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自己紹介 ・吉田 航(@_w_yoshida) ・大手SIerのインフラエンジニアから情シスに転向 ・情シス/コーポレートエンジニア歴は10年ほど ・ベンチャー企業を中心に活動中(現在4社目) ・インフラから軽い開発までなんでもやります ・Twitterとnoteやってます

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仮想企業:マルコア株式会社 業種 SaaS型MAツール事業 従業員数 約150名 拠点 渋谷本社のみ ※在宅勤務可能 創業 2015年 売上高 50億円 その他 ・売上は3年後に3倍を目指す ・IPOを視野に入れている ・入社は毎月10名ほど ・社内インフラに割ける 予算は売上の1%  = 5000万円/年 ≒ ひとりあた20,000円/月

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従業員構成と使用PC Windows Chromebook Mac 人数 +iPhone/Android

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社内システムコンセプト

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社内システムコンセプト 1.コスパの良いシステム構成 2.オンプレは持たない 3.情シスで内製はしない

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1.コスパの良いシステム構成 ・このフェーズではセキュリティリスクよりも経営リスクの方が高い ・安定した黒字化が最優先 = 社内システムにそこまでコストはかけられない ・とはいえIPOの監査に耐えうるレベルのセキュリティや統制は欲しい ・業務効率化よりもリスク対応への投資が優先 不正アクセス 内部犯行 マルウェア 内部統制不備 IdP (MFA) MDM (脆弱性対応) ワークフロー EDR 脆弱性診断 CASB DLP 勤怠管理 リスク 対策 Next Phase プロダクト管轄

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2.オンプレは持たない ・オフィス移転が頻繁に起きるフェーズなので身軽にしておきたい ・ロケーションに依存しない働き方を提供したい ・可用性を考慮したオンプレを構築するTCOよりSaaSの方が安価 DC利用料 初期費用 (SV・NW・構築費) 運用費用 (保守、人件費) SaaS利用料 コスト IaaS利用料 運用費用 (人件費) 自社オンプレ IaaSオンプレ 初期費用 (構築費) SaaS

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3.情シスで内製はしない ・まだまだ会社の知名度も訴求力も低いため、優秀な人材は採用できない ・属人化を避け、コードが書けない人材でも回るようにしておく ・情シス2名も抱えられないので、しばらくはひとり情シスの覚悟が必要 ・CRM/SFAはプロダクトと密接なので、プロダクトエンジニア管轄で内製 プロダクト CRM/SFA 内部管理 ツール 社内ツール群 PC 社内インフラ プロダクトチーム:50名 (24×365体制) 情シス:1名 (ベストエフォート)

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バックオフィス 全社横断 プロダクト 財務会計 管理会計 経費精算 労務 給与 採用 勤怠 評価 法務 購買 販売管理 SFA フロントオフィス CRM CS コード管理 チケット管理 インフラ 経理 人事 法務/総務 システム構成図 内製ツール グループウェア コミュニケーション IdP MDM/EMM ストレージ ナレッジ ヘルプデスク エンドポイント セキュリティ ワークフロー

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予算表 ※単価・機能は2020年7月時点の独自調査のため、実際と異なる場合があります ※年額のライセンスは 12ヶ月按分した金額で月額を算出 ※$1=¥110で換算

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全社合計:¥1,129,080/月 一人あたり:¥7,527/月 ※定価で算出しているので、実際の費用はさらに1~2割ほど下がります

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主な選定ポイント

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グループウェア:G Suite ・G Suite or M365は最初に悩むポイント ・G Suiteはエンドポイント領域を割り切っているので安価 ・エンタープライズ級のセキュリティやデバイス管理が将来的に必要で  IT投資にも積極的なら最初からM365 E5 ・G Suite+EMS E5もコスパは良い

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IdP:G Suite ・G SuiteをIdPとし、G SuiteアカウントのMFAを必須にしておく ・G Suite BasicでもSAML使用可能 ・SaaS側は上位プランでないとSAML非対応のものが多い  →SAML対応のために費用が跳ね上がってしまう ・SAML非対応のSaaSはGoogle認証で擬似的にIdP連携する ・SSOやプロビジョニングが必要になってきたらOktaなどのIDaaSを検討

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バックオフィス 全社横断 プロダクト 財務会計 管理会計 経費精算 労務 給与 採用 勤怠 評価 法務 購買 販売管理 SFA フロントオフィス CRM CS コード管理 チケット管理 インフラ 経理 人事 法務/総務 認証構成 内製ツール グループウェア コミュニケーション IdP MDM/EMM ストレージ ナレッジ ヘルプデスク エンドポイント セキュリティ ワークフロー SAML Google認証

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MDM:Meraki Systems Manager ・IntuneはWindows特化にAppleに弱く、JamfはApple特化でWindowsに弱い ・JamfはJump Startの80万が捻出できない ・Meraki SMはWindows/macOS/iOS/Androidに広く浅く対応して安価  ※MacはDEP/VPP/カスタム構成プロファイルにも対応  ※Windowsは設定できることがほとんどないので要注意 ・インベントリ収集、リモートワイプ用途だけなら十分使える ・MacメインでWindows少数の環境でMDMひとつで済ませたいならコスパ良 ・無線LANもMerakiなら802.1X認証の連携も可能

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エンドポイントセキュリティ:CB Defense ・従来型アンチウイルスでは未知の脅威に対応できないのでNGAV or EDR ・Crowd Strikeはライセンス数が少ないと値引率が低いので苦しい ・MDATPは高価かつMac対応がまだ弱い ・CB Defenseも検知力、使い勝手はそれなりに良い  ・VMwareに買収されたので将来性は少し不安

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ワークフロー:ジョブカン ・Google認証に対応したSaaSから選定 ・rakumoとジョブカンが候補 ・rakumoは単一フリーワード検索しかできず、監査に耐えれない ・ジョブカンも満点ではないがワークフローとしての最低要件は満たしている  ・所属インポート、申請エクスポート、条件分岐経路、代理承認、引用申請、 etc… ・経費精算を入れると倍額になるので、ワークフロー単体でOK  ・通常のワークフローで経費精算も運用

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まとめ ・セキュリティリスクよりも経営リスクの方が大きいフェーズ  ・セキュリティに過剰投資して赤字になっては元も子もない  ・DLPやCASBなど高価な製品を入れるのはまだ厳しい(運用も回らない) ・G Suiteをフル活用して全体コストを抑える ・プロビジョニング、キッティングなどの自動化にまだコストは割けない  ・入退社頻度もまだ低いのでROIが低い  ・できる範囲でスクリプト書いて効率化する

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まとめ ・中長期的な経営方針や人員計画を把握しておくことが大切  ・人が一気に増えそうであれば早めに効率化、自動化を検討  ・IdP、MDMは後から移行が大変なので最初から良いものを入れてもいいかも  ・M365は300ライセンスを超えるとE3が必要がありコストが跳ね上がるので注意 ・経営に寄り添ったシステム選定を!  ・優先して投資すべき機能はなにか  ・優先して対応すべきリスクはなにか  ・社内システムにどこまで投資できるか