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小さく始めて、大きく育てる 「情報発信」 〜中長期的な組織戦略と組 織開発を通して学んだエッ センス〜 2025.01.18 技術広報の最前線 - 知見共有と課題解 決への道 -

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id: luccafort Joined: January 2020 Tech PR (since 2021) Lived in: KYOTO ● Kyoto.rb/Kyoto.go運営 メンバー ● Go Conference 運営メ ンバー

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主要サービス・部門 ・利用者が1,664万人を突破! ・家計簿アプリ・資産管理アプリの  認知率・利用率・利用経験率 No.1※ 金融機関を中心とした クライアントとサービスを共創する部門 地域金融機関を通じて 地域の中小企業に提供している、 業務DXサービス『Mikatano』や、 バンキングアプリ『BANK APP』 などを提供 金融機関口座やクレジットカードなどを 連携するだけで、自動でお金の管理が できる、家計簿・資産管理アプリ ・課金顧客数が35万を突破! ・クラウド会計ソフト満足度No.1※1 ・SaaS給与管理シェアNo.1※2 経理財務、人事労務や法務といった 手間のかかる作業を効率化する SaaS型プラットフォームサービス ※調査委託先:株式会社マクロミル 回答者:20代〜60代の家計簿アプリ利用者1,034名/20代〜60代の資産管理アプ リ利用者1,035名 調査期間:2023年9月11日〜2023年9月12日 調査手法:インターネットリサーチ ※1 2021年3月自社調べ ※2 出典:ITR「ITR Market View:人事・給与・就業管理市場2023」SaaS型給与管理市場 ベンダー別売上金額推移お よびシェア(2021〜2022年度予測) 法人向け 個人向け 金融機関向け

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売上構成 出典元 : Business Overview for Investors(2025年1⽉) ※ グラフならびに売上⾼構成⽐率は、2024年11⽉期累計売上⾼(その他売上を除く)に占める内訳

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開発拠点紹介 ベトナム(ハノイ・ホーチミン) インド 東京 (田町) 名古屋 福岡 関西 (大阪・京都) 8 開発拠点  拠点ごとにサービスを開発。最近ではベトナム拠点との共同開発も増えてきています。 POINT

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オフィス風景(各拠点オフィス) 福岡 名古屋 関西 (京都・大阪) ベトナム (ホーチミン・ハノイ)

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It's me! オフィスから歩いて 5分で鴨川なので遊 びに来てね!

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マネーフォワードにおけるDevRelと技術広報の違い
 背景・目的 内部施策 外部施策 開発業務 DevRel 自社イベント、ブログ 企画、ワークショップ など ブログ、イベント、カン ファレンス、寄稿など あり 技術広報 自社イベント、ブログ 企画、ワークショップ など ブログ、イベント、カン ファレンス、寄稿など なし マネーフォワードでは技術広報は自社サービスの APIなどのフィードバックを職種の責務として持たない方 針を取った

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情報発信とは?
 ● 外部向け
 ○ ブログ、イベント登壇、カンファレンス登壇、寄稿、 Podcast出演、OSS活動など
 ● 内部向け
 ○ 社内ドキュメント、社内勉強会、社内横断の技術コミュニティ、ワークショップなど 


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情報発信の何が難し いのか?

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情報発信の何が難しいのか?
 ● 技術広報やDevRelのような役割に求められるものは多い
 ○ エンジニアの職責が年々広がっており、比例して技術広報に求められる知 識やスキルも増加する傾向がある 
 https://roadmap.sh/devrel

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情報発信の何が難しいのか?
 ● 情報を発信し続けるための「体力」と「筋力」が必要になる
 ○ 体力→発信し続ける人の数や発信数そのもの 
 ○ 筋力→技術的知見を発見する能力 
 ● 技術広報やDevRelのスキル全てを包括的に持っている人は全世界レベルで見ても ほぼいない


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マネーフォワードの「技術広報」はなぜ生まれ たか?
 ● エンジニア採用の難しさは年々激化の一 途を辿っている
 ○ エンジニアのレベルと採用倍率は比例する 
 最も採用確率が高いエンジニア採用のポイント「セミミドルエンジニア」について より引用

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マネーフォワードの「技術広報」はなぜ生まれたか?
 ● エンジニア組織の成長、強化に対する中長期的な投資戦略が必要だった
 ○ よいエンジニアを採用できたらおしまい ……にはならない
 ■ よいエンジニアを採用して、活躍してもらう 
 ■ 良いサイクルを継続できる環境を整備し、変化し続ける必要がある 
 ● 個人が成長できる文化や環境を整えるのがマネーフォワードの技術広報のミッション
 ○ 外部要因や採用計画の変更など不確実性の高い要因に大きな影響を受ける 
 ○ 個人も環境も目まぐるしく変わり続けるが、変化に柔軟に対応できるように準備し続ける必要がある 


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変化に強い組織になるために何が大事か?
 ● 「いつまで」に「なに」に投資を行うか「分ける」
 ● 「分ける」ためには自分たちの組織の強いところ、弱いところ、もっと伸ばしたいところな ど「自己理解の深化」が重要になる
 ● 自分(や組織)のことを深く客観的に理解することは難しい
 ○ 個人の見解バイアスや見えている視点や視座、背景など様々な変数が大きく影響する 


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「分ける」ことは「分かる」こと
 ● 何かを「分ける」ためには自分と他者の違いがわからないとできない


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クイズタイム

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クイズタイム 雅楽の基本練習「唱歌」龍笛の譜面 より引用

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「分ける」ことは「分かる」こと
 ● 何かを「分ける」ためには自分と他者の違いがわからないとできない
 ● 自組織のこれまで(過去)とこれから(未来)、そして現状(現在)を「分かる」必要がある
 ○ それと同時に他社のこれまでと現状も知らなければ違いを見いだせない 
 ○ 他社のこれから(未来)は観測できないことが多いので、推測するしかない 
 ○ 決算報告書を読むと推測しやすくなるのでオススメ 


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「分ける」ことは「理解する」こと
 ● 「分けられない」ものは「理解できていない」
 ○ 基本的には「理解の深化」が不足している 
 ■ インプットの情報源に偏りがある 
 ■ インプットから事実を読み解き、洞察する 
 解像度を上げる 🔬より引用

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触媒としての「情報発 信」

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“それ自身は変化しないが
 化学変化を促す物質”
 触媒とは?

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組織における触媒は「ヒト」
 ● 期待した変化が生まれないとき「ヒト」が悪いのだろうか?
 ○ NO
 ○ 「ヒト」は外部環境に大きく影響される 
 ○ 組織設計、環境設計、コミュニケーション設計、情報設計などなど様々な影響が組織の中にはある。 
 ○ 「ヒト」を思い通りに変えることは難しいが、環境は変えることができる(諸説あります) 
 ■ 例えばトップダウンで命令するとかね 


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組織における触媒は「ヒト」
 ● 言われたことをやる組織になってしまうと柔軟さがなくなる
 ○ ネガティブな出来事が発生したときに他責にしやすい構造が生まれる 
 ○ コミュニケーションの方向性が双方向になっていないと、視野や視座が偏ってしまう 
 ○ 視野や視座が偏ると外部環境の変化に弱い組織になる 


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「ヒト」+「モノ」+「ハコ」 = 「コト」にしていく DeNA南場智子さんの講演「ことに向かう力」がいい話だった より引用

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楽しさには継続性と再現性がある。
 ● 目の前の「コト」に熱中している状態が一番楽しい
 ○ 制度が「ある」、ヒトが「いる」、場所が「ある」だけでは「コト」にはならない 
 ● 情報やヒト、興味関心などさまざまなコンテクストを流動させることで始めて「コト」が生 き始める


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増幅としての「情報発 信」

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「不安」と「行動」の矛盾
 ● ヒトは知らないことに不安や恐怖を感じる
 ○ 不安は行動しないと減らない 
 ○ 行動するには不安が低くないとできない 
 ○ 行動と不安はコインの裏表 
 ● Fail Fast, Fail Often
 ○ 計画的偶発性理論の提唱者の 1人、クランボルツ教授の著書。 
 ■ (なお未読です、すみません ……)
 ○ 行動を促すためには「信頼」が必要 
 ● 「信頼」を生むためには「実績」が必要
 ○ 失敗から学び、活かしている人に言われると「やってみようかな?」と思ってくれる可能性が高まる 
 「案ずるより産むが易し」は難しい https://www.amazon.co.jp/dp/0399166254

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情報発信に限るなら
 ● ブログを書いたことがある
 ● 登壇したことがある
 ● (書籍などに)寄稿したことがある
 などのこれまでの過去の経験が主な対象となる
 
 
 技術広報における「実績」とは?

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経験者しか実績は積めないのか?
 ● 「実績」を生み出すためには「継続」が必要
 ○ 「不安→行動→信頼→実績→継続→不安(以下略)」のサイクル 
 ● やり抜く力(GRIT)は再現性がある
 ○ 再現性があると信頼や安心が生まれる 
 実績がない時は、「継続」が「信頼」になる より引用

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Authentic Leadershipという考え方
 ● 自分なりの価値観をもとに、倫理観、誠実さをもって一歩踏み 出す
 ○ 「情報発信」はAuthentic Leadershipの型が比較的近いように思う 
 ○ 「情報共有」「自己開示」「傾聴」 etc……
 ○ 技術広報はサイクルの循環を設計し、組織としてのモメンタム(勢い)を実 装する
 https://www.amazon.co.jp/dp/ 4478104980

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活性としての「情報発 信」

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エネルギーが高い状態にあり、化 学反応が起こりやすくなった状態
 活性とは?

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やっていき、のっていき / The Secret of Leadership and Followership より引用

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● やっていき → Leadership
 ● のっていき → Followership
 ● バーン! → ???
 


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● やっていき → Leadership
 ● のっていき → Followership
 ● 推していき → Empowership ※ 造語
 


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Ownershipは「納得感」から生まれる
 ● 納得感は実体験のふりかえりから生まれる
 ○ 行動がなければ納得感を得ることは難しい 
 ● 小さく始めて、その姿を周りに見せる
 ○ 行動せずに変化を促すことはできない 
 ○ 人を動かすにはまず自分への「納得感」が必要 
 組織の「最大化」を図る活性化 https://www.amazon.co.jp/dp/4297119978

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発見としての「情報発 信」

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WHOLENESS, REPAIRING, AND TO HAVE FUN: 全体性、修復、そして楽しむこと より引用

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「楽しさ」を説明できますか?
 ● 「つまらない」には再現性がある
 ○ 面白いの対義語は「わからない」 


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日清 カップヌードル CM 「グローバリゼーション」篇 より引用

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「楽しさ」を説明できますか?
 ● 「つまらない」には再現性がある
 ○ 面白いの対義語は「わからない」 
 ● 共感を元に「Ownership(自分ごと化)」させている
 ○ 「英語化します!」「なにいってるんだあの社長?」で共感しやすいテーマを共有 
 ○ 「(英語が)通じてません!」で実体験とリンク、記憶の再起 
 ● ほんの少しの意外性を混ぜる
 ○ 「英検3級なめんな!」が起承転結の「転」になっている 
 ○ 飲食のCMで「英語化」をテーマにする「わからない」を「腹が減っては戦ができぬ」でリンクさせている 
 日清 カップヌードル CM 「グローバリゼーション」篇は なにが面白かったか?

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人は「できそう」なことしか「やりたい」とは思えない
 ● 学習と想像力によってその探索範囲を拡げないと手詰まりになる
 ○ 安斎勇樹の冒険のヒント #240 結局のところ「やりたいこと」はどうやったら見つかるのか? より引用 ○ 日清のCMは「これくらいなら俺でもできる!」と「英語が伝わらない」のバランスが絶妙な面白さを演出 していた


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面白さや楽しさに遭遇するには発見の偶発性が必要になる
 ● アイディアは常に自分たちの中にある
 ○ 何故なら自分がどう感じるかが主体なので「どこに面白さを感じる か」「なにが楽しいか」は自分にしか見つけられない 
 ● 偶発性がある ≠ 運に身を委ねる
 ○ 偶発性に遭遇する確率は高められる 
 ○ さまざまな意見や観点、考え方に触れること、そこで感じたことをふ りかえる
 https://www.amazon.co.jp/dp/B08CZLBDB4

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「情報発信」が組織にとってキーポイントになる
 ● 「似ている」をフィルターしていくと「分ける」ことができる
 ○ 分けていくと情報が足りなくなる 
 ○ 違ったインプットを得る必要があるため、「外海」に出なくてはい けない
 ● 面白い仕事、楽しい組織になるためには「外海」に飛び 出す必要がある
 ○ というわけでGopheDay Taiwan 2024 に登壇しました →
 ○ 海外カンファレンスに登壇しよ?というための実績作り 
 ■ ちゃんとプロポーザル出して通りました 


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まとめ

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● 触媒には「コト」が必要。
 ○ コトを生み出す環境を作れるとうまく「変化を生み出す」ことができる 
 ● 増幅には「モメンタム(勢い)」が必要。
 ○ モメンタムを生み出す設計を行い、実践と経験を通して組織に実装していく 
 ● 活性化には「Ownership(当事者意識)」が必要。
 ○ Ownershipは納得感から生まれ、納得感は経験をふりかえることで生まれる 
 ● 「楽しさ」には「似ている」を「分ける」が必要。
 ○ 「分ける」過程でインプットが足りなくなる。インプットを再収集するためにはアウトプットが必要になる 


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技術をアウトプットするところに技術は集まる 「技術をアウトプットするところに技術は集まる」ソウゾウ エキスパートチームの役割 より引用

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● 「投資とはルールに則って同じやり方を継続すること」
 ○ その場その場で判断するのは「投資」ではなく「投機」や「博打」 
 ● 継続的に行うためにはさまざまなことが必要になってくる。
 ○ 関わる人や要素が増えればその分複雑性は増し、課題も難しくなる 
 ● 「楽しさ」を持ち続けることが組織や個人の成長につながり、採用や退職率の低下、新 たなビジネス価値の創出を生み出す


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「楽しさ」 を見つける旅にでよう。 「分ける」 ことから始めよう。

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