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1 Andy Clark Andy Clark saids saids - 心はコンピューターのようなものなのか? - - 心はコンピューターのようなものなのか? -

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目次 1. 計算論的心の理論について 2. Andy Clarkの見解 3. 計算論的心の理論の広義の解釈 4. 人間と生物の特殊性 5. 新しい計算論的心の理論 6. 将来の展望 7. まとめ 8. 付録:用語辞書 2

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想定読者 認知科学や人工知能に興味がある学生や研究者 ▶ 脳科学や心理学の基礎知識を持つ者 ▶ 計算論的アプローチに関心のある哲学者 ▶ AI開発に携わるエンジニアや技術者 ▶ 3

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1. 計算論的心の理論について 近年の主要な心の働きに関する理論の一つ ▶ コンピュータの普及に伴い、人気を集める - 脳と現代のコンピュータの動作の違いに関する批判 ▶ 脳:電気信号を伝達 - コンピュータ:現代の計算アルゴリズムとは本質的に異なる - 並列処理や複雑なアルゴリズムを用いても - 4

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Andy Clark 認知哲学者・認知科学者 ▶ 現在の研究テーマ ▶ 予測的処理と自由意志の関係 - 拡張認知と技術の共進化 - 意識の計算論的アプローチ - 主要著書 ▶ "Surfing Uncertainty: Prediction, Action, and the Embodied Mind" (2015) - "Supersizing the Mind: Embodiment, Action, and Cognitive Extension" (2008) - "Natural-Born Cyborgs: Minds, Technologies, and the Future of Human Intelligence" (2003) - "Being There: Putting Brain, Body, and World Together Again" (1997) - 5

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2. Andy Clarkの見解 (1/2) 「計算論的心の理論」は広範な概念 ▶ 一般的イメージ:古典的デジタルコンピュータによる象徴的計算 - 言語のような記号列に対する計算 - 実際の脳:単純な記号操作ではない - 標準的計算プラットフォームの整然とした操作とは異なる - 6

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2. Andy Clarkの見解 (2/2) 広義の計算的認知説:様々な形式の符号化を含む ▶ 人工ニューラルネットワークの分散表現 - 確率的符号化(Clarkが最も興味を持つ) - アナログ符号化、またはアナログ部品の使用 - Clarkは計算論者 ▶ 脳は特殊な問題を解決する特殊なコンピュータ - 確率的機械 - 身体の動きと深く結びついている - 従来のメインフレームコンピュータとは大きく異なる ▶ 7

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3. 計算論的心の理論の広義の解釈 最下層:0と1の処理かもしれない(本質的問題ではない) ▶ 重要点:上位レベルでのプログラム実装 ▶ 心の科学で重要:多層的な確率的符号化と分散表現 ▶ 概念:広範な活動パターンで表現 - 例: 「猫」は特定のシンボルではなく、活動パターンで表現 - 全か無かではなく、程度の差がある - 活動パターンは部分的に存在可能 - 8

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4. 人間と生物の特殊性 可能な計算メカニズムの中の特殊な領域に位置する ▶ 外部情報の利用が重要 ▶ 情報の外部出力と再観察による恩恵 - 例:印刷して見直すことで理解が深まる - 通常のコンピュータには不要な処理 - 9

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5. 新しい計算論的心の理論 予測的脳メカニズムと拡張された心の概念の組み合わせ ▶ DeepMindの動的外部メモリ研究 ▶ システムが内部・外部リソースの利用を学習 - 例:地下鉄路線図を使った問題解決方法の学習 - 学習知識の異なる状況への適用 (パリやトーキョーの地下鉄など) - 環境が問題解決に与える影響の重要性認識 ▶ 10

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6. 将来の展望 大規模計算研究と生物学的知見に基づく認知・計算神経科学の融合 ▶ 多層的な下方向予測の重要性認識 ▶ Hintonのコネクショニズムからのアプローチ - DeepMindの研究へと発展 - 認知:パターン認識よりグラフィックスプログラムに近い ▶ パターン生成方法の学習による認識 - 単なるパターン認識ではない - 11

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7. まとめ 計算論的心の理論は進化し、より複雑で生物学的に妥当なモデルへ ▶ 脳は特殊な計算機器:確率的、身体性を持つ、環境と相互作用 ▶ 将来の研究方向: ▶ i. 大規模AI研究と神経科学の融合 - ii. 多層的予測モデルの重要性 - iii. 生成的アプローチによる認知理解 - この分野の進展が人工知能と認知科学に大きな影響を与える可能性 ▶ 12

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8. 用語まとめ 計算論的心の理論: 心の働きをコンピュータの情報処理になぞらえて説明する理論 ▶ 分散表現: 概念を単一のシンボルではなく、ニューロンの活動パターンで表現する方法 ▶ 確率的符号化: 情報を確率分布として表現する方法 ▶ 拡張された心: 認知過程が脳内だけでなく、環境や道具にも及ぶとする考え ▶ 予測的脳メカニズム: 脳が常に未来の入力を予測し、それに基づいて行動するとする理論 ▶ コネクショニズム: ニューラルネットワークモデルに基づく認知理論 ▶ 13