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自己紹介 ・会社:24‒7/パンセ  ー テクニカルディレクター/シニアエンジニア ・ブログ:Thinking Salad ・マーケティングからコンテンツ制作からUI設計からエン ジニアリングまで割と何でも器用貧乏

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Bracketsの本を出しています 最近アップデートしていなくてアレですが…

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PRECSSというCSSアーキテクチャも作っています OOCSS、SMACSS、BEMをベースにした中規模以上向けCSSアーキテクチャ http://precss.io/ja/

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Adobe XDで始めるAtomic Design Adobe XD ユーザーフェス 2019 (札幌)

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Atomic Designとは

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Atomic Designとは ・Brad Frost氏によって提唱されたデザインシステム構 築、運用の方法論 ・UIを以下の5つの粒度に分解して整理しているのが特徴  ー Atoms(原子)  ー Molecules(分子)  ー Organisms(有機体)  ー Template(テンプレート)  ー Page(ページ) http://atomicdesign.bradfrost.com

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なぜAtomic Designが必要なのか? ・別Atomic Designでなくてもよい ・ただし、いずれにしても「UIをロジカルに整理する」というアプローチはあった方がよい   ー デザイン的な観点でも、それを実装するコード的な観点でも ・現状世界的に1番有名で、受け入れられているのがAtomic Designというだけ

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恐らくUIが整理されていないで あろう、某webサイト

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No content

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左に右向きの矢印、テキストの後に鍵アイコン

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矢印がなぜか右に!?(しかも大きく) 突然現れた角丸ボタン。どうやら「戻る」系は角丸らしい

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どうやら「戻る」系は角丸らしい  そうでもないらしい。左向き矢印は当然左に。 (さっき右向き矢印が左についてなかったっけ…?)

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ボタンオールスターはこんな感じ

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ボタンオールスターもう1つ。同じUIパーツかと思いきや……

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ボタンの位置と余白が全然違う…!

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UIが整理されていないと ・運用を進めれば進めるほど、「同じ機能・異なるパターン」のUIが増えていく  ー ユーザーを戸惑わせる原因になりかねない  ー ユーザーが戸惑えば、当然ページ遷移が上手くいかず、CV率の低下に ・異なるパターンのUIであれば、当然エンジニアも新たに実装しなければならない  ー その工数無駄では?

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Atomic Designの考えるUI整理論 http://atomicdesign.bradfrost.com

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Atoms(原子) ・1番最小単位となるコンポーネント ・どのwebページでも使用され得る、例えばボタンやinput 要素、タイトルなど ・「これ以上分解できないもの」と捉えるとわかりやすい http://atomicdesign.bradfrost.com

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Atomsの例 http://atomicdesign.bradfrost.com

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Molecules(分子) ・Atomsが集まり、グループを形成したもの ・比較的小さめなUIパーツの集合 ・コンポーネントとして機能を持ち始める ・「単一責任原則」に倣い、1つのMoleculesが持つ機能は 1つであるべき http://atomicdesign.bradfrost.com

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Moleculesの例 http://atomicdesign.bradfrost.com

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Organisms(有機体) ・AtomsやMolecules、他のOrganismsの組み合わせか らなる比較的複雑なUIグループ ・Organismsの中に他のOrganismsも含められることが 粒度のポイント ・特定のエリアを大きく形成することが多い http://atomicdesign.bradfrost.com

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Organismsの例 http://atomicdesign.bradfrost.com

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Organismsの例 http://atomicdesign.bradfrost.com

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Templates(テンプレート) ・今まで出てきたもののを組み合わせ、レイアウトを形成し たもの ・実際に使用する画像やテキストなどのコンテンツは考慮せ ず、あくまでレイアウトや構造の定義に留まる http://atomicdesign.bradfrost.com

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Templateの例 http://atomicdesign.bradfrost.com

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Page(ページ) ・前述のテンプレートに、実際に画像やテキストなどのコン テンツなどを適用した形 ・webページとしてそのまま公開しても差し支えないもの http://atomicdesign.bradfrost.com

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Pageの例 http://atomicdesign.bradfrost.com

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Atomic Designに基づいて XDでデザインしてみる

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ファイル構成(全てクラウドドライブ) Atoms.xd Molecules.xd Organisms.xd Templates.xd Pagesはサイトに公開される状態なので、HTMLに任せて必ずしもデザインデータは作らなくて良いと思っています。お好みで。

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なぜファイルを分けるのか? ・全て1つのXDファイルにまとめてしまうと、コンポーネントが増えたときに探すのが大変なため ・どれがAtomsなのか、Moleculesなのかなどを強く意識するため ・Q. いろんなファイル行き来するのめんどくさくない? ・A. 若干めんどくさいです。が、やはり1つのファイルの肥大化は避けたい ・デザインが進んでコンポーネントが増えたときに、後々これが必ず効いてくる

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なぜクラウドドライブなのか? ・クラウドドライブのファイルは、アセットソースとして参照することができます ・アセットソースごとに、コンポーネントのフィルタリングも可能

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アセットソースの指定方法

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コンポーネントのフィルタリング

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しかし粒度が1つ足りない

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Atomsの例 CONFIRM タイトルが入ります

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Atomsよりさらに細かい粒度 ・AtomsがUIの最小単位として、しかしさらに分解すると、デザイン要素として下記が抽出される  ー 色  ー フォントファミリー  ー アイコン   ーー アイコンをAtomsとすると、アイコンを含む単純なボタンすらMoleculesとなるので都合が悪い ・Atomsを「独立した意味のあるUIの最小単位」とすると、下記もAtoms以下の単位となる  ー 本文の標準フォントサイズ  ー (注釈のフォントサイズ)

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ファイル構成(Nucleusは半田が勝手に命名) Atoms.xd Nucleus.xd Molecules.xd Organisms.xd Templates.xd

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あとはどんどん作るだけ (ここからはデモをしながら) https://bit.ly/2IpcgYm

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1. 実際にやってみて思う Atomic Design実施のポイント

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Atomic Designの考えるUI整理論(再掲) http://atomicdesign.bradfrost.com

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じゃあこの順番で作るのか? http://atomicdesign.bradfrost.com

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そんなことはない ・ボタンや見出しから作り、それらを組み合わせてUIグループをつくり、それらを組み合わせてページを作 れる人がいたら尊敬します ・私は結局TemplatesまたはPagesから作成します ・そのプロセスの中で作成したUIを、随時AtomsやMoculesなどの他のファイルに登録して、 TemplatesまたはPagesのファイルに再輸入します ・つまり1ページ作るごとに、他のファイルのコンポーネントが少しずつ増えていくイメージ ・ただし見出しやボタンなどのAtoms系はパターンがあるので、タイミングの良いときにバリエーション を一気に作ってしまってもいいかも

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その他の細かいはなし ・自分はNucleusで管理するコンポーネントは英語で名前 を付けるようにしています  ー そうするとパッと見て区別しやすい  ー Nucleusの粒度のものはTemplates/Pagesで直接 使うべきではないので、その防止も含めて  ー 将来的にアセットパネルのソートとかもくると思うの で、それも見越して

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その他の細かいはなし ・バリエーションはスラッシュで区切って名前を付けるよ うにしています  ー そうするとパッと見て区別しやすい  ー 将来的にアセットパネルのソートとかもくると思うの で、それも見越して

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その他の細かいはなし ・文字スタイルはフォントファミリーの管理にしか使って いないです  ー 意図して大きさも登録してしまうと、それっとつまり Atomsなので、Nucleusで管理するものじゃないなと (つまり大きさとファミリーのセットはAtomsでコンポー ネントとして管理している)  ー ただし本文などの標準テキストは例外として、大きさ と行間もセットにしています   ーー 本文をAtomsとして定義できなくもないです が、それってやりすぎかなと

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その他の細かいはなし ・ちなみにグリッド表示にすると、文字スタイルがプレビ ューされます。便利。

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その他の細かいはなし ・とりあえず1回しか使っていないコンポーネントは、 MoleculesまたはOrganismsとして定義しないこともあ ります ー 特にOrganisms。例えばこのレイアウトなど ー 厳密にやろうとし過ぎると、デザインという本質的な ところ以外で時間を取られてしまうので、ある程度の雑さ は必要です ー ただし再度似たようなコンポーネントを作りそうであ れば、きちんと定義して整理すべき

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その他の細かいはなし ・このページもそう ー フォームなど、ページごとに項目が変わることがほと んどなので、Moleculesの繰り返しであり、いちいち Organismsにはしていないです

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2. コンポーネントを操るうえで 使いこなすべきXDの機能

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基本のショートカット ・Cmd + Y  ー レイヤー表示/非表示 ・Cmd + Shift + Y  ー アセットの表示/非表示 ・Cmd + Shift + K  ー マスターコンポーネントを編集   ーー 別ファイルでも大丈夫!   (アクション名が変わるらしい)

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基本のショートカット ・Cmd + Y  ー レイヤー表示/非表示 ・Cmd + Shift + Y  ー アセットの表示/非表示 ・Cmd + Shift + K  ー マスターコンポーネントを編集   ーー 別ファイルでも大丈夫!   (アクション名が変わるらしい)

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基本のショートカット ・Cmd + Y  ー レイヤー表示/非表示 ・Cmd + Shift + Y  ー アセットの表示/非表示 ・Cmd + Shift + K  ー マスターコンポーネントを編集   ーー 別ファイルでも大丈夫!   (アクション名が変わるらしい)

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コンポーネントのフィルタリング ・とにかくこれは便利なので、駆使しない手はない ・クラウドドライブでファイルを分けているのも、半分こ れが理由です

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コンポーネントのテキストはエリア内テキストがオススメ ・ポイントテキストだと、横幅を変えると拡大縮小してし まう ・エリア内テキストだと、文字が下に流れるため、つまり HTMLの挙動と同じように

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複数の要素を一斉にインスタンスに差し替える ・コンポーネント/インスタンスに他のコンポーネントをド ロップすると、差し替えることができます ・マスターコンポーネントに他のコンポーネントをドロッ プすると、インスタンスが全て差し替わります ・そのため、とりあえずTemplates/Pages内で一時的に コンポーネント/インスタンス化しておくと、後で他のファ イルから再輸入するときの差し替えがかなり楽に

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同じ位置にインスタンスを配置したい場合は、コピペで ・例えばヘッダーなど、常に同じ位置にあって欲しいインスタンスの場合  ー アセットパネルからのドロップではなく、他アートボードからコピペで  ー そうすると、全く同じ位置に配置してくれます(コンポーネント/インスタンスに限らず)

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Atomic Designの真価について

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Atomic Designの真価について ・実際に実装を行う、エンジニアとの共通言語となる ・UIがロジカルに整理される この2点だと考えています。

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しかし共通言語とは しかしながら共通言語とは言っても、実際にAtomic Designで定義した ・Nucleus ・Atoms ・Molecules ・Organisms ・Templates の粒度が、そのままコード設計・実装の粒度になることはまずありません。 それをやろうと思うと、デザイナーとエンジニア間でかなり密なコミュニケーションが必要になり、結局そ れでもどちらかに必ず負担がかかります。無理に完全一致させようとするものではない。

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結局Atomic Designの役割とは 優秀なエンジニアであればあるほど、Atomic Designなどなくても、デザインカンプからコンポーネント の依存関係を読み解き、コードとしてきちんと整理することができます。 そのためAtomic Designの担う役割としては、デザイナーとエンジニアで認識を完全一致させるのではな く、あくまで架け橋になればよい、程度に捉えた方がよいでしょう。 それなりに整理されているだけでエンジニアとしては大助かりなので、無理に一致させようとせず、「デザ インをする上での思考整理」を主目的とするのが、1番無理のない実施方針だと考えています。 それと、整理することはデザインの本質ではないので、目的を見失わないように。

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まとめ

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何も整理しないよりは、 絶対整理した方がいい!

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2019年5月アップデートで、 XDでのデザインシステム構築がかなり 現実的になってきた!

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いきなり大規模案件でやってみても 絶対破綻するので、 小規模からでも始めよう!

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Thank YOU ;) assialiholic atsushi.handa.3