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なじむ Redmine Redmine を組織へ 「なじませる」ための施策と課題 @akabekobeko redmine.tokyo 14 - 2018/5/26 1

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自己紹介 プログラマー。Web 、モバイル、デスクトップまで なんでもやります。 Redmine への関わりとしては minimal at2 というテ ーマを開発しています。 ブログ アカベコマイリ Twitter アカベコ(@akabekobeko) GitHub akabekobeko (akabeko) 2

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今回のお話 以前ブログに書いた Redmine 運用シリーズ記事 Redmine 運用について 1/3 – はじめに Redmine 運用について 2/3 – 運用ルールと諸設定 Redmine 運用について 3/3 – 普及の施策と課題 から普及の施策と課題を要約した内容となります。 どのように組織へ Redmine を導入してなじませる か。そのための施策と課題についてお話します。 3

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Overview Redmine 導入事例 現状分析 業務管理の Redmine 化 Redmine をなじませる 既存の仕組みを尊重する 活況を演出する マメなサポート 課題 4

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Redmine 導入事例 5

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Redmine 導入事例 私の Redmine 導入 & 運用経験は足掛け 8 年、2 社。 1 社目はソフトハウス。過去に Trac の利用経験もあ るため Redmine への移行もスムーズでした。 2 社目 ( 現職) は印刷・出版系の企業。 ソフトハウスほどの IT リテラシーはありませんが社 をあげて業務改善に乗り出しており、私が移籍する前 に Redmine を実験導入していました。 ここでは主に 2 社目の話をします。 6

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現状分析 1/2 Redmine を実験導入してみたものの本格採用には至 らない。では業務をどのように管理しているのか? まずは 2 ヶ月ほど自分の部署に限定して様子を見てみ ることにしました。その結果、 業務は主に上長の手による Excel シートで管理 1 ~ 2 週間ごとの定例で進捗と問題を共有 定例の内容を Excel シートに反映 のような感じになっていました。 7

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現状分析 2/2 上長へのインタビューや定例で気になった点。 1. Excel シート運用にかなり時間を割いている 2. 同じ議論が回をまたいで繰り返される 3. ほとんどのメンバーに関係のない議論が多い 4. 進捗管理は作業の着手と終了のみで中間がない 5. 議事録をとらない Redmine なら 1 ~ 4 をチケット、5 は Wiki で対策で きそう。 8

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業務管理の Redmine 化 1/4 というわけで業務管理を Redmien 化。さきほどの課 題をひとつひとつ対策してゆきます。 1. Excel シート運用にかなり時間を割いている Redmine へ移行にともない Excel シート廃止 シート管理していた要素と Redmine の対応づけ 作業、担当者、進捗、期限あたりがあれば OK Redmine チケットですべて置き換えられそう 9

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業務管理の Redmine 化 2/4 2. 同じ議論が回をまたいで繰り返される 3. ほとんどのメンバーに関係のない議論が多い 課題と議論は主にチケットで運用 参加者は必要最小になる 他者へ共有したければウォッチャーを追加 議論が自動的にテキストとして記録 いつでもどこでも読める 10

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業務管理の Redmine 化 3/4 4. 進捗管理は作業の着手と終了のみで中間がない チケットのステータス、進捗率、期限を利用 担当者が更新するので上長は管理から開放 いつでもどこでも更新・確認できる 進捗率を出しにくければ 0 ~ 100% 更新も許可 注記へ現状を文章として書くことも進捗とする 進捗管理の目的は「現状」を把握すること 11

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業務管理の Redmine 化 4/4 5. 議事録をとらない 議事録ドリブンを提案 定例の前に Redmine Wiki へ議題を書く Wiki を読んでから参加 議題はチケットへのリンクとして記述 定例では Wiki をエディタ編集 & プレビュー 議題のみの Wiki を定例の場で埋める感じ 必ず議事録がとれて読み返せる 12

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Redmine をなじませる 13

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既存の仕組みを尊重する 1/4 なんらかのシステムやツールを採用する動機として以 下があります。 1. 新しい課題を解決している 2. 既存の課題をよりよく解決 1 ならば賛同を集めやすそうです。 しかし 2 はどうでしょう。これは既存の仕組みや価 値観を否定することになりがちです。 素直に受け入れられるでしょうか? 14

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既存の仕組みを尊重する 2/4 Redmine 導入事例にあげた組織は Excel シートで業 務を管理していました。これは 複数人の同時編集が難しい 履歴が取りにくい セル管理の破綻しやすさ などの問題があります。Web ベースの TDD/BTS に比 べるとメリットはほとんどないように見えます。 それでも紙の帳票よりずっとマシで、例え紙でも管理 されているだけで価値があります。 15

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既存の仕組みを尊重する 3/4 業務が管理されているなら方法は非効率でも現状が可 視化されています。 そして管理したいことは大抵、ヒト、コト、モノのよ うな典型があります。 よって表現が異なっても概念は一緒なことが多く、加 工すれば別の仕組みへ移行できるものです。 事例であげた Excel シートも大半の項目は Redmine チケットに対応づけ可能でした。 16

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既存の仕組みを尊重する 4/4 以上を踏まえ 既存の仕組みや管理者を尊重 します。よくぞ管理してくれていました、と。そして Redmine 導入や移行に際しては あなたの管理してきた情報は価値あるもので、それを より便利なツールに移行するだけ という点を強調。これは事実でもありますし、あえて 明示的に強く伝えることで雰囲気もよくなります。 17

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活況を演出する Redmine を導入しても使われなければ意味がありま せん。 そして使われるとしても、それが自発的でなければす ぐに廃れるでしょう。ではどのように動機づけする か。 ひとつの施策として活況の演出を提案します。 18

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活況を演出する 多くのユーザーに利用されて勢いのある状態を活況と 定義します。 この状態になれば黙っていてもユーザーは維持され、 増えます。 レストランに例えると、流行っている店は流行ってい ること自体が客を呼び込みます。 Redmine の場合、みんなに使われているから使うと なるでしょう。 19

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活況を演出する みんなに使われているように見せるため、Redmine 導入 & 推進者が積極的にコンテンツを増やしましょ う。 Redmine の主なコンテンツは Wiki チケット です。これらを増やしてゆきます。 20

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活況を演出する チケットよりも先に Wiki ページの構築をオススメし ます。理由は以下。 文章を書くだけなので心理的に楽 覚える規則がすくない Markdown/textile もさほど難しくない 開発知識なしに Web ページ作成を体験できる 環境面はすべて Redmien が面倒みてくれる Web ページ、便利なのはわかるけど難しそう... というハードルを解決 21

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活況を演出する Wiki ページに書くものとしては 1. 資料 2. 業務メモ 3. 議事録 4. 日報 あたりがよいでしょう。定期もの ( 例えば議事録) が あれば前回のを見本に書いてみてくださいという感じ で Redmine 経験の機会をつくりやすいです。 22

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活況を演出する Wiki ページが自発的に書かれるようになったらチケ ットの普及に挑戦してみましょう。 先に Redmine 導入 & 推進者がチケットで業務や雑務 を管理して、それを見本とします。 といっても Wiki に比べると心理的なハードルはかな り高いはず。 私が見聞きした範囲だとなにをチケットにすればよい かわからないという意見が多かったですね。 23

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活況を演出する なにをチケットにすればよいかわからない理由として は 1. チケット = 業務の可視化、に抵抗感がある 2. 業務を小さく分解するのに慣れていない 3. Redmine に関する理解の不足 という感じ。 3 は時間と経験が解決してくれるとして、1 と 2 は心 理的なハードルと概念の教育が絡むので解決するのは けっこう難しい。 24

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活況を演出する 対策として必ず短期で終了する雑務のチケット化はオ ススメです。例えば 備品購入 掃除 など。長くても 1 日かからず、効果を目視しやすいも のがよいでしょう。 目的と期間がはっきりしているためチケットにする抵 抗感はかなり小さいはず。 25

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活況を演出する このような感じで Wiki やチケット運用を体験しても らう人数を増やしてゆくと 演出されていた活況が本物 になります。Redmine 以外にもチャットワークや Slack なども組み合わせると更によいです。 Wiki やチケットを更新したらチャットでお知らせし ます。Redmine にもメール通知機能はありますが、 チャットなら同時・多数・即時に通知できるため活況 感を強調できます。 26

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マメなサポート Redmine に関する 疑問 トラブル 要望 はマメに対応しましょう。こうした問題は Redmine と組織のギャップにあたります。ギャップは放置する と忌避感を生みます。 解決すれば逆に親近感を得られるでしょう。サポート がマメ = 迅速ならば活況の演出にもなります。 27

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マメなサポート サポートの方法としては チャット Redmine Wiki Redmine チケット あたりが考えられます。コストや記録の観点から非同 期なテキスト ベースの仕組みで対応することをオス スメします。 対面は最後の手段です。 28

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マメなサポート 近年は業務でチャット サービスが普及しています。 代表的なものだと Slack ChatWork など。このようなサービスを利用しているなら Redmine 専用のチャット ルームを用意します。 ここにはユーザー全員を招待して、Redmine に関す る議論ならなんでも投稿できるようにします。 29

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マメなサポート チャットや対面などで Redmine に関する質疑応答や 知見がたまってきたら Wiki に FAQ などの形で記録し ましょう。 テキスト ベースな仕組みで固めているならコピペで 運用できます。 より高度に効率化するならチャットと Redmine を連 携させてこの辺を自動化するのもよいですね。 例えば Redmine ルームの書き込みを REST API で Wiki ページ化するなど。 30

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マメなサポート チャット以外の対話方法として Redmine チケットも オススメ。 チャット代替となるだけでなく、チケットに親しむ機 会としても有用です。例えば プロジェクト作成依頼 リポジトリー作成依頼 といった Redmine 運用に関わるものはそれ自体をチ ケットで管理します。 31

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課題 32

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課題 ここまでの内容をみると大成功しているように見えま すが、 Redmine のなじまない人、部署がある タスクや工数管理に別サービスが利用されている といった課題もあります。 これは教育や不足している機能のプラグイン補完など による対応を検討していますが、道のりは長い... 33

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課題 最近、日本の Redmine 界隈で話題?になった記事 Redmine の直近の課題~競合ツールGitlab に対抗で きるか: プログラマの思索 ↑ で挙げられている内容は Redmine 運用していて強く 実感させられる課題です。 私的には環境面の運用が厳しい。インストール、更 新、プラグインやテーマの配布と互換性など。 34

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ご静聴、 ありがとうございました!! 35