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⽊下 裕哉 Yuya Kinoshita デザイナー フロントエンドエンジニア yuyakinoshita.com @yuyaink

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はじめに

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この資料のゴール データ構造について知ることで 情報設計のヒントを得る

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さらなる狙い ユーザーにとってより使いやすい データ構造を意識できるようになること

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主な対象者 Webサイト、アプリなどの ユーザーインターフェイス設計に関わる⽅ UIデザイナー、ディレクター、フロントエンドエンジニアなど。

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Index 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. データの流れについて基本を振り返る データ構造を意識するメリット WordPressを題材に選んだ理由 コンテンツ管理システムの全体像 WordPressにおけるオブジェクトの全体像 記事のデータ構造 記事の公開状態 記事の公開⽇時と並び順 記事の分類属性(カテゴリーとタグ) カテゴリー分類とタグ分類の違い 階層あり分類のコウモリ問題とは? 複数の検索⼿段が必要な理由(検索キーの設計) データの⾏き来のしやすさ

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データの流れについて 基本を振り返る 1

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まずはデータの流れの基本を知る (共通の基本要素を抑える) ※前回の資料の内容からの振り返りです。

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データのアクションは作成、読み出し、変更、 削除の4つが基本です。

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データの基本アクション •作成(Create) •読み出し(Read) •変更(Update) •削除(Delete) Data Create Update Delete Read 4つの頭⽂字からCRUDとも 呼ばれるようです。

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データ構造を意識するメリット 2

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そもそもデータ構造って何?

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“コンピュータプログラミングでの、データの集 まりの形式化された構成である。格納された各 データの参照や修正といった管理を容易にする ための構成である” From: Wikipedia Wikipediaから引⽤

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このように解釈しています •データを扱いやすくするための構造 •⻑期的にサービスを拡張するための⾻組み •⼤事なのは拡張性とデータの⾏き来のしやすさ

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データ構造を意識するメリットは?

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データ構造を意識するメリット •データのつながりを把握しやすくなる •データへのアクセス⽅法がシンプルになる •サービス全体の構造を整理しやすくなる ユーザーにとってより使いやすいサービスに近づくと考えています。

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データ構造について知るために、WordPress を参考にしながら⾒ていきます。 ※構造の参考であり、WordPressの使い⽅紹介は⽬的としていません。

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3 WordPressを 題材に選んだ理由

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そもそもWordPressってどんなもの?

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Webサイトのコンテンツを管理するためのシス テムです。主にブログ、メディアサイト、企業サ イトなどのコンテンツ管理に使われています。

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管理画⾯ WordPressの管理画⾯で す。時系列によるコンテンツ 管理に優れています。

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表⽰されるページ 管理画⾯から登録したデータ (データベース)と、構築し たデザインテンプレートを元 にページが⽣成されます。

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なぜデータ構造を学ぶために WordPressを題材にするの?

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主な理由 •データの基本構成を学べる •時系列の概念やデータ分類について学べる •アプリケーション開発やUI設計に応⽤できる オープンソースで⼿軽に試しやすいことも理由の1つです。

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過去にフルスクラッチによる約180画⾯のシス テムのUI設計や開発にも関わったのですが、デ ータをどう扱うかの基礎として、WordPress から応⽤できることが多いと感じています。 Movable Type、WordPress、MODXなどのCMSに触れてきました。

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4 コンテンツ管理システムの全体像

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WordPressについて⾒ていく前に、まずはコ ンテンツ管理システム(CMS)の概要や全体像 を⾒ていきたいと思います。

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突然ですが質問です。次の図のXとYは何かを表 しています。何を表しているでしょうか? Q

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閲覧ユーザー ?????? ??? データの 登録・読み出し・ 編集・削除 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 管理ユーザー X Y

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CMS アプリケーション、業務システム、コンテンツ 管理画⾯、WordPressなども正解です。 DB、phpMyAdmin、リレーショナルデータ ベースなども正解です。 データベース X Y 正解は

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データベースって何? いろいろ新しい⽤語が出てきた…

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“データベース(英: database)は、電⼦的に 保存され、アクセスできる組織化されたデータ の集合である。” From: Wikipedia Wikipediaから引⽤

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どういうこと?

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⼤まかにこのように解釈しています •たくさんのデータの集合体 •データは「種類」と「値」で構成される •Googleスプレッドシートのようなイメージ データの種類はキー(Key)、値はバリュー(Value)と表現されます。

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簡略化したイメージで データベースを⾒てみます

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名前 ID ⾊ リンゴ バナナ ブドウ 1 2 3 ⾚ ⻩ 紫

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データベースでは、データが種類(Key)と値 (Value)によって管理されます。

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名前 ID ⾊ リンゴ バナナ ブドウ 1 2 3 ⾚ ⻩ 紫 Key Key Key

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⻩⾊いセルの部分がデータの種類(Key)を表 しています。この表では、ID、名前、⾊がデー タベース上の種類(Key)です。

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名前 ID ⾊ リンゴ バナナ ブドウ 1 2 3 ⾚ ⻩ 紫 Value Value Value Value Value Value Value Value Value

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データの種類に対する値がValueです。例えば IDが「1」のデータでは名前に「リンゴ」とい うデータを持っています。IDが「2」の場合は名 前に「バナナ」というデータを持っています。

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⼀般的にデータの主軸となる種類(Key)はID であることが多いと感じます。例えば『IDが 「2」のデータの名前は「バナナ」です』という 使われ⽅が多いのではないかと思います。 IDは他と重複しない(ユニークである)とう前提があるからだと考えます。

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実際のデータベースはより多くのデータを扱いま すが、イメージとしてはこのように捉えておけば ⼤丈夫だと思います。 データベースの概念について⼤まかに捉えたうえで、全体図を⾒てみます。

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閲覧ユーザー データベース CMS データの 登録・読み出し・ 編集・削除 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 管理ユーザー

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情報量が多くやや複雑なので、それぞれのユー ザーごとに注⽬してみます。

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管理ユーザーの場合 ユーザーごとの視点

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閲覧ユーザー データベース CMS データの 登録・読み出し・ 編集・削除 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 管理ユーザー

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閲覧ユーザー データベース CMS データの 登録・読み出し・ 編集・削除 構造化された データの集まり 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 データ 管理画⾯ データ管理⽤の インターフェイス(接点) データの登録・読み出し・ 編集・削除 管理ユーザー

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管理ユーザーの視点でのコンテンツ管理システム(CMS)とは? •CMSを通してデータベースにアクセスする •データの登録・読み出し・編集・削除ができる •データ管理⽤のインターフェイス(接点) と⼤まかに考えられます。

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閲覧ユーザーの場合 ユーザーごとの視点

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閲覧ユーザー データベース CMS データの 登録・読み出し・ 編集・削除 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 管理ユーザー

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閲覧ユーザー データベース CMS データの 登録・読み出し・ 編集・削除 構造化された データの集まり 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 デザイン テンプレート 管理ユーザー ページ⽣成⽤の インターフェイス(接点) データの 読み出し

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閲覧ユーザーの視点でのコンテンツ管理システム(CMS)とは? •CMSを通してデータベースにアクセスする •データの読み出しができる •ページ⽣成⽤のインターフェイス(接点) と⼤まかに考えられます。

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全体像を⾒てみます

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閲覧ユーザー データベース CMS データの 登録・読み出し・ 編集・削除 構造化された データの集まり 構造化された データの集まり 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 データ 管理画⾯ データ管理⽤の インターフェイス(接点) データの登録・読み出し・ 編集・削除 デザイン テンプレート 管理ユーザー ページ⽣成⽤の インターフェイス(接点) データの 読み出し

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役割に注⽬してみると、コンテンツ管理システ ム(CMS)がおこなっていることはデータベー スへのデータの登録・読み出し・変更・削除の どれかだということが⾒えてきます。

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データの基本アクション •作成(Create) •読み出し(Read) •変更(Update) •削除(Delete) Data Create Update Delete Read 実はCMSがやっていること も基本アクションの4つ。 CMSも同じ

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•CMSを通してデータベースにアクセスする •CMSはデータへアクセスを簡単にしている •UIデザインとはデータへのアクセス⽅法の設計 と考えられるのではないでしょうか。 まとめると

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5 WordPressにおける オブジェクトの全体像

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WordPressで特に重要な記事、カテゴリー、 タグ、ユーザーのデータ構造を⾒ていきます。 カテゴリー タグ ユーザー 記事

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データを機能名と区別して対象物として捉える ため、ここではオブジェクトと呼びます。 記事 オブジェクト ユーザー オブジェクト タグ オブジェクト カテゴリー オブジェクト

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全体像を知りたい

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全体像とつながり 記事オブジェクトと各オブジ ェクトが紐付いた構造になっ ています。 •記事 •カテゴリー •タグ •ユーザー 補⾜ オブジェクトの種類 記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト

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記事のデータ構造 6

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WordPressが扱うメインのデータが記事で す。記事オブジェクトがどんな属性を持ってい るかを⾒ていきます。

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記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト This

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記事オブジェクト メインコンテンツ 概要情報 分類属性(ひも付いているオブジェクト) •記事タイトル •記事本⽂・画像・動画など •表⽰状態(公開 / ⾮公開) •公開⽇時 •URLスラッグ •アイキャッチ画像 •カテゴリー •タグ

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それぞれの記事オブジェクトがこれらの属性 (情報)を持っています。ユーザーは新規に記事 をつくり、関連する属性情報を合わせて登録す ることでコンテンツを管理します。

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アプリケーション設計に活かす観点は?

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•対象物をオブジェクト(名詞)として捉える •データの核となるオブジェクトが何かを考える •そのオブジェクトにひも付ける属性を考える Point

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記事の公開状態 7

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記事の公開状態 WordPressでは記事の公開状態に、公開、⾮ 公開、パスワード保護の3種類があります。

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記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト This

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No content

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公開状態 •公開 •⾮公開 •パスワード保護 •ラジオボタンで単⼀選択 •初期状態は「公開」 属性 補⾜

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どういった使い分けが考えられるか? •公開:記事を公開するための通常の状態 •⾮公開:公開後に⼀時的に⾮公開にする •パスワード保護:特定ユーザーのみに表⽰する

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アプリケーション設計に活かす観点は?

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•要素に⾮公開の状態が必要か? •パスワード保護のアクセス⼿段を⽤意するか? •公開・⾮公開のどちらを初期状態とするか? オブジェクトの公開管理機能の設計観点に役⽴つかもしれません。 Point

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記事の公開⽇時と並び順 8

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公開⽇時と並び順 WordPressの初期設定では、公開⽇時が新し い記事から表⽰されます。記事の並び順(ソー ト順)を公開⽇時によって管理します。

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記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト This

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No content

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公開⽇時 •⽇付 •時刻 属性 •作成時点の⽇時が⾃動反映 •カレンダーピッカーを併⽤ 補⾜

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アプリケーション設計に活かす観点は?

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•要素は公開⽇時順で表⽰するか? •ユーザーにとってより便利な並び順の条件は? •そもそも公開⽇時が属性として必要なのか? 他の並び順には、名前、更新⽇時、価格、⼈気(評価)などもあります。 Point

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記事の分類属性 (カテゴリーとタグ) 9

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記事の分類属性 カテゴリーやタグは、WordPressに備わって いる記事の分類属性です。ここではタグがどん なユーザーインターフェイスとして表現されてい るかを⾒てみます。

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記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト This

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タグ⼀覧 •タグ名 •タグスラッグ(URL) •タグの説明 属性 •オブジェクトで管理 •フリーワードで検索できる •複数タグを⼀括削除できる •該当する記事数がわかる •該当の記事⼀覧へ遷移する 補⾜

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タグオブジェクト •タグ名 •タグスラッグ(URL) •タグの説明 属性 •オブジェクトで管理 •いつでも再編集が可能 •詳細ページからも削除可能 補⾜

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アプリケーション設計に活かす観点は?

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•カテゴリーやタグはいつでも編集できるように •対象要素とのアクセスの双⽅向性を保つ •フリーワード検索など、検索しやすい構造に Point

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カテゴリー分類とタグ分類の違い 10

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WordPressには記事の分類⽅法として、カテ ゴリー分類とタグ分類の2種類が存在します。こ れらによって記事を分類して管理します。 カテゴリー分類とタグ分類の違い

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記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト This This

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WordPressのカテゴリー分類とタグ分類は 何が違うでしょうか? Q

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正解は階層構造になっているかどうかです 階層あり カテゴリー分類 階層なし タグ分類

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“categories: a hierarchical taxonomy that organizes content in the post Post Type tags: a non-hierarchical taxonomy that organizes content in the post Post Type” From: WordPress Developer Resources 公式ドキュメントからの引⽤

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カテゴリーは階層構造を持っており、タグは階 層構造を持っていません。

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この考え⽅をデザインにどう活かすの?

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データを分類するときに「階層構造にする・し ない」の判断基準として活⽤します。

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どういうこと?

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データの分類は「階層構造あり」が適した場合 と「階層構造なし」が適した場合があり、状況 によって使い分ける必要があると考えています。

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⼀般的なフォルダ構造は階層ありだし、 階層ありだけじゃ駄⽬なの?

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階層ありのほうが⼈間にとってわかりやすく、 適している場合が多いと思います。その⼀⽅で 階層ありにはコウモリ問題と呼ばれる分類上の 問題が存在します。

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階層あり分類の コウモリ問題とは? 11

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例えば「デザイン」と「コーディング」という 分類属性があるとして、その両⽅に当てはまる 記事の場合にどちらに分類すれば良いのか迷っ てしまうことはないでしょうか?

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「複数の属性から何を選んで分けるか」という 悩みは、コウモリ問題という名前が付いている ほどに⼀般的な問題のようです。

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“すべてのものや情報は、利⽤される⽂脈に応じて複数の属性を持ち得る。し かし、階層構造のように、各項⽬を⽊構造の末端にあてはめて分類する⽅式 (図書館資料など)では、項⽬が持つ複数の属性のうちの⼀つだけに着⽬し なければならないという制約がある。” From: Wikipedia Wikipediaから引⽤

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コウモリ問題を解決する⼀般的な⽅法が、複数 の属性付けを可能にするタグ分類だと考えてい ます。

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それならタグ分類のような 階層なしの分類にしておけば良いの?

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いいえ、扱うデータやユーザーが使う状況によ って「階層あり」と「階層なし」の使い分けが 必要だと考えています。 それぞれにメリットとデメリットがあります。

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データの親⼦関係や構造が わかりやすい。 2つ以上の分類属性を持っ たままデータを管理でき、 分類に悩まなくて済む。 2つ以上の分類属性を持つ ことができず、1つに絞ら なければならない。 親⼦関係のようなデータの 関係性は持てない。 メリット デメリット 階層あり 階層なし

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階層ありと階層なしの 使い分けはどうすれば良い?

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状況によって判断が必要になりますが、⼤まか にどちらに向いているかを整理してみました。

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•明確な整理ルールが必要 •構造のわかりやすさ重視 •厳格な管理者がいる •⼤まかな整理に留める •複数の属性を持たせたい •厳格な管理者がいない •⼤まかな整理に留める •複数の属性を持たせたい •厳格な管理者がいない •明確な整理ルールが必要 •構造のわかりやすさ重視 •厳格な管理者がいる 向いている 向いていない 階層あり 階層なし

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WordPress以外にも参考に なるサービスやアプリケーシ ョンはたくさんあります。 階層の有無や、どういった分 類を使いやすいと感じるかを 意識してみるのも⾯⽩いかも しれません。 Which is better? Hierarchical Non- Hierarchical

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アプリケーション設計に活かす観点は?

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•要素の分類に階層構造が必要かを考える •⼤まかに分類するのか、細かく管理するのか? •要素の分類を管理する体勢は整っているか? Point

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複数の検索⼿段が必要な理由 (検索キーの設計) 12

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検索キーが複数あること WordPressには記事の検索⽅法として、カテ ゴリー、タグ、投稿者、⽇付、フリーワードな どによる検索機能が標準で備わっています。

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記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト This

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記事⼀覧 •投稿者 •カテゴリー •タグ •フリーワード 検索キー(Key) •属性で絞り込める •フリーワードで検索できる 補⾜

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記事⼀覧 •⽇付(⽉別表⽰) •カテゴリー 絞り込み条件 •⽉ごとに絞り込める •検索キーと組み合わせ可能 補⾜

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もし検索機能がなかったら?

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データ件数が増えるにつれて、1つ1つ探すのは とても⼤変です。その解決策として何らかの絞 り込み検索が必要になります。

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メインオブジェクト(記事)が 1000件以上のように ⼤量のデータになった場合の課題は? 例えば

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1つの検索キー(Key)では、必要な記事を絞り 込めない可能性が⾼いことです。もしくは記事 に付けたカテゴリーやタグを覚えていない場合 に記事を⾒つけにくくなります。

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設定したカテゴリーやタグを覚えていない場合 の解決⽅法に、フリーワード検索があります。 フリーワード検索は多くのアプリケーションに 備わっており、ユーザーが基本機能として期待 している可能性が⾼いです。

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フリーワード検索は⼀般的な検索機能である⼀ ⽅で、検索結果の出し⽅によって使い勝⼿に⼤ きく差が出る機能だと考えています。使いやす いフリーワード検索機能を実装するためには、 必要な観点が多いです。

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•曖昧なキーワードによる検索を許容するか? •検索対象とするデータベースの範囲は? •複数キーワードによる絞り込みを許可するか? 例えば 検索結果を出⼒する反応速度やサーバーへの負荷も検討が必要です。

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アプリケーション設計に活かす観点は?

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•投稿者、カテゴリーなどの属性で絞り込める •公開⽇時や更新⽇時で絞り込める •フリーワードで検索できる(検討事項が多い) これらの検索機能の必要性は優先的に検討したいです。 Point

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データの⾏き来のしやすさ 13

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検索キーが複数あること ここではデータ同⼠のつながりに注⽬してみま す。記事とタグはそれぞれがオブジェクトとして のデータ構造を備えつつ、データのつながりが あります。

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記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト This This

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記事⼀覧 記事オブジェクトにはタグが 設定でき、設定済みのタグが 関連付けられています。

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記事⼀覧 試しに「制作環境」というタ グを選ぶと、制作環境タグの 付いている記事オブジェクト が並びます。

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次はタグ側から⾒てみます

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タグ⼀覧 カウントという表⽰項⽬があ ります。これはこのタグが関 連付けられている記事数を表 しています。 試しに制作環境タグの右側に あるカウント欄の「4」を選 んでみます。

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遷移先の記事⼀覧 そうすると「制作環境」タグ で絞り込んだ記事⼀覧ページ が表⽰されました。 記事オブジェクトとタグオブ ジェクトがデータのつながり によって関連付けられている ので、スムーズにアクセスで きます。

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関連情報にアクセスしやすい構造 記事⼀覧ページ タグ⼀覧ページ

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関連データへの⾏き来のしやすさ(アクセスの 双⽅向性)を考えて設計すると、より使いやす いUIに近付くと考えています。 WordPressのタグ⼀覧ページから記事⼀覧ページへの導線は⼀⽅通⾏です が、データの関連付けの参考になります。

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アプリケーション設計に活かす観点は?

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•データの⾏き来のしやすさ(双⽅向性)を意識 •オブジェクトはそれぞれで常時編集できる •ユーザーが使いやすいデータのつながりを探す ⼿書きメモやプロトタイプで⾏き来してみると、改善点に気付きやすいです。 Point

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この資料で重要な ポイントをおさらい

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データの核となる対象物をオ ブジェクト(名詞)として捉 え、そのオブジェクトにひも 付く属性を考える。

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対象物は何か? WordPressなら、記事、カ テゴリー、タグ、ユーザーを 主要オブジェクトと捉えてい ます。 オブジェクトとして捉える 記事オブジェクト カテゴリー オブジェクト タグ オブジェクト ユーザー オブジェクト

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オブジェクトは、それぞれが 常時編集できる構造とする。

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常に編集できる 例えばタイトルを変える、 URLを変えるなどの属性の 編集・追加・削除が常にでき る構造として設計すると、耐 久性が上がり⻑持ちします。 常時編集できる構造に

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データの⾏き来のしやすさと して、アクセスの双⽅向性を 保てているかを意識する。 ユーザーがより便利にサービスを使えるよう に、データオブジェクト同⼠をスムーズに⾏き 来できるように設計することが望ましいです。

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データの双⽅向性を意識する 記事⼀覧ページ タグ⼀覧ページ

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迷ったら全体像を⾒直して、 誰に向けて何をつくっているのかを 振り返ってみる

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閲覧ユーザー データベース CMS データの 登録・読み出し・ 編集・削除 構造化された データの集まり 構造化された データの集まり 管理画⾯に ログイン ページを表⽰ ページが⾒たい データの読み出し データの要求 データ 管理画⾯ データ管理⽤の インターフェイス(接点) データの登録・読み出し・ 編集・削除 デザイン テンプレート 管理ユーザー ページ⽣成⽤の インターフェイス(接点) データの 読み出し

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おわりに

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デザイナーやディレクターがデータベースを設計 することは稀かもしれません。ですがどんなデ ータがあったらユーザーにとってより便利かを 考え、提案する機会はあると思っています。 この資料がそのようなきっかけになったら幸いです。

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ありがとうございました