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freee 株式会社 会計freee が yarn から npm に出戻った本当の理由

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● 1993 年静岡生まれ ● 千葉工業大学大学院情報科学専攻卒 ● 学部 2 年から Web アプリケーションエンジニアとしてアルバイト ● 内定後に長期インターンとして 1 年間人事労務freee の開発に従事 ● 2018 年 に新卒として freee へ入社 ○ 入社後は会計freee の開発に従事 ● ゆるい Apple 信者 ○ 毎年 iPhone 買ってます Ryo Ochiai @_kemuridama 落合 涼 プロダクト開発船団/会計開発船/会計ヨット 2

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freee Developers Advent Calendar 2018 でこんな記事を書きました

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https://developers.freee.co.jp/entry/sayonara-yarn

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5 社内外からいろんな反響がありました

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Advent Calendar では触れなかった yarn をやめた本当の理由

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7 Agenda 1. yarn vs npm 2. 会計freee が yarn から npm に出戻った本当の理由 3. npm に出戻るまでの道のり 4. まとめ

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npm vs yarn 8

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そもそも npm と yarn とは

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10 npm ● Node Package Manager ● Node.js に内包される Official なパッケージマネージャ ● package.json を元に必要なパッケージをインストール

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11 yarn ● Facebook などによって開発 ● package.json 互換の Unofficial なパッケージマネージャ ● チェックサムによるパッケージの整合性チェック ● 会計freee では約 2 年前に npm から yarn に移行

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2019 年において 本当に yarn が必要なのか??

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13 海外では度々議論されている https://engineering.mixmax.com/blog/to-yarn-and-back-again-npm https://iamturns.com/yarn-vs-npm-2018/

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14 yarn を使う 3 つの利点 1. 高速インストール ● 並列インストール ● 効率的なキャッシュ 2. ロックファイル ● yarn.lock による依存パッケージ のバージョン固定化 3. ワークスペース ● monorepo の管理機能がデフォ ルトで実装 npm と比較して yarn が優れている点

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15 1. 高速インストール ● yarn は npm に比べてパッケージインストールが超高速だった ○ yarn の方が 20 倍速いという結果もある ● npm 5 から改良が進められて 6 ではほぼ同等の速度インストール可能に → yarn を使うメリットが少なく…

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16 2. ロックファイル ● package.json では依存パッケージ全てのバージョン指定はできない ○ 環境ごとに異なる依存パッケージがインストールされてしまう ● npm 4 までは shrinkwrap によるバージョン固定化を図っていた ○ npm install とは別に npm shrinkwrap -dev の実行が必要 ○ -dev 付け忘れにより devDependencies の整合性の破壊 ○ npm-shrinkwrap.json のコンフリクト解決が困難

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17 2. ロックファイル ● npm 5 以降は yarn.lock のような package-lock.json が自動生成 ○ npm shrinkwrap のような煩雑性はなくなる → yarn を使うメリットが少なく

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18 3. ワークスペース ● Lerna を使えば npm でも monorepo を簡単に構成できる ○ https://lernajs.io/ ● そもそも会計freee でまともにワークスペースを使っていなかった → yarn を使うメリットがない

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19 会計freee が yarn から npm に出戻った 本当の理由

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複数バージョンの yarn が使いにくい

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21 複数バージョンの yarn が使いにくい ● yarn は基本的にグローバルインストール ○ プロジェクト毎に異なるバージョンの yarn を使いづらい ● freee では 1 人のエンジニアが複数のプロジェクトに関わることがある → しかし複数のプロジェクトで同じバージョンを使ってるとは限らない

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22 yvm ● Yarn Version Manager ○ https://yvm.js.org/docs/overview ● 複数バージョンの yarn を管理できるようになる ● nodenv のように path を置換するものではない ○ yvm exec hogehoge → 複数の yarn を取り扱うための銀の弾丸とは言えなかった

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ビルド環境の複雑化

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24 2 つのビルド環境 ● CircleCI による Docker ベースのビルド ○ テストやコンポーネントカタログを作る ● Jenkins による通常ビルド ○ CDN に配信するためのコードのビルド

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25 ビルド環境の複雑化 ● Docker ベースのビルド ○ Dockerfile の更新、イメージ作成 ※ Node.js の Official Docker Image には yarn が含まれてますが freee では使っていません ● Jenkins ベースのビルド ○ Ansible の更新、サーバへの変更適用 → ビルド環境ごとに yarn をインストールするステップが増える

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エンジニア組織の巨大化

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27 100 人を超えるエンジニア組織 2012 2013 2014 2015 2016 2017 100 50 75 25 会計 会社設立 人事労務 マイナンバー 開業 申告 freeeカード 2018 プロダクト リリース エンジニア数(人) API公開 サービス 分割開始 マイクロ サービス化 基盤投資加 速 チーム制 導入 クラウドERP コンセプト発表

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28 エンジニアが増えると… ● freee のエンジニアはフロントエンドとバックエンドの隔たりがない ○ 人によってフロントエンドスキルにギャップがある ● yarn を使うためには Node.js とは別でセットアップが必要 ○ 導入コストが増える → 公式ツールの npm を使った方が何かと楽

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会計freee は npm に出戻ることを決意

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30 npm に出戻るまでの道のり

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31 npm に出戻るまでの道のり ● 一歩遅れていたツール群をアップデートしつつ yarn を捨てることに 1. Babel 7 の導入 2. Node.js のアップデート 3. さよなら yarn 4. QA テスト & リリース

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32 Babel 7 の導入 ● 会計freee では半年弱 Babel 7 の Beta 版を使用 ● 2018 年の 8 月の終わりに Babel 7 の正式版が出たのでアップデート ● @babel/preset-env の設定にハマり IE で polyfill が漏れる不具合が発生

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33 Node.js のアップデート ● もともと Node.js v8.11.2 を使用 ○ ビルド時のパフォーマンス低下が発生する可能性があった ● 少しでもビルド時間を減らして生産性向上を図りたい → Node.js v10 LTS へアップデート

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34 さよなら yarn ● yarn から npm に戻す deyarn に基づいて npm への出戻り作業を実施 1. yarn.lock の削除 2. node_modules の削除 3. npm install を使ってパッケージを再インストール

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35 QA テスト & リリース ● npm と yarn では依存性解決が少し違う ○ lock ファイルを再生成しているのでパッケージのバージョンがズレる ● synp を使って yarn.lock を package-lock.json に変換しようと試みる → invalid になってしまってうまく行かなかった ● QA テストを通すことで動作を担保することにしました

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開発合宿から 3 ヶ月強かかって 今年の頭に npm への出戻りを完遂

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38 まとめ ● 3 ヶ月ほどかけて会計freee は yarn から npm に出戻りました ● 2019 年現在 freee において yarn より npm の方が優れている ○ npm のインストール速度向上 ○ package-lock.json によるバージョンの固定化 ○ エンジニアが増えたことによる yarn の導入コストの増加 ○ プロジェクトごとに異なる yarn のバージョン

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39 今後について ● 今はまだ社内において npm と yarn が混在している ○ 実際のところ導入コストを下げるという目的は達成できていない → 他のプロジェクトでも脱 yarn をやっていく ● Yarn v2 (Berry) の動向のチェック ○ もしかしたら来年の Advent Calendar で Yarn に出戻りましたという記事を書 いてるかもしれません

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