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主観で終わらせない定性データ活用 ー プロダクトディスカバリーを加速させるインサイトマネジメント 株式会社カミナシ 右田 涼 (@migii000) 2025.12.04 pmconf 2025

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AI 時代のプロダクトマネージャーの役割変化 の比重がより高まる プロダクトディスカバリー 2

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定性データの扱いは難しい 3 一次情報の収集と定性データにもとづく意思決定は引き続き重要だが...

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1 4 こんな経験はないですか? 定性データの扱いは難しい いつもヒアリングしやすい既存顧客のお話ばかりを聞いている → 個社ユースケースに最適化した機能に... ロイヤルカスタマー/エクストリームユーザーの N=1 の好反応で Go 判断してしまう → リリースしても一部の顧客にしか使われなかった... リサーチ結果をチームに適切な抽象度で伝えるのが難しい → 重厚長大な読まれないドキュメント or 意図の伝わらない端的すぎるメッセージ 具体的にどういうことですか? それってあなたの主観じゃないですか?

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1 5 新規事業の立ち上げ〜拡大期を迎えるプロダクト作りのコアになった、 定性データの扱い方『インサイトマネジメント』についてお話します。 このセッションで話すこと はじめに 立ち上げ時のイメージ ● 会社にとっても未知のドメイン:設備保全 ● ドメインエキスパート0人の全員素人チーム ● 新規事業でユーザー0人・定量データ0からの意思決定 現場ドリブンなカミナシが、インサイトマネジメントの仕組み化を通じて 顧客から愛されるプロダクトを作る考え方と方法を共有します!

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1 6 自己紹介 はじめに 経歴とバックグラウンド ・Web ディレクター / Web マーケター @ docomo ・データアナリスト @ docomo, ALBERT ・データ分析基盤開発 @ docomo, atama plus ・UX デザイナー @atama plus ・プロダクトマネージャー @ atama plus, カミナシ 仕事 「カミナシ 設備保全」の PM をしています。 課外活動 PM Jam というコミュニティ活動をしています。 株式会社カミナシ プロダクトマネージャー 右田 涼 (みぎた りょう) migii000

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インサイトマネジメントとは何か What is Insight Management? 

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● 要約された議事録では、発言の文脈やユーザーの「温度感」が伝わらない ● Slackは読まれない、録画は見られない、同期的に話すしかない 定性データ活用でよく陥る BAD パターン 1 8 データがあちこちに「散逸」し「属人化」する ● インタビューデータが散らばっていて、根拠や手がかりとなる発言が行方不明になる ● 担当者が変わると知見も失われ、資産として残らない(=属人化) 「温度感」が伝わらず「共通認識」が持てない 「リサーチしっぱなし」で「活用」されない ● リサーチ結果が開発・マーケティング施策などへ貢献したかあいまい or 継続的に活用されていない ● 「なんとなく」や「声の大きい人」の意見で意思決定が行われてしまう インサイトマネジメントとは何か

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議事録 顧客からのFB 商談中の声 1 9 自分たちしか知らないインサイト(気づき、顧客の痛み)は事業や機能づくりの源泉 になる。インサイトをいつでも・誰でも・何度でも使えるように管理することが目的 インサイトマネジメントは定性データ = 顧客の声を活かす仕組み インサイトマネジメントとは何か インサイト 機能アイデア ターゲット理解 プロダクト戦略 クリエイティブ

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カミナシでは なぜインサイトマネジメントを 重視しているのか 10

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日常はITに溢れているのに、仕事場は紙ばかりで非効率。 今日も作業現場で働く人たちは、十分に才覚を発揮できていない。 そんな3,900万人の埋もれたエネルギーを、私たちが解き放つ。 誰もが享受するべき当たり前を、すべての現場の人たちに届けたい。 効率的な作業、見事な成果、腕のなる仕事、豊かな人生。 これらはきっとつながっているから。 ノンデスクワーカーの 才能を解き放つ Mission 11

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設備保全に必要な機能をワンストップで 提供し、設備停止の最小化を実現する システムです。 現場での設備修繕履歴や定期点検の計画など、 設備に関わる情報をまるごとデジタル化。 データの一元管理を実現し、現場での作業効率化や データに基づく戦略的な保全・設備の安定稼働に貢 献します。 12 生産設備の保全業務特化の SaaS を提供 マルチプロダクト戦略を推進

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1 デスクトップリサーチでは現場の課題が全然わからない / 肌感がない なぜインサイトマネジメントを重視しているのか 13 保全のチーム体制は? ● 何人で担当している? ● どうやって情報連携している? 例えば・・・ 顧客のやりたいことや日々の課題感は何? ● バーニングニーズはどこにある? ● 今はどんな手段で解決している? 設備ってどんなものが何台くらいあるの? ● エアコンとかドアも対象? ● 工場ごとに設備って違う? 業務フローは? ● いつ誰がどんな手順で業務している? ● 故障したら誰がどうやって直している? 🤔 ( リアルな痛みがわからない... )

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1 14 とにかく現場へ行って顧客と話す カミナシのカルチャー

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1 15 全社一丸で「現場ドリブン」カルチャーを体現 現場の課題を直接見聞きして肌で感じることを「当たり前」にする カミナシのカルチャー 現場訪問総数 入社後の私の訪問数 約3,900回/年 67回/20ヶ月 ※2024年4月1日〜2025年12月31日の訪問数 ( 予定含む )

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1 16 チームメンバーが職種にかかわらずに現場に足を運び、 チーム全員でドメイン解像度を高めて開発することを大事にしています カミナシのカルチャー BizDev BizDev PM エンジニア デザイナー

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なぜインサイトマネジメントに辿り着いたのか Why Insight Management ?

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ファクトベースな判断がしたい (主観による『決断』は最後まで取っておきたい) 18

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1 19 定性データ × 主観を再現性高くプロダクト価値につなげるのは難しい なぜインサイトマネジメントか ● リサーチした人しか把握できていない ● 記憶は時間と共に忘却される ● 似たようなリサーチを何度も実施する ❷ 属人化しやすく、情報の再利用性が低い ● N=1に「刺さった」の違和感 ↔ SaaS ● 使われないものを作るリスクを甘くみない ● 現場に行けばいいプロダクトが作れるわけ ではない ( 自戒も込めて ) ❶ 扱い方を間違えると『お気持ち駆動開発』   を生み出してしまう その「刺さった」は誰でどんな人? 検証のたびに議事録のまとめ直し Aさん Bさん Cさん …

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1 20 定量データの再現性を高めるための『データマネジメント』を、 定性データに転用できないか?が出発点 アナロジー 引用:『実践的データ基盤への処方箋』より

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1 引用:https://dovetail.com/ 引用:https://centou.jp/ 餅は餅屋と考えインサイトマネジメントツールの Centou を導入 ( Notion でも Cursor でもできそう ) 21 UX リサーチのためのデータマネジメントツールの存在を知る 採用したソリューション

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1 2025年2月 正式 リリース🚀 2024年9月 β版 リリース 2024年5月 チーム 組成 \ イイヨ / CTO 入社 22 現場ドリブンなカミナシこそ、早く仕組みへ投資することで チームを越えてプロダクト開発に複利が効くと考えた スケールから逆算する 2024年7月 仕組み化開始 (Centou 導入) 現在 他チームへ 展開中

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ディスカバリーを加速させる インサイトマネジメント Case study

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1 24 ❸活用する ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 3つのステップでインサイトマネジメントを実現 インサイト活用の全体像 ❶事実を集める ❷インサイトに変換、まとめる データレイク DWH データマート 議事録・VoC インサイト アクション ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫ 🔍定量データの分析基盤を模倣した設計

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1 25 とにかく顧客の発話、VoCなど「事実」を集約し、インサイトを抽出する データレイク|事実を集める ● 主観よりも事実を書く、要約しない ● リサーチ、MTGごとに1ファイルを作る (1年半で300件を超えるファイルある) ● 事実をハイライトしてインサイトを抽出する ● 写真やスクリーンショットなど、 事実をとにかく貼り付ける ポイント

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1 26 集めた「ユーザーインサイト」を分類・整理する DWH|インサイトを集める・まとめる ● 議事録(事実)から抽出したインサイトを グルーピングして再利用可能にする ● インサイトはキーワードやタグで検索できる ● インサイトに紐づくリサーチ数から、 要望の多い / 少ないがわかる ポイント

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1 27 「ユーザーインサイト」を活用・用途ごとに再利用し、意思決定に活かす データマート|活用する ● 業務フロー / カスタマージャーニーと インサイトを紐付けて可視化する ● Product Goal や PRD ( 要求仕様書 ) などの ドキュメンテーションにて参照する etc. ポイント

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1 28 インサイトを中心にプロダクト開発をする カミナシでの開発プロセス(一例) 開発のほぼ全てのプロセスでインサイト ( 💎 ) をチームの共通言語にしている 💎 💎 💎 💎 インサイトの 抽出・分類 リサーチ 現場訪問、ヒアリン グ、商談の 発話・写真を 「議事録(事実)」と して収集 事実からインサイト を抽出し、 課題、今やっている こと、やりたいこと に分類 顧客の業務フローと インサイトを対応 させ、見える化する ユースケースに 基づいて オブジェクトと 関係を設計する ユーザーが ”使える”機能を 開発する リリース後に VoC を収集し、 集約した上で 対応する BizDev デザイナー 業務フロー との対応づけ ドメインモデ リング(設計) 開発 VoC 回収 デザイナー PM デザイナー PM デザイナー PM エンジニア デザイナー PM エンジニア PM 🔍ディスカバリー 🚚デリバリー 💎 PM デザイナー エンジニア CS

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1 29 テーマ探索 活用例① 1,000を超える インサイト インサイトの グループ ( テーマ ) リリース済み 改善フェーズ リリース済み 改善フェーズ リリース済み 改善フェーズ リリース済み 改善フェーズ リリース済み 改善フェーズ リリース済み 改善フェーズ 検討中 検討中 課題の大きいテーマ × プロダクトビジョン から開発することで 『外さない』 開発ができている 「顧客の声」が集約された SSoT ( Single Source of Truth )。 探索するべきテーマが常に見えている。

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1 30 新機能開発 インサイトの グルーピング & 可視化 日々のリサーチで貯めたインサイトを業務フローと紐付けて可視化することで 顧客の「痛み」がフローのどこに集中しているかが、チームの共通認識になる 活用例②

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1 CS チームと一緒にインサイトを眺めながら対話し、定期的にやる/やらを棚卸ししている 31 VoC 管理 活用例③ CS と協働で 仕分け 要望の多い順に インサイトが並ぶ インパクト×開発工数で 対応優先度を決定

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1 32 商談・既存顧客からの嬉しい声 1年9ヶ月やってみてどうだったか 「これが欲しかったっすね〜〜〜」 (保全リーダーの方) 「よく調べて作っていますね〜!」 (商談中のお客様) 「今までいろんな会社のいろんな アプリやシステムを見てきたが、 過去イチで良いと思っている」 (取締役の方) 「そうそう!よくわかっていますね」 (保全リーダーの方)

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まとめ Summary

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1 34 現場ドリブン×インサイトマネジメントの相性は良い 1年9ヶ月やってみた結論 CTO COO ※プロダクト開発チームのコードネーム

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1 35 現場ドリブン×インサイトマネジメントの相性は良い 1年9ヶ月やってみた結論 手戻りのない開発を続けている AI でリサーチを効率化!ではない チームが高いドメイン解像度を 持ち続けられている PM の「主観」や「伝え方」に 依存しない透明性の高い開発 AIは使いつつも、地道にコツコツと 積み上げている (むしろ効率化から逆行している) この地味だけど丁寧なインサイトの 整理こそがディスカバリーの肝であり、 良いプロダクトが作れると信じている → インサイトと具体的な発言の往復 → 結果的に属人化も防げている

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1 36 Q. 言うて、これ仕組み化して運用するの大変じゃない? 「やる」と決めて、 やりきる 1年9ヶ月やってみた結論

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1 37 すべては顧客価値のため やりきることで、ファクトベースな判断が実現できるようになる 開発の透明性が高くなり、開発チームが意思決定に納得感を持てる 納得感のある開発はオーナーシップと良いモメンタムを生む   良いチームは良いプロダクトをつくり、顧客に価値をデリバリーできる 1年9ヶ月やってみた結論

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1 ● 解くべき課題を見つけるプロダクトディスカバリーの肝はインサイト ● 主観に頼りすぎず、ファクトを集めて判断する(決断は最後まで取っておく) ● データがなければ作る。早く仕組みを作れば複利になり、プロセスの優位性になる ○ 理想に向けて、やると決めて地道に取り組む ○ 丁寧に顧客の声と触れる機会が生まれる(このステップ自体に価値がある) ○ インサイトをもとに作ったプロダクトは、顧客に評価され、 事業成長に効く ● 現場ドリブンなディスカバリーをインサイトマネジメントで加速する ○ 真に顧客の声を聞いた開発を実現できている実感がある 38 インサイトマネジメントで定性データを『活用』しませんか? まとめ