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【スライド版】 ベンチャー企業のコーポレート部門に 適切な「目標設定」は何なのか 考えてみた話

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はじめに コーポレート部門の目標設定に、悩んでいたり、課題を持っている方へ 本スライドは、noteの記事に基づいて作成されています 詳しくはぜひnoteをご覧ください すみだ@ベーシックCAO 株式会社ベーシック 執行役員 CAO コーポレート部門長 ▼Twitter @takeshisumida_ ▼note @takeshisumida_

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会社や組織の前提情報 会社名 株式会社ベーシック 従業員数 170名 ミッション 「マーケティングとテクノロジー」で世の中の問題を解決する 主要事業 BtoBマーケティングに特化。 ツールとノウハウでリード獲得支援。 フォーム作成最短30秒。 顧客情報をチームで管理できる。 初心者からプロまで。 すべてのマーケターへ情報発信。 会社概要  ・大きくは4つの機能に分かれている  ・全ての機能をコーポレートの担当役員がまとめて管掌している  ・コーポレートの人数規模は、全社員の約1割 コーポレート部門組織図 コーポレート 部門 財務IR部 経営企画部 人事広報部 経理部 採用、労務、総務、広報 経営管理、内部統制、法務、情シス 決算、経費精算、税務申告 資本政策、資金調達、IR 目標設定の仕方はフェーズや規模により異なる、特に”ベンチャー企業”を前提にご説明します

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強いコーポレート組織を作るために必要な要素 適切な「目標設定」ができるか否かで、コーポレート組織の強さは変わる 目標(ミッション)を明確 にし、あくまで目標に基 づいた適切な評価を行う コア業務とノンコア業務 を明確にし、内製にこだ わり過ぎず外部にも適切 に頼った組織作りを行う 徹底的な属人化の排除と 業務効率化で、永続性の ある仕組みを構築する ベンチャー企業のコーポレートに属するメンバーのモチベーションを左右するものの代表は、「やることが 盛りだくさんでいつまで経っても常に忙殺されていること、そしてその割に評価されないこと」。離職の原 因ともなりやすいこの状態の回避のためには、以下要素を盛り込んだ”仕組み”が必要。

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適切な「目標設定」を行うために必要なステップ 個人やマネージャー任せにせず、会社のプロセスとして体系化しておくべき 1  個人ミッションの作成 2  達成基準の作成 3  ミッションツリーの作成  ミッション設定会議の実施 4  部としての大上段の目標を定める  部の目標から個人の目標に、  ブレークダウンする  個人ミッションの達成状態を明確化する  作成したミッションの適切さを  確定前に複眼でチェックする

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1. ミッションツリーの作成 個人ごとの設定の前に、まずは部としての大上段の目標を定める  ミッションツリー策定の上でのポイント  ・ コーポレートとして目指す姿を定める    (各種判断の際に立脚するものとなる)    まずは大きくは”部”などの組織別に分割する  ・ その上で、大→中→小カテゴリーのように、    2〜3段階に要素を分解  ・ 上層はその部においては一定普遍のもの、    下層にいくに従って当期特有の具体的な    ミッションに詳細化する      作成したミッションツリーは、経営陣とも     すり合わせておく (人員計画や投資判断にも影響) ※ベーシックでの実際のミッションツリーの例 (一部簡素化)

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2. 個人ミッションの作成 部の目標から個人の目標に、ブレークダウンする  個人ミッション策定の上でのポイント  ・ ミッションツリーで作成したカテゴリーを    各部のメンバーに抜け漏れなく割り振る    ・ すること(=ミッション)だけにとどまらず、    達成基準も必ずセットで設定する (次頁)  ・ ミッションごとに重み(比率)を設け、    合計の評価を加重平均で算出する  ・ ミッション数は少なくとも3つ以上設ける    (これ以下だと合計の評価が大きくぶれる)    重要なのはとにかく”連動性”。個人ミッションの 達成の積み上げが、部としてのミッション達成に 確実に繋がる形に。 ※ベーシックにおける人事マネージャーの例 (一部簡素化)

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3. 達成基準の作成 どういう状態がミッションの達成なのか、達成状態を明確化する ※経営企画における、”経営管理”のミッションの場合の例    達成基準策定の上でのポイント  ・ 定量数値(※1)も交えた上で極力具体化する  ・ 達成段階をつけることで、より上位の達成を    目指すことを促進する    (3が通常の達成、4〜5がハイ達成)  ・ 3の難易度設定(※2)がとにかく肝、各人の    グレード(役割等級)等に応じたものを  ・ 未達状態の明確化も合わせて肝要、    ここが不明確だと評価の際の納得度も下がる    ※1、※2については次頁で補足 

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(参考1) コーポレートの目標における”定量”基準について コーポレートでも目標は定量化できる、特に”期限”の概念はどの職種にも存在 期限基準 達成度合いはその早さ (例) 12月末までに予実管理のためのフォーマットを再整備する  工数基準 達成度合いはその削減幅 (例) 見込みPL作成にかかっている時間を2割短縮する  日数基準 達成度合いはその短縮幅 (例) 月次決算の締め日を1営業日短縮する  金額基準 達成度合いはその削減幅 (例) 弁護士事務所に委託している法務費用を1割削減する  数量基準 達成度合いはその数 (例) 採用応募が月間100人来る仕組み作りのため、   新規エージェントと5社以上契約する 

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(参考2) 達成基準の”難易度”の考え方について 目標は高過ぎても低過ぎてもよくない、50%〜70%の達成確率が”成長と成果を最大化”する 前述5段階の達成基準の「3」を、いかにこの基準で設定できるかがマネージャーの上の見せ所

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4. ミッション設定会議の実施 作成したミッションの適切さを、確定前に複眼でチェックする    ミッション設定会議での確認ポイント  ・ 個人ミッションと部のミッションツリーが    しっかりと連動しているものになっているか    (抜け漏れが無いかの観点も含む)  ・ 達成基準は、定量数値も盛り込まれた、    明確なものになっているか  ・ 3の達成基準の難易度は適切か    (=50%〜70%の達成確度のものか)  ・ 4〜5の達成基準が、事業もしくは個人の    成長をより促進するものになっているか    (=単なるボーナス的な設定になっていないか) 部長 ミッション マネージャー ミッション メンバー ミッション  会議参加者  ・人事責任者  ・全役員 (社長含む)  会議参加者  ・人事責任者  ・その部門の全部長  会議参加者  ・人事責任者  ・その部門の全部長  ・直属の上司

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「緊急ではないが重要なもの」をいかに盛り込めるかが肝 ともすればただただ日常業務に忙殺されがち、そうならないための目標設定でもある 出典:創業手帳

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ベーシックにおける「評価」について 大きくは2種類の評価が存在、どちらも半期ごとに評価を行っている ミッションの達成度に対する評価 設定された「個人ミッション」に対しての達 成・未達成を評価するもの。 前述の達成基準に対する、加重平均での合計 スコアに応じて、右記で設定されているベー ス給与が増減する。(=インセンティブの支給 対象となるもの) グレードに対する評価 どの程度の「期待役割」を与えられるかを評 価するもの。グレードテーブル(※3)に基づ いて決定。 この期待役割の大きさが、前述個人ミッショ ンの大きさ、達成基準の難易度に影響する。 (=ベース給与を決定するもの)

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(参考3) ベーシックにおけるグレードテーブル 4つの要件の合計スコアが各グレードの水準に達しているかで決定 グレード 期待役割 職務要件定義 期待役割(一言まとめ) 難易度 組織影響度 裁量度 対人関係 スキル 合計 給与 D1 社会人/Starter ビジネスの基本を身に着け、組織の一員となるステージ I:2 I:2 I:2 I:2 8 D2 ひとり立ち/Player 任された仕事を一つひとつやりきりながら、力を高めるステージ II:4 II:4 I:2 II:4 14 D3 II〜Ⅲ:5 II〜Ⅲ:5 Ⅰ〜Ⅱ:3 II:4 17 D4 一人前/Main Player 創意工夫を凝らしながら、自らの目標を達成するステージ Ⅲ:6 Ⅲ:6 II:4 II〜Ⅲ:5 21 D5 主力/Leading Player 組織業績と周囲のメンバーをけん引するステージ Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ:6 II:4 Ⅲ:6 23 P1 Manager ・個人と集団に働きかけて、上位方針にもとづいた組織業績を達成していくステージ Expert ・高い専門性を発揮することを通じて、組織業績と事業成長に貢献するステージ Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ〜Ⅳ:7 II〜Ⅲ:5 Ⅲ〜Ⅳ:7 26 P2 Ⅳ:8 Ⅳ:8 Ⅲ:6 Ⅲ〜Ⅳ:7 29 P3 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:8 Ⅲ〜Ⅳ:7 Ⅲ〜Ⅳ:7 31 P4 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:8 Ⅲ〜Ⅳ:8 Ⅲ〜Ⅳ:8 33 SP1 Senior Manager ・事業、組織の持続的成長に向けて、変革を推進していくステージ Senior Expert ・卓越した専門性を発揮することを通じて、組織業績と事業成長に貢献する Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ:9 Ⅳ:8 35 SP2 Ⅴ:10 Ⅴ:10 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ:8 37 SP3 Ⅴ〜Ⅵ:11 Ⅴ〜Ⅵ:11 Ⅳ〜Ⅴ:9 Ⅳ〜Ⅴ:9 40 M1 事業変革/Business Officer 戦略的な資源配分を通じて、自ら描いた事業構想を実現するステージ Ⅵ:12 Ⅵ:12 Ⅴ:10 Ⅴ:10 44 M2 企業変革/Corporate Officer 社会における自社の存在意義を絶えず問い直し、自社の進路を決めるステージ Ⅵ:13 Ⅵ:13 Ⅴ:10 Ⅴ:11 47 M3 Ⅵ:14 Ⅵ:14 Ⅴ:10 Ⅴ:12 50 ※コーポレートを含むビジネス職の例。エンジニアは別テーブルが存在。

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(補足) フェーズによって適切な評価制度は変わり得る 整い具合等によっては、専門職は個別の評価制度を設ける場合もある 企画 オペレーション コア ノンコア ・経理 ・労務 など ・経営企画 ・財務 ・人事 ・広報 など ・入退社支援 ・採用支援 ・総務支援 など ※基本的には非正社員をアサイン 存在しない 今回ご説明した考え方は、色々整っておらず課題が山 積しているベンチャー企業のようなフェーズの会社に 特に有効な手段。 コーポレート業務は、基本的には整えば整うほど、為 すべきミッション(=課題)の数は減る。結果的には、 ハイ達成基準が無く未達基準だけがある状態、特に" 減点方式"の評価になることが多い。これでは目標設 定で成し遂げたい「成長と成果の最大化」からは遠の いてしまう。 例えば"経理"や"労務"など、初期は「企画」要素が多 いものの、整備されるに従って「オペレーション」が 主体になっていく。(※図の左上から右上へ移行) その領域の職種は、やるべき業務は明確にしつつも、 5段階での達成度評価は行わず、"専門性の高さ"に比 重を置いたグレード評価をより細かい刻みで行う運用 をとっている。(=専門性を特に評価する別テーブルを 作成している。) グレード評価のみ グレード評価および ミッション達成度評価

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(最後に) 定期的なフィードバックが成長と成果を最大化する マネージャーとメンバーのミッション振り返りの場は定期的に持つべき 個人ミッション作成 ミッション設定会議 月次振り返り1on1 半期振り返り1on1 (達成度すり合わせ) 査定会議   査定フィードバック 確定ミッション共有 メンバー & マネージャー  マネージャー & 会議メンバー メンバー & マネージャー  メンバー & マネージャー  メンバー & マネージャー  マネージャー & 会議メンバー メンバー & マネージャー  評価制度の主な流れ 関係者 評価に対するメンバーの納得度は一つの重要な観点 ではあるが、評価制度そのものは、メンバーの納得 度を高めるために行っているのではない。繰り返し になるが、あくまで「組織と個人の成長と成果を最 大化」するために行っている。 そのためには、マネージャはーメンバーと共に与え られたミッションを確実にフォローする必要があ り、またその進捗に応じて適切にフィードバックを 行い育成していく必要がある。 双方の観点から、期が締まった時に初めて評価のた めにミッションの達成度を確認するのでは手遅れで ある。最低月次で、マネージャーとメンバー間で、 ミッションに対する振り返りを行うべき。 この結果として、達成度に対するマネージャーとメ ンバーの認識の齟齬も起こりにくく、評価に対する 納得度も概して高くなる。