ月 1ヶ月 2ヶ月 .......... .......... 12ヶ月 全顧客 100 全顧客 100 30 50 100 100 250 360 60% 62% 60% 62% Plan A Plan B 広告予算 広告予算 CRM(維持) CRM(維持) Product Product 予算 0.5億 予算 1.5億 機能A/B Refactor 予算 1億 予算 5億 CPA¥800 CPA¥800 RR +0% RR +1% RR +1% RR +0% 広告開始 経営判断

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3ヶ月前 3ヶ月前 - - - ● ● ✕ ✕ ✕ ✕ ● ● 前々月 前々月 - - ✕ ✕ - 前月 前月 - - ● ● 初 今月 今月 初 初 新規 100 100 新規 既存 5,000 20 既存 ルーキー 復帰 200 300 80 復帰 ● ● ● ● ● 事業計画モデルは事業で何を重んじるかを表現している必要がある。 ある程度既存ユーザが積み上がっている事業 シンプルさを重視して3セグメントに絞り込んで考える 新規ユーザの次月残存を重視するセグメント組みにする 新規ユーザの残存に課題がある事業 20 100

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今月 来月 15万 10万 20万 7万 7.5万 9万 70万 70万 74万 復帰率 復帰率 ✕ ✕ ✕ ✕ ✕ 23万 23万 23万 115万 110.5万 -4% + = +7% 123万 Key KPI Key KPI ベース 数値 施策後 数値 獲得数 獲得数 10万 20万 継続率 継続率 70% 74% 継続率 継続率 50% 60% ROI ¥2000 / user ¥5000 / user ¥4000 / user 予算 予算/ROI 2億 +10万人 新規 既存 ルーキー 復帰 ユーザ数 2億 4万人= +4% 0.6億 1.5万人= +10% 施策のROIがわかっていれば成長のために必要な金額がモデリングできる。 ベースのKPIの場合 施策介入効果(Paidのもの限定) 介入後の仕上がり 今月から次月のユーザ数を予想 今月から次月のユーザ数を予想(施策ありVer.)

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・データは戦略と実行の一致を「はかる」ためにつかう。 ・データとは「正確性」と「わかりやすさ」を交換するための技術。 ⇢ 交換の度合いにバランスが求められる。 ・事業計画は上記2点の思想に貫かれたものであることが必要。 ⇢ 実際の事業の解像度と数値に対する理解が求められる。 ・事業計画に自社が重視するものを宿らせる = 戦略の表現 まとめ