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1 Masato Ishigaki
 June. 24, 2025
 Clineを含めたAIエージェントを
 大規模組織に導入し、投資対効果を考える


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2 About me
 石垣 雅人
 合同会社 DMM.com
 
 プラットフォーム開発本部 副本部長 / 第1開発部部長
 VPoE室 / アルファ室
 
 ・連載中 : 『開発生産性の多角的視点』(CodeZine) 
 ・連載中 : 『スモールチームが武器になる時代へ』(ProductZine) 
 ・連載中 : 『群知能から紐解く、スケールする“組織“の作り方 』(NewsPicks)
 
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5 Table of Contents
 - Clineの導入とその他のAIエージェント導入のログ紹介
 - 業務プロセス全体へのAI導入(AI-BPR)
 - 開発スタイルの変化をどう捉えるか
 - AIとの協働をどう見るか。投資対効果をそろそろ考え始めている頃


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6 Table of Contents
 - Clineの導入とその他のAIエージェント導入のログ紹介
 - 業務プロセス全体へのAI導入(AI-BPR)
 - 開発スタイルの変化をどう捉えるか
 - AIとの協働をどう見るか。投資対効果をそろそろ考え始めている頃


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7 7 管掌組織内のAI導入の現状
 23年 25年 2月 25年 3月 25年 5月 23年頃からプロダクトへの
 AI導入による業務効率化に着手
 AI-BPRプロジェクト
 複数立ち上げ推進


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8 DMM.comのクリエイター組織のAI導入の現状
 8 - 承認済みツール
 - GitHub Copilot / CodeRabbit / Cline / Devin / Cursor
 - PoC中(予定含む)
 - Junie / Jules / Claude Code(トライアル→FB→承認→各部門が予算配賦)
 - 開発組織内で専門組織を持たずに全員が主体的に取り組むスタイル
 


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9 Clineの導入(25年3月〜)
 9 - Devin / Clineは、ほぼ同時に使い始めた(3/2~) 
 - 素早くスタートするときに考慮した点は3つ
 - 小さいチームでトライアルし、FBを行う 
 - コスト管理は必ず行う(定額性ではないため) 
 - セキュリティー観点で2点
 - クラウドプロバイダ経由でのAPIエンドポイントを有効化
 - →Amazon Bedrock, Vertex ai, Azure OpenAI Service
 - 独自のシークレット情報を管理ガイドラインに遵守
 ※AI関連は動きが早いのでSlackをベースに
 活動ログを残しておくと便利(slackのCanvas)


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1 0 開始1週間ぐらいでClineのノウハウが集まってくる
 10 【導入の知見】
 【活用実績の知見】


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1 1 3/12にCline / Devinのトライアル結果共有
 11 【人でやった場合の予測とAI協働による実績の差分を評価軸へ】
 https://developersblog.dmm.com/entry/2025/04/04/110000

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25年6月現在、どうなっているか


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3月〜
 Devin / Cline 全社導入 
 4月〜
 AI前提の業務プロセスを再設定 
 AI-BPR戦略の実行開始 
 5月〜
 Cursorトライアル完了 
 Poc : Junie / Jules / Claude Code 


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3月〜
 Devin / Cline 全社導入 
 4月〜
 AI前提の業務プロセスを再設定 
 AX-BPR戦略の実行開始 
 5月〜
 Cursorトライアル完了 
 Poc : Junie / Jules / Claude Code 
 徐々に
 ・「Devin × Cline」という開発スタイルが「Devin × Cursor」へ変化
 ・ 現在だと、7~8割ぐらいがClineからCursorへ
 
 ▼観点
 - 組織として結局どちらかに振らないとコスパが悪い(推奨はどっちか)
 - コスト管理の面(定額 / 従量 / レポート)
 - 組織としてのノウハウ蓄積の効率
 - さらにClaude Codeの台頭によってエディタ/ IDEにロックインされないものが中 長期的な目線で優位になってきた
 


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1 5 Clineがまだ強いところ(n=1)
 15 【Planモードが強いイメージ】


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16 Table of Contents
 - Clineの導入とその他のAIエージェント導入のログ紹介
 - 業務プロセス全体へのAI導入(AI-BPR)
 - 開発スタイルの変化をどう捉えるか
 - AIとの協働をどう見るか。投資対効果をそろそろ考え始めている頃


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業務プロセス全体に
 AIエージェントがどこまで浸透しているか
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プロセスを"AI"に置き換えるのではなく、 
 "AI"前提のプロセスに作り変える 
 
 
 1.TOC理論(制約理論) 
 
 制約(ボトルネック)の解消に集中する考え方 
 目的は「部分最適」ではなく「全体最適」。 
 常に“制約に投資してボトルネックを解く” 
 
 1. 制約を特定 
 2. 制約を最大限活用 
 3. 他プロセスを制約に従属させる 
 4. 制約を強化・拡張 
 5. 新たな制約を探す 
 
 
 2. BPR (Business Process Re-engineering) 
 
 ゼロベースで業務を作り直すアプローチ 
 既存業務の「延命」や「部分改良」ではなく、 
 白紙から再構築する 
 
 1. 現状分析(As-Is) 
 2. コアプロセス抽出 
 3. 理想設計(To-Be) 
 4. IT・組織・人材を再配置 
 5. 移行計画・実装 
 
 → ECRSの原則(イクルス)でプロセスを見直す 
 以下2つの組み合わせで考える 
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業務プロセスを洗い出し
 約200名の業務プロセス ※ 詳細はいらずにボリュームを測るため、概略・傾向値で良い 
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≈ 制約投資の判断
 - 課題の共通性・隔たり
 - 課題のボリューム感(工数)
 - AIプロセスの投資対効果
 業務プロセス区分 1. 運用工数
 a. 問い合せ・顧客対応 
 b. 障害対応・ルーチンワーク 
 2. 組織管理工数 
 a. 組織管理のルーチンワーク 
 b. プロジェクトルーチンワーク 
 3. 新規開発工数 
 a. 要件定義・企画フェーズ 
 b. 設計フェーズ 
 c. 実装フェーズ 
 d. テストフェーズ 
 e. デプロイ
 4. 保守開発
 a. リファクタリング 
 
 業務プロセス抽出 - プロセス / 目的 / 課題
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1Qが終わったタイミングでのアンケート実施結果
 ▼ 依頼事項 
 1. グループごとの業務プロセスを可視化しました。 
 2. 自分が所属するグループのC列の業務プロセスにおいて「AIエージェントの利用率」を回答してください 
 
 業務プロセスのカテゴリー 
 1. 障害対応・ルーチンワーク 
 2. 組織管理のルーチンワーク 
 3. プロダクト、プロジェクトルーチンワーク 
 4. 要件定義・企画フェーズ 
 5. 設計フェーズ 
 6. 実装フェーズ 
 7. テストフェーズ 
 8. リリースフェーズ 
 9. 保守開発
 
 有効回答率 : 93%(180名回答) 
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aグループ bグループ cグループ dグループ eグループ fグループ gグループ hグループ rグループ jグループ kグループ lグループ mグループ nグループ oグループ 業務プロセスごとのAIエージェント利用率の結果
 「一番、Cline / Cursor / Devinが活躍しやすい部分の利用率が高い」
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立ち上げっているプロジェクト
 prj名 
 目的・ゴール 
 prj-inq-automation 
 機能への質問や要望がSlack経由で月130件ほど来ます。これを現在はすべて人が対応し ているため、AIを使い自動で振り分け、評価、返信を自動にする 
 prj-vibe_coding 
 AIエージェントを活用した開発プロセスを確立させる 
 生成AIの活用におけるノウハウの分散やスキルのばらつきを防ぎ、無駄な検証やコストの発 生を抑える 
 prj-ai_cost 
 正しくAIにコスト投資できているかをコスト面で予実の把握及び計画を実行 
 prj-doc_as_code 
 コードとドキュメントの距離を近くし、AIリーティングしやすい状態にする。 
 ドキュメントの形骸化 及び 運用コストを限りなくゼロに近づける 
 prj-ai-pdm_pm_mg 
 PdM/PM/開発マネージャー領域のAI活用 
 要件定義、書類選考、競合調査、進捗報告(prj doc as code) 
 等

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25 Table of Contents
 - Clineの導入とその他のAIエージェント導入のログ紹介
 - 業務プロセス全体へのAI導入(AI-BPR)
 - 開発スタイルの変化をどう捉えるか
 - AIとの協働をどう見るか。投資対効果をそろそろ考え始めている頃
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開発スタイルの変化
 従来 プロダクション 現在 成果物は物理的な時間と人 が同期していた
 ガードレール役に徹する (CodeRabbit等で短縮) プロダクション 人の物理的な時間と成果物 が非同期で出てくる
 これから 成果物の担保もAIへ 人は問い型へ
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開発スタイルの変化
 これから 成果物の担保もAIへ 人は問い型へ
 プロダクション 27

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28 Table of Contents
 - Clineの導入とその他のAIエージェント導入のログ紹介
 - 業務プロセス全体へのAI導入(AI-BPR)
 - 開発スタイルの変化をどう捉えるか
 - AIとの協働をどう見るか。投資対効果をそろそろ考え始めている頃


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AIへの投資対効果の観点
 - 「感覚的には早くなっている」をどう自分たちの行動ログとして表出化させるか
 - 定量データで言えば「AIに置き換え」と「AIとの協働」で難易度は違う
 - AIに置き換え → 人でやっていたものを丸々削減時間とする
 - AI協働→人でやったときの予測とAI協働での実績比較であれば簡単に出せるが、そ れでよいかはわからない
 - 他社事例を分析しつつも、模索中
 


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AIへの投資対効果の観点
 - スピード(生産性)と品質の両方を考慮する
 - → 品質を落として量産しても意味がない。逆に負荷がかかるだけになる 
 - 単一プロセスの最適化ではなく、バリューストリーム全体を見る
 - → 生産量が多くなっても、変更障害率が多くなっている等 
 - 多元的な評価で投資対効果を見る(今のところ筋が良さそう)
 - → 単一的な評価の積み重ねで「1人がAIエージェント活用で生産量が n倍になる傾向があ る」と言いたい
 - それを人材関連費とAIへの外注加工費の比較しながら組織投資を考えたい 
 - ex. ノイズを取り除いた状態で理想の動き方をしているメンバーのPR数の推移をAI活用 前後で見るところからスタート。その他、SPACEなどの定性評価や 筋が良さそうな指標 を組み合わせて生産活動の変化傾向 を見ていく


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31 まとめ
 - Clineの導入とその他のAIエージェント導入のログ紹介
 - 業務プロセス全体へのAI導入(AI-BPR)
 - 開発スタイルの変化をどう捉えるか
 - AIとの協働をどう見るか。投資対効果をそろそろ考え始めている頃