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構造主義的キーボード史観 2019 → 2020 Biacco42

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構造主義とは? おもにフランスにおいて,現代科学の多く の分野に共通する思想運動の一般的傾 向。人文現象を全体的,有機的な構造と の関連でとらえ,かつ模型 (モデル) を援 用してこの構造の解明を目指し,歴史的 ,時間的な経過を記述するよりも,それら の生起を可能ならしめる構造もしくはシス テムの分析を重んじた。 ― ブリタニカ国際大百科事典 クロード・レヴィ=ストロース (仏 1908-2009)

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自作キーボードを支 える構造 中国等の高度で高効率な生産シ ステムの拡充・少量多品種製造の 一般化による生産の民主化 インターネットによるオンラインコ ミュニティの一般化 キーボード誕生から 50 年を経て 嗜好品としての対象に 生産技術 (コスト減・高度化) コミュニティ (探求の支援) 嗜好品化

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類似の構造を 見出す ・腕時計 ・万年筆 ・自動車 ・革製品 嗜好品化 生産技術 (コスト減・高度化) コミュニティ (探求の支援)

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時計のたどった 歴史 時間を知るという機能性がもたら す合理的な利益のための装置 (農業 → 社会の効率化) から、 生産技術の発展によりコモディティ 化が進行、スマホ等のデバイスに より必然性が失われる中 嗜好品と して高級化・芸術作品化 する方向 と、ガジェットとして新規性を求める ・カジュアルファッション としての方 向に分化した。 高級化・芸術化 機能性 新規性・低価格化

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アナロジーによる分 析 時計で見られたとおり、もともとは 機能性を求めて生産され (大規模 ・高価)、後にコモディティ化しメンブ レンキーボードがすべてを駆逐し たと思われたが、スマホの台頭に より必然性が低減し、近年に見ら れる Custom Keyboard などの高 級化・芸術作品化と、分割・列 Staggered などの新規性・(相対的 に)低価格路線・キーキャップ等の カジュアルファッション に分化した。 高級化・芸術化 機能性 新規性・低価格化 https://keycult.io/collections/june-2019-release/products/no-1-rev-1

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若者のキーボード離 れ? 自動車は「若者の車離れ」と言わ れるように、現代では所有のアイコ ンとしての存在感を失いつつある。 キーボードも同じだろうか?

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アナロジーからの生 存戦略 すでにキーボードは 実用製品とし てのニーズのフェーズは超えてし まったかもしれない。 時計や自動車がたどった、今たど りつつある歴史を、キーボードも急 速に追い上げつつある。 モータースポーツにおける自動車 やステータスとしての腕時計のよう に、プロの道具・嗜好品や記号 とし て、個人化こそが価値の中心に なってくる? 多機能化 プラットフォーム化 ウェアラブル 高級路線多様化 パーツチューン 痛車 競技スポーツの道具 (それを個人が入手) シェアリング エコノミー

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アジアで私を怖れさせたものは、アジアが先行して示している、われ われの未来の姿であった。 ― 悲しき熱帯 (レヴィ・ストロース)

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2019 もありがとうございました。 2020 もよいキーボードを!