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@syuu1228

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資料 ž  Software Developers Manual http://download.intel.com/products/ processor/manual/325462.pdf ž  ICH10 Datasheet http://www.intel.com/assets/pdf/ datasheet/319973.pdf

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おさらい ž  このあたりは「はじめて読む486」を読 んでれば分かってるはず ž  わかってない人がこの場にいるとも思え ないんだけれども…

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割り込みとは ž  現在CPU上で実行しているプログラムを停止 して別の処理を実行する為にCPUが持つ機能 —  UNIX上のアプリケーションにおける「シグナル」に 近い概念 ž  二種類ある —  ハードウェア割り込み ○  ハードウェアからCPUへ「キーボード押されたよ」な どのメッセージを通知するのに使う ○  単に「割り込み」と呼ばれる事もある —  ソフトウェア割り込み ○  ソフトウェアから割り込みを起こせる ○  モード切替に利用される→システムコールに使う

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ハードウェア割り込みの例 ž  ATAコントローラ —  HDDへのread/writeリクエストの完了通知 ž  シリアルポート・NIC —  受信通知 —  送信完了通知 ž  タイマー —  一定期間毎に割り込み —  指定期間後に割り込み

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ATA受信割り込みの例 1.  ユーザプログラムがファイルに対して writeシステムコールを実行 2.  ファイルシステムがバッファキャッシュ へ書き込み(ダーティフラグON) 3.  バッファキャッシュがHDDへライトバッ ク 4.  ATAドライバがATAコントローラへ書き込 み要求を送信 5.  書き込みが終了したらバッファキャッ シュのダーティフラグをクリア

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書き込みが終了したら? 割り込みを使わない場合 ž  ATAコントローラのステータスレジスタを確認 し続ければ完了したかどうか分かる send_write_request(buffer); while(read_ata_status() & ATA_STATUS_BUSY) ; buffer.is_dirty = 0; ž  busy waitになってしまう→CPUの無駄

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書き込みが終了したら? 割り込みを使う場合 ž  送信完了時の処理は、割り込み着信時に実行すれ ばいい 書き込み処理: send_write_request(buffer); sleep(buffer); 割り込みハンドラ: buffer = find_buffer(ata_reg); buffer.is_dirty = 0; wakeup(buffer); ž  busy waitしていない分のCPU時間を別の処 理(別のプロセスを実行など)にまわせる ž  sleep()/wakeup()で待ち合わせ

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割り込みハンドラ ž  割り込みを受けた時にCPUが実行するプロ グラム(関数呼び出しを伴わない関数のよ うなもの) ž  割り込みハンドラ実行時にCPUがレジスタ の状態をスタックへ退避 ž  ハードウェア割り込みの場合は、デバイス のレジスタを読んで割り込みの処理に応じ た最小限の処理を実行 ž  割り込みハンドラから終了用の命令を実行 して、スタックから割り込み前の状態へ復 帰

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プリエンプティブマルチタスクと割 り込み ž  プリエンプティブマルチタスク: カーネルがプロセスへのCPUの割り当 て時間を管理、タイマーを使ってアプリ ケーションを一定時間毎に切り替え ž  プロセスが無限ループなどに陥りカーネ ルへ制御を渡さない場合でもタイマー割 り込みにより中断され、割り当て時間を 使い切ったら他のプロセスへ切り替えら れる ž  割り込みがないと実現出来ない

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例外 ž  割り込みとは別の概念だが、実装上の共 通点は多いためx86では共通の仕組みで 取り扱われている —  アプリケーション上の例外とほぼ意味は同 じだが、CPU上の機能 ž  例外の例: ゼロ除算、無効な命令、ページフォール ト、一般保護例外、ブレークポイント

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割り込み/例外ベクタ ž  0-255のベクタ番号が割り込みと例外に 割り当てられる —  例外は要因毎に0-19の固定された値 —  ソフト割り込みは0-255へ割り込み可 —  ハードウェア割り込みはLAPIC経由の場合 16-255へ割り込み可 ž  OSはIDT(Interrupt Descriptor Table) を作成し、CPUへアドレスを設定

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IDT(Interrupt Descriptor Table)と IDTR ž  各ベクタの割り込みハンドラの情報を持 つGate Descriptorが並んでいるメモリ上 のテーブル ž  テーブルの先頭アドレスとLimit値 (テーブルのサイズ、255未満のGate数 に対応)をCPUのIDTRに書き込む事に より設定(IDTRを設定しない限り、 CPUは割り込み時に何をしたらいいか 分からない)

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Gate Descriptor ž  前述の「割込みハンドラ」のアドレスを持つ 構造体 ž  単なる関数へのポインタではなくて、セグメ ントの設定とか権限(Ring)とか16 bit/32 bit のモード選択とか、幾つかのパラメータを含 む ž  Task gate, Interrupt gate, Trap gateの三種類あ る —  Task gateはHWのマルチタスク機能でハンドリング する方法で今は使われていない —  Interrupt gateとTrap gateは普通に割り込みハンドラ へジャンプする方法 EFLAGS.IFフラグをクリアするか否かが違い

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IDT,IDTR,Gate descriptorの関係 Base address Limit 0 15 16 47 IDTR register IDT Gate for interrupt 0 Gate for interrupt 1 Gate for interrupt 2 Gate for interrupt 3 … Gate for interrupt 255 offset 15..0 segment selector rese rved DPL /P offset 31..16 Interrupt Gate

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xv6のIDT周りを見てみる ž  main.c:main() —  tvinit(); 割り込みベクタの設定 —  mpmain(); ○  idtinit(); IDTRの設定 ž  trap.c:tvinit() —  for(0..255) SETGATE(idt[i] … vectors[i] …) idt[i]にvectors[i]を割り込みハンドラとしたgate descriptorを設定 —  システムコールだけDPL_USERに ž  trap.c:idtinit() —  x86.h:lidt() ○  asm volatile(“lidt (%0)” :: “r” (pd)); LIDT命令でidtのアド レスを設定

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xv6の割り込み・例外ハンドラ ž  vectors.pl→vectors.S —  vectorsはvector0..vector255を指すポインタが入っている テーブルで、vectorNはalltrapsを呼んでいる ž  trapasm.S —  全レジスタpush —  pushl %esp —  call trap —  全レジスタpop —  iret (割り込みからの復帰) ž  trap.c:trap() —  trapasm.Sから引数として渡されたスタックポインタを構 造体として参照 —  trapnoがシステムコールの場合・タイマ/IDE/キーボー ド/シリアル割り込みの場合についてそれぞれのハンド ル関数をコールしている

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CPU内部の割り込みの話おわり ž  実際には、割り込みはCPUの外から やってくる ž  これを受け取ってどうCPUへ割り込み をかけるかを司る、仲介役を果たす「割 り込みコントローラ」が必要 ž  割り込みコントローラのずっと向こう側 に、実際に割り込みを送っているデバイ スが居る ž  さぁ、CPUの向こう側の話をしよう

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Advanced Programmable Interrupt Controller (APIC) ž  オリジナルのx86アーキテクチャでは割 り込みコントローラとしてPIC(8259)を 使っていたが、P6以降のx86アーキテク チャではAPICへ移行(PICも未だ存在し ていて使える) ž  CPU毎に存在しCPUに内蔵されている Local APICと、ICH(Southbridge)に 内蔵されているI/O APICから構成されて いる

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Local APICとI/O APIC ž  Local APIC ローカル割り込みのベクタ番号設定、割 り込みベクタ番号通知、EOIなど一般的 な割り込みコントローラの役割 ž  I/O APIC どの外部割り込みをどのLocal APICに振 るか等を決める役割

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Local APICとI/O APIC CPU Local APIC CPU Local APIC CPU Local APIC ICH(South bridge) IOAPIC External Interrupts 8259A PIC LINT0 LINT1 NMI IPI Timer

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Local APIC内のコンポーネント なにやら割り込みコントローラ以外にも幾 つか機能が乗っている ž  タイマー カーネルのtickに使うことが多い ž  温度センサ ž  パフォーマンスモニタリングカウンタ

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APIC ID ž  Local APIC ID Registerから取得可 ž  APIC IDでプロセッサを一意に特定 ž  このIDでI/O APICから割り込み先CPUを 指定

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Local Vector Table ž  ローカル割り込みのベクタ番号を設定 —  CMCI(Corrected Machine Check Interrupt) —  Timer —  Thermal Monitor —  Performance Counter —  LINT0/1 レガシーデバイスとか —  Error ž  外部割り込みはここで設定しない

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割り込みの受信 ž  IRR: Interrupt Request Register CPUが未処理の割り込みベクタ番号にビッ トが立っている ž  ISR: In Service Register 次に割り込む候補 EOIへ書き込まれた時にIRR→ISRへビット が更新される ž  EOI: End Of Interrupt Register 割り込みハンドラ終了通知として0を書き 込む(例外有り)

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I/O APIC (ICH10の場合) ž  24本の割り込みをサポート ž  Redirection Tableで割り込み先Local APICを決定(24エントリのテーブル)

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Redirection Table ž  各IRQの宛先APIC ID, Vectorなどを設定 —  Destination 宛先APIC ID —  Mask 割り込みマスク —  Trigger Mode Edge/Level —  Remote IRR —  Interrupt Input Pin Polarity —  Delivery Status Idle/Pending —  Destination Mode Physical/Logical —  Delivery Mode Fixed/Lowest… —  Vector Vector no of interrupt

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Destination Mode ž  Physical Destination Mode —  LAPIC上のLocal APIC ID Registerの値を指 定する事によりCPUを一意に特定 ž  Logical Destination Mode —  LAPIC上のLogical Destination Registerと Destination Format Registerの値とAddress されたIDがマッチするかどうかで判別

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Logical Destination Mode ž  Destination Format Registerでモード選択 ž  flat model —  各LAPIC毎にLDRへ異なるbitを立て、宛先アド レスには複数のbitを立てる事で複数のCPUのを 選択可能 —  アドレスが8bitしか無いので対応CPU数は8まで ž  cluster model —  LDRと宛先アドレスを4bitで分割、双方cluster IDとlogical IDを持つ —  使い方がよくわからない…8より多いCPUをサ ポートする為の階層化?

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Delivery Mode ž  Fixed Destinationに指定された全てのCPUへ 割り込み ž  Lowest priority DestinationのうちLAPICのTask Priority Registerの値が最も小さいCPUへ割り込 み →TPRを制御する事で動的に割り込み先 を変更可能

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xv6のLAPIC周りを見てみる ž  main.c:main() —  lapicinit(); LAPICを初期化 ž  lapic.c:lapicinit() —  LAPIC有効化 —  タイマー初期化 —  LINT0/LINT1、パフォーマンスカウンタ割り 込み無効化 —  エラー割り込みのベクタ番号設定 —  エラーステータスレジスタクリア —  割り込みクリア

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割り込みハンドラ周りのLAPIC ž  trap.c:trap() —  lapiceoi(); EOIレジスタへ0書き込み ž  lapic.c:lapiceoi()

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xv6のI/O APIC周り ž  main.c:main() —  ioapicinit(); —  ideinit(); ž  ioapic.c:ioapicinit() —  全ての割り込みを無効に ž  ide.c:ideinit() —  ioapicenable(IRQ_IDE, ncpu – 1); IRQ_IDEをAPIC ID=ncpu -1へ送るよう設定 —  質問:Delivery ModeとDestination Modeは 何?

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xv6のI/O APIC周り ž  console.c:consoleinit() ioapicenable(IRQ_KBD, 0) ž  uart.c:uartinit() ioapicenable(IRQ_COM1, 0)

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PIC(8259) ž  IOAPICと同様ICHに存在 IOAPIC(又はcpu0のLocal APIC)へ接続 されている ž  「古い割り込みコントローラ」のように紹 介したが、レガシデバイスが接続されてい るのでそのようなデバイスを使う場合は PICを使う必要がある ž  xv6ではレガシデバイスを使う為、 PIC→IOAPICの順で割り込みの設定を行 なっている —  ideinit(),consoleinit(),uartinit()で呼んでいる ioapicenable()の手前にあるpicenable()

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レガシデバイス ž  以下の様なデバイス —  PS/2 キーボード/マウス —  IDE —  COM0, COM1 —  Floppy —  etc…

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MSI: Message Signal Interrupt MSI-X: MSI Extended Interrupt ž  物理的な割り込み線を用いず、(多分、 PCIの?)メッセージング機構により割 り込みを通知する仕組み ž  PCI Expressからサポート必須 ž  IO APICを経由しない(!) ž  →割り込み先どうやって決めんの? —  PCI Configuration Spaceに設定

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MSIの割り込み設定 ž  詳細はここをみてね ž  IOAPICと同じく、Logical/Physicalの Destination Mode、Fixed/Lowestなどの Delivery modeが存在

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x2apic ž  拡張されたAPIC ž  何が拡張されたか? —  色々あるはずだが、少なくともLocal APIC IDやDestinationのフィールド長が拡張され ている —  より沢山のCPUをサポート出来るように なった